引用:Art Konovalov / Shutterstock.com

コラム | 2020.11.14

90年代に隆盛したドレスアップやVIP系カスタムのベースになった国産セダン7選

Posted by 菅野 直人

今やすっかり人気のない国産4ドアセダンですが、1990年代には「VIPカー」と呼ばれる独特のカスタムカー文化で一世を風靡し、今でも根強いファンによって中古車市場でVIPカー人気に支えられている車はあります。その中でも1990年代や、その直前に登場して人気を博したセダン7台をご紹介しましょう。

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トヨタ・クラウン(8代目S130系/10代目S150系)

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トップバッターはクラウンで、現在のように若返りを図る前、まさにVIPカーにふさわしい迫力と威厳重視の保守的スタイルを維持していた時代の8代目S130系、10代目S150系です。

中でも傑作とされているのは、1987年にデビューと少し古いものの、初代セルシオに先駆け、4リッターV8エンジン搭載車もあったS130系。

どちらも4ドアハードトップのほか、「ベンコラ」と呼ばれたベンチシート&コラムシフト車が存在した4ドアセダンも人気でした(ベンコラはS150系の途中で廃止)。

ただし、VIPカーとして定番車種ではあったものの、同時に警察車両としても定番であったため、VIP系の印象だけではないのが惜しいところです。

 

トヨタ・セルシオ(初代~2代目)

Art Konovalov / Shutterstock.com(写真はLEXUS LS)

1989年に、新時代の富裕層をターゲットとしてデビューすると、それまでの質実剛健&権威主義的な高級車感を改めさせ、「世界の高級車に影響を与えた」とされる初代~2代目のセルシオ(レクサスLSの日本名)も、VIPカーの最高峰的な扱いで人気だった記憶のある方も多いでしょう。

当時から高価な車であったため、新車はもとより程度の良い中古車が手頃な価格になるのは、ずっと後になってからで、まずは事故車の起こしを安く買うところからでした。

また、かなり早い時期からエアロパーツなども登場しており、シャコタン鬼キャンでフルエアロなセルシオのVIPカーは、まさにVIPカー界における「贅沢の極み」だったと言えるかもしれません。

ただし、トヨタ車ゆえに修理や維持はしやすい方で、バブル崩壊によるコストダウンで人気が低迷した2代目前期などは、今でも中古車では比較的安価です。

そのため、1990年代当時でも「意外と安い割にハッタリの効く車」扱いでもありました。

 

トヨタ・センチュリー(2代目50系)

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意外なところでは、現在でもトヨタブランドの最高級車であり、トヨタのみならず、全ての国産車におけるフラッグシップ的存在であるセンチュリーにも、数は少ないながらエアロキットなどが発売され、シャコタン・エアロのVIPカーが存在しました。

今でも程度の良い中古車などは安くは売られていないセンチュリーですが、1990年代当時は「ブランドイメージを損なわないよう、トヨタが全て買い取るため中古車などない」という都市伝説さえあったほどでした。

そんなセンチュリーはたとえ事故車の起こしであろうと、VIPカーとして乗り回される様子はなかなか見ることができません。

V8エンジンを積んだ初代でも十分に注目の的ですが、1997年に発売され5リッターV12エンジンを積んでいた2代目のVIPカーなどは滅多に見かけず、伝説に近い存在だったと言えます。

ただし、あまりに高級な車ゆえにVIPカーになっても気軽にラーメン屋や定食屋に寄ろうものなら貧乏臭く見えてしまうのが難点で、それもVIPカーとしてあまり数が増えなかった原因かもしれません。

 

日産・セドリック/グロリア(Y31~Y34)

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1990年代VIPカー文化を代表する1台を選べと言われたら、S130系クラウンと並んでどれにしようか非常に迷うのが、Y31以降のセドリック/グロリア、通称「セドグロ」です。

Y31で登場したグランツーリスモ、通称「グランツ」は、ターボエンジンによる豪快な加速で初代シーマと並ぶスポーツセダンでしたが、それ以上に「カッコイイ不良っぽいイメージ」がガッチリと染みついており、シャコタンのVIPカーは、大抵セドグロだったような印象さえありました。

日産も心得たもので、Y32のグランツで採用し、Y33でも踏襲した丸目4灯ヘッドライトによるフロントマスクは、まさに「クルマ界の悪役商会」というイメージで、最初からVIPカーになるために生まれてきたと言っても、過言ではないでしょう。

