コラム | 2021.05.11
車のカテゴリが大きく変わった!不変のスポーツセダン、その中身はモンスター⁉国産スポーツセダン4選
Posted by KAKO MIRAI
スポーツカーといえばクーペだった1970年代。現在ではさまざまなボディタイプが登場し、クーペも時代と共に変化しています。そしてスポーツセダンも、性能に磨きがかかっているようです。今回は、スポーツカー顔負けのパワーを発揮するスポーツセダンをご紹介していきましょう。
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スポーツセダンの歴史はプリンス・スカイラインから始まった
セダンといえば「ボンネット」「車室」「トランクルーム」と3つに仕切られた「3ボックス型」のことをいいます。別名「ノッチバックセダン」とも呼ばれることも。以前は2ドアセダンも存在していました。
現在では「ハッチバック」や「クーペ」に分類されるため4枚ドアのボディタイプをセダンと呼んでいます。4~6人の乗車ができ、居住性や実用性の優れた車で、走りを求めるというよりはラグジュアリーが優先されるユーザーに人気です。
その中でスポーツセダンと呼ばれるタイプも存在しています。「羊の皮を被った狼」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、まさにスポーツセダンのことといえるかもしれません。
通常のセダンと変わらない外観を持ちながら、スポーツカーと対等に、またはそれ以上の性能を発揮することが可能です。その歴史は1966年に行われた『第3回日本グランプリ自動車レース大会』、通称『日本グランプリ』でした。
『スカイライン』といえば『日産自動車』の誇る名車ですが、『日産』と合併する前に『プリンス自動車』によってその基盤が築かれています。『第1回日本グランプリ』では『トヨタ・クラウン』の優勝、『第2回日本グランプリ』では『ポルシェ・904』が優勝を勝ち取りました。
ずっとレースに負けていた『スカイライン・GT』は、業績の悪化もあり、『日産』との統合が決定。最後のレースとなる『第3回日本グランプリ』では、「180馬力のポルシェを超える車を作る」ことを目標に、持てる力のすべてを注ぎます。
徹底した軽量化、高回転によるオイル切れなど数々のトラブルを解決し『R380』が誕生しました。グランプリには『ポルシェ・906』『ジャガー』『フォード』『ロータス』など海外の有名メーカーが参加しています。
レースでは『ポルシェ』と『R380』の拮抗した展開が繰り出され、残された勝敗の行方は給油勝負。「ポルシェ906」の50秒の給油に対し、『R380』は15秒という驚異的タイムをたたき出し、圧倒的速さを見せつけることになりました。
『トヨタ』『日産』においては3周遅れという、今までの屈辱をレースで返した結果となっています。『日産』との合併後、『プリンス』の技術者たちは『スカイライン2000GT』の開発指揮をとりました。
ここからスポーツセダンの歴史が始まったといっても過言ではありません。実用的な側面も持ちながら、ひとたびスポーツ走行ではとてつもないパワーを発揮することができる。それがスポーツセダンの味わい深さだといえるのではないでしょうか。
クーペの中でも新ジャンル、4ドアクーペ・SUVクーペとは
日本で最初のクーペは1932年に誕生した『ダットサン・10型』です。2席だけのハードトップタイプでした。その後1965年には『日産・シルビア』、『いすゞ自動車・117クーペ』など洗練されたデザインのクーペが後に続きます。
クーペの特徴としては、2ドアで2~4人乗りで低い車高とハイスペックな運動性能を備えたタイプのクルマということができるでしょう。人や物を運ぶ車というよりは、走りに特化した車で、スポーツ指向のユーザーに人気が高くなっています。
流線形のシルエットは美しいフォルムであり、重心の低さは安定性能を向上させるもの。コーナーでもクイックな走行を愉しむことが可能です。そのためスポーツシートを標準装備しているメーカーも多くなっています。
近年ではクーペのデザイン性の強い4ドアやSUVが誕生していることをご存じでしょうか。今までのボディタイプの分類にはない、新ジャンルと呼べるものです。海外モデルを中心に続々と誕生しています。
・メルセデス ベンツ…GLC、GLE
・BMW…X4
・アウディ…Q8
・ポルシェ…カイエン
・ランボルギーニ…ウルス
・ランドローバー…イヴォーグ
・マセラティ…グレカーレ
国産車では
・トヨタ…CH-R
・マツダ…CX-30
・三菱…エクリプスクロス
輸入車と比較すると、国産車にはまだまだラインナップが少なくなっています。世界の流れに乗り遅れているような気もしないではありませんが、そんな中、『トヨタ』から驚くべき発表がありました。
2020年11月11日に『トヨタ・クラウン』のセダンが現行で生産を終了。2022年からSUVとして誕生するというものです。『クラウン』の名前は残しつつ、セダンよりも車高の高い「セダンプラス」という新しいカテゴリとなる予定。
世界の流れに乗り、SUVのようなスタイルにした方が良いという判断に至ったということのようです。1955年からの長い歴史に終止符を打つという決断は、今後の自動車産業に大きな意味を与えることなのかもしれません。
スポーツセダン6選
SUVの人気が高まりクーペにも新たなジャンルが誕生している中、国産車では『トヨタ』に「GRスポーツ」「GR GRMN」が設定されています。また『日産』でも『NISMO』 のラインナップを拡大。
走ることの楽しさを求めているユーザーは多いといえるのかもしれません。そこで高性能なスポーツセダンをご紹介していきましょう。
・レクサス IS 350 Fスポーツ
2020年11月にマイナーチェンジが発表された『IS』 には、特別仕様車として『F SPORT Mode Black』が設定されています。初代モデルが登場したのは1999年のこと。コンパクトFRスポーツセダンとして20年に渡り進化を続けてきました。
