買取相場 | 2019.11.05
軽トールワゴン人気を牽引したワゴンR、現在の買取市場での人気は?
Posted by 菅野 直人
現在の軽自動車ブームは価格や維持費の安さはもちろん、サイズに対するスペース効率や使い勝手のよさが好感をもたれているからこそ。そして、その流れを決定づけたのは1993年に初代モデルがデビューした軽トールワゴン、「スズキ・ワゴンR」でした。 現在ではよりスペース効率の高い軽スーパーハイトワゴンが主流となっていますが、軽自動車界におけるベンチマーク的存在はいまなおワゴンRといっても過言ではないはず。そんな1台の買取市場における評価はいかに!?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ワゴンRの中古市場での人気について
1993年に登場したワゴンRは1990年代中盤以降の軽トールワゴン、2000年代中盤以降の軽スーパーハイトワゴンへの流れを決定づけました。軽自動車以外も含むすべてのワゴン/ミニバンがある程度以上の車高と低床化されたボディをもち、乗員の着座位置は高く見晴らしがよく、しかもスペース効率に優れる、という要素を必須化したエポックメイキングな名車といえるでしょう。
ただし、2019年10月現在で流行の中心はより背が高くスペース効率に優れた軽スーパーハイトワゴンへ移っており、かつて大流行したワゴンRのような軽トールワゴン(軽ハイトワゴン)には、新車市場でも中古車市場でも、以前のような勢いはありません。
軽自動車が軽スーパーハイトワゴン、軽トールワゴン、昔ながらの軽セダンの3ジャンルに大別できる現在、軽トールワゴンは程良い大きさと程良い使い勝手をもつ中間的な役割を担っており、特に「ワゴンR・スティングレー」といった純正カスタム仕様をのぞくレギュラーモデルは、ちょっと広くてファミリーカー用途までは必要のないパーソナルな1台、という立ち位置にとどまります。
2019年度上半期の新車販売台数でも軽自動車7位、中古車市場でも高価格帯の上位は純正カスタムモデルのワゴンRスティングレーが占めており、ワゴンR通常モデルの人気は性能や立ち位置と同様にごく一般的なものといえるでしょう。
買取査定額が期待できるワゴンRのグレード
ワゴンRのグレード構成は主に量販版(現行モデルならFA)、ベーシック版(同ハイブリッドFX)、豪華版(同ハイブリッドFZ)となっており、現行の6代目でも量販版に5速MT車を残して一定層の需要に応えつつも、主力は燃費と環境性能に優れたマイルドハイブリッド車へ移行しています。
「セーフティパッケージ」、あるいはかつて「レーダーブレーキサポート」と呼ばれたような衝突被害軽減ブレーキといったセットオプション搭載グレードも設定されており、当然ながらも買取市場で高く評価されているのは、上級グレードのセットオプション装着車となります。装備がシンプルなモデルは購入時こそ手軽に求めることができますが、買取査定時には堅実な実用車として低い見積り額が提示される傾向にあります。
買取査定額が期待できるワゴンRのカラー
ファミリー需要が少なく、パーソナルな使われ方が多いポジショニングも相まって、日本的な白か黒がダントツの買取上位ということはありません。あえていえばパール(白系)が上位ではありますが、ガンメタやブルーブラックなど暗色系、オレンジやライトブルーなど明色系に関わらず、カラフルなラインアップも買取上位に並んでおり、買取査定において特定のカラーが不利ということはなさそうです。
2年落ちワゴンRの目安査定額
2年落ち2017年式ワゴンRは、2017年2月のモデルチェンジで現行の6代目へ移行しており、年初のわずかな期間販売された先代(5代目)が混在しています。当初はラインアップに欠けていた量販グレード(FA)の5速MT車も2017年8月に追加されました。
オプション込みでおおよその新車価格と2019年10月現在での平均買取相場をみてみましょう。
●先代FX(5MT・FF/CVT・FF/5MT・4WD/CVT・4WD):新車132万円/買取価格37万円程度
●先代FX(レーダーブレーキサポート装着車)(CVT・FF/CVT・4WD):新車139万円/買取実績なし
●先代FX(レーダーブレーキサポート セットオプション装着車)(CVT・FF/CVT・4WD):新車146万円/買取実績なし
●先代FXリミテッド(CVT・FF/CVT・4WD):新車141万円/買取価格38万円程度
●先代FZ(CVT・FF/CVT・4WD):新車157万円/買取実績なし
●FA(5MT・FF/CVT・FF/5MT・4WD/CVT・4WD):新車125万円/買取価格39万円程度
●ハイブリッドFX(CVT・FF/CVT・4WD):新車136万円/買取価格50万円程度
●ハイブリッドFX セーフティパッケージ装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車146万円/買取価格52万円程度
