買取相場 | 2023.06.29
アウトドアユーザーから圧倒的支持を誇るアウトランダーPHEV、その買取相場とは?
Posted by 菅野 直人
SUV初のPHEV(プラグインハイブリッド車)として2013年1月に登場した「三菱・アウトランダーPHEV」。外部充電機能つきでEV走行距離も長く、エンジンで発電しながら外部への給電も可能とするだけでなく、SUVとしての悪路走破性をももちあわせているので、アウトドアでも大いに活用できるという魅力的な付加価値を誇ります。そんな、アウトランダーPHEVは中古車買取市場でどのような評価を受けているのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
アウトランダーPHEVの中古市場での人気について
もともと、エアトレック(2001~2009年)の後継として2005年に発売された2列シート5人乗り/3列シート7人乗りクロスオーバーSUVの三菱・アウトランダーですが、2012年10月に2代目へとモデルチェンジされた直後の11月、PHEV版の登場が予告され、2013年1月に世界初の4WD・SUV型プラグインハイブリッド車として発売されました。
大容量バッテリーへコンセントから差込プラグを用いて充電することが可能なだけでなく、通常のハイブリッド車のようにエンジンで発電した電気も充電OK。また、EV(電気自動車)と同じく外部への給電もでき、かつガソリンの供給さえ受けられればより長く給電可能というフレキシブルさをもつのがPHEV最大のメリット。
SUV型4WD・PHEVであるアウトランダーPHEVでは、大容量バッテリーを搭載したためか3列目シートの設定こそないものの、ベース車譲りの高い悪路走破性によって厳しい環境でもサバイバル性が高いことを随所で証明してきており、困難な状況ほど頼もしいモデルとして注目されている希有な存在です。
2019年11月の中古車市場でも115~450万円と、6年前に登場したSUVとしてはきわめて高い評価を受けており、買取価格にも大いに期待できます。
買取査定額が期待できるアウトランダーPHEVのグレード
2015年7月のマイナーチェンジでフロントマスクを筆頭にデザインが大幅に変更され、2018年8月には搭載されるガソリンエンジンが従来の2リッター直4から2.4リッター直4へ変わるなど、何度かバージョンアップを重ねてきたアウトランダーPHEV。
当初は装備を簡素化した「E」や「M」など量販グレードもありましたが、2018年8月以降は「G」系の標準グレードと、ビルシュタイン製ショックアブソーバーを採用したスポーティな「Sエディション」に大別されるようになっています。
このうちリセールバリューの高い高額買取傾向にあるのはSエディションで、ついで「G」系は通常グレード、「Gセーフティパッケージ」「Gナビパッケージ」「Gプラスパッケージ」「Gリミテッド」などが存在します。装備差というよりは走行距離や装備されたオプションによって価格差が生じる傾向にあり、グレード間による査定格差はそれほど感じられません。
買取査定額が期待できるアウトランダーPHEVのカラー
アウトランダーPHEVの買取上位にどのようなボディカラーが多いのかを調べてみると、ほとんどは国産車で標準的なパールなど白系や黒系で、次いで赤やシルバー、茶などが少数混ざっている程度。このあたりは日本的トラディショナルのあり方といっても差し支えないかと思われます。
1年落ちアウトランダーPHEV(2022年式)の目安査定額
1年落ち2022年式アウトランダーPHEVは、2021年12月にモデルチェンジしたアウトランダーの3代目モデル(現行型)で、この代から日本仕様は先代途中から追加されたプラグインハイブリッド(PHEV)のみの設定となりました。
災害時の電力供給で話題になるなど、「燃費がいいだけでなく、いざという時に頼りになるクルマ」というイメージから純ガソリン車の設定が不要となっており、また先代PHEVではバッテリー容積の問題から2列シート5人乗りのみの設定だったのが、現行型ではPHEVでは3列シート7人乗り仕様も選べることになったのが、大きなポイントです。
買取市場でも人気のSUV、かつ付加価値の高いクルマとして1年落ちと高年式車では60%以上のリセールバリューを見込めるのも特徴となっています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
M:新車508万円/買取実績なし
G:新車548万円/買取価格348万円程度
ブラックエディション:新車560万円/買取価格374万円程度
P:新車540万円/買取価格346万円程度
平均買取価格:約356万円
平均残価率:約65%
3年落ちアウトランダーPHEV(2020年式)の目安査定額
3年落ち2020年式アウトランダーPHEVは、2012年10月にモデルチェンジして2代目となったアウトランダーへ、2013年1月に追加された初のプラグインハイブリッド(PHEV)版。
トヨタのプリウスPHVに次ぐ国産2台目、さらに国産SUVでは初のPHEVとなっており、当初はハイブリッドカーとBEV(純電気自動車)を兼ね備えるがゆえの車重増加や高価格、充電インフラなしには通常のHVと違いがわかりにくい、2列シート車しかないという事もあって人気は今ひとつでしたが、熊本地震(2016年)において、停電した被災地で夜間に投光機の電源として活躍する姿などが有名になり、定番車種となりました。
2020年式は2018年8月のマイナーチェンジでエンジンの排気量を2.4リッターへアップするなど改善されたモデルですが、走行用バッテリーを持つクルマ特有の「年式が古いほどバッテリーの劣化が懸念されて買取価格が安い」という現象から、リセールバリューは低めです。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