セダンの人気が低迷する中で新型の『IS』は、人気がありすぎて納車が半年待ちの状態になっています。『レクサス』のミドルクラススポーツセダンの『GS』が生産を終了したため、今回のマイナーチェンジはフルモデルに近いビッグマイナーチェンジといえるでしょう。
エクステリアのほとんどが新設計され、精悍な顔つきとなりました。『レクサス』の象徴でもあるスピンドルグリルはさらに大型化。以前にもまして精悍さが漂っています。リアは左右をアーチ型でつなぐリアコンビランプがスタイリッシュな印象です。
タイヤには19インチのマッドブラック、『BBS』製アルミホイールが標準装備。そのほかにも、フロントグリルやエアインテーク、リアスポイラーを専用装備しています。ボディサイズは拡大しているものの、ホイールベースに変化はありません。
さらに今回、世界各地での走り込みを行い、加減速、操舵性において気持ちの良い走りを実現。路面状況、走行シーンなどに応じて徹底的にチューニングを行ってきました。ステアリングやペダルの応答に加え、コントロール性も向上しています。
購入を決めたユーザーからは「スポーティな印象」「重厚感が増している」といった声も聞かれているようです。『IS』ユーザーの乗り換えが予想を上回っただけでなく、他車からの乗り換えも多いようで、嬉しい悲鳴が上がっています。
・日産 スカイライン 400R
2019年にビッグマイナーチェンジを行い、最高出力408psをたたき出したスポーツセダンといえば『スカイライン 400R』です。スポーツセダンの歴史を作ってきた『スカイライン』の名に恥じない高性能エンジンといえるでしょう。
ひとたびパワーを開放すれば、V6ツインターボの音とともに強烈な加速を見せます。このV6エンジンは、北米仕様の『インフィニティQ50、Q60』に搭載されています。エキゾーストマニホールド一体型となったシリンダーヘッド、水冷式インタークーラーなど最新の技術を詰め込みました。
エクステリアには、一目でスポーツセダンと分かるような派手さは見当たらず、どちらかといえば分かりにくいものです。好みの分かれるところではありますが、このようなエンジンを搭載しているスポーツセダンは、いまや『スカイライン 400R』だけ。
わずか数秒で加速のレスポンスを味わうことができる、一級品のスポーツセダンといえるのではないでしょうか。
・スバル WRX S4 STIスポーツ
2020年9月に登場した『STIスポーツ』。今までは『レヴォーグ』や『BRZ』に設定されていた上級グレードを、『WRX S4』でも登場させています。スバルのモータースポーツを担当している『スバルテクニカルインターナショナル(STI)』との共同開発で実現しました。
過酷なレースの現場で鍛えてきたさまざまなデータをもとに、ドライバビリティを築き上げること。『スバル』車へフィードバックされた信頼が、すべてのユーザーに走る悦びを与えているのです。
左右のピストンが水平方向の往復する水平対向のボクサーエンジンに磨きをかけました。滑らかなエンジンフィールはそのままに、軽量、コンパクト化を実現。2Lながら直噴システムで吸気量を増大、さらにツインスクロールターボを採用することで、想像以上のパワーを発揮することができます。
『ビルシュタイン』製のダンパーが採用されているほか、エクステリアでは、フロントグリル、リップスポイラー、ドアミラーにブラック塗装を用いた大人の品格。また18インチのアルミホイールは、15本のストレートスポークで引き締まった印象を与えているようです。
大人しそうで、控えめな印象を与えていますが、走行性能のポテンシャルは高く期待できる一台です。まさに「オトナのセダン」といえるのではないでしょうか。
・ホンダ レジェンド
1985年に登場して以来、『ホンダ』のフラッグシップセダンです。2015年にハイブリッド専用車となり、「SPORT HYBRID SH-AWD」が採用されています。意のままの究極を目指し、四輪の駆動力を自在に制御するというものです。
フロントには1基のモーターとエンジン。リアには左右の後輪を別々に駆動する2基のモーターを搭載しました。これにより走行や路面の状況に合わせ四輪駆動、前輪駆動、後輪駆動に切り替えることができます。
刻々と変化するさまざまな場面で、瞬時に走行安定性や旋回性能を制御する革新的な駆動システムを開発しました。スーパースポーツを代表する『NSX』にもコア技術として採用されています。
3.5LのV6「直噴i-VTEC」エンジンと、高出力モーターを組み合わせることで、最高出力382psを実現。発進、加速、追い越しの瞬発力を必要とする場面において、エンジンのみを原動力とする車では叶えることができない力強い反応を実感することが可能となりました。
「SPORT」スイッチでレスポンスを優先する走行モードに移行することができます。変速制御は、高回転域を使用し強力な加速が可能。駆動配分の制御では旋回の俊敏さを強調します。またマニュアル感覚を楽しむことができるパドルシフトを装備しました。
2020年11月11日に『ホンダ』は「自動運転レベル3」に求められる国土交通省の型式指定を取得したことを発表。これは世界初の快挙ということができるでしょう。「レベル2」は『日産』のプロパイロット、『スバル』のアイサイトなどが広く知られているでしょう。
「レベル3」になると何が異なっているかというと、運転者は車外に対して常に注意を払う必要があったものが、走行中に運転以外の行為が可能になるということです。これを「セカンダリーアクティビティ」と呼びます。
『ホンダ』の技術である「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)」の詳細はまだ分かっていませんが、最初に搭載されるモデルは『レジェンド』です。
まとめ
最近ではSUVのほか、クーペでも4ドアやSUVが誕生しています。その人気に押されて魅力が見落とされているようなスポーツセダンの位置付け。しかし誕生間もない『レクサス・IS』の人気は非常に高くなっています。
スポーツセダンの魅力が、走ることを忘れない大人世代を中心に今後も広がっていくことを期待したいものです。