最後のY34までVIPカーとして人気がありましたし、ラグジュアリーな「ブロアム」系のVIPカーもありましたが、やはり1990年代VIPカー代表は、Y32と33のグランツを推したいところです。

 

日産・シーマ(初代)

1988年に登場すると、3リッターDOHCターボVG30DETにブーストをかけたときの尻を下げた豪快な加速と、イタリアン風ルックス(それも本国ではマセラティ車に乗っていそうなイタリアンマフィア風)でユーザーを魅了し、国産高級セダンの世界に「チョイワル系」を持ち込んだ張本人が、この初代シーマだったのかもしれません。

何しろ時はバブル時代、クラウンやセドグロに憧れていた若い世代でも一気にそれ以上の高級車に手が届くようになった頃。

そこに現れた刺激的な高級車は大人気となって「シーマ現象」とまで言われ、慌てたトヨタがセルシオのデビューを待たず、S130系クラウンに4リッターV8エンジン仕様を追加してしまったのは有名です。

そんな初代シーマも、バブル崩壊で中古車市場へ安価にどっと流れるとVIPカーへの道を歩み、セドグロともども「かっこいいワルさ」の演出に大活躍したのでした。

なお、筆者の先輩もそんな1990年代中盤に中古の初代シーマを買った1人です。

シャコタンに高いアルミを履き、リヤシートに「E・YAZAWA」のタオルを敷いたシーマに純白のスーツとエナメル靴でさっそうと乗り込み、車内外を爆音で満たしつつ、矢沢永吉のライブへ行っていたのが、鮮烈な印象として残っています。

 

日産・プレジデント(3代目JG50)

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トヨタは優等生っぽくて気に食わないけれど、さりとて日産でセドグロやシーマは当たり前すぎるというユーザーが、あえてチョイスしていた印象があるプレジデントですが、筆者の同級生が高校3年になって免許取得と同時に学校へ乗りつけ、「お前は花形満か!」と言われていた初代のほか、2代目もシーマやセルシオほど人気がなかったがゆえの安さでVIPカーに使う人がいまた。

日産の最高級車でしたが、センチュリーほど特別扱いはされておらず、兄弟車のインフィニティQ45前期型が、グリルレスで今ひとつ人気がなかったのに比べて、威厳のある大型フロントグリルで堂々たるフロントマスクを誇ったものの、センチュリー同様に市場で出回る車自体が少なかったこともあり、かなりの少数派だったと思います。

 

マツダ・センティア(初代)/アンフィニMS-9

ここまでトヨタと日産ばかり紹介してきましたが、VIPカーとして多用された国産セダンは他にもありました。

さすがに三菱のデボネアは初代の「走るシーラカンス」のイメージが強く、2代目も登場時期が早すぎて5ナンバーボディが少々チグハグだったこともあってか、VIPカーで見た記憶はなく、VIPカーとするには威圧感不足だったホンダのレジェンドなども同様です。

しかし、ルーチェ後継として登場、バブル時代のマツダを象徴するような、丸みを帯びてトヨタでも日産でもない独特の高級感をかもしだしていたマツダの初代「センティア」と、マツダ5チャンネル時代にアンフィニ店のフラッグシップであった兄弟車「MS-9」は違いました。

おそらくバブル崩壊と同時に経営の苦しくなったマツダでは、新車の値引きも大きかったのか、あるいは今でも言われる「マツダ地獄(マツダ車はマツダディーラー以外で高価買取してもらえない)」ゆえか、とにかく中古車は安価であったようで、シャコタンにエアロを組んだセンティアやMS-9のVIPカーは例外的によく見かけたものです。

どちらかといえば、「トヨタや日産なんてもう古い、ダサイ」と言い切ってしまうような「意識高い系が乗る新時代のVIPカー」であったような印象ですが、特にVIPカー好きの知人女性が「愛車にするならクラウンやセドグロよりMS-9」と言っていたのをよく覚えています。

結局マツダは、2000年まで販売していた2代目センティアでFR高級セダンから撤退してしまいました。

噂によると直列6気筒エンジンを搭載した新型FRセダンを開発しているという話もあり、トヨタや日産と異なる独特の世界観を求めたいVIPカー好きにとっては、気になる話題かもしれません。

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