●ハイブリッドFZ(CVT・FF/CVT・4WD):新車155万円/買取価格58万円程度
ハイブリッドFZ セーフティパッケージ装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車162万円/買取価格67万円程度
5年落ちワゴンRの目安査定額
5年落ち2014年式ワゴンRは先代(5代目・2012年9月発売)の頃で、2013年12月に当初欠けていた量販グレード(FX-E)が追加された後、2014年8月により馴染み深いグレード名「FA」へと変更されたほか、最上級モデルとしてマイルドハイブリッドシステム「S-エネチャージ」を搭載する「FZ」が追加されました。
オプション込みでおおよその新車価格と2019年10月現在での平均買取相場は以下の通り。
●FX-E(CVT・FF/CVT・4WD):新車124万円/買取価格25万円程度
●FA(CVT・FF/CVT・4WD):新車125万円/買取価格27万円程度
●FX(5MT・FF/CVT・FF/5MT・4WD/CVT・4WD):新車131万円/買取価格27万円程度
●FX セットオプション装着車(CVT・FF/CVT・4WD):新車136万円/買取価格26万円程度
●FX(レーダーブレーキサポート装着車)(CVT・FF/CVT・4WD):新車139万円/買取価格28万円程度
●FX(レーダーブレーキサポート セットオプション装着車)(CVT・FF/CVT・4WD):新車147万円/買取価格25万円程度
●FXリミテッド(CVT・FF/CVT・4WD):新車146万円/買取価格22万円程度
●FXリミテッド(レーダーブレーキサポート装着車)(CVT・FF/CVT・4WD):新車151万円/買取価格26万円程度
●20周年記念車(CVT・FF/CVT・4WD):新車156万円/買取価格46万円程度
●FZ(CVT・FF/CVT・4WD):新車157万円/買取価格45万円程度
10年落ちワゴンRの目安査定額
10年落ち2009年式はさらにさかのぼって先々代(4代目・2008年9月発売)の初期。前型に比べてプラットフォームの見直しにより前後乗員間距離の拡大など快適性の向上はなされたものの、まだマイルドハイブリッドをはじめとする先進装備はなく、オートマ車にも4速AT車が残っていた時期です。
オプション込みでおおよその新車価格と2019年10月現在での平均買取相場は以下となります。
●FA(5MT・FF/4AT・FF/5MT・4WD/4AT・4WD):新車108万円/買取価格8万円程度
●FX(5MT・FF/4AT・FF/5MT・4WD/4AT・4WD):新車122万円/買取価格9万円程度
●FXリミテッド(4AT・FF/CVT・FF/4AT・4WD/CVT・4WD):新車133万円/買取価格12万円程度
●FXリミテッドII(4AT・FF/CVT・FF/4AT・4WD/CVT・4WD):新車137万円/買取価格10万円程度
●FTリミテッド(CVT・FF/CVT・4WD):新車155万円/買取価格12万円程度
事故車・修復歴ありのワゴンRの場合は?
ワゴンRの事故車買取は、新車から1年足らずでエンジンは無事なもののエアバッグが開くほどのダメージを受けていたケースで42万円と、通常の買取価格の8割程度で買取成立したケースが。しかしながら、損傷部分以外の状態がよく走行距離も少ないなど好条件が重なったためとみえて、実際には平均3万円程度、高くとも7万円程度というケースが多いようです。後述するように通常の買取相場もかなり控えめなため、事故・修復歴ありだと部品取りとして値段がつけば上等だと考えた方がいいでしょう。
ワゴンRの残価率・リセールバリューは?
ワゴンRスティングレーほど趣味性も高くはない堅実な実用車ゆえに、リセールバリューはかなり控えめ。2年落ち2017年式の時点で平均残価率28~41%(全グレード平均34%)、平均買取価格37~67万円(同、49万円)でしかなく、2017年2月以降の現行(6代目)にかぎっても平均残価率36%程度とほとんど向上せず、2年落ちのモデルとしてはかなり低めです。
5年落ち2014年式では平均残価率15~29%(全グレード平均21%)、平均買取価格22~46万円(同、29万円)とさらに値落ちは急激になり、10年落ち2009年式ともなると先々代型ゆえか、平均残価率7~9%(全グレード平均8%)、平均買取価格8~12万円(同、10万円)でしかありません。それも2009年式ではよほど程度良好なら通常の買取価格がつくというもので、そうでなければ3万円以下の部品取りとして値段がつけば、ということになります。
衝突被害軽減ブレーキやマイルドハイブリッドなど先進装備を満載していても軽スーパーハイトワゴンやSUVなど人気のカテゴリーと比べればリセールバリューは期待できないため、よほど短期間で乗り換えるつもりがないかぎりは、実用車として乗り潰すような割り切りがもとめられるかもしれません。