引用:KAKO MIRAI

コラム | 2021.10.22

OHVのマッスルカーから進化を遂げたV8エンジンHEMIの誇り!変わりつつあるアメ車事情

Posted by KAKO MIRAI

マッスルカーを代表するアメ車は、国産や欧州車にはないエンジンサウンドが魅力のひとつ。歴史あるOHVエンジンを現在使用しているのはアメ車だけとなってしまいました。中でもクライスラーのHEMIエンジンはアメリカを代表するといっても過言ではありません。V8の大排気量から生み出されるトルクフルな走行性能の特徴をご紹介していきましょう。

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OHVエンジンとは

KAKO MIRAI

OHVエンジンがどのようなものかを知るために、まずはエンジンについて簡単にまとめてみました。

エンジンの基本構造といえるレシプロエンジンは、ピストンの往復運動で動力を生み出しています。その構造としては、吸気、圧縮、燃焼(膨張)、排気の4つの行程を繰り返すことで生み出されているといえるでしょう。この構造を持つエンジンを「4ストロークエンジン」と呼んでいます。

4つの行程のうち吸気と排気を担っているのはバルブと呼ばれるパーツのこと。このバルブを動かしている仕組みの違いこそが、エンジンに付けられているOHVやDOHCと呼ばれている形式です。

OHVエンジンに移行する前にはサイドバルブ(SV)と呼ばれるバルブシステムが活躍していました。そこからOHVが誕生した経緯をご紹介していきます。

サイドバルブ(SV)

車の大量生産が始まった1900年代前半頃に、生産されていた形式はサイドバルブでした。燃焼室と吸排気バルブが横に並んだ形状をしており、シリンダー内で混合気を燃焼させる熱損失が大きくなることが指摘されます。
燃焼室は、位置や形状によってエンジンン性能に大きな影響を及ぼす重要な場所です。燃焼室内に混合気を上手く行きわたらせるためには、その流れを良くしなければなりません。運動エネルギーを得るためには熱効率を上げて熱損失を少なくすることが重要になります。

SV(サイドバルブ)の設計では燃焼効率があまりよいとは言えず、また圧縮比を高めることにも限界があり、高出力化することが難しいものでした。

オーバーヘッドバルブ(OHV)

1900年代後半に入ると、SVでは横に付けられていたバルブをシリンダーヘッドの上に設置する新しいバルブ機構が登場します。ピストンを動かす役目を担っていたのは、プッシュロッドと呼ばれる棒状のパーツです。

この構造のおかげで、横長に大きかった燃焼室の小型化に成功。また燃焼効率も格段に向上しています。その後に生まれた「シングルオーバーヘッドカムシャフト(SOHC)」は1本のロッカーアームを使用。

また現在でも使用されている「ダブルオーバーヘッドカム(DOHC)」では2本のカムシャフトを配置したものへと、進化を遂げてきました。エンジンの高回転化は出力が増すだけでなく、より高性能なメカニズムが必要となります。

そのためバルブの開閉速度を上げなければならず、SOHCで使用されていたロッカーアームは、高回転が苦手なため使用されなくなりました。そこでDOHCでは2本のカムシャフトを使用しつつ、ロッカーアームは使用しないので、高回転型で高出力なエンジンを作ることに貢献しています。

歴史を紐解くと、SVからOHV、SOHC、DOHCへと進化を遂げてきたことがよくわかるのではないでしょうか。ではなぜOHVにこだわるHEMIエンジンが誕生したのか、またなぜ時代に逆行しているのかという疑問を持たずにはいられません。

HEMIエンジンの特徴

Hachi888 / Shutterstock.com

HEMIエンジンの誕生は、アメリカを代表する『クライスラー』によって生み出されています。『クライスラー』は1925年に設立された長い歴史を持つ自動車メーカーです。現在はオランダに本社を置く『ステランティスN.V』の属するブランドのひとつとなっています。

HEMIエンジンの特徴①

HEMIエンジンが誕生したのは1951年のことでした。HEMIはもともとエンジン内部にあるシリンダーやピストンによって構成される燃焼室の形状を表す言葉です。「Hemispherical(へミスフェリカル)」の頭文字を取った言葉で、半球状を意味します。

SV(サイドバルブ)でも触れたように、熱損失はできるだけ防ぐ必要があるものです。そこで『クライスラー』が開発したのは、燃焼室の表面積を小さくするという方法でした。立体物の中で最も表面積が小さいものは球体なので、球体を使用することで熱損失を防ぐことに成功したのです。

HEMIエンジンの特徴②

HEMIエンジンの燃焼室の側面に配置した吸排気ポートにはバルブが設置されています。燃焼室が半球体となると、吸排気バルブは相対することになり、吸排気のバルブの間には角度が付けられることになりました。このバルブ相互の間の角度を「挟み角」といいます。

