買取相場 | 2023.06.29
レクサスのフラッグシップモデル、LSの買取相場はどの程度か?
Posted by 菅野 直人
1989年に初代モデルが登場、日本では3代目まで「トヨタ・セルシオ」として販売されて大人気となり、国際的にも高級車のあり方を大きく変えた革命的なモデル、「レクサス・LS」。今やレクサスのみならずトヨタグループ全体の国際戦略的旗艦モデルとして盤石の立場を築いた高級セダンの傑作は、買取市場でどのように評価されているでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
レクサスLSの中古市場での人気について
初代レクサス・LSが登場したのは1989年、それまでメルセデス・ベンツやBMW、アウディといったドイツ勢に独占されていた高級車マーケットへ、銘柄や権威にこだわらない新世代の富裕者層に向けて、静粛性や快適性、動力性能を徹底的にこだわり抜いた精緻なつくり込みぶりで世界中で大ヒットを巻き起こし、その後の高級車のあり方に大きな影響を与える名車となりました。
まだ「レクサス」ブランドを展開していなかった日本でも、同時期にトヨタ・セルシオとして発売、それまで国内専用のショーファードリブンであるセンチュリーを除けば、クラウンが最上級車だったトヨタ車のラインアップのなかでも群を抜く高品質ぶりが話題となり、高級セダンの主要顧客だった官公庁や大企業のみならず、バブル景気に乗って高級車を求める個人ユーザー層にも爆発的に広まっていきました。
それまでクラウンやマークII3兄弟などハイソカーをラインアップしていたとはいえ、本質的には大衆車メーカーだったトヨタを高級車づくりでも唸らせる車を作る懐の深いメーカーとして認知させ、トヨタブランドで売られた3代目までには絶対的な人気を誇る名車として地位を盤石としたのです。
2005年以降は、日本でもレクサスブランドの展開が始まり、満を持して2006年9月発売の4代目からはレクサス・LSとして販売開始、同グループにおける最高峰セダンとして国内外から高い評価を受けています。
中古車市場でも豊富なタマ数を誇るLSだけに価格帯は45万円~1,900万円と幅広く、明らかに型落ちとわかる車両はかなりリーズナブルに購入できるため、高品質を誇った片鱗をコスパ高く味わうことも可能なのが特長です。
買取査定額が期待できるレクサスLSのグレード
基本的に、ガソリンエンジン版かハイブリッド版という計2つのパワーユニットが用意されており、現行の5代目なら3.5リッターV6ツインターボの「LS500」と3.5リッターV6自然吸気エンジン+ハイブリッドの「LS500h」、2017年10月まで販売されていた4代目なら4.6リッターV8自然吸気エンジンの「LS460」、5リッターV8自然吸気エンジン+ハイブリッドの「LS600h」で構成。さらに4代目は通常ボディ版とロングボディ版がありました。
それにくわえて仕様違いで高級仕様「バージョンL」などいくつかのサブタイプが存在。買取市場で高価買取傾向にあるのは「Fスポーツ」や「バージョンS」「バージョンSZ」といったスポーティバージョン。新車市場とは異なり中古車市場では個人ユーザーが多いこと、かつメルセデス・ベンツに対するAMGのようなイメージが感じられることが、その理由と思われます。
買取査定額が期待できるレクサスLSのカラー
初代登場時は新世代の富裕層向けという革新的なコンセプトを掲げた高級車だったとはいえ、日本では本質的にセレブリティ向けの高級車であることから、高価買取上位はほぼパールなどのホワイト系かブラック系に人気が集中、他のボディカラーが上位に顔を出していても、紺やガンメタ、茶色など落ち着いた色調がほとんどです。
1年落ちレクサスLS(2022年式)の目安査定額
1年落ち2022年式レクサスLSは、2017年に5代目(※)へとフルモデルチェンジした、レクサスのフラッグシップセダン。(初代から3代目は日本でトヨタ セルシオとして販売)
2022年式はその6年目モデルで、3.5リッターV6ツインターボの「LS500」系、3.5リッターV6ハイブリッドの「LS500h」系に、標準的な「Iパッケージ」、スポーティ仕様「F SPORT」、ラグジュアリー仕様「version L」、VIP仕様「エグゼクティブ」をそれぞれ設定という基本ラインナップですが、2021年3月にLS500h version Lと同エグゼクティブへ、より高度な運転支援機能を付与した「アドバンスドドライブ」を追加設定しました。
運転支援機能は2021年10月に通常の「Lexus Safety System+A」でもレーントレーシングアシストの制御改善など改良。
2022年10月には、乗り心地や操縦安定性の改善、パノラミックビューやシースルービューなど予防安全装備の拡充、マルチメディアシステムの機能や操作性改善などの改良が行われています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
LS500 Iパッケージ:新車1,205万円/買取実績なし
LS500 F SPORT:新車1,367万円/買取価格798万円程度
LS500 version L:新車1,536万円/買取実績なし
LS500 エグゼクティブ:新車1,717万円/買取実績なし
LS500h Iパッケージ:新車1,369万円/買取価格653万円程度
LS500h F SPORT:新車1,516万円/買取価格1,014万円程度