Gリミテッドエディション:新車433万円/買取実績なし
G:新車477万円/買取価格182万円程度
ブラックエディション:新車488万円/買取価格210万円程度
Gプラスパッケージ:新車507万円/買取価格196万円程度
オールブラックスエディション:新車531万円/買取実績なし
Gプレミアムパッケージ:新車549万円/買取実績なし
Sエディション:新車582万円/買取実績なし
平均買取価格:約196万円
平均残価率:約40%
5年落ちアウトランダーPHEV(2018年式)の目安査定額
5年落ち2018年式アウトランダーPHEVは、2017年2月にエンジンの始動性改善および加速時にエンジン始動を遅らせるなどEV走行を優先、さらには充電制御も改善して急速充電時間を短縮するなど改良が施されたモデル。同年11月に量販グレードであるMの装備を充実させた特別仕様車・Gリミテッドエディションの追加や、2018年8月にはエンジンの2.4リッター化および新型バッテリーの搭載などのマイナーチェンジが行われています。オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
●M:新車403万円/買取価格196万円程度
●Gリミテッドエディション:新車427万円/買取価格222万円程度
●G:新車460万円/買取価格240万円程度
●Gセーフティパッケージ:新車437万円/買取価格217万円程度
●Gナビパッケージ:新車476万円/買取実績なし
●Gプラスパッケージ:新車493万円/買取実績なし
●Gプレミアムパッケージ:新車521万円/買取実績なし
●Sエディション:新車543万円/買取価格321万円程度
7年落ちアウトランダーPHEV(2016年式)の目安査定額
7年落ちとなる2016年式は2015年7月のマイナーチェンジでフロントデザインを一新、全体的な走行性能や快適性の改良を行いつつ、プラグインハイブリッド制御の改善で燃費性能を向上させたモデル。オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在における平均買取相場は、以下のようになっています。
●M:新車396万円/買取実績なし
●Gセーフティパッケージ:新車428万円/買取価格176万円程度
●Gナビパッケージ:新車465万円/買取価格178万円程度
●Gプレミアムパッケージ:新車505万円/買取実績なし
9年落ちアウトランダーPHEV(2014年式)の目安査定額
9年落ちの2014年式は、2013年1月に新型として発売された初期モデルで、2014年1月に外部充電に急速充電機能を追加、同年5月に充電リッドのロック機構や寒冷時の暖房使用を抑えて燃費を向上させる運転席/助手席ヒーターなどを追加。同年10月にはGナビパッケージ・ベースの特別仕様車「スポーツスタイルエディション」を追加するなど、小刻みな変更が行われています。オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。。
●E:新車375万円に対し買取実績なし
●G:新車402万円に対し買取価格105万円程度
●Gセーフティパッケージ:新車413万円に対し買取価格116万円程度
●Gナビパッケージ:新車449万円に対し買取価格92万円程度
●スポーツスタイルエディション:新車453万円に対し買取実績なし
●Gプレミアムパッケージ:新車484万円に対し買取価格102万円程度
事故車・修復歴ありのアウトランダーPHEVの場合は?
アウトランダーPHEVの事故車買取は損傷程度によって大きく差が出る模様。同じ2013年式でも、目立つ損傷がないにも関わらずエンジンなど動力系が破損した個体は、5年落ちで25万円。対して、明らかに左フロントが損傷していてもエンジンなどがそのまま使える場合は6年落ちでも72万円で買い取られています。
どうも動力系が損傷してしまった時の修理代がかなり高額のようで、それでも需要に対して供給が追いついていないためか、動力系がダメになった2年落ち車が100万円で買い取られ、200万円もの修理代をかけて復帰した例もあります。が、中古車市場における修復歴あり車の価格は231~238万円程度で落ち着いており、実際にはよほど付加価値のある上位グレードや走行距離が少ない車で、動力系やバッテリーに異常の無い車でないと、高額買取は難しそうです。
アウトランダーPHEVの残価率・リセールバリューは?
人気のクロスオーバーSUVというジャンル、それも悪路をものともせず乗り越える走破性の高いPHEVという付加価値もあって、三菱車のなかでもリセールバリューは健闘しています。
5年落ち2018年式は平均残価率49~59%(全グレード平均52%)、平均買取価格196~321万円(同、239万円)、7年落ち2016年式でも平均残価率38~41%(全グレード平均40%)、平均買取価格176~178万円(同、177万円)は、中古車買取市場では評価が厳しい傾向にあるハイブリッド車としては、なかなか高いといえるでしょう。
さすがにデザインが旧い5年落ち2014年式となると平均残価率21~28%(全グレード平均24%)、平均買取価格92~116万円(同、104万円)となり、年式の割に価値の下落が大きくなりますが、まだPHEVとして小刻みな改良を受けながら販売されているという発展途上な時期でもあったため、こればかりは仕方がありません。
次世代車の場合、最新モデルに比べてどれほど進化途上であるかで価値が大きく変わっていく好例でもあり、アウトランダーPHEVを所有しているユーザーなら2015年10月のマイナーチェンジ以降、あるいはエンジンも排気量アップした2018年10月以降のモデルかどうかで、リセールバリューに対する期待度、意識を変える必要がありそうです。