買取相場 | 2022.10.28
トヨタの新しいエコノミーコンパクト「ヤリス」。買取相場の今後はどうなる?
Posted by 菅野 直人
4代目へのモデルチェンジを契機に3代続いた「ヴィッツ」の名を捨て、国際名に統一したトヨタのコンパクトカー「ヤリス」。経済性に優れた1Lモデル、6MT車も設定し、ワンメイクレースにも使われるスポーティな1.5Lモデル、そしてハイブリッド車と顔ぶれも多彩で、好調なセールスを記録しています。今回は高性能版GRヤリスとSUV版ヤリスクロスを除き、下取りや売却で参考になる買取市場での評価を見てみましょう。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ヤリスの中古車市場での人気について
3代続いた定番コンパクトカーのベストセラー、ヴィッツの評価をそのまま受け継ぎ、最初からハイブリッド車も設定して好調なセールスを記録している、ヤリス。
小さくて取り回しがよく、軽自動車ベースのリッターカーにありがちなチープさもないため、ユーザーからの評価は高く、2020年2月の発売から2年半以上経った今も、定番車種として堅実な人気を誇るほか、高性能版GRヤリス、SUV版ヤリスクロスの販売も好調です。
経済性の高いハイブリッド車や、趣味性の高い6MT車を除けば目立つ飛び道具はないものの、安心して乗れる1台として中古車市場でも人気があり、大手中古車情報サイトによれば、毎月数千台を販売する量販車種にも関わらず、流通台数は1,048台と少なめで品薄気味、価格も93万円~278.8万円と、納期遅延が収まらない中、なかなか強気の設定。
日本国内で実用性の高いアウトドアギア、あるいは一周回ってファッション性の高さが魅力と評価されるオフローダールックSUVを再評価させ、弟分のライズ(ダイハツ ロッキーのOEM版)もヒットさせた5代目ヤリス。
最新の電子制御4WDシステム、ハイブリッドシステム、今回の記事には含めないもののPHV(プラグインハイブリッド)など、タフそうな外見とは裏腹に最新技術を詰め込んだSUVですが、中身はハリアーと同じ、いわばオフローダールックのハリアーですから、それも道理です。
実用性が高く最新技術てんこ盛り、ファッション性でも最先端の現行ヤリスは、日本での復活から3年以上たっているにも関わらず、納期は短くて5か月程度、ハイブリッドは半年以上、PHVに至ってはバックオーダーがたまって2022年10月現在は受注停止状態と、新車の早期入手が容易ではありません。
それゆえ、大手中古車情報サイトによれば、中古車市場での流通台数は1,347台と人気SUVの割にかなり控え目で、車両本体価格も249.9万〜513万円と少々強気で、走行距離500km未満の登録済み未使用車、展示車や試乗車上がりもそう多くはないようです。
しかも改良や新型コロナウイルス感染拡大以降に生産遅延を巻き起こした輸入部品の生産・流通混乱や、戦争など世情不安も増す中で円安ドル高の進行もあって、ヤリスの新車価格は年々上がっており、中古車価格も引きずられるように今後上がるかもしれません。
純ガソリン車、ハイブリッド車ともに2022年10月時点での納車目安は5ヶ月程度と、一時期より収まってきたので、今後はタマ数も増え、販売価格も少し落ち着いてくると思われます。
買取査定額が期待できるヤリスのグレード
オフローダールックがウケてヒット作となっただけに、よりオフローダーチックな専用デザインのパーツやホイールを多用した「アドベンチャー」系のグレードが純ガソリン、ハイブリッド車ともに買取査定の評価は良好で、他グレードのRAV4より高価買取が期待できます。
さらに「アドベンチャー オフロードパッケージ」など、オフローダールックを極めた特別仕様車ではより査定アップが期待できるため、実際に悪路とは無縁のユーザーでも、リセールバリューを期待するならアドベンチャー系グレードと、その特別仕様車を押さえておくのが肝心です。
買取査定額が期待できるヤリスのカラー
冠婚葬祭などフォーマルな場へ乗りつける機会も多いファミリーカーや高級車と違い、故人の通勤用パーソナルカー用途が多そうなヤリスだけに、買取査定で高評価なボディカラーは定番の白(ホワイトパールクリスタルシャイン)や黒(ブラック)、シルバー(シルバーメタリック)に留まりません。
