買取相場 | 2022.12.23
モデルチェンジで人気爆発!本格派オフローダー、ジムニー シエラの買取相場は?
Posted by UruCar
世界最強クラスのオフローダーを何台か選べと言われれば、必ずランドクルーザーとともに名前が上がる小さな巨人、ジムニー。 ジムニーシエラは根本的には日本固有の軽規格である660ccターボのライトオフローダーですが、災害時にも遺憾なく性能を発揮する本格派であることに目をつけた海外市場が放っておくはずもなく、輸出向けに排気量拡大、泥土路に噛みつく大きなタイヤが装着可能なワイドフェンダーで武装された“国際規格”のモデルが、古くから投入されています。 今回ご紹介するのは、ジムニー シエラ。 中古車買取市場ではどのような評価を受けているのでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
更新履歴
2022年12月の相場で記事を更新しました。
SUMMARY
ジムニー シエラの中古市場での人気について
1970年に発売されたスズキ ジムニーに、初めて“国際規格”の小型車版が登場したのは1977年、ジムニー8から。
まだ“ヨンク”をファッション感覚で乗り回すRV(レクリエーショナル・ビークル)という概念が生まれてなかったからか、日本における反応は薄かったものの、海外からのリクエストを受けてジムニー1000、ジムニー1300といった“国際仕様ジムニー”が断続的に販売されていました。
そんなジムニー シエラの状況が大きく変わったのは1993年。1.3リッター・エンジンを搭載する北米仕様のサムライを右ハンドル化、オーバーフェンダーはもちろんワイドトレッド化、ギア比の最適化などなど、日本市場にもマッチする詳細が与えられ、名もオーストラリア仕様のジムニー シエラとなり、現在まで定番小型オフローダーとして根強い人気に支えられています。
1998年1月には本家に先立ち、軽規格改定による全面改良を先取りしたモデルチェンジを敢行してジムニー ワイドに一時改名、しかし2年ほどで再びジムニー シエラに戻り、以後は2018年7月ジムニー/ジムニー シエラ同時にモデルチェンジ、今へと至るのでした。
維持費の安い軽のジムニーがあるのに、なぜわざわざ小型車版のジムニーシエラがあるの? と思う人は多いかもしれません。たしかにボディそのものはジムニー シエラでもジムニーと変わらず、車内スペースや使い勝手の面でもジムニー シエラだから、という特別なポイントはありません。
しかし、走りに関わる部分となると、俄然大きいことで軽自動車規格の制約を受けない強みを発揮するのが、ジムニー シエラなのです!!
軽自動車規格の寸法にとらわれず、思い通りのモディファイを施したい。そう願うヘヴィユーザーにとって、最初からワイドトレッドで小型車登録、改造申請さえ通れば拡幅しても車高2mを超えても通用する1台、それすなわちジムニー シエラこそがベストチョイスだったのです。
こうした、自在なモディファイ性の深さを求めるヘヴィユーザーはもとより、高速巡航性能で大排気量自然吸気エンジン(といっても1.3~1.5リッター)の恩恵による疲労感の低減に代表される、たしかなメリットがジムニー シエラにはあり、中古車市場での人気を支えています。
買取査定額が期待できるジムニー シエラのグレード
ジムニー シエラのラインアップは非常に単純明快。初代から2代目までのG13B、2代目はM13Aという1.3リッター・ガソリンに、5MTか4AT(初代は3AT)を組み合わせたベースグレード、もしくは豪華装備グレードや特別仕様車が設定されていました。
初代はエルク、2代目はワイルドウインド、ランドベンチャー、クロスアドベンチャー。特別仕様車の充実ぶりも人気に拍車をかける傾向があり、いまだに根強い人気を保っているようです(エルクのみ初代末期にカタログモデル化)。
1.5リッターのK15Bガソリンエンジンに5MT/ 4ATを搭載した3代目になって、廉価版のJL、上級版JCと2グレードに分かれ、JLに衝突被害軽減ブレーキなどを追加したスズキセーフティサポート装着車が設定されましたが、基本的には内外装の細かい相違や装備面の違い程度という点は変わりありません。
市場での高額買取という意味では、希少価値が高い分だけやや特別仕様車がリードしますが、もともとジムニー シエラ自体がどうしても小型車ベースでないと困る、というかなりニッチな需要を想定した車ゆえ、ベースグレードでもそんなに買取金額に差がないというのが実情です。
まだそれほど明らかな差は出てきていませんが、ジムニー同様にランドベンチャーやクロスアドベンチャー、ワイルドウインドといった、特別仕様車の方が値落ちしにくくなる傾向が出てきています。ジムニーの例を見るかぎり特別仕様車は6年落ち程度まで比較的価値が落ちにくいものの、ベースグレードの方は急速に査定額が低くなっていく傾向にあります。
もっとも、オーバーフェンダーの無骨さや排気量強化で強靱化された3代目では、発売当初に生産数の少なさから納期の長さが話題になるなど、2代目までとはちょっと異なる意味での人気が出たため、グレード間で今後は買取額に差が出てくるかもしれません。
買取査定額が期待できるジムニーシエラのカラー
本格オフローダーであるジムニーはオフロード走行ファンによる趣味車、実用性が最重要視される1台だけに、冠婚葬祭やフォーマルな場面が意識されがちな乗用車とはまったく異なり、ボディカラーによる価格差はさほど気になりません。
