カスタム・アフターパーツ | 2021.07.08

車の全塗装を自分でする?!手順や注意点、目安費用は?

Posted by 菅野 直人

普通の人はあまりしないと思いますが、「DIYで全塗装をしてみよう」というユーザーは皆無ではありません。だいぶ年式がたって塗装のくたびれた車、そのまま査定に出してもゼロ査定は目に見えているし、どうせなら「お化粧直し」をやってみるか!と思うならば、手順を紹介します。

以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

大前提!!DIY全塗装は、メーカーはおろか鈑金塗装業者よりだいぶ品質は落ちる

最初に書いておきますが、ユーザーがDIYでできる全塗装の品質など、たかが知れているため、高度な技術で新車塗装を行うメーカーはおろか、塗装の焼付など専門設備が充実した鈑金塗装業者に及ぶような仕上がりは不可能で、「とにかく素人でも塗れば新車の輝きが蘇る!」ようなことは、最初から期待しないでください。

そもそも、専門業者による全塗装でさえ、メーカーの新車塗装には全く及ばないくらいで、よほどの希少車を全部バラして中の細部まで塗装を行う「レストア」まで行えば、かえって価値が上がることはあっても、そうした特殊な事例を除いてユーザーのDIY全塗装は、間違いなくその車の価値を落とします。

もちろんユーザーがそれでも自分で塗装したのだからと満足するのであれば良いのですが、後々売却する予定の車で、しかもまだ買取り査定で値段がつくような車であれば、DIY塗装よりも新車塗装がいくらかでも復活するような磨き作業をDIYで行った方が、はるかにマシです。

さらに塗装の耐候性も期待できず、洗車機などにかけると、塗装がボロボロになるケースもあるため、オフロード車でワイルドにマット塗装をしよう!であるとか、イベント向けに古い実用車をペンキでハケ塗りしてウケ狙いといった軽いノリ以外では、あまりオススメできるものではありません。

この大前提をまず理解していただいた上で、手順です。

手順その1:作業場所と用具の準備

まず必要なのは、塗料や用具以前に「風でホコリやゴミなどが舞い込まない塗装ブースの準備」です。

プラモデルの塗装でも最初に経験しておけばわかりますが、とにかく塗装は下地も含め、乾くまでにホコリやゴミが付着すれば、そこを削ってまたやり直しになります(気にしないなら別ですが)。

できれば小屋や密閉可能なガレージで、車を入れても周囲にある程度のスペースがある場所を選び、風の通る穴などあれば塞いで、出入り口だけは仕方がないため、基本は車の周囲へカーテン状の膜で覆って、とにかくクリーンなスペースを作ります。

そこまでやっても、作業場所自体がホコリの温床であれば無意味なため、まずキレイに掃除するのは大前提。

たぶん、この時点で「そんな場所を確保するなんて無理!」という人は多いと思うので、この時点であきらめて引き返しましょう。

場所を確保したら、塗料や下ごしらえのプラサフ、磨きのための耐水ペーパー、さらにどのみちエンジンを下ろしたりボディをバラしての本格全塗装は無理なため、ガラスや灯火類など、塗料などは付着しては困る部分のマスキング材をこれでもかと大量に買い込みます。

慣れない作業でやり直しは最初から折り込み、「計算上はこれくらいあれば良いはず」と考えないのがポイントです。

手順その2:デカールやエンブレムは剥がし、必要なら新品を入手しておく

塗装で見逃せないのが、純正のデカール類やエンブレムです。

もちろん、「仕上がりはデカールもエンブレムも何もない状態にする」と考えているのであれば、普通にカー用品店などで販売している剥がし材などを使って剥がしてしまえば良いのですが、それらも含めて仕上がりとするのであれば、手間がかかります。

エンブレムは塗装が傷んでいるくらいですから、メッキや金属なら磨き直したり、欠けているなら新品がなければ中古で入手するしかありません。

古い車なら「TURBO」など車の個性にもなる純正デカール類は、メーカーに在庫があれば可能な限り取り寄せ、ない場合は中古の流通などはまず期待できないため、施工前の車をデジカメで撮影するか、既にデカールがボロボロであれば、同じ車を所有しているユーザーへ頼んで画像を撮らせてもらうなり、送ってもらうなりで元データを確保し、耐候性の高いステッカーやデカールをつくることができる業者へ注文しましょう。

手順その3:洗車とマスキング、塗装面の研磨と脱脂

次に、車自体から余計なゴミやホコリを出さないため入念に洗車し、ガラス面や灯火類など塗装が付着して困るような場所にマスキングを施してください。

ガラスなど面積の広い部分は、枠にマスキングテープを貼って大まかな部分は新聞紙の重ね張りでも良いですが、逆に細かい部分は、プラモデル用のもある液体マスキングなどをうまく使いましょう。

