カスタム・アフターパーツ | 2022.04.02
エンジンオイル、どのタイミングで交換していますか?エンジンオイルの点検方法は
Posted by 菅野 直人
自動車のエンジンを動かす上で、潤滑、冷却、密封、防錆(ぼうせい、サビ止め)、洗浄と重要な役割を果たす「エンジンオイル」は欠かせません。また、劣化したり消耗すれば交換しないと、エンジンの寿命が短くなり、最悪は走行中にエンジンブローして壊れてしまいます。 ならば、どんなタイミングで交換するべきなのか、点検方法を説明しましょう。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
昔のガソスタの定番「エンジンオイルが汚れてます!」
今はセルフ式スタンドを利用する方が大半だと思いますから、そんな光景は見たこともない…という人が多いかもしれません。
昔のガソリンスタンドは店員がやたらといるフルサービス式で、給油位置で止まると店員が飛んできて、給油するだけでなく窓を拭き、灰皿に吸い殻があれば交換し、さらには洗車しませんか、エンジンルームを点検しませんかと、まあ賑やかなものでした。
中には敷地へ入ってくる車に駆け寄り、「入ってくる時にタイヤが歪んでました!パンクしてるかもしれません!」と言い出す店員までいましたが、給油以外のサービスで儲けないと人件費が大変ですから、スタンド側も必死だったのです。
そのような時代の定番が、エンジンルームを点検していた店員が驚いたような表情を浮かべ、何事かと不安に思った客へエンジンオイル点検用のレベルゲージと、オイルが付着した布を差し出し、「ほら、エンジンオイルがこんな汚れています!交換しませんか?」。
場合によっては、さっき交換したばかりのエンジンオイルで同じことを言われるので、「ああ、つまり営業トークなんだね。」と気づいて大人になっていくのですが、知らずに言われるままエンジンオイルを交換していた人も、少なくないでしょう。
今やスタンドでセルフ式給油機を動かしていても、寄ってくる店員はせいぜい給油がオトクなクレジットカードや、お客を囲い込むためのSNSアカウント紹介をしてくるくらいなので、時々昔が懐かしくなります。
素人にできる点検方法は?
誰も点検しないし交換もオススメしないうえ、ディーラーにも馴染みがないため、車検以外は点検に出さず、エンジンオイルもたぶん車検の時に交換しているのだろう…くらいなユーザーもいると思います。
しかし、いくらエンジンオイルや燃料の性能が上がり、エンジンの燃焼性能も上がって不完全燃焼のススで汚れにくくなったとはいっても、2年~3年に1回の交換ではエンジンオイルも劣化してしまい、エンジンの寿命や性能(パワーや燃費)によくありません。
点検そのものは簡単なので、本来であれば、始動前点検として運転前に毎回必要なところですが、現実的には頻繁に乗るのであれば週1回、そうでなくとも月1回程度は点検しましょう。
国産右ハンドル車の場合、大抵はハンドルの右下、膝のあたりにあるレバーやツマミを引いてボンネットを開け、エンジンを止めた状態でオイルレベルゲージを引き抜きます。
レベルゲージは比較的新しい車であれば、黄色などわかりやすい色で取っ手もついており、そうでない場合は、車の説明書を見て確認することになりますが、引き抜いたらボロ布か使い捨ての紙でゲージ先端を拭き取り、再び引き抜いて目視確認。
この時に見るのは、エンジンオイルの量で、親切な車であれば「F(FULL・上限)」や「L(LOW・下限)」とゲージに刻印されており、そうでない車は溝や切り欠きで上下がわかるようになっています。
レベルゲージに付着したオイルが上限と下限の間にあればOKですが、長らく交換していなかったり、古いエンジンだと比較的早くオイルが燃料と一緒に燃焼するため、オイルが下限以下になっている場合もあり、そういう状態だと即交換。
上限以上になるケースは通常なら考えにくいのですが、エンジンが動いたままだとか、止めたばかりでまだ熱い状態だとありがちなので、止めて少し冷ましましょう。ポイントは、なるべく同じくらいの温度で点検することです。
なお、エンジンオイルの量はこれで点検できますが、色については素人が見ても大抵、「黒か、黒っぽい茶色」にしか見えず、色で劣化の判断は困難と思って構いません。何しろ、エンジンオイルにはエンジン内部の洗浄という役割もあるため、交換してすぐでも黒くなるのが当たり前だからです。
目視で劣化の識別が困難なら…交換の目安
一応、レベルゲージに付着したエンジンオイルを、ティッシュペーパーでもよいので、紙に落としたり塗ったりすると、中心は黒いままで、周りにジワリとオイルが染み込んでいきます。
この染み込んだオイルが茶色であれば、中心の黒は洗浄したエンジン内部の汚れに過ぎず、オイルそのものはまだ新しいと判断できますし、染み込んでも黒いままなら、オイルそのものが汚れきって、性能が相当劣化している状態です。
ただ、「交換前のオイルの色を見て覚えていれば」の話ですから、普通はそれで判断などつきません。確実なのは、「走行距離」と「交換からの時間」です。あくまで、通勤や旅行などである程度の距離を一定の速度で走るような普通の使い方をした場合の一般論ですが、以下がひとつの目安となります。
普通の車:走行距離1万km〜1.5万km、または前回の交換から半年。
高性能スポーツタイプの高回転エンジンまたはターボエンジン:5,000kmまたは3ヶ月。
さらに、普通の使い方ではなく、5分程度の距離を買い物に出かけてはまた帰ってくるなど、エンジンが十分に暖まるヒマもなく、始動、走行、停止を毎日繰り返すなど、「シビアコンディション」と言われる使い方だと、上記の半分以下になると思ってください。
意外とアテになる、「ユーザーの直感」
ただ、実際には使用環境、エンジンオイルの種類によっても変わってきます。
筆者の場合、過去に超高回転型ターボエンジン車でジムカーナ競技会に参戦していましたが、ある時ちょっと金欠で安いエンジンオイルを使ったところ、1分少々の全開走行を2回走っただけで、エンジンが聞いたこともないようなザラついた音を発しました。
いわゆる「オイルが終わった」状態で、察するに潤滑や冷却といった性能を発揮できなくなっていると考え、すぐに高価な高性能オイルへ交換したところ、異音がウソのように消えたのです。
このように、走行距離や前回交換からの時間はあくまで「目安」であり、「何となくいつもとエンジンの音が違うような気がする」というのも、愛車に慣れた皆さんにとっては十分な車からのサインですから、多少間隔が短かろうと、オイル交換してしまうのをオススメします。
そのためにも、時々は車内でオーディオを切り、エンジン音を聞いて「愛車との対話」を心がけましょう。