LS500h version L:新車1,701万円/買取実績なし
LS500h version L アドバンスドドライブ:新車1,884万円/買取価格880万円程度
LS500h エグゼクティブ:新車1,884万円/買取実績なし
平均買取価格:約836万円
平均残価率:約55%
3年落ちレクサスLS(2020年式)の目安査定額
3年落ち2020年式レクサスLSは、2017年に5代目(※)へとフルモデルチェンジした、レクサスのフラッグシップセダン。(初代から3代目は日本でトヨタ セルシオとして販売)
2020年式は、2019年10月に消費税変更(8%→10%)に伴う価格変更のほか、ショックアブソーバーやランフラットタイヤの改良で乗り心地を進化させたほか、ハイブリッド車のアシスト量増加やアクセル特性の変更で静粛性能を高め、走りの面でもストレスを解消する改良を受け、エグゼクティブとversion Lに装備したリアマルチオペレーションパネルの操作性を高め、後席の快適性向上を図っています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
LS500:新車1,122万円/買取実績なし
LS500 Iパッケージ:新車1,197万円/買取実績なし
LS500 F SPORT:新車1,357万円/買取価格474万円程度
LS500 version L:新車1,502万円/買取実績なし
LS500 エグゼクティブ:新車1,709万円/買取実績なし
LS500h:新車1,279万円/買取実績なし
LS500h Iパッケージ:新車1,354万円/買取実績なし
LS500h F SPORT:新車1,500万円/買取実績なし
LS500h version L:新車1,662万円/買取価格466万円程度
LS500h エグゼクティブ:新車1,869万円/買取価格635万円程度
平均買取価格:約525万円
平均残価率:約32%
7年落ちレクサスLS(2016年式)の目安査定額
7年落ち2016年LSは、2006年9月から2017年10月にモデルチェンジを迎えるまで長らく販売された4代目モデルの末期で、2015年9月の改良でカーナビなどタッチパネルディスプレイの操作性などが改善されたモデル。2016年8月にはFM放送でAMラジオの番組が聞けるワイドFM対応など最後の小改良が行われています。
オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
●LS460(FR/4WD):新車969万円/買取実績なし
●LS460バージョンC(FR/4WD):新車1,014万円/買取実績なし
●LS460バージョンC Iパッケージ(FR/4WD):新車1,042万円/買取実績なし
●LS460 Fスポーツ(FR):新車1,117万円/買取実績なし
●LS460 バージョンL(FR/4WD):新車1,195万円/買取価格244万円程度
●LS460 L(FR/4WD):新車1,308万円/買取実績なし
●LS460 L エグゼクティブパッケージ4人乗り(FR/4WD):新車1,455万円/買取実績なし
●LS460 L エグゼクティブパッケージ5人乗り(FR/4WD):新車1,455万円/買取実績なし
●LS600h:新車1,189万円/買取実績なし
●LS600h バージョンC:新車1,234万円/買取実績なし
●LS600h バージョンC Iパッケージ:新車1,263万円/買取価格334万円程度
●LS600h Fスポーツ:新車1,399万円/買取実績なし
●LS600h バージョンL:新車1,416万円/買取価格417万円程度
●LS600h L:新車1,551万円/買取実績なし
●LS600h L エグゼクティブパッケージ4人乗り:新車1,755万円/買取実績なし
●LS600h L エグゼクティブパッケージ5人乗り:新車1,755万円/買取実績なし
9年落ちレクサスLS(2014年式)の目安査定額
9年落ち2014年式は、2013年9月の小改良でLEDクリアランスランプへデイライト機能がプラスされたほか、2014年4月には消費税8%改定により価格上昇、同年10月には遠隔操作でエンジン再始動やステアリングロック解除の禁止など盗難防止機能を中心にG-Linkの「G-security」が強化されたモデルです。
オプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
●LS460(FR/4WD):新車959万円/買取実績なし
●LS460バージョンC(FR/4WD):新車1,004万円/買取価格225万円程度
●LS460バージョンC Iパッケージ(FR/4WD):新車1,032万円/買取価格222万円程度
●LS460 Fスポーツ(FR):新車1,101万円/買取価格310万円程度
●LS460 バージョンL(FR/4WD):新車1,183万円/買取価格161万円程度
●LS460 L(FR/4WD):新車1,295万円/買取価格170万円程度
●LS460 L エグゼクティブパッケージ4人乗り(FR/4WD):新車1,441万円買取実績なし
●LS460 L エグゼクティブパッケージ5人乗り(FR/4WD):新車1,441万円/買取実績なし
●LS600h:新車1,177万円/買取実績なし
●LS600h バージョンC:新車1,222万円/買取実績なし
●LS600h バージョンC Iパッケージ:新車1,250万円/買取価格368万円程度
