買取相場 | 2022.12.15
新車では圧倒的な売れ行きを見せているトヨタ「ヤリスクロス」。買取市場での人気も絶好調?
Posted by 菅野 直人
「ヴィッツ」が4代目へのモデルチェンジを機に改名したトヨタのコンパクトカー、「ヤリス」(2020年2月発売)のクロスオーバーSUV版として、2020年8月に発売されるや大ヒット、GRヤリスを含む「ヤリス」シリーズの稼ぎ頭となっているヤリスクロス。 ヤリスと異なり、1リッターガソリンエンジンの廉価版は設定せず、ガソリン車、ハイブリッド車ともに4WDの電子制御システムへ、雪上や悪路走破用モードを加え、小さいながらも本格的なクロスオーバーSUVへと仕上げていますが、買取市場ではどのような評価を受けているでしょうか。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ヤリスクロスの中古車市場での人気について
2022年11月現在、大手中古車情報サイトにおけるヤリスクロスの流通台数を見ると、以下のようになっています。
1.5リッター純ガソリンエンジン車が941台で車両本体価格は、159.8万~375万円、そのうち試乗車や展示車、登録済み未使用車と思われる走行500km以内の車両は336台(159.8万~375万円)。
ハイブリッド車が699台で、204.5万~375.9万円(カスタムカー除く)、うち走行500km以内が321台(229.8万~375.9万円)。
約34%が走行500km未満の「新車同然の中古車」あるいは「新車そのもの」ですが、新型コロナウイルス禍による、半導体を中心とした輸入部品の製造遅延がそのまま生産と納期の大幅な遅延につながっており、ヤリスクロスのような人気車では、トヨタの公式発表でも「6ヶ月以上」、つまり半年以上ではあるが、いつ納車できるか即答が難しい状況です。
2022年2月くらいまでは「ガソリン車であれば4ヶ月程度、ハイブリッドであれば半年から1年」と言われていましたが、調査時点ではガソリン車も含め納期が読めない状況になり、しかも本格的な冬を前に、新型コロナウイルスの感染増加第8波が来ると言われている今、いつ改善されるのかもわかりません。
つまり「ヤリスクロスをすぐ欲しければ中古車、新車同然のクルマが欲しければ展示車や試乗車上がりか、登録済み未使用車で妥協するしかない」という状況で、「全国に562台の新車同然の中古車がある」と言っても、人気モデルにおいてはタマ数不足もいいところです。
おかげで、どんなに高価でも車両本体価格が300万円以内に収まるヤリスクロスが、300万円以上のプレミアつき価格で販売されているような状況であり、人気と言っても品薄で価値が上がっており、今後も上がっていくのかもしれません。
買取査定額が期待できるヤリスクロスのグレード
前項で説明したように、中古車市場でもタマ数不足という状況であり、全グレードとも買取査定はかなり高め、ビジネス向けとも言える「X Bパッケージ」、つまり通常時であれば見向きもされない最廉価グレードでさえ、新車価格の半分を割ることはありません。
最廉価グレードでもそのような状況ですが、特に標準グレードの「G」、最上級グレードの「Z」はガソリン車、ハイブリッド車ともに高価な買取査定がついており、2022年8月の改良で追加された「GR SPORT」は、さらにその上を行きそうですが、今回の調査では、1年落ち2021年式を最新としており、結果にGR SPORTが含まれておらず、来年以降の追加調査では、さらに驚くべき結果が出る可能性もありそうです。
買取査定額が期待できるヤリスクロスのカラー
ボディカラー別の評価では、定番の黒、白、シルバーのほか、青、アイボリー(ベージュ)、黄色、ワインレッド(赤)も上位に来ており、派手なゴールドが意外と低評価なくらいです。
白黒シルバー以外でも評価が高いのは、冠婚葬祭やフォーマルな場に乗り付けたり、目立たないように無難さが求められるファミリーカーとしての用途だけでなく、コンパクトSUVとして手軽に乗り回せるイメージから、個人のゲタ車的なパーソナルカー用途が多いことが影響していると思われます。
【1年落ち2021年式ヤリスクロスの目安査定額】
