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コラム | 2021.10.02

伝説のミッドシップMR2とMR-S!走ることに特化した異なる性質を振り返る

Posted by KAKO MIRAI

MR2の後継モデルといわれるMR-S。両車共にミッドシップレイアウトを持つ、走りに特化したモデルといえるでしょう。しかしその性質はそれぞれに異なっています。今では生産終了されてしまった2台ですが、次期MR2が発表されるかもしれないという話題のある今、どんな車だったかを振り返ってみましょう。

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MR2の歴史

AW10/AW11

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MR2が誕生したのは1984年のことでした。名前の由来は「Midship Runabout 2seater」の頭文字をとったもの。国産メーカーとしては初となるミッドシップ車の誕生でした。車のFF化が進む中、カローラのパワーユニットを使用してそのまま運転席の後ろに乗せ換えてしまったのです。

当時、すでにフィアットXが、大衆車をベース車両にしたミッドシップを販売していました。その方法と同様に作り出されたのがMR2 AW11です。エンジンは80系カローラと共通となっています。

ミッドシップはMRとも言われ、「ミッドシップエンジン・リアドライブ」の略したもの。エンジンを搭載している位置による分類のひとつで、エンジンを車体の中央部分に配置する方式のことです。

メリットとデメリット

メリットとしては、走行性能の良さが挙げられるでしょう。車のパーツの中でも一番重量のあるエンジンが、車の中央部分に設置されているため、重量配分バランスが良くなります。そのためコーナリングの安定性が向上。

よくいわれることにFFはオーバーステア、FRやRRはアンダーステア、そしてMRはニュートラルがあります。つまりMRは、コーナーでの限界スピードが非常に高いといえるのです。

デメリットとしてはコーナリング性能の高さゆえに起こる、スピンする可能性の高さが挙げられるでしょう。スピードの限界値が高く、バランスの良さからギリギリまで耐えてしまい、限界を超えた瞬間にスピンをしてしまいます。

特徴

カローラの中で同じFRでも、AE86のエンジンは縦置きだったことに対して、AW11は横置き。同じエンジンを使用した訳ではありませんでした。またマイナーチェンジではスーパーチャージャーが追加され、カローラ80系の中では最強の動力性能を誇ります。

エクステリアに採用されたのは、四角をイメージする角ばったデザインに、流行りのリトラクタブルヘッドライトを採用。当時、その斬新さがひときわ輝いていたといえるでしょう。80年代のスポーツカーでありながら、時代とは真逆の軽量小型ないで立ちに、高い人気を集めました。

当時の人気グレードは、やはりAE86と同様のエンジン4A-Gを積んだテンロクモデルですが、廉価モデルにAW10もありました。3A-LU型のエンジンは、実用エンジンで、乗りやすく欠点はありませんが、パワーやレスポンスはスポーツエンジンとは異なり平凡そのもの。

もともとレースの世界で誕生したMRレイアウトは、速さを求めた結果たどり着いた、ひとつの答えでもあります。前輪の設置荷重が軽いため、荷重移動をしっかりと行わなければアンダーステアとなる可能性が高くなるでしょう。

扱いやすさはAW10の方が上ですが、MR2に求めたのは走る気満々のスペックです。あまりやる気のないように見えるAW10ですが、ファントゥドライブを楽しむには良い車でもありました。そんなAW10もぜひ記憶の片隅に覚えておいてください。

SW20

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1989年に誕生した2代目は、1999年の生産終了まで人気の高かったモデルです。市販車としてはもちろん、モータースポーツでも活躍。『全日本GT選手権(現SUPER GT)』ではGT300クラスで優勝を経験しています。

Ⅰ型

SW20は、デビュー当時と生産終了時では、別ものの車といえるほど大きなマイナーチェンジを施しました。AW11では秀逸だったハンドリングが、Ⅰ型ではピーキーを超えた危険なハンドリングで、「カミソリのようなスポーツカー」といわれたこともあったようです。

角のあった斬新なデザインだったAW11から丸みを帯びたスポーツモデルらしいデザインに変更。またボディサイズも一回り大きくなっています。採用されたパワーユニットを見ると初代の1.6Lから2Lへとパワーアップ。

エンジンにはセリカGT-FOURやスープラなど、グループCで大活躍したトヨタの名機3S-GTEが搭載されています。当時トヨタのモータースポーツシーンでは、このエンジンなしには語れないほどの傑作パワーユニットといえるでしょう。当時の2Lで225psは最強のスペックといっても過言ではありませんでした。

Ⅱ型 1991年

ピーキーなハンドリング性能の原因として考えられるのは、パワーアップしているエンジン性能に対して、サスペンションのストローク量や14インチのタイヤでは受け止めきれないことが問題点でした。そこでⅡ型にマイナーチェンジされた時にはサスペンションのパーツやレイアウトを変更。

