コラム | 2020.08.30

よく聞く「ワークス」チューニングとは?どんな特徴がある?

Posted by 菅野 直人

レースなどモータースポーツを観戦したり関連記事を参照すると、「ワークス」という言葉をよく目にします。大雑把に言えば、自動車メーカーやチューニングパーツメーカーが直接、または100%子会社などの資本関係にある傘下チームを表しますが、転じてメーカー直系のパーツを組み込んだ純正チューニングカーやコンプリートカーを指して「ワークスチューン」と呼ぶ場合もあるようです。

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昔は数多く存在した「メーカーワークス」

https://www.suzuki.co.jp/car/alto_works

現在ではフェラーリのF1チーム「スクーデリア・フェラーリ」など、数少ない例外を除けばほとんどなくなってしまいましたが、かつてはレースといえば自動車メーカーのレース部門が直接手掛けるのも当たり前のことでした。

日本でも第1回日本グランプリ(1963年)など、戦後本格的に自動車レースが始まった頃には、既に乗用車を販売していたメーカーが「ワークスチーム」あるいは「ファクトリーチーム」と呼ばれる自前のレーシングチームを結成、契約ドライバーや社員ドライバーにステアリングを託して、メーカーの威信をかけた争いをしていたものです。

なぜかと言えば、ズバリ「レースは金になるから」であり、レースで得た名声により「我が社の開発した車は優秀!」とアピール、即座に販売台数増加へ結びつくため、開発した関係でその車を隅々まで知り尽くした自動車メーカーがレースをやるのは当たり前で、いわば広報活動の一環でした。

しかし、1970年代に入るとオイルショックにより世界的にガソリン価格が上がり、さらにアメリカでマスキー法という当時としては猛烈に厳しい排ガス規制が施行されそうになると、ガソリンを大食らいして濃い排ガスを大量に撒き散らす高性能車は、すっかり立場がなくなり、メーカー自らが高性能をアピールする場であるレースも、その役割を失います。

台頭するセミワークス(サテライトチーム)と、復活したメーカー直系チーム

1970年代半ばには、表向き各自動車メーカーはほとんどレースから撤退、省燃費技術や排ガス規制対策に全力を挙げますが、代わって台頭したのがメーカーと関係の深い「セミワークス」あるいは「サテライトチーム」と呼ばれるチームで、これらはそれまでワークスチームが使用していたマシンを使って参戦していました。

いわば、「外聞が悪いのでメーカーは前面に出ないけれども、事実上のワークスチーム」というわけで、元がメーカーご謹製の高性能なワークスマシンですし、レースに出ないとはいえ、ワークスチームの開発部門が存続していたりして、パーツ供給は続くため、戦闘力は並のプライベーター(アマチュアチーム)の比ではありません。

そのため日本では、トヨタ系セミワークスvs日産系プライベーターの激闘となったツーリングカーのTSレースなど、隠れワークスとプライベーターの意地が激突する戦いも見られましたが、環境対策が整った1980年代になると、セミワークスにメーカーの資本が入ったりして「メーカー直系で事実上のワークスチーム」も登場、メーカーが再び前面に出るようになります。

その後、2008年から翌年にかけ、リーマンショックと呼ばれて世界中を吹き荒れた大恐慌の影響で、再び各自動車メーカーはレースどころではなくなり、多くのワークスチームが解散に追い込まれますが、一時期は以下のように多様な自動車メーカーワークスチームがありました。

トヨタ:TRD、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)等

日産:NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)

ホンダ:HRD(ホンダ・レーシング・デベロップメント)

https://www.honda.co.jp/INDY/race2015/

マツダ:マツダスピード

http://charitabi.com/anzen/mazdaspeed.html

三菱:ラリーアート

http://charitabi.com/anzen/ralliart.html

スバル:STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)

http://charitabi.com/anzen/sti.html

ダイハツ:DRS(ダイハツ・レーシング・サービス)

スズキ:スズキスポーツ

 

上記の多くは、つい10年ほど前まで現存、あるいは現在でも企業やブランドとして存続していますが、中には名前を変えたりすっかり消えてしまったものもあり、全てがそのまま存続しているわけではありません。

他にホンダのワークスチームと見られやすい「無限(M-TEC)」もありますが、ホンダ系チューニングを得意としている関係でワークスに準じた扱いを受けているだけで、厳密にはホンダワークスというわけではなく、こうした例はトヨタだと「トムス」、ダイハツだと「D-SPORT」などいくつかあります。

現在だと「ワークスチューン」はどういう意味か?

このように、昔と今では「ワークス」と言ってもだいぶ意味が変わってきていますが、現在の「ワークス」は、たとえば東京モーターショーや東京オートサロンでメーカーと同じ、あるいは隣接したブースで出展を許されているのが事実上の「ワークス」と考えてよく、無限などすっかりホンダワークス扱いとなっています。

活躍の場もレースやラリーなど、モータースポーツのみに留まらず、レーシーな雰囲気が求められるドレスアップまでが「モータースポーツのスピリットを活かした云々」という名目でパーツリストに掲載されるようになりました。

それがワークス以外のサードパーティ製品(いわゆる「社外品」)と何が違うかといえば、大雑把に言えば、ベース車の開発段階から付加価値を高めるパーツ開発も並行して進めることができる立場にあるのがワークスで、発売直前、あるいは発売と同時に開発スタートするのがサードパーティです。

元々はサードパーティに属しながら、メーカーからその付加価値向上が認められてワークス待遇になるケースもありますが、いずれにせよメーカーが純正または純正に準じた扱いで販売するに値した高品質のパーツやコンプリートカーを開発・販売するのが現在のワークスといってよいでしょう。

ただし、「ワークス」あるいは「ワークスに準じた扱いのブランド」双方とも、過去の歴史を見ればわかるように、自動車メーカーの事情によっては、ある日突然なくなってしまうことも珍しくなく、安定して長い歴史を刻みにくいのが難点です。

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