カスタム・アフターパーツ | 2020.07.20

今更聞けない!エンジンオイルの「粘度」や「等級(グレード)」の意味は?

Posted by 菅野 直人

車を維持する上で、大事な消耗品の一つが、エンジンオイルです。利用頻度が少なく、走行距離も短いと「車検や12ヶ月点検で交換しているからいいや…」という人もいるかもしれませんが、ある程度の距離を走る人であれば、頻繁に交換している人もいます。お店に任せても良いのですが、自分で選ぶ時のために粘度や等級(グレード)も一応覚えておきましょう。

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エンジンオイルの粘度とは

まず粘度(やわらかさ)ですが、「0W-20」や「10W-40」などと書かれている部分です。最初の「W」がつく数字の方は、低温時の粘度を表し、0Wであればマイナス35℃、5Wであればマイナス30℃、10Wであればマイナス25℃まで対応しており、数字が小さいほど低温でも固まりにくくなっています。

2番目の何もつかない数字の方は高温時の粘度ですが、低温時と異なり、「100℃でどれだけ固いか」を表しており、数字が高くなるほど高温時にも分厚い油膜を張って、エンジン内部を保護してくれるという意味です。

これは、アメリカのSAE(米国自動車技術者協会)の分類によるもので、世界共通規格といってもよいほど普及しているのですが、「0W-20の方が5W-20の方より柔らかいのでしょう?」というような誤解があります。

実際のところ、低温時の固さを表す「W」の方は、単にどのくらい低温でも始動性を保つかという基準に過ぎず、そんなに寒くもならないのに、やたらと0Wのオイルを入れれば良いというものではありません。

オイルの粘度を表すのは後半の方で、こちらはSAEと似ていますが、少し異なるSEA(米国自動車協会)が制定した粘度をSAEでも採用しているだけで、単に粘度を表す際には「SEA20」など、シングルグレード表記されます。

粘度が固ければ良いのか、柔らかければ良いのか?

しかし、SEAのシングルグレード表記だけでは、冬期の始動性がわからないため、SAE規格では冬期の始動性も含めた粘度表記となっています。そのため、5W-20でも10W-20でも、冬期の始動性が異なるだけで、始動後に熱が入った後の粘度という意味では変わりません。また、それほど寒くならない地域であれば、むやみにWの数字が小さく低温時の粘度が低いものを選んでも意味がありません。

ちなみに、SEA粘度では数値が大きいほど「エンジン内部の部品に生じるすき間を埋め、圧縮回復能力が高い」という効果があるため、使い込まれて摩耗したエンジンや、各部品のクリアランスが大きい時代のエンジンに最適です。また、数値が大きいほど金属同士の摩擦を抑制してメカニカルノイズを減らすため、すき間が少なく、圧縮の保たれたエンジンへ使っても効果があります。

ただし、エンジンの部品寸法や組み付けの精度が高いほど「すれ合って摩擦が生じるほどでも、すき間が生じるほどでもない絶妙な状態」が保たれており、新しい世代のエンジンほどSEA20や30といった柔らかいオイルでも問題は起きません。

そのため最近は、むしろ低温時は大抵の環境で問題が起きない0W、高温時は抵抗の少ないSEA20や30の「0W-20」や「0W-30」が指定オイルになっているエンジンが増えました。

ターボ車など、吸気を圧縮している関係でインタークーラーを通しても吸気温が上がり気味で、高出力のため発熱量が多かったり、特に直噴ターボエンジンでは5W-40や10W-40以上を使うことが多く、またアウトバーンでエンジンに負担が大きい高速長距離走行を頻繁に行うヨーロッパや、日本でも短時間に冷却が間に合わないほど急激な発熱を伴うスポーツ走行では、15W-50などのエンジンオイルもよく使われています。

等級(グレード)について

エンジンオイルには、粘度のほかにもう一つ、「SH」や「SN」、ディーゼルエンジンの場合は、「CF」「CH-4」などと書かれた「等級(グレード)」表記があります。

これもアメリカのAPI(米国石油協会)、ASTM(アメリカ材料試験協会)、そして粘度でも触れたSAEの3者が共同で制定している規格で、そのオイルが、どの程度の性能を保証しているかを試験した上で、クリアしたものに与えられる品質保証のようなものです。

