買取相場 | 2023.04.27
スバルの本格派クロスオーバー、レガシィアウトバックはいくらで買取されている?
Posted by 菅野 直人
かつて一時代を築いた名車「スバル・レガシィワゴン」は2014年にレガシィがモデルチェンジされた際、日本の道路事情に見合わぬ大柄ぶりから海外専用車になってしまいましたが、日本市場からレガシィのステーショワゴン版が消えたわけではありません。クロスオーバーモデルの「レガシィアウトバック」はSUVブームもあって継続販売中。それでは、買取市場ではどのように評価されているのでしょう?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
- レガシィアウトバックの中古市場での人気について
- 買取査定額が期待できるレガシィアウトバックのグレード
- 買取査定額が期待できるレガシィアウトバックのカラー
- 1年落ちレガシィアウトバック(2022年式)の目安査定額
- 2年落ちレガシィアウトバック(2021年式)の目安査定額
- 4年落ちレガシィアウトバック(2019年式)の目安査定額
- 6年落ちレガシィアウトバック(2017年式)の目安査定額
- 8年落ちレガシィアウトバック(2015年式)の目安査定額
- 12年落ちレガシィアウトバック(2011年式)の目安査定額
- アウトバックを高く売るためのポイント
- アウトバックの走行距離による値動きの変化
- 事故車・修復歴ありのレガシィアウトバックの場合は?
- レガシィアウトバックの残価率・リセールバリューは?
- アウトバックを売るのにベストなタイミングは?
レガシィアウトバックの中古市場での人気について
1990年代はじめ、RVブームの全盛期にはコンパクトなハッチバック車やステーションワゴン、ミニバンにまで樹脂製パーツやフロントにバンパーガードを装着しただけのSUV風モデルが乱発されては、短期間の間に消えていきました。
しかし、1994年にレガシィセダン/ツーリングワゴンの派生モデルとして開発された「アウトバック」は高められた最低地上高や、形だけのバンパーガードを持たないスタイリッシュなボディが話題になり、1995年から日本でもワゴンベースのアウトバックを「レガシィクランドワゴン」として発売。
1997年には「レガシィランカスター」、2003年にはレガシィアウトバック(販売上は「アウトバック」)と改名しつつ順調に代を重ねてきました。2000年から2009年まで設定されていた水平対向6気筒3リッターエンジン搭載車、2009年から2014年まで設定されていた同3.6リッター車などレガシィにはない独自モデルも存在、そのため2014年のモデルチェンジでレガシィからステーションワゴンが廃止されて以降も、アウトバックだけは日本での販売が継続されています。
2022年5月現在でも10年落ち以内の中古車販売価格は20万円~350万円と安定した人気を得ており、絶対的な需要は少ないながらもスバルらしい高い悪路走破性を持つ、希少な本格派クロスオーバーモデルとして、根強い人気に支えられているモデルです。
買取査定額が期待できるレガシィアウトバックのグレード
レガシィアウトバックのグレード構成は、2019年11月のマイナーチェンジ後はスポーティな「B-スポーツ」、クロスオオーバー色の強い「X-ブレイク」、豪華装備の「リミテッド」と3種類になりますが、それ以前はベーシック版「ベースグレード」と豪華版リミテッド、特別仕様車として2018年10月に追加された特別仕様車X-ブレイクの3種類が設定されていました。
2014年以前の先代モデルでは3.6リッター水平対向6気筒エンジンのグレード「3.6Rアイサイト」や「グランドマスター」などもあり、2.5リッター水平対向4気筒エンジンの「2.5i」系グレードとともに多彩なラインアップを誇りました。
このうち買取査定で高額傾向にあるのは現行ならリミテッド、先代なら「2.5iアイサイト」など2.5i系で、3.6リッター車は高額な税金や燃費が悪いという問題もあってか、買取査定はかなり渋めです。
買取査定額が期待できるレガシィアウトバックのカラー
通常の日本車なら人気も高額査定も白系か黒系のボディカラーが大半を占めるところですが、樹脂製パーツをまとい最低地上高も高く、オフロードの雰囲気を漂わせるレガシィアウトバックにおいては別で、緑や茶色などSUVらしい地味渋いボディカラーが買取上位にきます。
ついで定番のパールなど白系もやはり多く、少数ながら黒やグレー、シルバーといった落ち着きのある都会系の色調や、青やゴールドといったレガシィらしいカラーも上位にランクされます。
1年落ちレガシィアウトバック(2022年式)の目安査定額
1年落ち2022年式レガシィアウトバックは、スバルがレガシィツーリングワゴンをベースに最低地上高を上げ、悪路走破性を高めたSUV版レガシィの6代目(現行・2021年12月発売)の2年目モデル。
