買取相場 | 2021.05.11
BMWの大黒柱、世界戦略スポーツセダン BMW「3シリーズ」の買取市場の評価は?
Posted by 菅野 直人
エントリーモデルの1シリーズ、上級版の5シリーズの間で「定番モデル」としての役割を担うのがBMW3シリーズです。クーペやカブリオレを4シリーズに分離してからは4ドアセダンへ注力していますが、主なグレードの買取市場における評価はどのようになっているのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
BMW3シリーズの主なグレード、現在の買取相場は?
【318i系セダン】
2年落ち2018年式318i系セダン(F30)の目安査定額
初代以来4代目E46型まで長らく設定されていた318iですが、E46を最後に消滅してからしばらく設定されておらず、6代目F30型へ1.5リッター3気筒ターボエンジン搭載車が追加された2016年10月、久々に318iが復活しました。
2年落ち2018年式の時点では全車2WD(FR)と8ATの組み合わせで、標準モデルの他に廉価版「SE」と、内外装の雰囲気違いでスポーティ版「スポーツ」、エレガントな「ラグジュアリー」、高性能ブランド「BMW M」仕様の内外装を持つ「Mスポーツ」をラインナップし、Mスポーツをベースにブラックキドニーグリルなど専用内外装とした「Mスポーツ エディションシャドー」が追加されています。
オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
●318i SE(8AT) | 新車468万円/買取実績なし |
●318i(8AT) | 新車509万円/買取価格116万円程度 |
●318iスポーツ(8AT) | 新車532万円/買取価格114万円程度 |
●318iラグジュアリー(8AT) | 新車557万円/買取実績なし |
●318i Mスポーツ(8AT) | 新車558万円/買取価格156万円程度 |
●318i Mスポーツ エディションシャドー(8AT) | 新車580万円/買取価格174万円程度 |
平均買取価格 | 140万円程度 |
平均残価率 | 25%程度 |
【320d系セダン】
2年落ち2018年式320d系セダン(F30)の目安査定額
ドイツ本国仕様などでは以前から設定されていた3シリーズのディーゼル車が6代目F30型の320dから初めて日本市場にも登場し、全車2WD(FR)と8ATの組み合わせで2018年式でのグレード構成は廉価版のSEがないのを除けば318iと同じです。オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
●320d(8AT) | 新車611万円/買取価格168万円程度 |
●320dスポーツ(8AT) | 新車636万円/買取実績なし |
●320dラグジュアリー(8AT) | 新車655万円/買取価格183万円程度 |
●320d Mスポーツ(8AT) | 新車661万円/買取価格194万円程度 |
●320d Mスポーツ エディションシャドー(8AT) | 新車692万円/買取価格246万円程度 |
平均買取価格 | 198万円程度 |
平均残価率 | 30%程度 |
5年落ち2015年式320d系セダン(F30)の目安査定額
2012年8月に日本市場でも追加された320dは2015年式でも設定されており、その当時では2018年式の時点でも残っているグレードの他、現代的なデザイン性を強調した内外装の「モダン」がまだあり、ブラック・キドニーグリルなど専用内外装を施した限定330台の2シリーズ発売40周年記念車「Mスポーツ スタイルエッジ」が2015年5月に発売されました。
オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
●320d(8AT) | 新車557万円/買取価格73万円程度 |
●320dスポーツ(8AT) | 新車581万円/買取価格83万円程度 |
●320dモダン(8AT) | 新車580万円/買取実績なし |
●320dラグジュアリー(8AT) | 新車592万円/買取価格88万円程度 |
●320d Mスポーツ(8AT) | 新車606万円/買取価格113万円程度 |
●320d Mスポーツ スタイルエッジ(8AT) | 新車624万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 89万円程度 |
平均残価率 | 15%程度 |
【320i系セダン】
2年落ち2018年式320i系セダン(F30)の目安査定額
歴代BMW3シリーズを通じて、廉価グレードや最上級グレードに対する中核グレードと言えるのが320iで、かつては直列6気筒エンジン搭載車でしたが6代目F30の時点では2リッター4気筒ターボエンジンの標準出力版搭載車となっています。
2018年式でのグレード構成は基本的に318iや320dと同じですが、標準の「320i」が存在しないほか、中核グレードらしく「スポーツ」と「Mスポーツ」には8ATのみならず6MTも選択可能となっており、また各グレードには4WDの「xDrive」が設定されているのは大きな違いです。
オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
●320iスポーツ(6MT/8AT) | 新車600万円/買取実績なし |
●320i xDriveスポーツ(8AT・4WD) | 新車644万円/買取実績なし |
●320iラグジュアリー(8AT) | 新車628万円/買取価格159万円程度 |
●320i xDriveラグジュアリー(8AT・4WD) | 新車663万円/買取実績なし |
●320i Mスポーツ(6MT/8AT) | 新車625万円/買取価格168万円程度 |
●320i xDrive Mスポーツ(8AT・4WD) | 新車669万円/買取実績なし |
●320i Mスポーツ エディションシャドー(8AT) | 新車665万円/買取実績なし |
●320i xDrive Mスポーツ エディションシャドー(8AT・4WD) | 新車700万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 164万円程度 |
平均残価率 | 26%程度 |
5年落ち2015年式320i系セダン(F30)の目安査定額
