カスタム・アフターパーツ | 2021.05.11
ストラットタワーバーとは?どのような効果のあるパーツか
Posted by 菅野 直人
自動車のチューニングパーツにも様々な製品がありますが、「ちょっと変えてみたいだけなんだよね」と気軽に手を出すには、十万から数十万もするようなパーツは二の足を踏んでしまいます。そんな時、安ければ1万円程度から売っているものもあり、設定車種が多く、気軽に購入できるのがストラットタワーバーです。一体どのような効果があるのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
路面からの入力を受け止めるストラットタワーは常にバタバタ?
車はタイヤとサスペンションを通じ、路面からの凸凹や、横Gで押し付けられる力などを受け止めていますが、サスペンションである程度その入力をいなし、ゴツゴツ感を防ぐ「減衰力」を発揮するショックアブソーバーや、ショックアブソーバーが急激に縮むのを防ぎ、元の長さに伸びようとするのを助けるスプリングによって、その入力はだいぶ緩和されます。
しかし、全てをサスペンションで受け止めることができるわけではなく、入力される力の大きさや種類によっては、ボディへガツンと突き上げる衝撃や、歪ませようとする力がかかるのも事実です。
したがって、ボディはサスペンション取り付け部から、路面からの均一でない入力を前後左右でバラバラに受け、目で見えないレベルとはいえ、常にグニャグニャとボディが動いているわけです。
それにより、右と左でハンドルを同じように切っても曲がり方が全然違う、細かいカーブが続くようなところで、ハンドルを切ってもうまく曲がらないという事態が実際に起きてきます。
最近の車は電子制御の塊のため、そうした違和感やABS制御を応用したブレーキ調整、またはスロットル調整でなるべくハンドル操作通りに動かせるようになっていますが(そう、実は「ドライバーが車を動かす」のはもう過去の話で、最近はドライバーの操作に応じて車自身が最適な運転をしている車が多いのです)、全てがそのような車ばかりではなく、基本は同じです。
中でも路面からの入力を受けて、一番バタバタするのが「ストラットタワー」と呼ばれる部分で、ショックアブソーバーを下から差し込むようにして固定する部分です。
リアに関しては車内容積を増やすため、ストラットタワーを持たずにボディから横に突き出た棒へ引っ掛けて固定するタイプのショックアブソーバーもありますが、エンジンルームがあるフロントは、そこまでの配慮が無用なため、大抵の車にはフロントだけでもストラットタワーがあります。
このストラットタワーが左右別々にグニャグニャ動いていると、操縦性に大きな影響を及ぼすというわけです。
ストラットタワーの動きを左右で同調させる、ストラットタワーバー
その左右でバラバラに動くストラットタワーをシャフトやバーで繋いでしまい、例えば右のストラットタワーへ上向きの力が加わった場合、左のストラットタワーへもその力を加え、逆に下向きの力を加えることで、バタバタせず安定したロールを発生させるのが、「ストラットタワーバー」です。
いわば左右バラバラに動いていたサスペンションを、ストラットタワーバーで繋ぐことにより、「左右一体のサスペンションパーツ」として動かすもので、高速コーナーで大きな横Gがかかるシチュエーションほど、多大な効果を発揮するとされています。
実際にはそう単純なものではなく、素材や形状によってストラットタワーバー自体も歪んだりシャキッとしたままであったりと、違いがあるため、安いパーツでも劇的な効果を発揮するというほど、都合よくはいきません。
モノによっては「ないよりはマシ、プラシーボ効果程度は得ることができる」というものから、本格的にボディ補強パーツとして活きるものまであるため、次でその種類を説明しましょう。
ファッションパーツから本格的なボディ補強パーツまでアリ!
ストラットタワーバーの素材は鉄、アルミ、チタン、カーボンなど、様々なものがありますが、それぞれコストや柔軟性などで一長一短あるため、ここでは、その優劣をあえて論じませんが、一点だけ「アルカーボン」と呼ばれる素材は、単にアルミ素材の表面へカーボンシートを貼っただけのため、アルミとの価格差は見た目だけだと思ってください。
大きな差が出るのは形状や取り付け方法で、まず取り付け方法が単純に、ストラットタワーへサスペンション(アッパーシート)を取り付ける、ボルトとナットへ共締めするだけのタイプです。
その取り付け方法自体は問題ありませんが、左右方向の入力に対してはともかく、両側前輪が段差に乗って突き上げられるような、前後方向の入力に関しては「左右対称に入力される」ものの、入力によるボディの歪みを抑制する効果まではありません。
前後方向の入力に対してまで効果があるのは、ストラットアッパーから、エンジンルームとキャビンを隔てるバルクヘッド(隔壁)までを繋ぐ「カウルブレース」という補強材が入っている場合で、純正装着されている場合も多いのですが、カウルブレース一体式タワーバーという製品もあり、高価ではありますが、ボルトオン装着可能なタワーバーの中ではもっとも効果的です(それ以上を求めると、レーシングカーのようにタワーバーとモノコックを溶接でつなぐ方式もあります)。
カウルブレース一体式の場合、太いオーバル(楕円)型の文字通り「バー」で繋ぐタワーバーで、強度は十分(「オーバルシャフト」と呼ばれる場合もあります)です。カウルブレース一体式でなくとも、オーバルバーでつないだタワーバーで、ストラットタワーとの取り付け部もしっかり固定式であれば、かなり高い効果を得ることができると考えて良いでしょう。
ただし、オーバルバーのタイプでも、ストラットタワーとの取り付け部が別になっており、取り付け部とバーをボルト締めで固定する型では、取り付けは容易ですが、ボルト締めしている部分が緩んで動いたりもするため、完全にタワーバーとしての効果は発揮しきれません。
さらに、オーバルバーでもなく、ただのシャフト(棒)のタイプの場合、これはもう「タワーバーをつけているんだぞ」とアピールするだけのファッションバーと考えてよいでしょう。何しろ強度はガタ落ちですし、ネジで長さ調整が可能なタイプなど、そのネジ部分のガタさえも出てしまうため、「ないよりはマシ」程度に考えてください。
タワーバーの取り付けでは、エンジン内部の他パーツとの干渉に注意
とはいえ、シャフトタイプのファッションバーにもよいところはあり、エンジンルームがキチキチに詰まっている車でも、ただの細い棒のため、比較的取り付けが容易です。
効果的なタワーバーほど他パーツとの干渉に対して調整するような融通は利かず、例えばエアコンが標準装備ではない車種の場合、エアコンあり・なし仕様向けに同車種でも2種類のタワーバーが準備されていて、互換性がありません。
また、純正エアクリーナーボックスタイプからむき出しエアクリに変えた場合など、他のチューニングパーツと干渉する場合も多々あり、そこで無理やり加工して取り付けるよりは、最初から同ブランド、それぞれの商品を同時に取り付けるのが前提で開発されたパーツを、セットで購入するのが合理的で、その方がエンジンルームもキレイにまとまります。
基本的には、ストラットタワー周辺のボディ剛性アップ、主にフロント、車種によってはリアにも装着してボディのねじれを防ぎ、サスペンションを効果的に動かすためのパーツですが、ボンネットを開けた時などに見る者を感心させるドレスアップ効果も捨てがたく、本格的なストラットタワーバーほど唸らせることができるため、できれば安いファッションバーではなく、なるべく頑丈そうで見た目も引き締まる製品を選びたいものですね。
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