イメージカラーといえる赤黒ツートン(センシュアルレッドマイカorコーラルクリスタルシャイン)や青(ダークブルーマイカメタリック)、紫(ボルドーマイカメタリック)の評価も高く、個性的なボディカラーでも、ヤリスは買取査定が安くならずに済みそうです。
ただし、白黒シルバー以外のボディカラーは駐車環境によって経年劣化で退色しやすくもあり、今後低年式で手放す場合、強いのはやはり定番の白黒シルバーとなる可能性はあります。
【1年落ち2021年式ヤリスの目安査定額】
1年落ち2021年式ヤリスは、それまでハイブリッド車のみであった4WD車が、2020年4月に純ガソリンエンジンの1.5L車へも追加されたモデルです(1L車は変わらずFFのみ)。
2021年5月の改良では、1.5Lガソリン車(CVTのみ)とハイブリッド車へ全車速追従機能を備えたレーダークルーズコントロールを標準装備、衝突直前被害軽減を担うプリクラッシュセーフティに緊急時操舵支援機能を追加するなど、予防安全装備を中心に装備の充実が図られました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
X Bパッケージ | 新車154万円に対し、買取価格79万円程度 |
X | 新車177万円に対し、買取価格104万円程度 |
G | 新車194万円に対し、買取価格110万円程度 |
Z | 新車219万円に対し、買取価格118万円程度 |
平均買取価格 | 103万円程度・平均残価率55%程度 |
(ハイブリッド車)
ハイブリッドX | 新車233万円に対し、買取価格128万円程度 |
ハイブリッドG | 新車246万円に対し、買取価格140万円程度 |
ハイブリッドZ | 新車265万円に対し、買取価格172万円程度 |
平均買取価格 | 147万円程度・平均残価率59%程度 |
【2年落ち2020年式ヤリスの目安査定額】
2年落ち2020年式ヤリスは、同年2月に3代続いたヴィッツからのモデルチェンジを機に改名・発売されたヤリスの初期型で、4WD車はハイブリッド車のみ電動4WD「E-Four」が設定され、ガソリン車はFFのみであったモデルです。
最新の設計アーキテクチャーTNGAを採用した新プラットフォームなど設計が全面的に見直され、先代までと比べ低重心で活発な走りから、新世代コンパクトカーとして人気を博し、同年4月には1.5Lガソリン車へ4WD(従来からの機械式)が追加されました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
X Bパッケージ | 新車154万円に対し、買取実績なし |
X | 新車177万円に対し、買取価格96万円程度 |
G | 新車193万円に対し、買取価格111万円程度 |
Z | 新車217万円に対し、買取価格128万円程度 |
平均買取価格 | 185万円程度・平均残価率57%程度 |
(ハイブリッド車)
ハイブリッドX | 新車233万円に対し、買取価格95万円程度 |
ハイブリッドG | 新車246万円に対し、買取価格147万円程度 |
ハイブリッドZ | 新車263万円に対し、買取価格156万円程度 |
平均買取価格 | 133万円程度・平均残価率53%程度 |
ヤリスの残価率・リセールバリューは?
中古車のタマ数が量販車種としては不足気味、中古車販売価格も強気設定の割にリセールバリュー(新車販売価格に対する買取額の割合)は「並」もよいところで、ガソリン車は約53~55%、ハイブリッド車でも約59~53%。
走行用バッテリーの経年劣化が懸念されて、低年式になるたび価値下落の激しいハイブリッド車の特徴もそのままで、新車供給体制が世界的な新型コロナウイルス感染爆発以前(2020年4月以前)に戻りつつあることから、ヤリスの買取市場は「平常時」に戻りつつあります。
むしろ今後は感染予防のため公共交通機関を避け、マイカーを利用していたユーザーが平常時の生活に戻ると、ヤリスのようなパーソナルカーは、真っ先に不要となって中古車市場であぶれる、という予測があるのかもしれません。
そう考えると高額で売れるリセールバリューの旬は過ぎたと言えるかもしれませんが、戦争による不安定な世界、円安ドル高による初物価高騰など、新型コロナとは別の施錠不安要因が増えてきているため、今後の先読みはなかなか難しいのが実情で、確実なのは「今は売り時と言えない」くらいです。