コラム | 2021.08.27
世界各国で活躍するポリスカーは個性派ぞろい⁉その国を象徴する車たち
Posted by KAKO MIRAI
映像で目にするアメリカのポリスカーは、逃走車両に体当たりすることも多いようです。その度に、頑丈さをアピールしているような車たちが映し出されています。警察車両は、さまざまな危険とも隣り合わせです。一体、世界の国々ではどのような車たちが活躍しているのでしょうか。詳しくご紹介していきましょう。
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ヨーロッパ
ヨーロッパの緊急車両は、青色灯といわれる青いライトが採用されています。それは大二次世界大戦時のヨーロッパで、青いライトによって灯火管制が行われていた頃のなごり。青い光は見えにくいということに端を発しているようです。それでは、ここからヨーロッパ諸国を見ていましょう。
イタリア
イタリアの警察は6つの組織に分かれています。内務省管轄の国家警察と国防省管轄のカラビニエリ、そのほか法務省管轄の刑務警察、経済財務省管轄の財務警察、農業や森、食料などの政策を行う森林警察です。日本の警察組織に近いのは国家警察になります。
ランボルギーニ ガヤルド
水色と白にペイントされたポリスカーのガヤルドは、『ランボルギーニ社』からの寄贈で実現しました。交通警察といわれる「Polizia Stradale」がハイウェイで起こる緊急出動時に出動する車です。運転できるのは、特殊な訓練を受けた警察官(男性27名、女性3名)だけとなっています。
ボディの軽量化や足回りを強化したガヤルドは、0-100㎞/h加速が3.7秒。最高速は325㎞/hというモンスターマシンに仕上げられ、室内には速度違反を取り締まる最新機器が設置されています。
また救護活動にも使用するため、心電図や脈拍などを自動測定する「新細胞除去器」も設置。
移植用の臓器輸送にも使用されています。
ランボルギーニ ウラカン
『ランボルギーニ社』から2004年、2008年にガヤルドが寄贈されていましたが、2014年にはガヤルドに代わりウラカンLP610-4が寄贈されました。これまでのガヤルド同様に高速道路のパトロールや、救急医療輸送任務を行っています。
2020年10月20には492㎞の距離を平均時速230㎞で走行し、通常5時間かかる道のりを2時間で完走。無事に臓器緊急搬送を成し遂げたことが、イタリア警察のTwitterに投稿されています。
Grazie alla nostra @Lamborghini Huracan abbiamo trasportato in tempo il rene di un donatore per il trapianto a una persona
“Per salvare una vita non servono superpoteri” anche solidarietà, tecnologia ed efficienza aiutano @CNTrapianti @MinisteroSalute #essercisempre#5novembre pic.twitter.com/teUxqbMgvW— Polizia di Stato (@poliziadistato) November 5, 2020
フランス
2014年に行われた『東京オートサロン』で、メガーヌ ルノー・スポ―ル ジャンダルリムが、限定20台で販売されていたのは記憶に新しいかもしれません。これはフランス警察の組織のひとつである国家憲兵(ジャンダルリム)が使用するメガーヌ ルノー・スポ―ルをイメージしたものでした。
メガーヌ ルノー・スポ―ル
フランスでは、高速道路での取り締まりにさまざまな車種を用いています。歴代にはアルピーヌ A110やルノー 21ターボのほかスバル インプレッサを採用していた時期もあったようです。そして2010年からメガーヌ ルノー・スポ―ルを採用。
警察車両でありながらエンジン、トランスミッション、サスペンションブレーキなどに特別なチューニングは一切行っていません。メガーヌが採用された理由は、パフォーマンスと安定性の高さにあるようで、ノーマルでも大丈夫という自信の表れなのかもしれません。
イギリス
