買取相場 | 2021.05.11
マツダのフラッグシップとして進化し続ける「アテンザ セダン」の市場評価は!?
Posted by 菅野 直人
最近はあまり人気がないセダンですが、マツダ「アテンザ セダン」には強力なクリーンディーゼルターボあり、“人馬一体感覚”を求める通好みの6MT車もあり、その上デザインも良しと、それこそ個性満点でスポーツセダンとして十分に満足できる一台になっていると思います。実際、中古車買取市場でもなかなか健闘しているようです。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
マツダ「アテンザ セダン」の中古市場での人気について
かつて、ミドルクラスの「カペラ」や大型高級クラスの「ルーチェ」、「センティア」といった4ドアセダンを販売していたマツダですが、フォード傘下で再建途上にあった2002年、新時代のマツダ・フラッグシップモデルとして登場したのが「アテンザ」でした。
当初は4ドアセダンと5ドアハッチバック、ステーションワゴン、3種類のボディタイプが販売されていましたが、代を重ねるごとに車格が増していき、2012年に登場した現行の3代目(2019年7月にマツダ6へと改称)では5ドアハッチバックは廃止されて高品質の4ドアセダンとステーションワゴンになりました。
同クラスのライバル車のようにハイブリッドはラインアップしていませんが、大排気量車並の大トルクと低燃費を実現、軽油を燃料とする経済性が高いクリーンディーゼルターボを設定。まさしく“人馬一体”の軽快な走りをセールスポイントとするマツダらしく、品位ある躍動感を持った“魂動(こどう)―Soul of Motion”デザインが、アテンザならではの個性を引き出しています。
4ドアセダンは2019年12月現在の新車価格289.3~431.75万円に対し、登録から10年以内の中古車価格は28~389.8万円と健闘しており、なにかと不人気な扱いを受けがちなセダンの中では高い存在感を示しています。
買取査定額が期待できるマツダ「アテンザ セダン」のグレード
現行の3代目アテンザ/マツダ6はグレード構成が大きく4つに分かれています。
●20S系:2.0リッター自然吸気ガソリン車
●XD系:2.2リッターターボディーゼル車
●25S系:2.5リッター自然吸気ガソリン車
●25T系:2.5リッターターボガソリン車(マツダ6になってから)
2012年11月のモデルチェンジ時は駆動方式はすべてFFでしたが、2015年1月以降XD系には4WDが追加されたほか、標準的な6速ATに加え、XD系には6速MTも設定されました。
ベースグレードに加え、20SとXDには先進の安全運転支援装備などが搭載された「プロアクティブ」、XDにはプロアクティブの装備に加えて快適で豪華内装も施された「Lパッケージ」がサブグレードとして用意され、25Sと25TはベースグレードがなくLパッケージのみとなっています。
このうち、新車価格に対して買取価格が高めになるのは「25S Lパッケージ」で、年式に関わらず残価率は高め。比較的新しい車ならXD系も高めなのですが、搭載する「SKYACTIV-D 2.2」クリーンディーゼルターボの経年劣化トラブルなどが指摘されるなど、年式が経つと急速に残価率を落とす印象があり、25Sほど安定していません。
買取査定額が期待できるマツダ「アテンザ セダン」のカラー
中古車で一般的に買取査定額が高めなのは、販売する時も高額で売れそうなオーソドックスな白や黒と決まっているのですが、アテンザセダンの場合はそれに加え、イメージカラーのソウルレッドクリスタルメタリックや、銀に近いマシーングレープレミアムメタリックも買取額が高い傾向にあり、マツダ車ならではの独特のイメージカラーが高額買取につながるレアな例が見受けられます。
1年落ちマツダ「アテンザ セダン」の目安査定額
1年落ち2019年式マツダ6/アテンザセダンは、2012年11月から販売され続けてきた「アテンザ」が2019年8月に日本国内名から国際名「マツダ6」へと改称したマツダのフラッグシップセダンです。
車名変更のタイミングで2.5リッターガソリンターボ車「25T Sパッケージ」を追加しており、従来からの2リッターガソリン車(20S系)、2.2リッターディーゼルターボ車(XD系)、2.5リッター自然吸気ガソリン車(25S系)と4系統のラインナップとなりました。オプション込みでのおおよその新車価格と、2020年5月現在での平均買取相場は以下の通りです。
20S(6AT・FF) | 新車314万円/買取実績なし |
20Sプロアクティブ(6AT・FF) | 新車333万円/買取実績なし |
XD(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車373万円/買取実績なし |
XDプロアクティブ(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車395万円/買取価格164万円程度 |
XD Lパッケージ(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車453万円/買取価格199万円程度 |
25S Lパッケージ(6AT・FF) | 新車394万円/買取実績なし |
25T Sパッケージ(6AT・FF) | 新車471万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 182万円程度 |
