引用:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/leaf/specifications/nismo.html

買取相場 | 2023.07.25

EVの立役者、日産・リーフは売るといくらくらいになるのか?ガソリン車と違うEV特有の事情とは?

Posted by 菅野 直人

2010年に発売後、コンパクトカークラスで自動車としても十分な使い勝手が与えられつつ、高望みさえしなければ実用性ある航続距離を保つことで、順調に販売を重ねてきたEV(電気自動車)、それが「日産・リーフ」。 2017年には国産量販EVとして唯一のモデルチェンジを果たして大きく性能が向上し、2018年度(2018年4月~2019年3月)の登録車販売台数でも35位(22,318台)に入るなど、日本国内にEVを定着させた立役者でもあります。しかし、買取市場ではEV特有の事情があるようです。

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以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

リーフの中古市場での人気について

2010年12月に初代モデルが発売された純然たるEV(電気自動車)リーフは、発売当初カタログスペックで満充電200km、実用上も100kmは走行できる航続距離が与えられて、市販EVでようやく街乗りや短距離の高速道路移動ならこなせるレベルに到達。都市部を中心として頻繁に見かけることができる初の量販EVになりました。

その後もモーターやバッテリーの改良による高効率化、軽量コンパクト化、バッテリー容量拡大による航続距離増加を経て、2019年1月に2代目リーフへ追加された「e+(イープラス)」ではついにカタログ航続距離がJC08モードで570km、WLTCモードでも458kmを達成しています。

その一方、第2次世界大戦直後の一時期をのぞけば日本で盛んになったことがないのがEVという新ジャンル。それだけに、一般的なユーザーにはまだ未知数であり、かつ過渡期ゆえの性能不足、なにより日進月歩で同モデルでも世代交代が早く旧式化しやすい、最後に充電ステーションなどインフラ整備不足といった問題も重なって、中古車市場での人気は決して高いとはいえず、買取査定も厳しいのが実情です。

買取査定額が期待できるリーフのグレード

通常の自動車とは異なり、多少の程度の差や走行距離よりも実際に満充電で何km走れるかが重要であるリーフにとって、グレード間の装備格差は買取価格へ大きな影響を与えません。もちろん、単純に装備がよければ買取価格に反映されますが、それは装備が評価されているだけであり、車両本体の評価はどのグレードでも変わらないと考えた方がよさそうです。

買取査定額が期待できるリーフのカラー

ボディカラーもリーフの買取査定にはあまり影響を与えていないようで、白や黒、シルバーといった、冠婚葬祭をはじめとする日本的フォーマルな場で通用する定番色は一応高価買取上位にきているものの、それ以外のボディカラーの査定額が極端に落ちるというわけでもありません。要するに、フォーマルな場で使うにはまだ性能や信頼性が不足している段階にあるといえるようです。

1年落ちリーフ(2022年式)の目安査定額

1年落ち2022年式リーフは、日産が2010年から販売している小型5ドアハッチバック型のBEV(航続距離延長用の補助発電エンジンやハイブリッドシステムを持たない、純電気自動車)で、2017年10月にモデルチェンジした2代目。

単に電気自動車というだけでなく、次世代自動車として常に最新装備を整えるようマイナーチェンジや一部改良を続けており、2022年式は2021年5月の改良で、プラズマクラスター技術搭載フルオートエアコンや、花粉・におい・アレルゲンタイプタイプの高性能フィルターを装備し、シートやステアリングも抗菌仕様となったほか、新グレードとして、「X Vセレクション」と「e+X」をベースに、内外装の質感や装備を充実した「アーバンクロム」を設定しています。

2022年中にも、4月には一部グレードでの内外装デザイン変更や、ボディカラーを変更、同12月には物価上昇に伴い、大幅に値上げされました。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年7月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。

S:新車366万円/買取実績なし
X:新車426万円/買取実績なし
X Vセレクション:新車452万円/買取価格121万円程度
オーテック:新車462万円/買取実績なし
アーバンクロム:新車453万円/買取実績なし
G:新車466万円/買取価格201万円程度
NISMO:新車481万円/買取実績なし
e + X:新車510万円/買取実績なし
e + オーテック:新車546万円/買取実績なし
e + アーバンクロム:新車518万円/買取実績なし
e + G:新車573万円/買取実績なし

