コラム | 2021.06.19
世界一の記録を成し遂げたスゴイ車たちをご紹介!
Posted by KAKO MIRAI
世の中にはさまざまな形で世界一の称号を手に入れた車たちがあります。高価な車や速い車といった毎年のように塗り替えられる記録から、何年も破られていないものまで。そんな車にまつわる世界一を、市販車に焦点をあててご紹介していきます。
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世界一速い車:「シェルビー・スーパーカーズ・トゥアタラ」
市販車の世界記録は、現在2020年10月19日にアメリカの『SSCノースアメリカ社』が販売するトゥアタラが508.73㎞を計測し、記録を更新しています。2017年にケーニグセグ アゲーラが447.19km/hを記録。その後ブガッティ シロンSS300+が490.49Km/hと更新されていました。
トゥアタラが計測を行ったのは、アゲーラが計測を行った、ラスベガスにある州道160号線です。世界最高速記録が認定されるためには条件があります。
・顧客が購入できる市販車であること
・ストリートタイヤを用いること
・非レース燃料の使用
・サーキットや滑走路などではなく、公道で行われること
・GPS計測システムで速度を追跡すること
・2人の公認オブザーバーの立会いが必要
・同じルートを往復走行し、最高速の平均を取る
ではあまり聞き馴染みのないトゥアタラとはどんな車なのでしょうか。詳しくご紹介していきましょう。車名はニュージーランドに住む「ムカシトカゲ」の名前に由来しています。2011年にコンセプトカーとして発表されており、アルティメット エアロの後継モデル。
コンセプトカー当時には7Lあった排気量を5.9Lに縮小し、V型8気筒のガソリンツインターボエンジン。トランスミッションは7速MTを組み合わせています。通常ガソリンで1,350ps、レース用ガソリンでは1,750psをたたき出す、モンスターマシンです。
車両重量はフルカーボンを使用しており1,247kgと非常に軽く、1馬力で支えている車の重さであるパワーウェイトレシオは0.92kg/PS。自動車業界で初めて1kg/PSを出したケーニグセグOne:1よりもさらに高い加速能力を示し、実際に最高速記録を樹立したことになります。
デザインは曲面で構成された滑らかなラインで、フェラーリやマセラティのデザインを手がけたことのあるデザイナーによるもの。最高速度の伸びを重視したデザイン性が採用されているようです。
全長4,430mm、全幅1,991mm、全高1,092mmと最近の車の中では小ぶりなサイズ感といえるでしょう。エンジンルームはガラス越しに見ることができ、フェラーリやランボルギーニ アベンタドールを思わせ、テンションが上がります。
コンディション次第では、もっと早く走ることも可能だったといわれており、最高速を競うハイパーカーに上限はないのかもしれません。
世界一高価な車:「ブガッティ・ディーヴォ」
市販車の位置づけで見る世界一高価な車はブガッティ シロンの派生モデルとして誕生したディーヴォになるでしょう。価格は500万ユーロ、日本円にして約6億2600万円。2018年8月に世界限定モデルとして40台の限定生産が行われ、記録的な速さで完売しました。
シロン派生モデルであるだけに共有する部分は多いものの、専用デザインが採用されており、シロンとは異なるエクステリアになっています。エアロダイナミクス性能を向上させ、空力を高めたデザインがさらに存在感を高めているようです。
新設計されたフロントスポイラーは、ダウンフォースを高め冷却性能に優れています。リアスポイラーも新たに採用されたデザインで、シロンよりも幅広なサイズで、フロント同様のダウンフォースを高めた設計となりました。
特徴的なリアは3Dプリントで製造されたテールライトが装着されています。リアグリルと一体設計となっており、合計44個のフィンガテールライトの役割を果たすという独特のデザイン性が際立っているようです。
パワートレインはシロンと同様となっており8LのW型16気筒 4ターボエンジンを搭載。最高出力1500psでスペック的にも変わりはありません。しかし軽量化されたボディで、シロンよりも34kg軽い1,961kgしかありません。
ハイスペック過ぎて想像の域でしかないディーヴォは、まさに夢の車ということができるのではないでしょうか。
世界一車高が低い車
車高が低い車といえば、ワンオフやコンセプトカーを入れると、フラットモービルの480mmなどという驚異的な低さの車もあるようです。では、市販車で見てみると、往年の名車ランボルギーニ・ミウラ P400SVが最も低い車高といえるでしょう。その車高、わずか1,050mm。