新型の1.8リッター直噴ターボエンジンCB18や、3D高精度地図データを使った高度な運転支援システム「アイサイトX)を搭載した最新型で、スバルが長年培ってきたAWD技術による悪路走破性や走行性能が高く評価され、買取市場でも高価買取されるリセールバリューの高い車種です。
2022年9月には一部仕様が変更されましたが、ライティングスイッチが従来の「車幅灯/尾灯&OFF」1ポジションから、「車幅灯/尾灯」と「OFF」の2ポジションとなった程度の小変更に留まっています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
X-BREAK EX:新車457万円/買取価格326万円程度
リミテッドEX:新車472万円/買取価格313万円程度
平均買取価格:約320万円
平均残価率:約69%
2年落ちレガシィアウトバック(2021年式)の目安査定額
2年落ち2021年式レガシィアウトバックは、先代(5代目)が2021年8月に販売終了、その後しばらく間が開いて同12月に現行(6代目)が発売されたもので、モデルチェンジで2.5リッター自然吸気エンジンから、1.8リッターターボの「CB18」へと変更、若干燃費が向上しましたが、車両本体価格は300万円台から400万円台へと、かなり上がっています。
現行型は12月発売なので1年落ち車の買取実績がなく、旧型の実績のみとなりますが、高級SUVという事で平均買取価格・平均残価率とも型落ちにしてはかなりの高値で推移しており、現行モデルがエンジン(CB18)の不具合で出荷停止となっているため、今後もさらに上がるかもしれません。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
(※2021年8月まで販売されていた旧型のみ)
B-SPORT | 新車375万円/買取実績なし |
X-BREAK | 新車382万円/買取価格269万円程度 |
リミテッド | 新車399万円/買取実績なし |
旧型レガシィアウトバック・平均買取価格 | 約269万円 |
レガシィアウトバック | 平均残価率:約70% |
4年落ちレガシィアウトバック(2019年式)の目安査定額
4年落ち2019年式レガシィアウトバックは、2014年10月から2021年3月まで販売されていたスバル レガシィ ツーリングワゴンをベースとしたSUVの4代目。
2019年式は、2018年9月にクロスバービルトインタイプの大型ルーフレールを装備するなど装備を充実させ、フロントグリルなどを専用としたスバル60周年記念特別仕様車「X-BREAK」を追加したモデル。
2019年9月の改良では「SNOW・DART」や「DEEP SNOW ・MUD」という悪路走破性を高める2つのモードを備えたX-MODEが設定され、ベースグレードを廃止した代わりに装備を厳選した廉価グレード、「B-SPORT」が追加されています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
ベースグレード:新車362万円/買取価格143万円程度
B-SPORT:新車375万円/買取実績なし
X-BRAEK:新車378万円/買取価格224万円程度
リミテッド:新車395万円/買取価格189万円程度
平均買取価格:約186万円
平均残価率:約49%
6年落ちレガシィアウトバック(2017年式)の目安査定額
6年落ち2017年式アウトバックは、2014年10月から販売されている現行モデル(レガシィグランドワゴン以来の通算5代目)です。
2016年9月の改良で車線中央維持機能が追加されたアイサイトVer.3を搭載し、冬季や寒冷地での快適性の向上のためステアリングヒーターが標準装備となりました。
2017年1月にはルーフレールやドアミラーのブラックアウト化などで外装の道具観を演出し、撥水ファブリックや合成皮革を組み合わせたシートなど内装の特別感も加えた特別仕様車「X-アドバンス」を発売しました。
さらに2017年10月にはアイサイトに後退時ブレーキシステムの追加や、全車速追従クルーズコントロールの対応速度域を0km/h~120km/hに拡大するなどの改良をしたほか、アダプティブドライビングビームや、フロント&サイドビューモニター搭載で全方位安全性能を高めた「アイサイトセイフティプラス」が追加設定されています。オプション込みでのおおよその新車価格と2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
ベースグレード | 新車358万円/買取価格139万円程度 |
X-アドバンス | 新車354万円/買取実績なし |
リミテッド | 新車387万円/買取価格179万円程度 |
平均買取価格 | 159万円程度 |
平均残価率 | 約42% |
8年落ちレガシィアウトバック(2015年式)の目安査定額
8年落ち2015年式アウトバックは、2014年10月に発売された現行モデルの初期型で、国内向けには先代にあった3.6リッター水平対向6気筒エンジンが廃止されて4気筒2.5リッターへ一本化されました。基本グレード構成もベースグレードと装備充実版「リミテッド」のみとシンプルになりました。
