カスタム・アフターパーツ | 2021.01.15

レース業界の常識、シーケンシャルトランスミッションはどこが違う⁈憧れのシフトチェンジはスポーツカーの特権

Posted by KAKO MIRAI

レーシングドライバーの車載カメラに映し出される、シーケンシャルトランスミッションの華麗なるシフトチェンジ。レースカーに乗りたいと思っている人たちの憧れです。レース専用ではなくとも、搭載するには少し勇気が必要なものではないでしょうか。そんなシーケンシャルトランスミッションのあれこれをご紹介していきましょう。

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シンクロメッシュのHパターン

まず通常のマニュアル車に搭載されているトランスミッションですが、Hパターンといわれるゲートに合わせてギアチェンジを行います。Hの文字通りに1速の下側に2速、1速の右に3速、2速の右側に4速が配置された形です。

このため、1速から3速や3速から5速というギアを飛ばす手法を用いることがあります。例えば高速道路の合流で急加速する際など、速度がギアに対応している場合には問題なく使用するテクニックです。

ここで注意が必要なギア飛ばしがあることをお伝えしておきます。シフタダウンで例えば全開加速でシフトアップしようと3速から4速にするはずが、誤って2速にシフタダウンしてしまうと、エンジンが過回転を起こすことがあるのです。

車によってはエンジンブローやクラッチの破損、場合によってはタイヤがロックして制御不能になることも考えられます。重大な事故につながることもあるため、注意が必要となるでしょう。

MT車のトランスミッションは、歯車による変速を行っており、エンジンの回転数を走行状況に応じた回転数とトルクに変える働きをしています。また「シンクロメッシュ」と呼ばれる機構を持ち、ギアチェンジでかみ合う2つのギアの周速度を同じスピードにすることで円滑なかみ合わせにしているのです。

ギアチェンジでクラッチが切れておらず「ガリガリ」と異音を鳴らすギア鳴りに対して、斜めに切られたギアの歯で修正しているメカニズムのことをいいます。今日の国産車に採用されているほとんどがシンクロメッシュです。

ドグミッション

Dong liu / Shutterstock.com

シーケンシャルトランスミッションがどのようなものかを知るために、ドグミッションとはどのようなものかをお伝えしておきましょう。ドグミッションと呼ばれることが多いですが、正式にはドグクラッチ式トランスミッションといいます。

エンジンとミッションの回転数が合っていれば、クラッチを切ることなく瞬時にシフトチェンジすることが可能です。シンクロメッシュ機構が搭載されておらず、直接ギアの歯同士をつなげる仕様。

ミッションやエンジンが破損しにくく、確実に動力伝達が行えるという利点があります。欠点としてはギアチェンジ時の音が大きくなることや、変速ショックも大きくなることが挙げられるでしょう。

通常のミッションと比較すると、部品点数が少ないことから、軽量化が可能になります。またハイパワーエンジンにも対応することが可能です。通常のMTと同様のシフトチェンジを行うHパターンドグとシーケンシャルドグの2種類があります。

シーケンシャルトランスミッションとは?

先ほどMTのトランスミッションはHパターンであることをお伝えしてきました。シーケンシャルトランスミッションは、全く異なる形状で、シフトゲートが1速から縦一列に5速まで並んでいます。

そのためシフトを選択する場合にも1速ずつギアを動かさなければなりません。例えば5速で走行していて、信号で停止する場合、通常なら5速からギアを抜いて発進するときには1速を選択することが多いものです。

この時ギアボックスの中では5速→ニュートラル→1速とギアが動きます。一方シーケンシャルトランスミッションは全てのシフトアップ、ダウンを行う際に、1速ずつギアを動かす必要があります。もちろんギア飛ばしはできません。

最近使用されているトランスミッションの流行りは以下になります。

・セミAT…クラッチ操作やシフトチェンジを電子制御の油圧アクチュエーターによって、自動で行うもの。スポーツカーに使用される。

・多段AT…何枚かのギアを自動で変更し、駆動力を伝えるもの。高級車に使用されている。

・CVT…コンティニュアスリー・バリアブルトランスミッションのこと。無段階変速機といわれることもある。ギアを使用していないためロスが少ない。小型車に使用されている。

・DCT…デュアル・クラッチトランスミッションのこと。マニュアルトランスミッションの構造を持ち、クラッチ操作と変速操作を自動化したもの。

これらのトランスミッションの中で、「セミAT」や「DCT」はシーケンシャルトランスミッションのひとつです。MTとATのいいところを取り出したようなシステムとなっています。

ちなみにレース車両で使用されるシーケンシャルトランスミッションは、ドグ方式です。シンクロメッシュ機構を持たず、ギアの噛み合いが直接はまり合う方式なので、アクセルを踏んだまま素早いシフト操作を可能にしています。