平均買取価格:約161万円
平均残価率:約35%

※ただし、EV(電気自動車)のリーフは国や自治体の補助金、エコカー減税による多額の優遇があり、実際の新車購入価格は大幅に下がる事に注意。

2年落ちリーフ(2021年式)の目安査定額

2年落ち2021年式リーフは、2020年に「オーテック」へシート素材を本革へ変更するなどの「プレミアムパーソナライゼーションプログラム】設定、「NISMO」へのクイックステアリング採用や全般的なトータルチューニング実施を経て、2021年4月にも一部デザインや装備、ボディカラーの変更が行われたモデルです。

もとより充電インフラなど使用するための環境が欠かせず、利用できるユーザーが限定されるBEV(バッテリーのみで走る電気自動車)のためか、2020年4月当時から現在でもリセールバリューへ特記するほどの大幅な変化は全く見られず、今後もハイブリッド車やPHEVほどの高騰は考えにくいと思われます。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年7月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。

(走行用バッテリー40kWh仕様)

S 新車366万円/買取実績なし
X 新車421万円/買取実績なし
X Vセレクション 新車447万円/買取価格189万円程度
G 新車461万円/買取実績なし
アーバンクロム 新車453万円/買取実績なし
オーテック 新車451万円/買取実績なし
NISMO 新車473万円/買取実績なし
リーフ40kWh車・平均買取価格 約189万円
リーフ40kWh車・平均残価率 約42%

(走行用バッテリー62kWh仕様)

e+ X 新車486万円/買取実績なし
e+ X アーバンクロム 新車518万円/買取実績なし
e+ G 新車550万円/買取価格240万円程度
e+ オーテック 新車516万円/買取実績なし
リーフ62kWh車・平均買取価格 約240万円
リーフ62kWh車・平均残価率 約44%

3年落ちリーフ(2020年式)の目安査定額

3年落ち2020年式リーフは、日産が2018年から販売している小型5ドアハッチバック型のBEV(航続距離延長用の補助発電エンジンやハイブリッドシステムを持たない、純電気自動車)で、2017年10月にモデルチェンジした2代目。

2020年式は、2019年1月に「踏み間違い衝突防止アシスト」や「LEDヘッドランプ」など最新装備を施す改良を受けるとともに、40kWhから60kWhへとバッテリー容量を拡大、航続距離増加と動力性能向上が図られた「リーフe+(イープラス)」シリーズを追加したモデル。

2019年6月にはエアロバージョンの「オーテック」「e+オーテック」、同7月には標準グレード「X」の装備充実版「X Vセレクション」を特別仕様車として追加(2020年2月にカタログモデル化)と、グレードも充実。

2020年2月には、運転支援システム「プロパイロット」および駐車支援システム「プロパイロット パーキング」など運転支援系の機能充実が図られたほか、廉価グレード「S」を除く全グレードへ、地デジ内蔵9インチディスプレイのEV専用NissanConnectナビゲーションシステムが標準装備、内外装やボディカラーの変更も伴うマイナーチェンジが行われました。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年7月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。

S:新車365万円/買取価格116万円程度
X:新車417万円/買取価格106万円程度
X Vセレクション:新車442万円/買取価格128万円程度
オーテック:新車445万円/買取実績なし
G:新車457万円/買取価格131万円程度
NISMO:新車462万円/買取実績なし
e + X:新車479万円/買取価格155万円程度
e + オーテック:新車506万円/買取価格215万円程度
e + G:新車543万円/買取価格198万円程度

平均買取価格:約150万円
平均残価率:約32%

※ただし、EV(電気自動車)のリーフは国や自治体の補助金、エコカー減税による多額の優遇があり、実際の新車購入価格は大幅に下がる事に注意。

4年落ちリーフ(2019年式)の目安査定額

4年落ち2019年式リーフは、2017年10月から販売されている現行モデル(2代目)で、2019年1月にバッテリー容量を拡大してJC08モード航続距離最大400kmに達した「e+(イープラス)」をXおよびGグレードに設定しています。

