買取相場 | 2023.02.27
女性に根強い人気のアルトラパン、売るときはいくらになる?
Posted by 菅野 直人
いまや、スペース効率に優れた軽スーパーハイトワゴンが本流の軽自動車ですが、昔ながらのコンパクトな軽セダン人気もまだまだ健在。 ウサギのエンブレムと徹底的に角を落とした柔らかいデザイン、多彩なボディカラーなど“ゆるさ”で勝負する「スズキ・アルトラパン」もそんな軽セダン派生モデルの1台ですが、買取市場における評価はいかに?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
アルトラパンの中古市場での人気について
スズキ・ワゴンR(初代1993年発売)に始まる軽トールワゴン、ダイハツ・タント(同2003年発売)に始まる軽スーパーハイトワゴンが現在の軽自動車のトレンド。そのなか、販売台数の面では昔ながらの小ぶりな軽セダンもなかなか健闘しています。
2002年に初代モデルが発売された「スズキ・アルトラパン」もそんな軽セダンのひとつ。軽自動車を代表する歴史的なモデル「アルト」をベースに、ハコ型ボディベースながらも丸みを帯びたキュートなフォルム、軽快感が表現されたウサギのエンブレム、心地よくくつろげる車内空間などが、ターゲットとする女性から大いに愛されて見事スマッシュヒットへとつながりました。
初代こそ「ラパンSS」などターボエンジンを搭載した走りのモデルもありましたが、2015年6月に発売された現行モデル(3代目)は、元々のコンセプトである“可愛らしさ”が徹底的に磨かれるなど、昨今のミニバンやSUVなどに採用されている押し出しの強いアグレッシブな造形とは一線を画する、キュートな内外装デザインこそが最大の魅力です。
20~30代の女性向け個人用軽自動車として人気のあるモデルで、中古車市場でも豊富なタマ数が流通している点、だからこそ自分好みのボディカラーが選べる点、なにより個性的なデザインが楽しめる1台として、車格の割には比較的高価で販売されている模様。よくよく考えれば、付加価値が高い“趣味車”なのかもしれません。
買取査定額が期待できるアルトラパンのグレード
アルトラパンのグレード構成は、現行(3代目)では安い方から順番に「G」、「L」、「S」、「X」となっており、装備が充実するほど高価なグレードになるほか、それぞれのグレードへ「セットオプション装着車」や「オーディオレス車」、駐車など細かい運転が苦手な人にも優しい「全方位モニター用カメラパッケージ装着車」などが追加でラインナップされている時期もあります。
装備面での差のほかは、グレード間で性能的な差異は少ないため、純粋に装備が充実していて程度がよく、走行距離が少なければ高価買取、と考えてよそうです。
買取査定額が期待できるアルトラパンのカラー
もともと、女性メインの個人向け移動用軽乗用車というコンセプトのもと販売されていることもあり、どのボディカラーが高価買取になる、という色はありません。ボディカラーのラインアップが多彩な車両のため、高価買取上位もピンクやベージュ、アイボリーなど個性的な色合いが多く、むしろ白系や黒系の色は少ない印象です。
1年落ちアルトラパン(2022年式)の目安査定額
1年落ち2022年式アルトラパンは、2015年6月にモデルチェンジした現行型(3代目)で、ベースのアルトが2021年12月にモデルチェンジ済なことから、既にモデル末期と考えられていましたが、2022年6月には一部改良が行われました。
運転支援装備がレーザーレーダー+単眼カメラ式の「デュアルセンサーブレーキサポート」から、ステレオカメラ式の「デュアルカメラブレーキサポート」へ更新され、インパネにType-A/Type-CのUSB電源ソケットを装備したほか、「L」と「X」はLEDヘッドランプになるなど、安全面や使い勝手を中心とした変更となっています。
また、昔のスズキ フロンテ(2代目LC10型)をモチーフとしたレトロバージョン、「アルトラパンLC」が加わりました。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年2月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
※アルトラパンLCは買取実績なし
G:新車141万円/買取実績なし
L:新車150万円/買取実績なし
X:新車167万円/買取価格101万円程度
モード:新車162万円/買取価格103万円程度
平均買取価格:約102万円
平均残価率:約62%
3年落ちアルトラパン(2020年式)の目安査定額
3年落ち2020年式アルトラパンは、2015年6月にモデルチェンジした現行型(3代目)で、2019年6月の改良により、レーザーレーダー+単眼カメラ式の「デュアルセンサーブレーキサポート」や、「後退時ブレーキサポート」を全車標準装備としたモデル。
2020年10月には、電動格納式リモコンドアミラーを「L」と「モード」へ、ステアリングオーディオスイッチを「L」と「X」へ、フルオートエアコンを「L」へ、時間調整付フロント間欠ワイパーを「L」、「X」、「モード」へ追加するなど、装備を充実する一部改良を受けました。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年2月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
G:新車135万円/買取実績なし
L:新車145万円/買取価格75万円程度
S:新車152万円/買取価格79万円程度
X:新車164万円/買取価格85万円程度
モード:新車161万円/買取価格90万円程度
平均買取価格:約82万円
平均残価率:約53%
6年落ちアルトラパン(2017年式)の目安査定額
6年落ち2017年式アルトラパンは、2015年6月に販売された現行モデル(3代目)で、2016年12月に特別仕様車「Fリミテッド」が、そして2017年に入ってから何度かボディカラーが追加されたほか、「全方位モニター用カメラパッケージ装着車」が全グレード設定となり、2017年12月には屋根やピラーが白い2トーンルーフ特別仕様車「Sセレクション」が追加されています。オプション込みでおおよその新車価格と2023年2月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
●G(5AT・FF/5AT・4WD):新車125万円/買取価格51万円程度
●L(CVT・FF/CVT・4WD):新車138万円/買取価格53万円程度
●S(CVT・FF/CVT・4WD):新車147万円/買取価格73万円程度
●X(CVT・FF/CVT・4WD):新車158万円/買取実績なし
●Fリミテッド(CVT・FF/CVT・4WD):新車161万円/買取実績なし
