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カスタム・アフターパーツ | 2020.08.01

ディスクブレーキとドラムブレーキの違い、きちんと説明できますか?

Posted by 菅野 直人

自動車の諸元表(スペック表)を見ていると、ブレーキの項目には「ディスク」か「リーディングトレーリング」と書かれていることが多く、前者がディスクブレーキ、後者がドラムブレーキと呼ばれるものです。車種によって4輪ともディスクブレーキというケースもありますが、前輪がディスクブレーキ、後輪がドラムブレーキという車も多く、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

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放熱性に優れ、構造もシンプルなディスクブレーキ

自動車のブレーキで大抵の場合は前輪に使われ、高性能車や高級車では後輪にも使われるのがディスクブレーキです。

形としては車輪とともに回転する「ブレーキディスク」(ブレーキローター)と、ショックアブソーバーなど回転とは無縁な位置に固定された「ブレーキキャリパー」で構成されているのが特徴で、キャリパーの内側へ取り付けられた「ブレーキパッド」をピストンでディスクへ押し付け、その摩擦で制動力を発揮します(「回転する力=運動エネルギー」を「熱エネルギー=摩擦熱」に変えるとも表現)。

構造としては、シンプルで分解なども容易にでき、露出しているブレーキディスクは走行風での冷却も容易で、必要とあらばブレーキダクトを設けたり、表裏2枚のブレーキディスク間に放熱フィンを設けたベンチレーテッドディスクとすることで、さらに冷却性能を高めることも可能です。

放熱が容易なため、ブレーキパッドの表面素材が熱で変化することによって、摩擦力が弱まるのを防ぐ効果も高く、さらにディスク方面に多数の穴を設けたドリルドローター、同じく多数の溝を設けたスリットローターを使用することで、パッドの放熱と消耗した摩材の放出を容易にすることも可能と、多くのメリットがあります。

ただし、制動能力はパッドの表面積とピストンがディスクへ押し付ける力に依存するため、安定して高い制動力を発揮するには大径ローターやキャリパー表裏へピストンを設けた対向ピストン、さらにピストンの数を増やした4POT、6POT(ポットはピストンの数)といった大型キャリパーが必要になり、部品は高価になります。また、大径ローターのためホイールも大径のものが必要となり、車両価格もタイヤやホイールの価格も高くなります。

それゆえ、生産も維持も低コストが求められる車には前輪のみディスクブレーキで、後輪はドラムブレーキという車が多いほか、冷却性能を求められない確実な制動力は、ドラムブレーキの方が低コストで実現できるため、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)に限ってはディスク内側にドラムブレーキを設けた「インナードラム」という方式の車も多いです。

低コストで制動力が実現できるドラムブレーキ

もう一方のドラムブレーキは、タイヤとともに回転する「ブレーキドラム」内に回転とは無縁に固定されたブレーキシステムを持ち、上部に設けられたホイールシリンダーの油圧で前後「ブレーキシュー」をドラム内側へ押し付け、その摩擦で制動力を発揮します。

セルフサーボ効果と呼ばれる自己倍力特性により、回転方向(前進の場合は前側、バックの場合は後側)のシューには、ドラムへ食い込む力が働き制動力を高める一方、油圧がかかっていない時は、食い込みを戻すためのスプリングが必要になるなど、構造がディスクブレーキよりやや複雑です。

ブレーキシステムがドラム内側に密閉されているため、ドラムとシューの間に異物が入って制動力を低下させたり、片効きが起きにくい反面、走行風による冷却は期待できず、熱はドラム内にこもりやすく、一旦浸水すると水が抜けにくいため、制動力低下やサビの元になったりと問題も多いのですが、同じ直径であればディスクブレーキのパッドよりドラムブレーキのシューの方が、摩擦面の接触面積は大きく、制動力は高くなります。

こうした特性から、ドラムブレーキは、多少複雑でも低コストで高い制動力を実現可能なため、かつては4輪ドラムブレーキという車が多く、高級品とされたディスクブレーキが、ほとんどの車へ前輪に標準装備された今も、後輪はドラムブレーキという車が多くなっています。

現在の後輪ドラムブレーキは強力な制動力を電子制御!

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前輪だけ強力なディスクブレーキ、後輪はドラムブレーキでも大丈夫?と思われるかもしれませんが、そもそも車はブレーキをかけた時に前輪へ荷重が乗り、ブレーキの負担も大きいため、たとえばコンパクトカーのワンメイクレースなど、後輪のドラムブレーキがノーマルでも大してシューが消耗しないなど、後輪の負担は、あまり大きくありません。

もとより前輪に比べて後輪のブレーキは補助的、制動時に片効きせず、スピンなどを防ぐことが大きな役割で、ABSが登場した時も後輪のみの制御でASB(アンチスピンブレーキ)と称した車もあったほどです。

現在は、そこからさらに発展し、EBD(電子制御制動力配分装置)を応用、コーナリング時に後輪左右の制動力を調整し、安定して高い旋回能力を発揮したり、泥道などでスタックしても空転する側のタイヤにだけブレーキをかけ、脱出を容易にするシステムが採用されるなど、役割が増えています。

そのため、いざとなれば強力な制動力を発揮できるようドラムであれ、ディスクであれ、後輪のブレーキは強化されているため、新しい車ほど「逆に後輪のブレーキパッド(シュー)が減る」ようになっているようです。

また、EBDでの制御を前提にした場合、後輪がドラムブレーキであれば、瞬間点に立ち上がる制動力が強いため、例えばABSのヒューズを抜いて、EBDやABSを不作動にしたまま走ると、フットブレーキだけで後輪の制動力が強すぎ、スピンしやすくなる場合もあるため、注意しましょう。

ドレスアップ目的の「フェイクローター」もある

タイヤをインチアップして大径ホイールを履いた時、ディスクブレーキは、大径ローターや対向ピストンの大型キャリパーへチューンナップし、さらにキャリパーも着色されていると見栄えもよいのですが、ドラムブレーキの場合は、何しろ全てドラム内蔵で、ドラム自体も小さく、大抵は黒一色で、着色してもあまりカッコよくはありません。

そこで、ドラムとタイヤの間へキャリパーつきブレーキディスクの形をしたパーツを挟み込む「フェイクローター」というドレスアップ製品も販売されてます。

つまり大径ホイールを履けるようになった結果、ブレーキも性能だけでなくドレスアップパーツの一部になったということですね。

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