買取相場 | 2022.10.28
ダイハツの小型オフローダーの血統、新生「タフト」その買取相場とは?
Posted by 菅野 直人
スズキ ハスラー(初代2014年)の成功で火が付いた軽SUV市場ですが、先行者の優位で販売トップを走り、スペーシア派生車も人気のスズキに対して他社が容易にシェア奪回を図るのは難しく、キャストアクティバ(2015年)で追撃に失敗したダイハツも、かつての小型オフローダーの名を受け継いだ2代目タフト(2代目)では、2名乗車メインのパーソナルユース向けSUVにシフトしてきました。そんな同車の下取りや売却で参考になる買取市場での評価はどうでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
タフトの中古車市場での人気について
ライバルのハスラーに対し、異なるアプローチでニッチ需要をさらうべく、「スカイフィールトップ」と呼ばれる大型ガラスルーフの採用、前席優先の2+2クーペ的シートレイアウトを採用したタフトですが、パーソナルユースからファミリーユースまで万能な、ライバルにとって不利な展開は否めません。
発売から2年程度と販売期間が短く、大手中古車情報サイトにおける2022年10月現在の流通台数は、ハスラーが初代/2代目合わせて5,256台なのに対して、タフトは2,008台と半分以下なのは仕方ないのですが、問題はその内容です。
ハスラーの現行モデルで走行500km未満が1,005台で約57%、タフトは同じく1,317台で約65%と、もとより新車販売台数で負けているだけでなく、中古車に占める展示車や試乗車、登録済み未使用車の割合が、タフトは高すぎます。
車両本体価格も現行ハスラーの99万~239万円に対し、タフトは109.8万~219.9万円と若干控えめになっており、ハスラーが開いた市場のさらにニッチ(スキマ)狙いなタフトでは、このあたりが限界なのでしょう。
両車とも新車価格より高めの低走行中古車、あるいは新車が目立つものの、これは高額なオプション比率の高さゆえであり、新車で買うのと同等、あるいは多少安い程度の誤差に収まる範囲だと思われます。
買取査定額が期待できるタフトのグレード
ファミリーユースよりは、軽スペシャリティクーペのSUV版的なパッケージを採用したタフトゆえに、装備が貧弱でハクがつかない廉価グレード「X」は、買い取り平均価格、リセールバリュー(平均残価率)が低めです。
装備充実グレード「G」や、動力性能に余裕がある「Gターボ」の買取査定はやや高めで、メッキ加飾の追加など、内外装の上質感を高めた特別仕様車「クロムベンチャー」は、G、Gターボともに高め買い取りの傾向があります。
買取査定額が期待できるタフトのカラー
カクカクしたオフローダールック、あるいは軍用車両ルックで、カーキ色(フォレストカーキメタリック)の人気が高いかと思いきや、軽SUVで本格オフローダーでもない本質をユーザーが見抜いているのか、あるいは、つや消しのマット系カラー不在もあってか、そうした「いかにも」な色の買取査定は今ひとつ。
ただし、最近の戦地報道でよく見かける影響か、サンドカラー(サンドベージュメタリック)の人気は比較的上々で、無難な黒(ブラックマイカメタリック)や白(シャイニングホワイトパール)の間に割って入るほど買取査定は高くあり、最近のミリタリールックでのサンドカラー人気を表しているように思えます。
【1年落ち2021年式タフトの目安査定額】
1年落ち2021年式タフトは、同年5月に追加された内外装上質版の特別仕様車「クロムベンチャー」(G、Gターボへ設定)が買取査定額を引き上げており、通常グレードより10万円増し程度の評価。
それ以外は、廉価版「X」にも「Xターボ」が追加された程度で大きな変更はなく、「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車156万円に対し、買取価格102万円程度 |
G | 新車171万円に対し、買取価格112万円程度 |
Gクロムベンチャー | 新車178万円に対し、買取価格122万円程度 |
Xターボ | 新車166万円に対し、買取実績なし |
Gターボ | 新車184万円に対し、買取価格118万円程度 |
Gターボクロムベンチャー | 新車191万円に対し、買取価格128万円程度 |
平均買取価格 | 117万円程度・平均残価率66%程度 |
【2年落ち2020年式タフトの目安査定額】
2年落ち2020年式タフトは、同年6月に発売された初期モデルで、かつて販売した軽SUVのネイキッド(1999年)を思わせるスクエアなボディながら、表面はツルリとしていてワイルド感は薄く、アウドドアギア的な要素を持ちつつ、大型ガラスルーフを目玉にした2+2的なシートレイアウトで、荷室の使い勝手も優先度が低いなど、少々チグハグな印象。
ライバルのハスラーや三菱 eKクロスとの正面対決を避けた、一種の「軽デートカー」的路線を狙ったと言えますが、それゆえに趣味性も薄く、2年落ちでも少々買取査定の下落幅が大きめかもしれません。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車156万円に対し、買取価格95万円程度 |
G | 新車171万円に対し、買取価格106万円程度 |
Gターボ | 新車184万円に対し、買取価格117万円程度 |
平均買取価格 | 106万円程度・平均残価率62%程度 |
タフトの残価率・リセールバリューは?
不人気とまでは言わないものの、大ヒットモデルでもなく、納期も2~6か月程度と極端に長くはなく、中古車市場でも少々ダブつき気味のタフトは、リセールバリューがさほど高いとは言えません。
最新のハイブリッドやEVと比べ、マイルドハイブリッドですらない純エンジン車のため、走行用バッテリーの経年劣化で低年式車の急激な査定下落を招く可能性はないといえますが、短期間で高く売り抜け、次々と新モデルへ乗り換えるのに向いたモデルではなさそうです。
案外、新車から高年式中古車の時期は、さほど高評価でなくとも、それゆえに後からカスタムベースとして人気が出て値落ちしにくい例はいくつもあるので、タフトのリセールバリューに期待するとすれば、多少長く乗ってからカスタムベース需要が高まってから、となるかもしれません。
新型コロナウイルス以降の不穏な世界情勢はまだしばらく続き、影響となるとさらに長期化しそうなだけに、わずか数年で新車から半分以下の価値へ落ちる可能性が低いのも、救いではないでしょうか。