パトカーとして採用されている車には輸入車が多く、以前は三菱 ランサーエボリューション Xも活躍していました。イギリス中北部に位置するサウスヨークシャー州では、三菱のイギリス法人から貸し出されていた経緯もあり、ランサーエボリューション6から採用されています。
ランエボの性能とセダンタイプであったことが評価されて採用に至ったようです。ちなみにランサーエボリューションXは、ハイパフォーマンスモデルのFQ-360をベースに360psまでパワーアップが図られていました。
フェラーリ612 スカリエッティ
この車はフェラーリが60周年を迎えた2007年に行われた「フェラーリ60リレー」に端を発しています。東京をスタートして世界各国のフェラーリオーナーが愛車を運転し、5大陸を横断リレーするというもの。
中近東からオーストラリア、南アフリカ、南米、ヨーロッパなどを渡りイタリアの『フェラーリ』本社までつなぎます。フェラーリがイギリスを通過する日に合わせて1台だけ作られたという特別仕様です。
正式な警察車両というわけではありませんが、ボランティアでパレードを行う際には、先導車として活躍しています。またホンダ NSXもPR用に起用されており、安全運転キャンペーンで採用されていました。
BMW i3
ロンドンでは2017年より大気汚染対策のためにエコカーの導入が始まっています。もともと性能の高さが評価されていたBMWは、5シリーズのポリスカーが多く採用されていました。
しかし大気汚染による深刻な状況を受け、古いモデルをハイブリッド車に交換。試験運用としてBMW i3も採用されています。そのため国内外の自動車メーカーであるフォードやトヨタをはじめ、テスラなどと話し合いを持っているようです。
実現すれば、ミライやリーフといった国産車が採用される日もあるのではないでしょうか。以前は決まった形やデザインがなかったイギリスですが2011年からデザインの統一が図られ、黄色と青の市松模様という派手な色遣いが特徴的です。
ドイツ
各州に権限を持つドイツの警察機構ですが、カラーリングは統一されています。2002年以前は白地に緑でしたが、シルバーにブルーへと変更されました。名だたる自動車メーカーが本社を構えるドイツでは、さまざまな車がポリスカーとして導入されています。
メルセデス・CLS・ベンツ ブラバス ロケット
メルセデス・ベンツのチューニングメーカーとして名高いブラバスが手掛けたパトカーです。V12ツインターボを積み800psをたたき出します。ロケットといえばブラバスのフラッグシップモデル。メルセデスCLSをチューニングした車両となります。
スウェーデン
スウェーデンといえばボルボのイメージが強いですが、ポリスカーの歴史も非常に長いものとなっています。1929年にはボルボが採用されていた記録が残っており、その後もアマゾン、144といったボルボの名車たちがポリスカーとして活躍してきました。
ボルボ90
2016年にスウェーデンで行われたポリスカー試験では、ボルボ 90がトップ合格を果たし、採用されています。テストの内容はブレーキテスト、障害物コース、ブレーキング、ブレーキングなしの回避行動テスト、ハイスピードでの緊急走行といった厳しい内容です。
ポリスカーとしてもハイパフォーマンスであることを立証することができる内容となり、ボルボにとっても納得のできる性能実験となったのではないでしょうか。
アメリカ
連邦制をとるアメリカでは、州や郡などの各自治体で警察があり、さまざまなポリスカーがあります。カーチェイスの発生率の高いアメリカでは、FRを採用することが多いようです。操作性に優れ、瞬時に加速がしやすいことは追尾するための重要なポイントといえるでしょう。
フォード クラウンビクトリア・ポリスインターセプター
2010年にはポリスカーの7割を占めていたクラウンビクトリア。ポリスカーとして絶大な人気を集めていたようです。ポリスインターセプターは、フォードに中でも警察車両モデルをいいます。
2011年にクラウンビクトリアの生産が終了してからは、シボレー インパラ、タホなども広く採用されているようです。現在ではフォード エクスプローラー ユーティリティ ポリスインターセプターがクラウンビクトリアに代わって人気の車種となっています。
ダッジ チャージャー