そこまでできたら、いよいよ塗装の下準備ということで、塗装するボディ表面を耐水ペーパーで軽く研磨し、塗装の下地となるプラサフがしっかり食いつくようにします。

同じくプラサフの食いつきをよくするように、研磨した表面はシリコンオフと呼ばれる脱脂剤で、しっかり脱脂してください。

手順その4:プラサフの塗布と換装、研磨

DIY塗装で塗装の下準備にもっとも重要な、下地と塗料の密着性を確保する「プライマー」と、塗装の細かなスキマを埋めたり、発色を良くする「サフェイサー」の役割を兼ねる「プラサフ」を塗ってください(プライマーとサフェイサーをそれぞれ塗っても可)。

この時、下地が見えなくなるまでしっかり分厚く塗るのがポイントで、塗装のための材料を買う時に「これでもかと余分に買っておくべし」というアドバイスが生きてきます。

うっすらとでも下地が見えなくなったら、1000番程度の耐水ペーパーで表面がツルツルになるように仕上げ、スプレーによるダスト(出っ張り)や傷が目立つようなことがないようにしてください。

場合によっては、ここでプラサフ面のエクボなどヘコミを見つけてしまうかもしれませんが、深い場合は塗り足し、薄い場合は傷と思って研磨してしまいましょう。

手順その5:いよいよ塗装とクリア、ボカシ剤の塗布

プラサフの研磨まで終えれば、いよいよ本格的に塗装です。

本当であれば、塗装業者ばりにスプレーガンを使って焼き付け塗装といきたいところですが、そのような設備を揃えるのであれば、最初から業者に頼んだ方が良いですし、DIYの場合は、缶スプレーを失敗によるやり直しも見込んで余るくらい買っておくのが正解です。

スプレー缶の場合、どうしても吹き始めの時にノズルから塊状の塗料が水玉のように付着する場合もあるため、吹き始めはダンボールなどで受け止めてからボディへノズルを向けると良いでしょう。

一度でうまく塗ろうとして塗装タレを起こすのが初心者にはありがちなため、1回1回は薄くても構わないので、全体をまんべんなく塗り、乾いたらまた塗ってを繰り返して5~6回は塗るのですが、ここで乾くのを待てないと塗装ダレを起こすため、一度塗ったら食事かお茶をするくらいの心の余裕が必要です(プラモデルでもよくある失敗ですが)。

塗料を塗って乾燥したら、その上からクリア剤を同じように4~5回、それも乾いたらボカシ剤を塗って、塗りダレやキズ、ホコリの混入などがなければ、塗装は成功です。

しばらく置いて確実に乾いたと判断したら、表面にワックスなりコーティング剤を施工して塗装を保護し、マスキング材も剥がしましょう。

業者に頼んだ場合の相場…時は金なり?

最後に、同様の作業を業者に頼んだ場合ですが、それまでのボディカラーと同色のソリッド塗装、エンジンや各部品を外さない表面だけの塗装で安くとも20万から、内部までの塗装はその倍額が相場です。

さらにメタリック塗装、パール塗装の場合は数割上乗せになりますが、施工料金が高い塗装ほど、ユーザーによるDIYなどとは比べ物にならないほど高いクオリティになる、逆にいえばユーザーDIYは失敗の可能性が高いため、あまり手を出さない方が良いということになります。

ユーザーDIY全塗装は、確かにうまくいけば安く済むかもしれませんが、高いクオリティは全く見込めず、時間もかかり、作業場所や環境もかなり制約があるため、現実には手をつけられないか、半分以上「シャレ」という軽いノリでやるしかありません。

本気でやる場合、「業者がなぜあれくらいの料金になるか」というのを、思い知る結果になるでしょう。

ある意味、「どうせ最後は業者に出す」と割り切り、マスキング以外は適当にやってみる、何ならペンキの刷毛塗りでウケを狙うくらいの方が楽しいかもしれませんね。

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愛車の下取り、売却で損をしないためには?

一般的な査定では評価しきれない価値を持つのが、カスタムカーや旧車、スポーツモデル。
「ディーラーに下取りに出したら、価値が全く伝わらなかった…」という声も少なくありません。

こうした車を手放すときに大切なのは、自分の車に合った売却先を選ぶことです。 例えば、市場の相場をしっかり把握しながら比較検討したい方には、一括査定で複数社の価格が分かるナビクルがおすすめです。
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まずは相場を知ること、そしてその車を理解してくれる場所に売るという選択肢を意識してみてください。

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