平均残価率 | 約43% |
3年落ちマツダ「アテンザ セダン」の目安査定額
3年落ち2017年式アテンザセダンは、2012年11月から現在まで「マツダ6」と名を変えつつ販売されているマツダのフラッグシップセダンで、2016年8月にステアリング操作に応じエンジンのトルクを自動調整する新世代車両運動制御技術「Gベクタリングコントロール」を搭載し、衝突被害軽減ブレーキに歩行者検知機能を追加するなど改良を施したモデルです。
2017年8月にはさらにハイビーム時の照射範囲を自動調整する「先進ライト」や「車線逸脱警報システム」を標準装備することで、安全運転支援機能が「サポカーS・ワイド」相当と認定されました。オプション込みでのおおよその新車価格と2020年5月現在での平均買取相場は以下の通りです。
20S(6AT・FF) | 新車306万円/買取価格91万円程度 |
20Sプロアクティブ(6AT・FF) | 新車316万円/買取実績なし |
XD(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車367万円/買取実績なし |
XDプロアクティブ(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車377万円/買取価格114万円程度 |
XD Lパッケージ(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車428万円/買取価格132万円程度 |
25S Lパッケージ(6AT・FF) | 新車370万円/買取価格86万円程度 |
平均買取価格 | 106万円程度 |
平均残価率 | 約28% |
5年落ちマツダ「アテンザ セダン」の目安査定額
5年落ち2015年式アテンザセダンは、2012年11月のモデルチェンジ以来、「マツダ6」と名を変えた現在まで販売されているマツダのロングセラー・フラッグシップセダンです。
2015年1月には2.2リッターディーゼルターボ搭載車「XD(クロスディー)」系グレードへ4WDを設定し、XD系全車が6MTか6AT、FFか4WDかが選択可能になりました(ガソリン車の20S系、25S系は従来通りFFと6ATの組み合わせ)。オプション込みでのおおよその新車価格と2020年5月現在での平均買取相場は以下の通りです。
20S(6AT・FF) | 新車295万円/買取価格54万円程度 |
20Sプロアクティブ(6AT・FF) | 新車316万円/買取価格41万円程度 |
XD(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車356万円/買取価格63万円程度 |
XDプロアクティブ(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車376万円/買取価格85万円程度 |
XD Lパッケージ(6AT/6MT・FF/4WD) | 新車414万円/買取価格91万円程度 |
25S Lパッケージ(6AT・FF) | 新車358万円/買取価格84万円程度 |
平均買取価格 | 70万円程度 |
平均残価率 | 約19% |
マツダ6/アテンザセダンを高く売るためのポイント
ディーゼルターボ車へ6MTを設定するなど、マツダ車らしく走りも重視したスポーティな大型セダンですが、マツダの中ではフラッグシップに位置づけられた高級セダンでもあるため、査定時にラグジュアリー性を損なっていないかが大きなポイントとなります。
内外装に前オーナーの個性が垣間見えるようなカスタマイズは控え、ノーマルからの変更点はアルミホイールやタイヤ交換程度とするとともに、車内外に傷や汚れをつけない、査定前には車内清掃や洗車をしっかり行っておくという基本を抑えておきましょう。
なお、マツダ自慢の「SKYACTIV-D2.2」クリーンディーゼルターボは定期的なメンテナンスを欠かすと不調の原因となりやすい繊細なエンジンのため、ガソリン車以上にメンテナンス頻度には気を遣うのも重要です。
マツダ6/アテンザセダンの走行距離による値動きの変化
マツダ6/アテンザセダンの2020年5月現在における走行距離ごとの買取相場を、2012年11月以降に販売されている現行モデルを例に紹介します。
14万km台 | 20.0~31.5万円 |
13万km台 | 8.9~14.0万円 |
12万km台 | 15.2~33.6万円 |
11万km台 | 14.0~39.3万円 |
10万km台 | 22.8~41.4万円 |
9万km台 | 10.8~62.2万円 |
8万km台 | 23.9~57.4万円 |
7万km台 | 14.5~99.1万円 |
6万km台 | 26.8~110.2万円 |
5万km台 | 31.7~158.0万円 |
4万km台 | 43.3~136.2万円 |
3万km台 | 43.3~163.9万円 |
2万km台 | 36.5~158.0万円 |
1万km台 | 134.6~214.3万円 |
6万km台と9万km台を超えたあたりで大きく査定額を落とす傾向があり、2019年に車名変更したとはいえ約7年半にわたって販売している車種と考えると、年間走行距離が1万2千km程度を超えると査定額がグっと落ち始め、そしてそのまま5年落ち(1万2千×5=6万km)を超えても、査定額が落ちるという傾向にあると思われます。
事故車・修復歴ありのマツダ「アテンザ セダン」の場合は?
