カスタム・アフターパーツ | 2020.10.26

チタンマフラーはなぜ人気なのか?メリットとデメリットについて

Posted by 菅野 直人

車のチューニングやドレスアップで、定番のひとつがマフラー交換ですが、フロントパイプから交換して性能アップを狙う人もいれば、テール部分のみの交換で安上がりにドレスアップ効果を狙う人もいます。中でも独特の焼け色(ヒートグラデーション)で人気なのがチタンマフラーですが、何しろ高価! 今回はチタンマフラーを買うかどうか迷う方のため、メリットとデメリットを紹介します。

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とにかくカッコイイ!テールエンドでアピールするなら断然チタンマフラー

街を走る車を見ていると、テールエンドがイイ感じの青紫色に光るマフラーに気がつくかもしれません。

それがチタンマフラーで、「ヒートグラデーション」という独特の焼けた色は、鉄やステンレスのマフラーではなかなかつきにくく、ほとんどの自動車ではテールエンドで、排気管が見えやすいバイクでは他の部分でもこのヒートグラデーションが鈍く光り、チタンマフラーならではの「色っぽさ」がとてもよい味を出しているものです。

アフターパーツとしてのマフラーには、排気の抜けやサイレンサー(消音器)の消音効果を調整して、純粋に馬力アップ・トルクアップ、さらにそれらがどの回転数で効果的に生じるかを変化させたり、単純に排気の音質や音量を調整するサウンドチューニング的なもの、そして見た目のドレスアップなど期待される効果はさまざまです。

ただし、単純に「マフラー」といってもエンジンからの排気がまず流れてくる「エキマニ(エキゾーストマニホールド)」、排ガスを浄化する「キャタライザー(触媒)」、「フロントパイプ」、「センターパイプ」、「サイレンサー(消音器)」、「テールパイプ」と分かれており、全て分割されているものもあれば、フロントパイプから後ろが一体、サイレンサーとテールパイプが一体など、いろいろなタイプが存在します。

性能を左右するレベルまで求めると、最低でもフロントパイプから後ろの全て、可能ならエキマニから全てを交換するのが望ましく、さらに吸気系やコンピューター、燃料系や電装系など全てを最適化していかないと、うまく性能向上できないため、そこまで手をつけるユーザーは少数派です。

特にドレスアップ派は、目で見える範囲が変わっていれば十分なため、サイレンサーとテールパイプだけを交換する製品も数多く、テールパイプへかぶせてネジ止めするだけで、真後ろから見なければ太くてカッコよいテールパイプに見える「マフラーカッター」でも効果があります。

チタンマフラーの最もわかりやすい交換効果は「ヒートグラデーションによる見た目」なため、マフラーカッターだけでも装着したいユーザーがいると思いますが、その一方で排気系の全てをチタン化した高価で高性能な製品も存在します。

チタンマフラーの主なメリットは「見た目」と「サビにくさ」、そして「軽さ」

ドレスアップ向けの製品では、「見た目」が最大のメリットとなるチタンマフラーですが、チタンという金属(大抵は純チタンより加工性に優れたチタン合金です)は、空気との結合力がとても強く、空気に触れると強力な酸化皮膜に包まれます。

チタンの酸化皮膜には2種類の大きな特徴があり、まず一つは、「被膜の厚さで光の屈折により見た目の色が変わる」ことで、バーナーであぶったりして熱を加えたり、電解処理によって被膜の厚さを全体でも部分的にでも変えることが可能で、これが「ヒートグラデーション」の正体です。

自動車用マフラーでは、テールエンドを青や紫で色づけていますが、白と黒以外ならどのような色でも表現可能な上に、塗装ではないため剥がれたりせず、酸化被膜の厚さが変わらない限り美しい色が保たれます。

もう一つは、「極めて安定しており自己修復力すらあるため、とにかくサビにくい」ことで、ステンレスマフラーでも同じように酸化皮膜でサビにくい効果があるものの、チタンの場合はより安定して強固で、サビにくさではステンレスの比ではなく、海水中でも白金に次ぐサビにくい金属とされているため、海沿いや融雪剤が多用される地域でマフラーのサビに悩んでいる人にとっては、ありがたい話です。

この2つだけでも大きなメリットといえるチタンマフラーですが、チューニングパーツとして考えた場合は、鉄(鋼材)やステンレスの6割程度の軽さで、しかも非常に硬いため薄肉でつくることができるため、製品段階ではなおさら軽くなり、車全体の軽量化につながるだけでなく、車両後端のサイレンサーやテールパイプの軽量化で、コーナリングに悪影響を与える慣性重量を減らすことも可能です。

他にも「金属アレルギーを起こしにくい金属のため、ステンレスなどに触ることができない人でも扱いやすい」、「硬い金属のため共鳴した排気音がステンレスとまた違った味わいがある(音質や音量はエキマニやサイレンサーなど他の要素でも左右されます)」といったメリットがあります。

加工しにくい、硬くて割れやすい、とにかく高価…デメリットも多数あるため普及せず

それだけよい素材であれば、もっと車に使われてしかるべきではないか、デメリットも多数あるので普及しないのだろうと言われればその通りですが、何より問題なのはチタンという素材そのものが製造にとてもコストがかかるため、どんな製品でも非常に高価です。

しかも鉄やステンレスと違ってアーク溶接や半自動溶接はできず、TIG溶接など特殊な機材を持っていないと溶接ができないというアルミ合金と同じデメリットがあり、熱を入れると硬化して割れやすくなるため曲げ加工には向かず、手間のかかる細かい溶接で曲げ部分をつくる必要があるなど、加工コストも高価、かつ施工できるショップなどは限られます。

しかも熱が入って硬化して割れやすい、というのはマフラーのように高温の排気が流れる製品にとってダメージのもととなり、硬化が進んだチタンマフラーは、走行時の振動で気がつくと溶接部分など力のかかりやすい部分にクラックが入り、排気漏れによる音量増大やトルクダウンの原因にもなり、それを修理のために溶接すると熱が入り、思わぬところへ望まぬヒートグラデーションが発生!とよいことがありません。

つまり、「軽くて硬いけど柔軟性がない金属」のため、熱が入る程度ならともかく、力がかかる部分に使うとあっさり破損する場合もあり、力がかからない部分や容易に交換可能な部分にしか使えない…マフラーなどは、交換容易で、メリットも大きいために使われているだけと言えます。

それでいて致命的なほど高価ですから、最低限の投資で最大限のドレスアップ効果とチューニング効果が狙えるサイレンサーとテールエンドのみ、またはマフラーカッターのみという製品が多いのも納得です。

もちろん、高コストを許容できるユーザー向けにエキマニからテールエンドまで全て、さらにボルトやガスケットもチタン製というチタンマフラー製品も存在しますが、「ヒートグラデーションを見せることができれば十分」であるほとんどのユーザー向けの、部分的な製品を安価で多数販売していることが、チタンマフラー人気の原因でしょう。