1年落ちの2021年式ヤリスクロスは、2020年8月に発売されてから2年目、販売が絶好調ゆえか、2022年8月に行われたような大幅改良はされていません。
そのため、まだまだ「新型車」として、後述するように買取市場では非常に高く評価されています。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年11月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
X Bパッケージ | 新車211万円に対し、買取価格125万円程度 |
X | 新車222万円に対し、買取価格150万円程度 |
G | 新車235万円に対し、買取価格168万円程度 |
Z | 新車256万円に対し、買取価格185万円程度 |
平均買取価格 | 157万円程度・平均残価率68%程度 |
(ハイブリッド車)
ハイブリッドX | 新車264万円に対し、買取実績なし |
ハイブリッドG | 新車276万円に対し、買取価格194万円程度 |
ハイブリッドZ | 新車297万円に対し、買取価格226万円程度 |
平均買取価格 | 210万円程度・平均残価率73%程度 |
【2年落ち2020年式ヤリスクロスの目安査定額】
2年落ち2020年式ヤリスクロスは、2019年8月に発売されたヤリスクロスの初期モデルで、ラインナップは大別して1.5リッターガソリン車と、1.5リッターハイブリッド車の2種類、前者には昔ながらのプロペラシャフトで後輪へ駆動を伝える機械式4WD、後車には後輪がモーター駆動の電気式4WD(E-Four)を設定。
それぞれに廉価版「X」、標準グレードの「G」、最上級グレードの「Z」をラインナップし、ガソリン車のFF車にのみ、主にビジネス向けの装備が簡素な最廉価グレード「X Bパッケージ」を設定しています。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年11月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
X Bパッケージ | 新車211万円に対し、買取価格121万円程度 |
X | 新車222万円に対し、買取価格144万円程度 |
G | 新車235万円に対し、買取価格168万円程度 |
Z | 新車256万円に対し、買取価格173万円程度 |
平均買取価格 | 151万円程度・平均残価率65%程度 |
(ハイブリッド車)
ハイブリッドX | 新車264万円に対し、買取実績なし |
ハイブリッドG | 新車276万円に対し、買取価格197万円程度 |
ハイブリッドZ | 新車297万円に対し、買取価格219万円程度 |
平均買取価格 | 208万円程度・平均残価率73%程度 |
ヤリスクロスの残価率・リセールバリューは?
「目安査定額」の項へ表記した平均買取相場を見ての通り、1年落ちでも2年落ちでも非常に高い残価率を記録しており、特に新車から2~3年落ち程度はガソリン車より高く評価される傾向が強いハイブリッド車は、1年落ち、2年落ちとも約73%という、驚異的なリセールバリュー(新車価格に対する買取査定額の割合)となっています。
何しろ今すぐ欲しくて新車を注文したところで、短く見積もっても半年以上、今後の世界情勢やコロナウイルス禍の推移によっては、改善されるどころか悪化する可能性や、予定されるマイナーチェンジまでの計画生産台数を受注しきってしまった場合、一時的なオーダーストップさえ予想できるほどです。
「欲しくても買えない」ユーザーがいくらでもいるという状況がいつまで続くか全くわからないため、今後もしばらくはリセールバリューが非常に高い状況が続くでしょう。
ただし、3年落ちより低年式になってくると、走行用バッテリーの劣化による性能低下が不安視されるハイブリッド車は、価値が急速に下落する傾向が今まであり、そればかりは世界がどうあろうと歯止めが効くものではないため、4年落ち以上になると、ハイブリッドとガソリン車の価値が逆転、ガソリン車だけは、かなり低年式になるまで50~60%台で推移する可能性があります。
もっとも、有効な治療薬を安価で大量供給できるようになるなど、新型コロナウイルス禍が過ぎてからは、平常時の価値へ戻るはずですが、それがいつになるかは誰にもわかりません。