アテンザ セダンの事故車買取はフロントが大破したもののエンジンは稼働OK、エアバッグも開かず済んだ程度の4年落ち車で40万円の買取価格がつき、110万円の修理費用をかけて中古車市場に復帰した例があります。
その一方、クリーンディーゼル車で一見して外傷はないもののエンジンが故障した6年落ち車に5万しかつかなかった例があるなど、SKYACTIV-D 2.2にはそれなりの故障リスクがついて回るようで、XD系はエンジン故障で乗り換える場合のリセールバリューがあまり期待できません。
マツダ「アテンザ セダン」の残価率・リセールバリューは?
SUVやミニバン全盛の今、4ドアセダンはよほど人気がないとかなり低いリセールバリューになることが多いのですが、個性的なアテンザ セダンは幸いにして人気があるといえるでしょう。
1年落ち2018年式は平均残価率40~54%(全グレード平均47%)、平均買取価格134~237万円(同、172万円)と、2012年にデビューして7年以上が経つ4ドアセダンとしては大健闘しています!
3年落ち2016年式でも平均残価率32~41%(全グレード平均37%)、平均買取価格119~155万円(同、132万円)、5年落ち2014年式でも平均残価率18~27%(全グレード平均23%)、平均買取価格50~95万円(同、132万円)と、4ドアセダンなら車種によっては3年程度で残価率2割以下になってしまう車種もあるのを考えれば、かなりリセールバリューが高い方とはいえます。
ただし量販モデルの20S系は値落ちが早く、クリーンディーゼルエンジンを搭載したXDも年式が経つと残価の下落が非常に大きいため、グレードによって早めに手放した方がいいかどうかの判断が変わってくる車だといえるでしょう。
マツダ6/アテンザセダンを売るのにベストなタイミングは?
1年落ち程度なら平均残価率43%程度という数値は4ドアセダン自体が販売不振で需要も限られることを考えれば大幅に検討しており、初回車検を迎える3年落ちでも同28%と3割近くをキープしていることから、半ば趣味車に近いポジションにある車と考えられます。
ただし、5年落ちで年間走行距離がそれなりに多い車では査定が厳しくなる傾向にあると前項でも書いたように、5年落ち車では平均残価率19%と約2割に落ちてしまうのが実情です(それでも4ドアセダンとしては優秀な方ですが)。
それ以上所有し続けた場合、よほど走行距離が少ない、程度良好など好条件が揃わない限り高額買取は困難なため、できれば初回車検(新規登録から3年)で、粘っても次の車検(さらに2年)を機会に売り抜けるのが、マツダ6/アテンザセダンを比較的リセールバリュー良好な状態で販売するのにベストなタイミングと思われます。
なお、現在はまだ「マツダ6」より「アテンザ」の方が知名度が高いのですが、今後アテンザの知名度が下がると型落ちのような認識を受けてしまうため、アテンザセダンとして購入したユーザーは、なおさら上記のような傾向が強いと考えた方が良さそうです。