アメリカ最大規模の警察組織であるFBIやニューヨーク市警察で採用された実績を持つダッジ チャージャー。アメリカを代表するマッスルカーといえるでしょう。2019年モデルのチャージャーが、ポリスカーとして採用されています。
アジア
アジアの国々にも自国の自動車メーカーがあるため、ポリスカーもさまざまです。今回は日本を除くポリスカーをご紹介していきます。
シンガポール
シンガポールが独立した翌年の1966年に日本との外交関係が樹立。犯罪増加に対して参考にしたのは日本の交番システムでした。現在では日本と肩を並べる治安の良さを誇っています。
トヨタ カローラ セダン
2017年当時は、カローラが採用されていました。ポリスカーとして求められる走行性能をはじめ、取り回しの良さや燃費はいうまでもありません。セダンタイプということもあり犯人などの送致にも使える使い勝手の良さも採用の決め手となっているのではないでしょうか。
しかし2024年にはヒュンダイ Tucsonが導入されることが決定されています。搭載される機能としては車両識別機能や、本部と連動する全方位カメラの搭載など、ポリスカーとしての機能が設定されるようです。
中東
オイルマネーに沸く中東の中でも、『UAE』がポリスカーとして採用する車種は、何かと話題になり注目を集めています。ハイパーフォーマンスカーを導入している目的は市民や観光客に対して友好的であることをPRしているというもの。
しかし実際に犯罪が起きた時には、実用性のある車両を用いて任務に当たっているということです。
ドバイ
スーパーカーが増加している背景には、市民とメディアからの肯定的なフィードバックによるものであり、ドバイ市民からの支持により導入されているもののようです。
今までにはブガッティ ベイロンや日産 GT-R、フェラーリ FF、アストンマーティン One-77、ランボルギーニ アベンタドールなど名だたるスポーツカーを導入しています。そんなドバイが2021年3月に新たなスポーツカーを導入しました。
トヨタ GRスープラ RZ
3Lの直列6気筒ツインスクロールターボエンジン搭載。19インチのアルミホイールを装着した白にグリーンのドバイ警察車両を象徴するカラーリングが施されています。特別なチューニングはないノーマルですが、最高時速250㎞/hのハイパフォーマンスモデルです。
アフリカ
タンザニア
タンザニアの警察署にはパトカーがありませんでした。そのため警察官の行動範囲が狭められ、パトロールもままなりません。そこにやってきたのは、トヨタ ノアの中古車です。パトロールだけでなく、子どもや村人の足となり、暮らしに役立っているようです。
オセアニア
太平洋地域を指しており、オーストラリア、ニュージーランドのほかポリネシアなどを含む地域のこと。自動車産業が盛んではない土地ではどのようなポリスカーが使用されているのでしょうか。オーストラリアについてご紹介しましょう。
オーストラリア
オーストラリアにあった自動車メーカーの工場は次々と撤退していきました。2013年にはアメリカ『ゼネラルモーターズ』、そして2017年には『トヨタ自動車』が最後に生産の中止が発表されています。
オーストラリア警察では、連邦警察と州などが運営する地方警察に分かれており、組織によってさまざまな車種が採用されてきています。ホールデン コモドアやフォード ファルコンを使用している警察が多いようです。
シビック TYPE R
ウェールズ州ではタイプRのポリスカーが登場しています。ホンダとのスポンサーシップの一環として1年間に渡り提供が決定しています。
白い車体にブルーの市松模様に赤のラインが引き締まった印象のポリスカーは、実際に追跡用として使用されることはないようです。
地元警察と市民の繋がりを深めるために、オーストラリアの各地で行われるさまざまなイベントで活躍することが決定しています。
まとめ
世界各国のポリスカーは、やはり自国の自動車メーカーを使用することが多くなっているようです。しかし日本が誇る自動車産業は、確実に海外にも浸透しており、ポリスカーとしての信用も得ています。
警察の役割を超えて市民との距離を近づけるためには、通常任務を果たす車両のほかにPRをする車両が重要なのかもしれません。ポリスカーはさまざまな車種が使用されており、国柄を表す個性があります。今後どのような車種が使用されていくのか期待が膨らみます。