●LS600h Fスポーツ:新車1,381万円/買取価格362万円程度
●LS600h バージョンL:新車1,402万円/買取価格264万円程度
●LS600h L:新車1,536万円/買取価格352万円程度
●LS600h L エグゼクティブパッケージ4人乗り:新車1,738万円/買取実績なし
●LS600h L エグゼクティブパッケージ5人乗り:新車1,738万円/買取価格215万円程度
14年落ちレクサスLS(2009年式)の目安査定額
14年落ち2009年式LSは、2012年10月以前、レクサスのアイデンティティであるスピンドルグリルの採用前モデルで、2008年9月の改良でパンク修理キットの採用によりスペアタイヤレス化、ラゲッジルーム容量を50L拡大できるオプションを設定、一部グレードへ「ミリ波レーダー式プリクラッシュブレーキサポート」を採用するなど、安全性が高められたモデル。
2009年10月にはマイナーチェンジが行われ、前後バンパーやヘッドランプ、アルミホイールなどのデザイン変更が行われたほか、サイドターンランプ付ドアミラーや衝突事故時にむち打ちを防ぐ「アクティブヘッドレスト」などが標準装備化、「レーンキーピングアシスト(車線逸脱警報/抑止支援機能)」も追加設定されています。
また、この時期はまだスポーティ仕様が「バージョンSZ」と呼ばれ、快適性を高めた仕様も「バージョンUZ」と呼称されていました。
それではオプション込みでおおよその新車価格と、2023年6月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
●LS460(FR/4WD):新車892万円/買取価格51万円程度
●LS460バージョンC(FR/4WD):新車910万円/買取価格47万円程度
●LS460バージョンC Iパッケージ(FR/4WD):新車970万円/買取価格56万円程度
●LS460バージョンSZ(FR):新車968万円/買取価格104万円程度
●LS460バージョンSZ Iパッケージ(FR):新車1,007万円/買取価格104万円程度
●LS460バージョンU(FR/4WD):新車1,080万円/買取実績なし
●LS460バージョンU Iパッケージ(FR/4WD):新車1,126万円/買取価格113万円程度
●LS460 L(FR/4WD):新車1,200万円/買取価格58万円程度
●LS460 L 後席セパレートパッケージ(FR):新車1,301万円/買取実績なし
●LS460 L バージョンUZ 4人乗り(FR/4WD):新車1,346万円/買取実績なし
●LS460 L バージョンUZ 5人乗り(FR/4WD):新車1,346万円/買取実績なし
●LS600h:新車1,085万円/買取実績なし
●LS600h Iパッケージ:新車1,152万円/買取実績なし
●LS600h バージョンS:新車1,205万円/買取実績なし
●LS600h バージョンS Iパッケージ:新車1,246万円/買取価格51万円程度
●LS600h バージョンU:新車1,273万円/買取実績なし
●LS600h バージョンU Iパッケージ:新車1,386万円/買取価格83万円程度
●MLS600h L:新車1,496万円/買取実績なし
●LS600h L 後席セパレートパッケージ:新車1,661万円/買取実績なし
●LS600h L バージョンUZ 4人乗り(FR/4WD):新車1,705万円/買取実績なし
●LS600h L バージョンUZ 5人乗り(FR/4WD):新車1,705万円/買取実績なし
事故車・修復歴ありのレクサスLSの場合は?
事故車買取価格は、先代(4代目)の5年落ちLS460を55万円で買い取り、180万円の修理代をかけ中古車市場へ復帰した例があります。
もっとも、それは先代モデルが最新だった時期(2014年)の話ですが、現在の5年落ち先代LS460(2014年式)の中古車相場が225万円~689万円であることを考えれば、現在でも程度によっては同程度、あるいはそれ以上の価格で買い取られる可能性はあります。
レクサスLSの残価率・リセールバリューは?
高額な最高級セダンは、メルセデス・ベンツを引き合いに出すまでもなく、新車販売価格こそ高値ながら型落ちともなれば価値も大きく下がるジャンルなので、先代モデル(4代目)を中心に買取相場を見ていると、リセールバリューがそれほど高いとはいえません。
先代末期の3年落ち2016年式で既に平均残価率20~29%(全グレード平均25%)、平均買取価格244~417万円(同、332万円)と、オプション込み新車価格が881~1,595万円の車種であることを考えれば、残価率は大きく落ちこみます。
これが5年落ち2014年式では、平均残価率12~29%(全グレード平均21%)、平均買取価格161~368万円(同、265万円)とやや下げ止まりますが、10年落ち2009年式だと平均残価率4~11%(全グレード平均7%)、平均買取価格47~113万円(同、74万円)。
もともと高額な1台ゆえに残価率が低くともいくらか値がつくという状態になり、特にまだスピンドルグリル採用前のモデルではさらに型落ち(旧々型)なのが明らかなため、高級車としての格がつかない価格まで下がると考えていいでしょう。
しかし、古くとも高品質な高級車であることには変わりがないため、リセールバリューの面から言えば古くなっても快適性などが維持されるかぎりは乗り続けることをオススメしたい1台、それがレクサス・LSです。