むしろ“本格ヨンク”らしさを引き出す緑、銀、紺色といったアーシーな車体色が高額買取上位に並んでおり、ジムニー シエラに関してはボディカラーによる買取価格の変動はそれほど意識しなくてもよさそうです。
1年落ちジムニーシエラ(2021年式)の目安査定額
1年落ち2021年式ジムニーシエラは、2018年7月から販売している現行型の3年目モデルで、2019年10月に消費税増税(8%→10%)に伴う車両価格の改定が行われたほか、発売時から多いな変更はありませんでした。
2021年10月には小改良が行われ、JLグレードのスズキセーフティサポート非装着車にもオートライトを採用、4AT車にアイドリングストップを追加しています。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2022年12月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
JL:新車203万円/買取価格188万円程度
JLスズキセーフティサポート装着車:新車208万円/買取価格181万円程度
JC:新車222万円/買取価格208万円程度
平均買取価格:約192万円
平均残価率:約91%
3年落ちジムニーシエラ(2019年式)の目安査定額
3年落ち2019年式ジムニーシエラは、2018年7月から販売している現行型の1年目モデルで、発売時からの大きな変更はなく、2019年10月に消費税増税(8%→10%)に伴う車両価格の改定が行われた程度です。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2022年12月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
JL:新車201万円/買取価格165万円程度
JLスズキセーフティサポート装着車:新車205万円/買取価格172万円程度
JC:新車219万円/買取価格205万円程度
平均買取価格:約181万円
平均残価率:約87%
5年落ちジムニーシエラ(2017年式)の目安査定額
5年落ち2017年式ジムニー シエラは、2014年8月の改良でメーターやシート表皮のデザイン変更、横滑り防止装置とトラクションコントロールの搭載といった変更を最後に、これといった改良や特別仕様車の追加はありません。そのため査定額は装備やデザインの新旧より、純粋に走行距離や車体程度の問題のみ。
2022年12月現在での2017年式ジムニーシエラ、オプション込みでおおよその新車価格」平均買取相場は以下のようになります。
以前(2019年8月時点)から比較すると若干安くなり、平均残価率も51%から45%へと低下。2018年7月に発売された現行型の需要が落ち着き、買取市場へ流れ出す量が増えるにつれて、旧型の買取査定が次第に渋くなっていくのは間違いないでしょう。
6年落ちともなると価値の下落は3年落ちより大きく、3ヶ月前(2019年8月時点)は40%以上だったクロスアドベンチャーの平均残価率も36%まで下がりました。が、走行距離3万km台が70万以上で買い取られた例もあるため、年間走行距離が5,000km程度なら十分に高価買取にも希望がもてるはずです。
ベースグレード(5MT/4AT) | 新車181万円/買取実績なし |
ランドベンチャー(5MT/4AT) | 新車200万円/買取価格68万円程度 |
9年落ちジムニー シエラ(2013年式)の目安査定額
9年落ち2013年式ジムニー シエラは2012年5月、フロントグリルなど専用内外装が施された特別仕様車クロスアドベンチャーが設定されたほか、ボンネットの高さを変更して衝突時歩行者保護能力を向上、後席シートへISFIX対応チャイルドシート固定用アンカー追加など、やや大掛かりな改良が施されれました。
2022年12月現在での2013年式のオプション込みでおおよその新車価格と、平均買取相場は以下のようになります。
ベースグレード(5MT/4AT) | 新車181万円/買取価格45万円程度 |
クロスアドベンチャー(5MT/4AT) | 新車189万円/買取価格80万円程度 |
12年落ちジムニー シエラ(2010年式)の目安査定額
12年落ち2010年式は2009年4月に発売された特別仕様車のランドベンチャー、同2010年4月と9月にクロスアドベンチャーが発売されるなど、特別仕様車の発売が多かった時期です。
車両本体の仕様は2004年10月の改良でパートタイム4WDのHI-LO切り替えがレバー式からスイッチ式のドライブアクション4×4が設定されたほか、大きな変更はありません。
2022年12月現在、12年落ちジムニーシエラのオプション込みでおおよその新車価格と、平均買取相場は以下のようになります。
やはり、前回(2019年8月時点)より買取価格平均[29万円→26万円]、平均残価率[16%→14%]と下がり気味です。現行型が順調なセールスを続けている一方、先代ジムニーを所有するユーザーで手放すことを検討しているならば、なるべく早めに買い取り査定へ出すのが望ましい状況だといえます。
ベースグレード(5MT/4AT) | 新車181万円/買取価格19万円程度 |
ランドベンチャー(5MT/4AT) | 新車188万円/買取記録なし |
クロスアドベンチャー(5MT/4AT) | 新車188万円に対し買取価格32万円程度 |
事故車・修復歴ありのジムニー シエラの場合は?
