インタビュー | 2021.05.11
児島デニムのシートカバーと『リノシェル』の普及に力を入れる自動車インテリアメーカー「ビーンズ」
Posted by UruCar
今回ご紹介するのは、ハンドクラフトで機能美を追求したインテリアメーカー「CRAFTPLUS」や、国産車300種に対応するシートカバー、隠れ家的秘密基地のように内装へ付加価値を与える『リノシェル』などを手掛ける「7th E-Life」 を展開する、有限会社ビーンズ(岐阜県本巣市)です。 得意のハイエースだけでなく、あらゆる車種のユーザーからのニーズに応えるビーンズ様(以下、敬称略)に、現在力を入れている製品や、その開発背景についてお話を伺いました。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
デニム生地採用は車業界初!国産車300車種に対応し、今後は輸入車にも力を入れるシートカバー
ー現在PRに力を入れている製品の筆頭として挙げた、「7th E-Life」のシートカバーについて、特徴をお教えいただけますか?
ビーンズ:
「オシャレで機能的、自分好みにアレンジできるシートカバーを国産車の300車種に対応してラインナップしています。最大の特徴は、車業界で初めて”児島デニム”を採用していることです。」
ーよくある本革風やスエード生地、落ち着いた色合いの製品とも違う、カラフルで個性的な世界観を、シートカバーでここまで表現できるのかと思いました。どのような開発経緯を経て実現したものでしょうか。
ビーンズ:
「レザーの地味な色合いがほとんどであったシートカバーに、ファッション性に優れ、インテリアの一部としてワクワクするような車の室内空間を実現させたいと思い、商品開発を進めました。」
ーデニム生地を使ったカバーというのは確かに今まで見ませんでしたが、やはり開発にあたって工夫したところもあったのでしょうか?
ビーンズ:
「デニム生地は経年変化で色移りしてしまうため、車のシートカバーとして使えるよう特殊加工を施しています。おかげで、他にはないデザイン性と機能性があって、オシャレなデニム生地シートカバーを、車業界で初めて実現できたのです。」
ー国産車だけで300車種を網羅していますが、今後は輸入車にも対応していきますか?
ビーンズ:
「オシャレなミニクーパーや、アウトドアで大人気のジープなど、外車のシートカバー生産を可能にしていきたいですね。機能的でオシャレなシートカバーの対応車種を増やしていきたいのと、時代によって様々に変化するファッションのニーズに合わせ、カラーや生地なども幅広く対応していきたいと思っております。」
実際に「7th E-Life」のサイト(https://7th-e-life.jp/)から直販ページを見ると、例えば「【軽自動車用】Brooklyn type.1」という製品があったとして、最近の車種からパジェロミニなどちょっと古めの車種まで網羅しており、初年度登録、型式、グレードといった情報から正確な純正形状を把握できるようになっています。
とはいえ、実際のシートカバーがどのような感触か、わからないまま発注するのは、ためらわれる…という方向けに「生地サンプル」(550円)も販売されているため、サンプルから気に入った生地を事前に把握できるというのもポイントですね!
デザインと機能性に自信アリ!ハイエース用センターコンソールボックス
ー「CRAFTPLUS」ブランドでは、200系ハイエースとNV350キャラバン用内装パーツの品揃えが豊富ですね。しかも簡単取付で機能的、同色系のシートカバーを使えば、トータルコーディネートで車内空間の印象がだいぶ変わっています。
ビーンズ:
「その中でもハイエース用のセンターコンソールボックスは、月に100台以上生産するヒット作ですね。長時間ドライブの疲労回復も軽減できて、収納力も抜群です。」
ー種類も「STAGE1」から、標準ボディ用とワイド用にはそれぞれ、左右アームレスト間へスマホなどを置けるスペースを設けた「STAGE2」、後席用ジュースホルダー&トレーまで備えた「STAGE3」をラインナップするなど、たしかに力が入っていますね。
ビーンズ:
「ハイエース用の純正のコンソールは、アームレストが無く、高さが低いため、運転時に肘を置くと必然的に体が斜めに傾いてしまうのが欠点でした。そこで純正のコンソールごと交換してデザイン性・機能性をアップさせたコンソールボックス を弊社が開発したわけです。」
高さを空けた分を活かして、ジュースホルダーとアームレスト下にそれぞれ収納ボックスを設けて機能性にも優れており、取付もボックスレンチで純正コンソールを外し、CRAFTPLUSのセンターコンソールボックスに載せ替えて、プラスドライバーでボルトを固定するだけのため簡単です。
他に使う用途もないような工具をわざわざ準備する必要もなく、シートスライドやリクライニングはもちろん、エンジンフードの開閉もそのまま可能で、メンテナンス性に影響を与えていないのは、さすがハイエースを得意とするメーカーの面目躍如!といったところでしょうか
ー最近はYouTubeの7’s channnelで「独身、本気のクルマ遊び」をテーマに、ハイエースの内装リノベーションや軽トラのキャンピングカー化など、さまざまなカーライフを提案していますが、特に前者は、7th E-Lifeで『リノシェル』として積極的にアピールされていますね?