2015年10月にはアイサイトへ後側方検知用のレーダーを追加するなど前方以外の安全性能を強化した「アドバンスドセイフティパッケージ」が標準装備化されるなどの改良を受けています。オプション込みでのおおよその新車価格と2022年5月現在での平均買取相場は以下の通りです。
ベースグレード | 新車348万円/買取価格97万円程度 |
リミテッド | 新車377万円/買取価格126万円程度 |
平均買取価格 | 112万円程度 |
平均残価率 | 約31% |
12年落ちレガシィアウトバック(2011年式)の目安査定額
12年落ち2011年式アウトバックは、2009年5月から2014年10月まで販売されていた先代モデル(通算4代目)で、2010年5月の改良で4気筒2.5リッターの2.5iと3.6リッター6気筒の3.6Rに「アイサイトVer.2」搭載車が登場したほか、2010年11月にはアイサイト搭載車をベースにシルバーのアルカンターラとブラックの本革を組み合わせた専用シートなど上質感のある内外装を施した特別仕様車「スポーツセレクション」が発売されています。
2011年6月には内外装の質感アップ、リヤサスペンションへのピロボール採用など足回り改良による走行性能向上や、ステレオカメラの認識性向上によるアイサイトの強化が行われるなど全面的な大幅改良を受け進化しました。同年11月には2.5iアイサイトをベースに「BEAMS」とのコラボで専用内外装を施した特別仕様車「2.5iアイサイトEXエディション」が発売されました。オプション込みでのおおよその新車価格と2023年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
2.5i | 新車295万円/買取実績なし |
2.5i Lパッケージ | 新車330万円/買取価格12万円程度 |
2.5i Sパッケージリミテッド | 新車338万円/買取実績なし |
2.5iアイサイト | 新車342万円/買取価格31万円程度 |
2.5iアイサイト Sパッケージリミテッド | 新車349万円/買取価格21万円程度 |
2.5iアイサイトスポーツセレクション | 新車351万円/買取価格21万円程度 |
2.5iアイサイト EXエディション | 新車358万円/買取実績なし |
3.6Rアイサイト | 新車410万円/買取価格9万円程度 |
3.6Rアイサイトスポーツセレクション | 新車418万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 19万円程度 |
平均残価率 | 約6% |
アウトバックを高く売るためのポイント
レガシィワゴンのクロスオーバー版であるアウトバックですが、長距離のオフロード走行が一般的ではない日本ではどちらかというと「レガシィワゴンの高級版」としての扱いであり、そもそも現行レガシィではセダンのB4のみでワゴンは日本へ導入されていないことから、事実上スバルのフラッグシップと化しています。
それゆえ、傷や汚れをつけないことや、塗装の維持や車内にホコリを残さないのも大事ですが、高級感を維持するための内外装の維持、雰囲気を重視するため車内の匂いひとつとっても変に生活感やオーナーの個性を漂わせないのが高価買取で重要な追加ポイントです。
アウトバックの走行距離による値動きの変化
歴代アウトバックのうち、2014年10月以降に販売された現行モデルの2022年5月現在における走行距離ごとの買取相場を紹介します。
12万km台 | 66.6万円~66.6万円 |
11万km台 | – |
10万km台 | 54.3万円~77.0万円 |
9万km台 | 90.2万円~101.9万円 |
8万km台 | 63.7万円~116.3万円 |
7万km台 | 89.3万円~146.7万円 |
6万km台 | 81.8万円~159.5万円 |
5万km台 | 92.3万円~168.8万円 |
4万km台 | 81.8万円~167.9万円 |
3万km台 | 120.2万円~210.3万円 |
2万km台 | 126.9万円~229.9万円 |
1万km台 | 131.5万円~207.0万円 |
比較的年式の新しい現行モデルということで10万kmオーバーでもソコソコの値段がつきますが、買取査定に影響を与える走行距離の境目としては3万km台から4万km台にかけて、そして9万km台から10万km台にかけてが分かれ道となり、そこを超えるとガクンと評価が下がっていきます。
単純な走行距離だけでなく、「年式の割にどのくらい走っているか、たとえば年間走行距離が1万kmを超えるかどうか」といったところで評価が分かれてくるため、高級車として購入したため使用頻度が少なく、年間走行距離が少ない車は年式がそれなりになっても、型落ちにならない限り程度次第で高価買取の可能性がありそうです。
事故車・修復歴ありのレガシィアウトバックの場合は?