メリット・デメリット

エンジンが最も効率よく燃焼できる回転域を指すトルクバンドや、エンジンが最も効率よく力を発揮できる回転域を指すパワーバンドを外さないギアチェンジができます。そのためエンジンがレブリミットを超えて壊れることやミッションが損傷するということがありません。

またレースごとでセッティングを行う際に、ギア比といわれるギアレシオを変更することがあります。その場合に簡単にアクセスすることができることも利点です。そして最大のメリットは、ストロークの短さと剛性感で得られる爽快感に他なりません。

デメリットには、一般道では信号の停止やエンジンブレーキを使用するといった場面が多く、順番にシフトダウンすることが面倒といえるでしょう。またレースでは、オイルの容量が少なく熱ダレも早いようです。

つまりメンテナンスは大変手がかかります。ギアにあるドグが減ってしまい、ギヤ自体を消耗品とみる必要があるでしょう。シーケンシャルミッションは市販されていますが、150~300万と高額でなかなか手が出せません。また車種限定でFFに対応するものは少ないようです。

過去に搭載された市販車はある?

Johnnie Rik / Shutterstock.com

・BMW SMG

1997年、世界で最初にシーケンシャル「Mボックス(SMG)」を搭載したのは『M3』でした。従来のトランスミッションをベースにして、ギアチェンジでクラッチが電子式油圧制御で作動するシステムです。

しかしシフトダウンで回転数を合わせるブリッピング機構がないなど、まだまだ発展途上のものでした。その後「SMGⅡ」では走行状態に合わせ細やかなシフトチェンジを行える6種類のシフトプログラムが搭載されるほかパドルシフトも追加されました。

・アルファロメオ セレスピード

『アルファロメオ』のATモード付シーケンシャルトランスミッションのことを、「セレスピード」といいます。1997年に発表された「156」に採用されました。電子制御式油圧作動クラッチを装備。『フェラーリ』の『F1』で使用されたギアシステムを元にしたセミオートマです。

巷で話題になった「セレスピード問題」という、壊れやすいという問題があります。欠陥車ではなく、壊れる車もあるけれど、壊れない車もあるという少々厄介な問題でした。『アルファロメオ』らしいといえばそれまでですが、乗り味は個性的。面白みは人それぞれではないでしょうか。

・トヨタ SMT

国内で最初となるのは、2000年に『LuK社』と共同開発した「SMT」です。『MR-S』に搭載されたのはSequential Manual Transmissionの頭文字をとったもの。油圧アクチュエーターがクラッチ操作を行っています。

全開加速の際には素早いシフトアップを実現し、シフトダウンでも見事にブリッピングを行います。回転数によっては、ギア飛ばしも可能なほどの高い走行性能を持った一台といえるでしょう。

有名アフターパーツメーカー

https://www.osgiken.co.jp

・OS技研

エンジンやミッションクラッチ、LSDなどを取り扱っています。サーキットからストリート、旧車から現行車までさまざまなパーツをランナップ。開発から設計まで自社で行い、多くのユーザーから信頼を得ています。

2018年に7速シーケンシャルミッションの「FR-7」を開発。限定で10基が発売されましたが、即座に完売。そして2020年には5速ミッション「FR-5」を開発しました。高出力化が求められるドリフト競技をはじめドラッグレースなどで威力を発揮するのではないでしょうか。

搭載可能車種:スカイラインGT-R(FR 6速)

・イケヤフォーミュラー

金属加工を軸とした製品開発から製造、販売までを行っています。車の持つ本質は「操る楽しさ」です。モータースポーツをはじめとするさまざまなフィールドで特許技術の開発に日夜取り組んでいます。

2017年には『第45回東京モーターショー』に「IF-02RDS」を出展。2Lの直4エンジンは『ホンダ・インテグラ』に搭載されていた「K20型」のF1ライクな一台です。将来的には自社開発したV10気筒エンジンを搭載しています。

さらにクラッチシステムには、日本をはじめとする各国で特許を取得している「シングルクラッチ・シームレス・ドグミッション」の『IST』を投入。『イケヤフォーミュラー』の意気込みが感じられました。

市場に流通している多くのドグミッションは、専用のケースに収められていますが、初期購入価格の高騰やオーバーホールの難しさがあります。そこで純正のミッションケースを使用し、強度や耐久性、メンテナンスを確保することに成功。

『イケヤフォーミュラー』の高い技術力だから成しえたといえるでしょう。

搭載可能車種:ロータス・エリーゼ

ロータス・エキシージ

日産・S14シルビア

日産・スカイライン R33、R34(FR 5速)

まとめ

シーケンシャルトランスミッションを一般の車に搭載するには、少し難点が多いものかもしれません。だからこそレースカーへの憧れは強くなるともいえます。トランスミッションは構造的に難しい部分もありますが、新たなものが誕生する可能性も秘めているのではないでしょうか。これからどんな走りを楽しむことができるか、期待が高まります。

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