買取相場 | 2020.05.20
”ダントツに売れているミニバン”、ノアのリセールバリューは?
Posted by UruCar
FF(前輪駆動)1BOXタイプの5ナンバーサイズミニバンで、2018年度は日産セレナとトヨタ ヴォクシーに次ぐ販売台数第3位、同じくトヨタの系列違いとなるヴォクシーとエスクァイアを合わせれば“日本でダントツに売れているミニバン3兄弟”の長男、それがトヨタ ノアです。 トヨタカローラ店扱いで一般的なファミリー層向けというポジションが与えられていますが、カスタム版特別仕様車ダブルバイビーの追加やフロントマスクの変更などで迫力が増しているこのモデル、系列整理による車種統合後も主力として残りそうなだけに買取相場は気掛かりなところでしょう。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ノアの中古市場での人気について
2001年、それまで商用車流用のFR(後輪駆動)ベース1BOXミニバンだったタウンエース ノア/ライトエース ノアの後継として誕生した、トヨタカローラ店向けのFFベース1BOXミニバン、それがノア。
代々アグレッシブなフロントマスクやクリアテールを持ち、後にはヴェルファイアの5ナンバーサイズ入門編的なポジションに立つネッツ店向けのヴォクシーとは異なり、ノアはあくまで正統派ファミリー向けミニバンとして王道的な歴史を重ね、2007年と2014年計2回のモデルチェンジを経て2019年8月現在は3代目に移行しています。
5ナンバーサイズに収まる寸法で日本特有の道路事情にマッチしつつ、エンジンをはじめメカニズムスペースを最小限に絞ることが可能なFF化による低床プラットフォームの採用で、十分な車内高と実用性の高い3列目シートを獲得。
3列目の格納方法はライバルのような床下収納ではなく、展開/格納が容易な左右はね上げ式となる利便性はもちろん、3代目からはトヨタ得意のTHSIIシステムを用いたクラス初のフルハイブリッド車設定なども相まって、経済性でも一歩抜きん出た存在となりました。
販売台数はノア単体だと日産セレナや兄弟車ヴォクシーにはかなわないものの、トヨタ店/トヨペット店扱いの兄弟車エスクァイアも含めれば日本でもっとも売れている3兄弟であり、いわばミニバン界の国民車的存在と目されることも。
トヨタの販売力のみならず、快適性や使い勝手、経済性、販売価格を高い次元でかね揃えていることが、市場で支持されている理由といえそうです。
買取査定額が期待できるノアのグレード
ノアのラインアップはエンジンが2代目までは2リッターエンジンのみ、3代目でプリウスと同じ1.8リッターハイブリッドシステムも追加設定されて、基本的にはガソリンエンジンとFFか4WD(全輪駆動)の組み合わせ、あるいはFFハイブリッド車の2種類となります。
これに装備差や外観違いで数種類のグレードに分かれ、さらに7人乗りのみのハイブリッド車やスポーティ仕様を除き、2列目がキャプテンシート仕様7人乗りと、ベンチシート仕様8人乗りが用意されています。
また、現行の3代目では2016年7月から内外装カスタム版特別仕様車となるSi “W×B II”(ダブルバイビー)が設定されているほか、同年4月にはスポーティ版のSi G’s(2017年9月以降はSi GRスポーツ)も追加されました。
買取査定で高額が期待できるのは、2代目から設定された3ナンバー登録となるワイドフェンダー、エアロパーツを装着した純正ドレスアップ仕様のSi(2代目ではSもあり)および、Siベースのカスタム仕様ダブルバイビーおよびG’s(GRスポーツ)。
これらはハイブリッド車も含め、その他グレードとは一線を画した買取価格となっています。
買取査定額が期待できるノアのカラー
ドレスアップ仕様やカスタム仕様が人気とはいえ、基本的には万人向けファミリーミニバンとしてどこにでも乗り付けることができ、かつワル目立ちしない実用性が求められるゆえか、高額査定のボディカラーはホワイトパールクリスタルシャインやブラックといった無難な色が人気です。
もちろん、他のボディカラーでも程度さえ良ければ高価買取の可能性もありますが、買取実績の大多数が白か黒、あるいは銀で占められているという実態もあり、用途が限られる他車体色の場合は買取価格に反映されにくい、という現実だけは頭に置いておく方がよいでしょう。
1年落ちノアの目安査定額
1年落ち2019年式ノアは、2014年1月から販売されている現行モデル(3代目)です。2017年7月のマイナーチェンジで廉価グレードのX Vパッケージを廃止し内外装を大幅に変更、フロントグル大型化やBi-Beam LEDヘッドランプ採用による薄目化で、それまでノア3兄弟の中で比較的控えめだったノアも流行のアグレッシブマスクとなりました。
2019年に入ってからは1月に衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」に昼間歩行者検知機能を追加するなど安全装備を強化し、SiおよびハイブリッドSiに人気の特別仕様車「ダブルバイビーII」を発売しています。オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
X(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車289万円/買取価格137万円程度 |
G(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車319万円/買取実績なし |
Si(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車318万円/買取価格176万円程度 |