レガシィアウトバックの事故車買取価格については、3年落ちの先代モデルが右フロント損傷、エアバッグは開かずエンジンもOKという状態で100万円の買取価格がついた実績があります。
5年落ち車の中古車相場は2022年5月現在およそ148~301万円ですから、この事故車は比較的損傷部分以外のコンディションが良かったと思われ、実際の事故車買取相場としては3~97万円くらいと、高くとも買取相場からすれば5~6割程度いうのが普通です。
レガシィアウトバックの残価率・リセールバリューは?
人気のクロスオーバーSUVとはいえ、SUV市場でスタイリッシュかつパワフル、燃費もいいライバルが多数登場し、トレンドもコンパクトSUVや3列シート仕様SUVに移りつつある現在では、単に“4WDが得意なスバルのクロスオーバーSUV”というだけでは魅力が薄れてきたようで、リセールバリューは少々厳しくなっています。
6年落ち2016年式では平均残価率33~44%(全グレード平均38%)、平均買取価格116~170万円(同、142万円)と、まだ新しい年式の割に不人気とまでは言わないものの特に人気モデルではない車種に近い残価率。
新旧モデルが混在する8年落ち2014年式だと現行モデルでも平均残価率29~34%(全グレード平均31%)、平均買取価格98~128万円(同、113万円)。先代モデルに至っては平均残価率6~19%(全グレード平均14%)、平均買取価格26~65万円(同、69万円)まで落ち込みます。
これが先代初期の12年落ち2010年式では平均残価率3~10%(全グレード平均7%)、平均買取価格12~36万円(同、24万円)と、特に先代モデルに関しては不人気車のレベルまで残価率が下がり、いまやリセールバリュー良好とはいえません。
特に3.6リッター車の値落ちが深刻な状況。2.5リッター車はまだSUVらしい買取価格がつく状況ですので、2.5リッター車にかぎっては厳しいながらも売り、ですが、3.6リッター車に関しては維持するだけの経済的余裕があるならば、おそらくはスバル最後の水平対向6気筒エンジン車という希少性が評価されるまで、乗り続けることをオススメしたいところです。
アウトバックを売るのにベストなタイミングは?
既に発売から6年近くを経ているアウトバックのような車の場合、そろそろ次のモデルはどうなるかが気になり始める時期ですし、クロスオーバーSUVというより高級ワゴンとして評価されているゆえか、型落ちで急激に残価率が落ちていく傾向にある車ですからなおさらです。
しかし、WRX系やレヴォーグ、インプレッサなどと異なりレガシィ系の次期モデルは噂レベルでも開発状況の情報が乏しく、代を重ねるたび主要市場である北米に合わせたサイズアップで日本市場での使用状況に適合しにくくなってきたことから、仮にモデルチェンジされても日本へは導入されない海外専売車になるのでは?という予想すらある状況です。
かつてレガシィグランドワゴンやレガシィランカスターと呼ばれていた時代には、数はそう多くなくとも情熱的なスバリストによる根強い需要があったのですが、2011年式の先代アウトバックが平均残価率5%、現行モデルでも3年落ちで50%に満たない42%と買取市場での評価は「趣味車にありがちな、買取実績は少ないが残価率が高い」という状況ではありません。
場合によってはモデル廃止後、急速な知名度低下で評価がより厳しくなってしまう可能性もある類の車に含まれてしまうため、最後のアウトバックになりそうなら大事に長く乗ろうというファンはともかく、いずれいいタイミングで売る前提で所有しているユーザーならば、そろそろ走行距離が増えすぎないうちに積極的な売却検討を進めた方が良さそうです。