ガソリンエンジンで最初の「SA」であれば、「添加物を含まないベースオイルで、運転条件がゆるやかなエンジンへ使用可能」。最新で2010年に制定された「SN」であれば、「排出ガス浄化性能やオイル劣化防止性能、耐熱性、耐摩耗性、省燃費性能が従来のSMより優れている上で、省燃費性の持続性向上や触媒保護性能を強化したもの」という意味になります。

これに加えて、日米が中心となっているILSAC(国際潤滑油標準化認証委員会)が、省燃費性能についての品質保証を行う「GF」という規格もあり、2020年7月時点での最新等級はSNに相当する「GF-5」で、最新のエンジンオイルには「SN GF-5」と表記されているものが多いです。

等級はAPIやILSAC以外の規格も存在する

さらに、エコカーに熱心な日本では、もっと高性能で超低粘度のエンジンオイルを使って省燃費性能を極めたい!という需要もあったため、JASO(日本自動車技術会)によって独自の規格制定も行われています。

乗用車のクリーンディーゼル用には「DL-1」、トラックのディーゼルエンジン用には「DH-2」が制定されており、DL-1はDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の目詰まりを抑止して寿命を向上させたり、省燃費性の規定、高温酸化防止性強化などをクリアしたものです。

さらにディーゼル乗用車の本場ヨーロッパでは、ACEA(欧州自動車工業会)が制定した「C3」という規格があり、日本車でも日産・エクストレイルのクリーンディーゼル車は、C3規格のエンジンオイルが指定されています。

JASOでは、他にも2019年に「GLV-1」という新規格を制定しており、SAE分類では0W-8や0W-12に相当するオイルなのですが、そのような柔らかいオイルまで使ってまで、エコカーを極めようと思ったのが日本以外にはなかったらしく、API規格では相当するオイルの分類がありません。

しかし、API規格なしでは品質保証がないため、それもJASOが制定し、2020年2月にはトヨタからGLV-1規格の0W-8オイルが発売され、従来のSN 0W-16より25%もの低粘度なオイルとしてヤリスハイブリッドなどに使われています。

昔のオイル選びは単純で固かった

ここまで現在の複雑な粘度や等級の規格を説明してきましたが、そもそも日本では、北海道の一部を除けば、それほど極端に低温になるわけでもなく、また280馬力自主規制などもあって極端にハイパワーな車もなかったため、かつてSFやSGグレードの頃は、10W-40あたりが標準の粘度でした。

あとは添加剤などで、どれを入れるか選べばよい程度のオイル選びでしたが、25年ほど前に抵抗低減で燃費向上、あるいはエンジンの吹け上がりを良くすると称して、5Wや0Wのオイルが流行りだしました。

某社など「Zero NA」という0W-30オイルを発売し、いかにも高回転型自然吸気エンジン向けのオイルだというので、筆者など「ならば、ちょっとショボいエンジンでも抵抗が減って軽やかに回るのではないか?」と思い、当時の愛車に積んでいたハイメカツインカムの3S-FEにこのオイルを入れて高速道路に繰り出し、ああ確かに吹け上がりが良いな、などと悦に浸っていました。

今考えれば、0Wでも5Wでも関係なく、SEA30の部分で抵抗が少なかっただけでしたし、当時は「あまり低粘度のオイルを入れると油膜が切れてエンジン内部が摩耗し、圧縮は下がってオイル上がりも早くなる」などと言われたものでしたが、気がつけば自然吸気エンジンは0W-20、ターボ車でも5W-30あたりが標準の指定オイルになっていますから、時代は変わったものです。

そういう時代になってから、ジムカーナ競技にやたらと古い車で参戦するようになると、周りの新型車は0W-20で走っているのに、愛車はくたびれたターボ車、それも急加速と急減速を繰り返し、コーナリングの連続で冷却効果も期待できない上に、走行時間は1分少々の短時間でエンジンを冷ますのに気を遣う環境のため、15W-50を入れていたら、オイルメーカーの担当者に仰天されたこともあります。

どうもヘタに昔を知っていると、「なんか0W-20や5W-30はそりゃ回るけどトルクスカスカで、10W-40や15W-50でないと熱くなっても、トルク出てない気がするんだよね」という感覚になりますが、ある年代以上の方では「わかる」という人も多いのではないでしょうか。

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