Si GRスポーツ(FF7名) | 新車360万円/買取実績なし |
Siダブルバイビー(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車325万円/買取価格204万円程度 |
SiダブルバイビーII(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車330万円/買取価格186万円程度 |
ハイブリッドX(FF7名) | 新車333万円/買取価格153万円程度 |
ハイブリッドG(FF7名) | 新車349万円/買取価格190万円程度 |
ハイブリッドSi(FF7名) | 新車363万円/買取実績なし |
ハイブリッドSi ダブルバイビー(FF7名) | 新車370万円/買取実績なし |
ハイブリッドSi ダブルバイビーII(FF7名) | 新車375万円/買取価格215万円程度 |
平均買取価格 | 180万円程度 |
平均残価率 | 約55% |
3年落ちノアの目安査定額
3年落ち2017年式ノアは、2014年1月もモデルチェンジした現行モデルが2017年7月にマイナーチェンジする境目にあたる車です。
それ以前の前期型は廉価グレードX Vパッケージが存在し、GazooRacing仕様がG’sであったことや、2016年7月に発売された特別仕様車が「ダブルバイビー」なのに対し、後期型では廉価グレードが廃止されG’sは「GRスポーツ」へ、ダブルバイビーは「ダブルバイビーII」へと変わり、内外装も大きく手直しされたアグレッシブデザインとなっています。
オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
X Vパッケージ(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車261万円/買取価格97万円程度 |
X(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車284万円/買取価格123万円程度 |
Xデイライトプラス(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車296万円/買取実績なし |
G(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車313万円/買取価格110万円程度Si(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) |
Si(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車312万円/買取価格168万円程度 |
Si G’s(FF7名) | 新車343万円/買取実績なし |
Si GRスポーツ(FF7名) | 新車359万円/買取実績なし |
Siダブルバイビー(FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車323万円/買取価格158万円程度 |
ハイブリッドX(FF7名) | 新車331万円/買取実績なし |
ハイブリッドXデイライトプラス(FF7名) | 新車338万円/買取実績なし |
ハイブリッドG(FF7名) | 新車344万円/買取価格145万円程度 |
ハイブリッドSi(FF7名) | 新車358万円/買取価格193万円程度 |
ハイブリッドSi ダブルバイビー(FF7名) | 新車367万円/買取価格170万円程度 |
平均買取価格 | 146万円程度 |
平均残価率 | 約45% |
10年落ちノアの目安査定額
10年落ち2010年式ノアは、2007年6月から2014年1月まで販売されていた先代モデル(2代目)で、2010年4月のマイナーチェンジを境にグレード構成はそう変わらないものの、バリエーションは拡充されました。
前期型がリフトアップシート装着車を除き2列シート5人乗り(「YY」グレード)または3列シート8人乗りだったのが、後期型では「X」系のFF車と「S」系「Si」系のFF/4WD車に2列目マルチ回転キャプテンシートの7人乗りが追加され、「G」グレードはFF/4WDともに7人乗りのみとなりました。オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
YY(FF5名/4WD5名) | 新車234万円/買取価格30万円程度 |
X(FF8名/4WD8名 ※2010年4月以降FF7名/FF8名/4WD7名) | 新車238万円/買取価格26万円程度 |
X Lセレクション(FF8名/4WD8名 ※2010年4月以降FF7名/FF8名/4WD7名) | 新車257万円/買取価格28万円程度 |
X スマートエディション(FF8名/4WD8名 ※2010年9月版FF7名/FF8名/4WD7名) | 新車264万円/買取価格24万円程度 |
S(FF8名/4WD8名 ※2010年4月以降FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車266万円/買取価格27万円程度 |
S Gエディション(FF8名/4WD8名) | 新車281万円/買取価格43万円程度 |
S G’s(FF7名/FF8名) | 新車290万円/買取実績なし |
Si(FF8名/4WD8名 ※2010年4月以降FF7名/FF8名/4WD7名/4WD8名) | 新車285万円/買取価格47万円程度 |
Si G’s(FF7名/FF8名) | 新車311万円/買取実績なし |