さらに2019年6月には、前年に追加されていたNISMOモデルに続き、内外装がスポーティな「オーテック」および「オーテックe+」を追加、同7月には装備を充実した「X Vセレクション」が追加されています。オプション込みでのおおよその新車価格と2023年7月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。

S 新車355万円/買取価格164万円程度
X 新車400万円/買取価格156万円程度
X Vセレクション 新車430万円/買取実績なし
G 新車442万円/買取価格174万円程度
ニスモ 新車448万円/買取実績なし
オーテック 新車436万円/買取実績なし
e+X 新車462万円/買取価格182万円程度
e+G 新車525万円/買取価格199万円程度
e+オーテック 新車492万円/買取実績なし
平均買取価格 175万円程度
平均残価率 約40%

7年落ちリーフ(2016年式)の目安査定額

7年落ち2016年式リーフは、2017年10月まで販売されていた先代(初代)モデルで、2015年12月に2度目のマイナーチェンジで従来の24kwhバッテリー(JC08モード航続距離228km)に加えて30kwhバッテリー搭載車(同280km)を各グレードへ追加し、スポーティなエクステリアで各グレードへ設定された「エアロスタイル」や、2016年10月に発売された初代最終特別仕様車「サンクスエディション」ともども、多彩なラインナップとなりました。

オプション込みでのおおよその新車価格と2023年7月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。

S(24kwh) 新車308万円/買取実績なし
S エアロスタイル(24kwh) 新車342万円/買取実績なし
S(30kwh) 新車352万円/買取価格46万円程度
S エアロスタイル(30kwh) 新車385万円/買取実績なし
X(24kwh) 新車358万円/買取価格58万円程度
X エアロスタイル(24kwh) 新車394万円/買取実績なし
X(30kwh) 新車402万円/買取価格59万円程度
Xサンクスエディション(30kwh) 新車409万円/買取価格68万円程度
X エアロスタイル(30kwh) 新車437万円/買取価格35万円程度
X エアロスタイルサンクスエディション(30kwh) 新車442万円/買取実績なし
G(24kwh) 新車399万円/買取価格78万円程度
G エアロスタイル(24kwh) 新車429万円/買取実績なし
G(30kwh) 新車442万円/買取価格80万円程度
Gサンクスエディション(30kwh) 新車454万円/買取実績なし
G エアロスタイル(30kwh) 新車472万円/買取実績なし
G エアロスタイルサンクスエディション(30kwh) 新車502万円/買取実績なし
平均買取価格 60万円程度
平均残価率 約15%

9年落ちリーフ(2014年式)の目安査定額

9年落ち2014年式リーフは、先代(初代リーフ)の2012年11月から2015年12月までの中期型にあたる車で、初期型に比べJC08モード燃費が200kmから228kmへと向上したほか、2014年1月にはスポーティなエアロパーツを装着した「エアロスタイル」がS/X/G全グレードへ設定されました。

その他、2014年5月には、日産80周年を記念した特別仕様車「X 80thスペシャルカラーリミテッド」が発売されています。オプション込みでのおおよその新車価格と2023年7月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。

S 新車326万円/買取価格27万円程度
Sエアロスタイル 新車360万円/買取実績なし
X 新車372万円/買取価格31万円程度
X 80thスペシャルカラーリミテッド 新車381万円/買取価格27万円程度
Xエアロスタイル 新車405万円/買取価格44万円程度
G 新車414万円/買取価格29万円程度
Gエアロスタイル 新車441万円/買取価格27万円程度
平均買取価格 31万円程度
平均残価率 約8%

リーフを高く売るためのポイント

傷や汚れ、匂いといった普通の車と同じ要素は当然ですが、リーフは何と言ってもEV(電気自動車)であり、ハイブリッド車ともまた違って走行用バッテリーが劣化してしまえばいかに充電してもロクに走れなくなり、バッテリー交換しない限り自動車としてほとんど価値がなくなってしまいます。

しかもバッテリーが劣化して「セル欠け」と呼ばれる容量減少が起きるのは利用環境によって大きく異なる上に、あまりに斬新かつ先進的な車ゆえかメーカー側でもノウハウが十分ではないようで、バッテリーの劣化を極力防ぐ方法もメーカー側からのオススメと、実際に利用しているユーザーの言い分が全く反している場合もしばしばあります。