2シーターミッドシップスーパーカーで、ミウラという名前は伝説の闘牛牧場から命名されています。175年前に設立されたスペインで最も古いこの牧場に、ランボルギーニの創設者フェルッチオ・ランボルギーニが訪れたのは1966年のことでした。
現在のミウラ牧場を経営している息子たちの父に当たるドン・エドゥアルド・ミウラと出会ったことがきっかけとなり、スーパーカーが誕生することになったのです。ドアをあけ放ったミウラは、まさに闘牛そのもの。
1965年に出展した『トリノ・オートショー』ではシャーシとエンジンのみでボディも名前もない状態でした。その1年後に『ジュネーヴ・モーターショー』に登場したミウラは、流線型の斬新なデザイン性で人々を魅了します。
これをきっかけとして、闘牛にちなんだ車名が取り入れられるようになりました。発売当初は爆音の排気音と熱気が運転席を直撃するという、まさに荒々しい闘牛のような車。それから幾度となく変更を繰り返し1968年にはP400Sが登場し、1971年にはP400SVが誕生。
SVは「スピント・ヴェローチェ」のことで、「より速い車にチューンされた」という意味を持つ言葉です。キャブレターが変更され、リアサスペンションは強化され、トレッドがフロント1,410mmリア1,540mmになりました。
リアタイヤを大きくしたことで、ワイドフェンダーなボディで、闘牛らしい戦闘力を備えた攻撃的な雰囲気を醸し出しています。パワーユニットは水冷V型12気筒DOHCのミッドシップ。3,929㏄の排気量で、最高出力は385hpとなっておりP400Sの370hpを上回りました。
ミウラの完成度を最大限に高めたP400SVは、約150台が生産され、1973年に最後の車体番号「4822」で終了を迎えています。ミウラシリーズとしての生産台数は注文生産を含み、900台に達しました。
世界一長い車「ロールス・ロイス・ファントム エクステンデッド」
ちなみに国産車の中で一番長い車は、2代目トヨタのフラッグシップセダンのセンチェリーです。全長は5,270mmあり、企業や公官庁の企業用や公用車として開発された車。つまり後席に十分な余裕を持った作りとなっています。
さて、世界で見てみると、もっと長い車が存在しています。それは英国を代表するロールス・ロイス・ファントム エクステンデッド。この車、なんと5,990mmと圧倒的な存在感といえるでしょう。
ファントムが誕生したのは1925年のこと。現在8代目を迎える歴史ある車です。1931年から1998年までロールス・ロイスはベントレーと同一の企業でした。その後買収されることになるのですが、フォルクスワーゲンとBMWが名乗りを上げ激しい攻防戦が繰り広げられます。
その結果旧ロールス・ロイスとベントレーの本体会社をフォルクスワーゲン社が買収しますが、BMWがロールス・ロイスの商標権を受け取ることに成功。つまりフォルクスワーゲン社は、工場や熟練工、架装技術に至るまで受け継いだのは、フォルクスワーゲンということになります。
ロールス・ロイスがBMWの傘下になり、最初に手掛けたのが、2003年に誕生したファントムです。このモデルは2016年に生産が終了しています。またBMWグループになる前から数えると、初代は1925年。2017年に新型ファントムが登場しており、BMWとしては2代目、初代から数えると8代目ということができるでしょう。
ロールス・ロイスといえば「マジックカーペットライド」といわれる魔法の絨毯の乗り心地が特徴です。新型ファントムではアルミ構造を採用し、軽量かつ剛性を30%引き上げることに成功。乗り心地をさらに高めているといえます。
パワートレインはV型12気筒のガソリンエンジンで、NAからツインターボに変更されました。最大出力571hpを発揮。低回転域から得も言われぬ優雅なトルク感で、世界でも有数の、完璧を追求した車といわれていることも頷けるのではないでしょうか。
ロールス・ロイスは他にも世界で最も静かであるといわれており、130kgの遮音材が装備されています。またロードノイズを吸収するため、タイヤメーカーとの協力でタイヤ内部にノイズ消失の為の素材を挿入するという徹底ぶり。
全てにおいてラグジュアリーカーという言葉でオーナーをエスコートしてくれる車こそ、ロールス・ロイスエクステンデッドなのでしょう。
まとめ
世界一にもさまざまな分野があり、常に記録を競いながら塗り替えられていくものもあれば、幼い頃に慣れ親しんだスーパーカーが未だ君臨しているというものまでさまざまです。
今後も更なる車の進化に伴い、歴史は変化していきます。
その進化を車と共に見守っていくことも、また楽しみなことではないでしょうか。
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