ビーンズ:
「『リノシェル』は、デニム生地のシートカバーとともに、今後弊社が普及させたい柱ですね。シェルターとして災害時にも役立つ機能的な車中泊ベッドキットとして車の中をリノベーションするもので、『リノシェル』というのは弊社で考えた造語です。」
ー動画で紹介されているのはハイエース用ですが、『リノシェル』について紹介している7th E-LifeのFacebookページ(https://www.facebook.com/7th.E.life/)を見ると、プロボックスなど他車種でも展開していますね。キャンピングカー的な装備はないけれど、立派なフローリングや内装を備えてくつろげる部屋という印象ですが、災害時のシェルターという発想はどこからきたのでしょう?
ビーンズ:
「弊社は、もともと20年前にハイエースのベットキット製作からスタートしました。試行錯誤を繰り返し、商品開発を進めていく中で、10年前に東日本大震災がありました。今後もあるであろう災害時に何か役に立てることはないかという背景の中で生まれたのが、『リノシェル』という考えです。」
ー阪神淡路大震災の頃から問題になっていましたが、東日本大震災でも避難所に居場所を見つけられず、自宅が残っていても相次ぐ余震でとても落ち着かない、という人が、結局車中泊を続けていた、という話は当時よく聞きましたね。
ビーンズ:
「『リノベーション』とは、用途や機能を変更して性能を向上させたり、付加価値を与えること。『シェルター』とは、災害時に避難所として使用できる場所。このリノベーションとシェルターの意味合いを掛け合わせて、弊社が『リノシェル』という造語を考えました。」
ーしかし単なる移動式の避難所に留めるだけであれば、普通にフルフラットにした座席をベッドに車中泊すればよいところ、ビーンズは、それにとどまらない付加価値を与えた、というわけですか。
ビーンズ:
「車の空間をリノベーションすることで機能性を充実させ、いざという災害時にも役立つ車の内装を実現させています。キャンピングカーとは違って普段使いもできますし、誰でも簡易的に実現できるのがポイントですね。」
ー確かに、災害時に役立つと言っても普段使いは考慮しないといけませんし、普段からバンバン使って慣れておけば、シェルターとして使う日が来ても、我が家にいるかのように心が落ち着くでしょうね。
ビーンズ:
「弊社では、”クルマと共にライフスタイルを豊かにする”をテーマとして、デザイン性に富んで機能的な、自分好みにアレンジできる車の内装製作を軸に、いざという災害時に役立つ、シェルター機能を兼ね備えた車製作を進めたいと考えています。」
ーそういえば、7’s channnelでは軽トラの荷台へ載せる小屋の動画もアップされていましたが。
ビーンズ:
「軽トラックやトラックなど、みなさんが普段使いしている車へ、いざと言う時には積んで運んで災害時に役立つような、小屋やモバイルハウス製作にもチャレンジしています。」
ー被災者だけでなく、ボランティアが被災地へ負担をかけないようキャンピングカーを利用している姿をよく見かけましたが、そのような場面でも活躍しそうですね。
7th E-LifeのFacebookページで紹介されている『リノシェル』は、それが車の内装だということを意図的に忘れてみれば、子供の頃に夢見た秘密基地や屋根裏部屋のようなワクワク感があり、懐かしさを覚えるほどで、災害時には辛い現実を忘れて落ち着ける空間、普段でもちょっとした非日常を味わってリフレッシュ空間ということで、確かに高い付加価値を持っています。
この記事を書いている筆者自身、東日本大震災で直接的な被害はあまり受けなかったものの、被災地でさまざまな出来事を体験した当事者として、ビーンズの『リノシェル』には共感しました。
ビーンズが将来に向けて関心を持っている分野とは?
最後に、一番興味がある車種やカテゴリーを尋ねると、「ハイエース、SUV、ミニクーパー、jeep」といった、従来からの得意分野や、今後ラインナップを拡充したいという意味で関心を持っている車種のほかに、「電気自動車、自動運転」と、意外なキーワードが出てきました。
先進国の多くでは、2030年代には、純粋な内燃機関のみで走る新車販売の廃止が当面の目標となっているため、電気自動車へ関心を持つのはもちろんですが、自動運転も、運転は車に任せる時代では、車内の快適性にユーザーの関心が向くのは当然です。
また、『リノシェル化された車』が、車内でくつろぐユーザーを載せたまま自動運転で目的地に向かう未来は、そう遠いものではないのかもしれませんし、ビーンズのようなメーカーがユーザーへそのような提案をすることに、もはや違和感はありません。
これからの時代は、車内の内装やリノベーションが今まで以上に重要になると気が付かされたという意味で、ビーンズの「先見の明」には驚かされます。
だからこそ、創業からまだ20年足らず、最初は代表の梅津 精吾氏たったひとりで始まったビーンズが、今やハンドクラフトの暖かみがある自動車内装メーカーとして発展してきた、ということだと思いますし、今後も期待したくなるメーカーでした。