Si G’sバージョンEDGE(FF7名/FF8名) | 新車345万円/買取実績なし |
G(FF8名/4WD8名 ※2010年4月以降FF7名/4WD7名) | 新車303万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 32万円程度 |
平均残価率 | 約12% |
ノアを高く売るためのポイント
売られたノアが次にどのようなユーザーに渡るか?を考えてみると答えは自ずと出てきますが、1つは若いファミリーの場合。またはもっと若いものの場合、つまり友達などと遊びに出かける、あるいはデートカーに使うユーザー向けの場合です。
このようなユーザーは、少々値が張っても可能な限りキレイで汚れや傷のない、ましてや修復歴のない車を選びますから、日常的にどうしても生じる汚れや傷をシートカバーなどでガードしていて、掃除や洗車も行き届かせることが高く売るためのポイントになるでしょう。
もう1つはカスタムベースに使いたいユーザー向けで、多少の難はあっても比較的安い中古車を選びますが、兄弟車ヴォクシーや日産のセレナほどではないにせよ、ノアもカスタムベースには人気がありますし、人気のエアロパーツなど装着しているか、ダブルバイビー系など純正カスタム車を選んでおけば、ある程度高額買取が見込めるでしょう。
ノアの走行距離による値動きの変化
歴代ノアのうち、2014年1月以降に販売された現行モデルの2020年4月現在における走行距離ごとの買取相場を紹介します。
14万km台 | 62.8万円~77.0万円 |
13万km台 | 47.1万円~81.8万円 |
12万km台 | 61.8万円~94.2万円 |
11万km台 | 72.4万円~90.2万円 |
10万km台 | 56.3万円~88.4万円 |
9万km台 | 57.2万円~124.8万円 |
8万km台 | 57.2万円~131.5万円 |
7万km台 | 74.2万円~122.9万円 |
6万km台 | 77.2万円~177.1万円 |
5万km台 | 77.9万円~188.0万円 |
4万km台 | 77.2万円~188.9万円 |
走行距離で査定に差が出てくるのはおおむね6万km台から7万km台、そして9万km台から10万km台で、7万kmか10万kmに達するとその都度査定は落ちる、くらいに考えておくとよいでしょう。
事故車・修復歴ありのノアの場合は?
ノアの事故車買取実績は、10年落ちで平均7万円程度、9年落ちではエンジン全損でも18万円という事例もありますが、おおむね通常の買取相場の25%程度での買取金額となるようです。
もっとも、10年落ちですと走行距離10万km超など過走行車はグレードにより6~9万円といったように、通常でも一桁台の買取実績があり、ある程度の走行距離を超えたり、程度が良くない場合は事故車と買取相場はあまり変わらないともいえます。
ノアの残価率・リセールバリューは?
新車はもとより中古車市場でも人気車種だけに、ノアは値落ちがしにくい車種のようで、1年落ち程度では残価率が54~70%、3年落ちでも39~54%とかなりリセールバリューが高くなっています。
車種によっては維持費の安い低排気量グレードの方が残価率が高いこともありますが、2リッターガソリンエンジンか1.8リッターハイブリッドしか選択肢のないノアには無縁の話で、廉価グレードよりもドレスアップ系3ナンバーボディのSiの方が、1年落ちで残価率約70%(200~240万円程度)、3年落ちで54%(150~200万円程度)と大健闘しています。
この傾向は2代目の9年落ちでも同様で、他のグレードがほとんど残価率7%程度(10~40万程度)のところ、SおよびSi系のグレードだけは残価率10~15%(6~86万)と、走行距離が少なく程度良好ならば、まだまだ高値買取が期待できます。
兄弟車ヴォクシーに比べれば保守的に見られがちなノアですが、ユーザーが求めているのはその中でもドレスアップ仕様やスポーティ仕様であり、改良を受けるたびノアのフロントマスクがメッキ多様のカスタムルックになっていく理由も納得です。
リセールバリューを期待した購入計画を立てるならば、新車あるいはどの年式の中古車にせよ、S/Si系グレードを選んでおけば間違いないでしょう。
ノアを売るのにベストなタイミングは?
トヨタでは2020年5月よりレクサス店を除く全販売チャネル(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)で全販売車種の取り扱いを開始します(既に東京では開始)。
そのため、これまでカローラ店のみで販売されていたノアが他の販売チャネルで、またカローラ店でも兄弟車のヴォクシー(それまでネッツ店)、エスクァイア(同トヨタ店/トヨペット店)が購入できるようになることから、それぞれの車種の価値に今後大きな影響を与える可能性があり、それぞれの人気によっては中古車の査定にも関わってくるかもしれません。
また、2021年にも登場するといわれる後継車では、ノア/ヴォクシー/エスクァイアが統一されると言われており、その車名はノアになるともヴォクシーになるとも、あるいは別な車名で再出発するとも言われており、まだ定かではない段階です。
仮にノア以外の車名で後継車が登場した場合、現行ノアは単に型落ちというだけでなく、次第に知名度が下がっていく廃止車種の仲間入りということになり、さらに後継車の登場でノアのような機能やパッケージの車がなくなって困る!ということも起こりそうにないため、価値低下リスクを考えた場合は年式、走行距離、程度に関わらず、少しでも高価買取を考えるなら今年から来年春にかけてをリミットとして、売却の段取りを整えることをオススメします。