大きく分ければメーカー側は「なるべくバッテリーを使い切ってから時間をかけて通常充電し、急速充電による継ぎ足しは極力控える」、ユーザー側は「あまりバッテリーが減らないうち、せめて40%以上で通常充電または急速充電を行う。充電回数と劣化に関連性はない」ということで、真っ向から対立しています。

どちらの側も実績不足で必ず片方が正しいとも言い切れないため、ここではどちらの方法が良いというわけではなく、「自ら正しいと思う方法を調べ、とにかくバッテリー劣化を最小限に防ぐことが、高価買取のポイント」とだけ述べさせてください。

なお、数少ない共通点として「走行用バッテリーは熱でセル欠けしやすい」というものがあり、夏場の直射日光が当たる場所で青空駐車したり、真夏に長距離使用は避けた方が無難でしょう。

事故車・修復歴ありのリーフの場合は?

リーフの事故車買取では、2011年式モデルでエアバッグが展開するほどのダメージを受けながら21万円で買い取られ、210万円もの修理代をかけ中古車市場へ復帰した事例があります。ただしこれは2016年3月にあった話で、現在5年落ちでも200万円せず中古車が買えるリーフではこのような修理代をかける必要がありません。

リチウムイオンバッテリーの経年劣化が知られるようになった現在、5年落ちで事故車などバッテリーリサイクルや内外装部品取りに回されるだけだとしても、不思議はないでしょう。

リーフの残価率・リセールバリューは?

未来的な環境対策車として新車ではもてはやされているリーフですが、こと中古車となると、リチウムイオンバッテリーは充電を繰り返すうち、経年劣化でどんどん実際の容量が少なくなる、という問題が広く知られるようになりました。

劣化をある程度防ぐには小刻みな充電を繰り返し、ほぼ放電した状態から長時間をかけての満充電をあまり行わないことですが、バッテリー容量の少ない初期型ほどすこし走っただけでかなり放電してしまうため、初期型などは中古車市場でも捨て値に近い価格(新車価格の1~2割程度)で売られているのが実情です。

それが知られるようになってから買取市場でも査定額は低迷しており、1年落ちですでに平均残価率41~45%(全グレード平均43%)、平均買取価格171~181万円(同175万円)でしかありません。

これが旧型の8年落ち2015年式ともなると平均残価率10~17%(全グレード平均14%)、平均買取価格43~69万円(同53万円)と値落ちが激しく、10年落ち2013年式では平均残価率7~8%(全グレード平均7%)、平均買取価格26~35万円(同30万円)と、購入時に国や自治体から出る補助金を加味しても旨味は少ないといえましょう。

技術の進歩で自動車としての寿命が来る前に著しく旧式化してしまう車種でもあり、リセールバリューを気にするのであれば可能な限り早期に買い換えるか、購入するよりもリース契約やいわゆる残クレを活用した方がベターかも知れません。

リーフを売るのにベストなタイミングは?

現行リーフの1年落ちでも平均残価率40%、先代の4年落ちでは15%、6年落ちともなると8%へ下がっているのを見てもわかる通り、リーフの平均残価率は通常の車より4年~5年早く落ちていき、たとえば1年落ちでも5年~6年落ち程度の価値しか認められない車、という厳しい状況はまず認めねばなりません。

これはニッケル水素かリチウムイオンかを問わず、走行用バッテリーを持つ車ならハイブリッド車やPHEV(プラグインハイブリッド車)でも同じような傾向がありますが、エンジンを搭載せず走行用エネルギーの全てをバッテリーと回生エネルギーに依存するEVでは、より顕著な形で表れています。

うまく走行用バッテリーを劣化させずに乗り続ける方法を見つけたユーザーならともかく、日々セル欠けによるバッテリー劣化と、そのたびに買取査定が下がるのがわかってガッカリしてしまうよりは、短いスパンで次の車へ乗り換えるのがリーフのようなEVの正しい乗り方でしょう。

もちろん新時代を担う車の正しい扱い方を早くマスターするべく粘るユーザーであれば別ですが、そこまで気を使わないのであれば、購入した瞬間から半年~1年ほど楽しんで売却し、次の車へのステップとするのを高価買取という観点からはオススメします。

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