5年落ち2015年式の時点ではまだ318iが復活していなかったため320iがエントリーグレードの役割も果たしており、廉価グレードの320i SEや標準グレードの320i(6MTも選択可能)が残っていたほか、320d同様に「モダン」や「Mスポーツ スタイルエッジ」がラインナップされ、SEを除く全グレードに4WDの「xDrive」がありました。
オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
●320i SE(8AT) | 新車470万円/買取価格71万円程度 |
●320i(6MT/8AT) | 新車525万円/買取価格86万円程度 |
●320i xDrive(8AT・4WD) | 新車565万円/買取実績なし |
●320iスポーツ(6MT/8AT) | 新車546万円/買取価格88万円程度 |
●320i xDriveスポーツ(8AT・4WD) | 新車590万円/買取実績なし |
●320iモダン(6MT/8AT) | 新車545万円/買取価格41万円程度 |
●320i xDriveモダン(8AT・4WD) | 新車589万円/買取価格55万円程度 |
●320iラグジュアリー(6MT/8AT) | 新車556万円/買取価格80万円程度 |
●320i xDriveラグジュアリー(8AT・4WD) | 新車601万円/買取実績なし |
●320i Mスポーツ(6MT/8AT) | 新車571万円/買取価格117万円程度 |
●320i xDrive Mスポーツ(8AT・4WD) | 新車615万円/買取価格118万円程度 |
●320i Mスポーツ スタイルエッジ(8AT) | 新車598万円/買取実績なし |
●320i xDrive Mスポーツ スタイルエッジ(8AT・4WD) | 新車633万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 77万円程度 |
平均残価率 | 15%程度 |
10年落ち2010年式320i系セダン(E90)の目安査定額
2012年1月にセダンがF30へとモデルチェンジする以前のE90系3シリーズは、まだクーペやカブリオレが4シリーズへ分離する前で3シリーズクーペ(E92)、3シリーズカブリオレ(E93)として残っており、F30以降も続いたセダン(E90)とツーリング(ワゴン・E91)と併売されていました。
2010年式の時点で主力車種の320iセダンは通常の「320i」のほか廉価版「スタイル・エッセンス」と、Mスポーツ仕様のホイールやスポイラーを装着したMスポーツ・パッケージをベースに最新の純正HDDナビを追加した「Mスポーツプラス」、さらにブラックキドニーグリルなどを追加した「Mスポーツ・カーボン・エディション」とエレガンス仕様内装の「エクセレンス・エディション」がラインナップ。
このうち標準の「320i」と「Mスポーツプラス」では6ATのほかに6MTも選択可能で、オプション込みでのおおよその新車価格と2020年4月現在での平均買取相場は以下の通りです。
●320iスタイル・エッセンス(6AT) | 新車439万円/買取価格11万円程度 |
●320i(6MT/6AT) | 新車483万円/買取価格12万円程度 |
●320i Mスポーツプラス(6MT/6AT) | 新車521万円/買取価格14万円程度 |
●320iエクセレンス・エディション(6AT) | 新車524万円に対し買取価格6万円程度 |
●320i Mスポーツ・カーボン・エディション(6AT) | 新車557万円/買取価格8万円程度 |
平均買取価格 | 10万円程度 |
平均残価率 | 2%程度 |
買取査定額が期待できる3シリーズの人気グレードは?
3シリーズで近年の主力、「318i」「320d」「320i」の中でも買取実績豊富なことから人気グレードと言えるのは、以下に絞られます。
・318i Mスポーツ(F30)
・320d ラグジュアリー(F30)
・320d Mスポーツ(F30)
・320i(E90/F30両方)
・320i ラグジュアリー(F30)
・320i Mスポーツ(F30)
・320i xDrive Mスポーツ(F30)
3シリーズの基本中の基本で、2019年3月以降の現行モデル(G20)にはない6速MTすら選べる320iが入るのは当然として、他はグレードに関わらず「Mスポーツ」が入るのは高性能バージョン「M3」が買えないまでも若々しくスポーティ、かつM3に雰囲気だけでも近い車を選びたいユーザーからの需要が多いことがうかがえます。
320dと320iではエレガントな内装の「ラグジュアリー」も選ばれていますが、ある程度以上のグレードになると、価格に見合ったラグジュアリー性を持った小型高級セダンとして3シリーズを選ぶ層も少なくないと言えそうです。
実際、これらの人気グレードは買取相場でも単に実績豊富というだけでなく他グレードより高価買取傾向があり、特にMスポーツはどのグレードでもほぼ間違いなく買取査定で高評価を得ています。
BMW3シリーズの残価率・リセールバリューは?
既に2019年3月の現行モデル(G20)デビューで型落ちとなっている先代モデル(F30)ですが、型落ちでしかも日本市場では不振が極まっている4ドアセダン、さらに中古車価格が安いため買取査定も渋くなりがちな輸入車と悪条件が揃っているわりには、比較的健闘している方です。
今回調査した「318i」「320d」「320i」はいずれも2リッター以下、しかも318iに至っては1.5リッター以下ということで自動車税も安いという数少ない好条件があり、2年落ちで平均残価率が約25%~30%という数値は、国産セダンなら少々厳しいところですが、輸入小型セダンならかなり優秀なリセールバリューといえます。5年落ちの約15%という数値も同様であり、これが「Mスポーツ」に限ればさらに5%ほど上乗せされます。
ただ、さすがに2つ型落ちの先々代(E90)となると平均残価率1%~3%ですから、健闘している3シリーズセダンといえどもいくらか価値が保てるのは1代前のモデルまで、ということになるでしょう。
2代前のE90以前のユーザーは買取査定に出して値段がつけば御の字、1代前のF30ユーザーなら、リセールバリューを考慮するなら2年~3年落ち以内に積極的な乗り換えを検討する必要があり、Mスポーツに限ってはさらに2年~3年程度の猶予がある、と考えるべきかもしれません。