●L オーディオレス仕様車(CVT・FF/CVT・4WD):新車137万円/買取価格47万円程度
●S オーディオレス仕様車(CVT・FF/CVT・4WD):新車146万円/買取実績なし
●X オーディオレス仕様車(CVT・FF/CVT・4WD):新車157万円/買取価格71万円程度
●Fリミテッド オーディオレス仕様車(CVT・FF/CVT・4WD):新車160万円/買取実績なし
●L 全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車151万円/買取価格51万円程度
●S 全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車160万円/買取価格60万円程度
●X 全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車172万円/買取価格65万円程度
Fリミテッド メモリーナビゲーション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車174万円/買取価格62万円程度
●L 全方位モニター用カメラパッケージ装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車142万円/買取価格43万円程度
●S 全方位モニター用カメラパッケージ装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車151万円/買取価格53万円程度
●X 全方位モニター用カメラパッケージ装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車163万円/買取価格58万円程度
●Fリミテッド 全方位モニター用カメラパッケージ装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車164万円/買取価格58万円程度
●Sセレクション(CVT・FF/CVT・4WD):新車152万円/買取実績なし
9年落ちアルトラパン(2014年式)の目安査定額
9年落ち2014年式アルトラパンは先代(2代目)末期で、2013年6月に4WD・CVT(無段変速機)車にもアイドリングストップ機能が搭載されるなど、燃費性能とエコ対策を向上。フロントドアの窓ガラスへ「プレミアムUV&IRカットガラス」を軽自動車として初採用するなど、改良が行われたモデルでした。オプション込みでおおよその新車価格と2023年2月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
●G(4AT・FF/CVT・FF/4AT・4WD/CVT・4WD):新車130万円/買取価格24万円程度
●Gセットオプション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車141万円/買取価格35万円程度
●XL オーディオレス仕様車(CVT・FF/CVT・4WD):新車149万円/買取実績なし
●XL(CVT・FF/CVT・4WD):新車150万円/買取価格35万円程度
●XLスマートフォン連携ナビゲーション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車157万円/買取価格44万円程度
●TL(CVT・FF/CVT・4WD):新車164万円/買取価格30万円程度
11年落ちアルトラパン(2012年式)の目安査定額
11年落ち2012年式アルトラパンは、先代(2代目・2008年11月発売)モデルで、2011年11月にアルトラパン発売10周年を記念した特別仕様車「10thアニバーサリーリミテッド」を追加、2012年5月には燃費性能向上、同10月には一部グレードにアイドリングストップ機能を採用。さらには紫外線を約99%カットするプレミアムUVカットガラスの採用など、装備が充実した特別仕様車「Xセレクション」が追加されました。
オプション込みでおおよその新車価格と2023年2月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
●G(CVT・FF/4AT・FF/CVT・4WD):新車126万円/買取価格17万円程度
●リミテッド(CVT・FF/CVT・4WD):新車135万円/買取実績なし
●X(CVT・FF/CVT・4WD):新車141万円/買取価格29万円程度
●Xセレクション(CVT・FF/CVT・4WD):新車144万円/買取価格21万円程度
●10thアニバーサリーリミテッド(CVT・FF/CVT・4WD):新車142万円/買取価格30万円程度
●T(CVT・FF/CVT・4WD):新車158万円/買取価格33万円程度
●T Lパッケージ(CVT・FF/CVT・4WD):新車166万円/買取価格24万円程度
事故車・修復歴ありのアルトラパンの場合は?
アルトラパンの事故車買取は、6年落ちでエンジンは無事、エアバッグも開かない程度のダメージなら27万円、1年落ちでフロントが大破しエアバッグ展開、エンジンも使用不可というダメージでは5万円で部品取りに、という実績があります。部品取りのケースはともかく、ちょっとした事故でも、よくて通常相場の4~5割程度になると考えましょう。
アルトラパンの残価率・リセールバリューは?
女性を中心に根強い需要があるとはいえ、逆に女性向けを意識しすぎてユーザー層が限られるためか、アルトラパンのリセールバリューはやや控えめです。6年落ち2017年式では平均残価率30~45%(全グレード平均38%)、平均買取価格43~71万円(同57万円)と、よほど走行距離が少なく程度のよいものでもなければ、まだ新しくとも残価率はかなり下がります。
ただし、9年落ち2014年式では平均残価率18~28%(全グレード平均23%)、平均買取価格24~44万円(同、34万円)と、やや下げ止まり傾向にあり、11年落ち2012年式でも平均残価率13~21%(全グレード平均17%)、平均買取価格17~33万円(同、25万円)と、残価率は下がるものの、部品取りにしかならないような大きな値崩れはない印象です。
新車同然かそれに近いコンディションなら、新しくとも多少古くともそれなりの価格がつくため、アルトラパンの高価買取を狙うのであれば、新車時の可愛らしさをどれだけ維持しているか、毎日通勤に使う実用車などとして使い倒していないか、の2点が大きなポイントとなるかもしれません。
基本的には女性を主なターゲットに日常の足として作られた車なので、よほど事情があって新車から短期間で手放す必要がありそうな場合でもないかぎり、アルトラパンはリセールバリューに期待するべき車ではなさそうです。気に入って購入したのであれば、愛情をかけて最後まで可愛がってあげてよいのではないでしょうか。