ジムニー シエラの事故車買取事例をみていくと、まだ新しい3代目の実績は見当たらないものの、初代と2代目の買取価格は3~12万円となり、平均買取価格は7万円程度。通常の買取価格からすると半分以下のため、いかに本格オフローダーといえど満足な姿で走れるジムニー シエラであることが求められている様子です。
ジムニー シエラの残価率・リセールバリューは?
ジムニー シエラの残価率は2年落ちで平均51%程度と、絶対的な需要が少ないわりには並の乗用車とそう変わりなく、買取価格もベースグレード/特別仕様車を問わず83~114万円となかなかに安定しています。
これは3代目ジムニー シエラで小型車版ジムニーの人気が高まった影響もありそうで、比較的新しいジムニー シエラのユーザーが、3代目や他車種へ乗り換える際の原資にするには、今はなかなかいいタイミングかもしれません。
6年落ちでも平均残価率34%で平均買取価格63万円程度、9年落ちでも平均残価率16%に平均買取価格29万円と、よほど過走行でもない限り年式の割に値段がついており、売却を検討しているジムニー シエラのユーザーにとっては追い風が吹いている状況といえるでしょう。
ジムニーシエラ初心者が抱えがちな不満点
どうせコンパクトカーを買うなら、とびきり個性的でタフな車を買おうと、ダイハツ・ロッキーやトヨタ・C-HR、ホンダ・ジェイドよりも、スズキ・ジムニーシエラを購入したユーザーには、以下のような不満点があるかと思います。
・車内が軽自動車かと思うくらい狭い(※ボディは軽自動車版ジムニーと同一です)。
・ジムニーと同じボディなのに燃費がさらに悪い(WLTCモード燃費15.0km/L)。
・小回りが効かない(※でも最小回転半径4.9mはロッキーやC-HR、ジェイドより小さい)。
・ジムニーより税金が高い(軽自動車税10,800円に対し自動車税34,500円)。
・5ドアが主流のなか、3ドアで後席へアクセスしにくい。
・同クラスコンパクトSUVより乗り心地が悪く荷室も狭い、乗車定員も4名。
・最新モデルの新車は納期が2年と非常に長く、中古車市場でもプレミア価格。
基本的にジムニーシエラは軽自動車のジムニーへワイドフェンダーを追加し、より太いタイヤを履けるようにした輸出仕様と同格の1台。
それゆえジムニーに比べ燃費や税金など経済的にはやはり負担が大きくなるうえに、3ドアならではの不便性や、軽自動車ベースなゆえ乗車定員も同じく4人と、どうも普通の車のようにはいかない、と考えてしまうユーザーも少なくないことでしょう。
それでも軽自動車のジムニーへ大排気量の1.5リッターエンジンを搭載し、よりパワフルな本格オフローダーということで大人気。それゆえ、スズキの想定をはるかに超えるオーダーが集まり納期が2年以上かかり、多少の不満があるのは承知で欲しい!というユーザーにとっては、この納期待ちが最大の不満点になっているでしょう。
それでもなお、中古車を購入したいライト層にもジムニーシエラをオススメしたい理由
しかし、ジムニー同様にハシゴ型フレームへサスペンションやエンジンをマウントし、そのうえにボディを載せたラダーフレーム式の構造はライバル車のモノコック式より非常に頑丈で、それに匹敵するタフさを持った国産車は、もはやトヨタ・ランドクルーザーくらいしかありません。
ジムニーよりワイドフェンダーな分だけ太いタイヤを履き、トレッド(左右タイヤ間)も広くて安定性に優れ、ターボこそないものの2倍以上の排気量を持つ1.5リッターエンジンを搭載(先代でも1.3リッターエンジン)してミッションのギアもそれに合わせているため、特に低速・低回転時の粘り強さなどはジムニーに勝ります(高速巡航時のギアは同じなので同格)。
いずれジムニーにハマって、本格オフロード向きのカスタマイズをしたい時も軽自動車枠にとらわれない自由な発想が可能なのもメリットで、あえてジムニーシエラを選ぶ理由は旧型以前でも十分にあったのです。
そうしたメリットが評価されたこともあってか、2018年7月にジムニーと同時モデルチェンジされたジムニーシエラは目標販売台数を大きく上回る注文を集めた一方、本来はジムニー以上にユーザーが限られる特殊な車のため国内向け生産は少なく、今注文しても2年はかかると言われる膨大な納車待ちを抱えてしまいました。
おかげで現行モデルは中古車ですら新車価格179.3~205.7万円のところ、ノーマル車でも191~299.9万円というプレミア価格で販売されているほどになってしまいましたが、先代や先々代のジムニーシエラなら、特別仕様車のランドベンチャーやリフトアップなどカスタマイズを受けた車でも19.8~198万円とコスパ高く購入できます。
現行モデルになってデザインが変わり、「衝突被害軽減ブレーキ」など若干の最新安全装備は搭載されたものの、ジムニーシエラ最大の魅力で世界が認めたタフな本格オフロード4WDでありながらコンパクト、という特性は全く変わりませんから、軽自動車ではない輸出仕様と同じジムニーがほしい!というユーザーならば、この先に現行モデルの大量バックオーダーが解消される日が来るまで、中古車での購入も積極的に検討するべきです。