また15インチにサイズアップされたタイヤを履き、ブレーキの容量をアップしています。そのほかにもビスカスLEDの採用、ビルシュタインのダンパーなどが見直され、大きく変化を遂げることになりました。

エクステリアではフロントリップスポイラーが大型化し、フォグランプも黄色から白に変更されています。

Ⅲ型

もう一つの大きなマイナーチェンジはⅢ型が挙げられます。エンジンを中心とした改良が中心となりました。今までのエンジンは、レースで使用すると故障することがあったため、エンジンに手を入れています。そのためⅢ型以降は故障することもなく、反対に「丈夫なエンジン」という評価につながっています。

また最高出力もターボで225psから245psへとアップ。またスポーツABSを採用し強化を図っています。エクステリアではリアスポイラーがウィングタイプに変更。またリアコンビネーションランプが直線基調から丸を基調としたデザインに代わりました。

Ⅳ型 1996年・Ⅴ型 1997年

Ⅳ型ではABSの構造変更や、エアバッグが運転席、助手席に標準装備されたことなど、大きな変更点はありません。Ⅴ型ではNA車への改良が行われました。VVT-iを採用し、最高出力が200psに引き上げられています。

1999年 生産終了

『トヨタテクノクラフト』が製作したMRスパイダーが注文販売され、92台が生産されました。デビュー当時の「乗りにくい車」というイメージを見事に払拭し、改良を続けた結果ポテンシャルの高いミッドシップスポーツカーとしての地位を確立することができた数少ない名車になったといえるでしょう。

MR-Sとは

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渾身の軽量ピュアスポーツ

1999年に誕生したMR-Sは、MR2と同様にミッドシップ方式を採用したオープンスポーツカーです。スポーツカーの定義は人それぞれで、ハイパワーのエンジン性能を楽しめるものでなければスポーツカーではないという人も多いかもしれません。

その定義をスポーツカーというのであれば、MR-Sは、スポーツカーではないといえるでしょう。しかし、「軽さは正義」といわれているように、軽量だからこその軽快な走行性能もあります。

ドライバーの意のままに操釣ることができて、楽しむことができれば、それはもうスポーツカーでもいいのではないでしょうか。MR2の後継モデルと期待されて誕生したMR-Sは、コンセプトが全く異なっていたため、軽い戸惑いを与えました。

トヨタがMR-2に与えたのは、パワフルな走行性能ではなく、軽やかな走行性能でした。当時のマツダ ロードスターよりも60㎏軽い車体から繰り出されるハンドリング性能は圧倒的ともいえます。

国内初となったシーケンシャルトランスミッション

シーケンシャルトランスミッションとは、クラッチペダルの操作を自動で行うというシステムのこと。シフトレバーを前後に動かすことでクラッチを切り、ギアチェンジが行われると、クラッチがミートします。

MT車で難しいとされるクラッチ操作が不要。クラッチを切ってギアを落としえブリッピングしながらクラッチをミートさせる一連の行程を、常に正確な回転数制御で行うことを可能にしました。

MT派には物足りないシーケンシャルトランスミッションですが、ワインディング走行でステアワークとブレーキングに集中することができます。気軽にスポーツ走行を楽しめるMR-Sならではのシステムといえるでしょう。

性能

MR-Sのプラットフォームは、現行ではヤリスとなっているヴィッツ系のコンポーネントを採用。1.8Lの1ZZ-FFのエンジンは、カローラに搭載されている実用域でのトルクが重視されたものです。

そのため最高出力は140psとパワーは少し劣りますが、車重は970㎏と他車を寄せ付けない軽さです。全長が3,895mmとコンパクトであるにもかかわらず、ホイールベースは2,450mmの長さがありミッドシップ特有のピーキーさも抑えられました。

ブレーキ性能、コーナリング性能を向上し、剛性を高めたセッティングを施しています。特別に速い装備や特徴はありません。しかし徹底的に軽量化されたボディと、ロールの少ない安心感からアクセル全開で、どこでも踏み込める走行性が特徴でした。

短命に終わったMR-S

1世代で生産終了を迎えたMR-Sは何が受け入れられなかったのか、定かではありません。しかし現在も中古車市場では、高値で取引されていることからも、性能の良さと希少性が評価されていることは確かでしょう。

スポーツカーの概念がハイパワー重視だった時代ではなかったら、もう少し違った結果になっていたのかもしれません。そう考えると非常に惜しい一台といえるのではないでしょうか。

まとめ

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同じミッドシップとはいえ、その方向性が大きく異なる2台のピュアスポーツカー。走ることを徹底的に追求し、モータースポーツでも活躍するまでに改良を重ねた車がMR2です。また対照的に、走る楽しさを世の中に問い答えを突き付けられたのがMR-Sだったのかもしれません。

いずれにしても、トヨタが挑んだミッドシップ ピュアスポーツカーの時代は、一旦終わりを告げました。しかし今のトヨタなら、違った形で復活させてくれるのではないかという期待も持てそうです。

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