当時、挟み角は60度~90度が常識となっており、挟み角を大きくすることで大径のバルブを採用することが可能になりました。このため、当時としては画期的な高出力を発揮することに成功し、レーシングカー並みのスペックをたたき出しています。

HEMIエンジンの特徴③

アメリカの歴史を見ると、大衆車が普及した時代に高級車に搭載されていたエンジンは、V8エンジンでした。そのため、V8エンジン搭載モデルを購入することが当時の人々の夢となっていたのです。現在でもV8神話アメリカで強いのは、当時からの根強い魅力が今でも変わらないということができるかもしれません。

そのため 『クライスラー』もHEMIエンジンのコンセプトにはNAの大排気量をコンセプトとし、4L~7Lクラスのエンジンを開発していきました。

第1世代から第3世代へ

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第1世代 (1951~1958年)

当時『クライスラー』のHEMエンジンは、「ファイアパワー」に名前で発表されています。従来のOHVの性能を向上させたファイアパワーは、『クライスラー』が第二次世界大戦中に飛行機の開発で得たノウハウを、自動車用に改良。

これまでの質実剛健で大人しいイメージを一層し、ファイアパワーエンジンを搭載した車種を続々と投入していきます。華やかなイメージとパワフルなエンジンで世の中を席巻し、ここから『GM』『フォード』を巻き込んだ「ビッグ3」の熾烈なパワー競争が始まりました。

第1世代が搭載された車種は、セダンタイプの高級車が主です。基本的な構造は同じものですが、排気量は3.9L~6.4Lまで設定されています。当時を代表する車種を上げてみましょう。

ニューヨーカー

1939年から1996年の長期に渡り生産されていた、『クライスラー』を代表する一台です。アメ車の中ではコンパクトセダンに分類されています。豪華な内装と静粛性に優れた室内は古き良きアメリカを彷彿とさせ、デザイン性が目を惹きそうです。

非常に軽いパワーステアリングと、ふわふわの乗り味がまさにアメリカンスタイル。時代と共にスタイルを変え、1994年に11代目を迎えます。最終モデルはどちらかといえば簡素なスタイルで、落ち着いたデザインを採用。58年という長いモデルライフを終了することとなりました。

デソート ファイアスウィープ

『クライスラー』の中でも高級志向に向けた販売部門である「デソート」を1928年に設立しています。経済不況のあおりを受け販売不振に陥った1960年に終了となってしまった、知る人ぞ知るブランドです。

その中で1952年にHEMIエンジンを搭載したファイアドームを始めとし、シリーズ化されました。「アドべンチュアラー」「カスタム」「ファイアフライト」「ファイアスウィープ」がラインナップ。美しいデザインのテールフィン全盛期で、アメ車を代表する一台といえるでしょう。

1929年には『ダッジ・ブラザーズ』を買収し、『クライスラー』の一部門を担うことになりました。そのためデソートとダッジが『クライスラー』内で競合することになった経緯を持っています。

第2世代(1964~1971年)

この時代はマッスルカーの全盛期を迎え、スポーツカーが人気となっていきました。そのためHEMIエンジンも第1世代のセダンタイプでゆったりとした走行性能から、ハイパワーを重視したレーシングカー用エンジンをベースに開発が進みます。
『NASCAR』やドラッグレースが盛んになっていったほか、市販車を使用した公道でのレースも行われるようになりました。第1世代ではさまざまに開発されていたエンジンでしたが、基本構造が共通化されたことでチューニングがしやすくなり、公道レースが広まっていったと考えられるでしょう。

しかし1971年に起こった「オイルショック」によって大排気量エンジンの需要が一気に落ち込むこととなります。水よりも安価だったガソリンが高騰し、HEMIエンジンも姿を消すことになっていったのです。この世代の有名な車を以下に上げてみましょう。

ダッジ スーパービー

当時採用されていた車種「コロネット」をベースに販売されたのがスーパービーです。2007年に限定販売されたスーパービーがあるので、知っている人も多いかもしれません。こちらはチャージャーのSRT-8をベースにして作られましたが、初代は開発・コストを切り詰めた廉価なマッスルカーとして人気を集めました。

最高出力340psの6.8L~7.2LまでのHEMIエンジンが用意され、乗り心地も硬めで快適装備は割愛されたスパルタンモデルです。2ドアクーペと2ドアハードトップが設定されており、マッスルカーのイメージが強いスタイルとなっています。

プリムス バラクーダ

1964年に発売された最初のポニー・カーです。ポニー・カーは手ごろな価格で乗ることのできるコンパクトなスポーツカーを意味しています。初代から2代目にかけては搭載されていなかったHEMIエンジンが3代目で初搭載。

7LのHEMIエンジンを積んだ「へミ・クーダ」が登場。この頃には『クライスラー』最大のV8型440や426といったHEMIエンジンを搭載したモンスターマシーンも用意されています。1970年にはバラクーダの姉妹車としてチャレンジャーが登場したことも大きな話題です。

第3世代(2001年~現在)

「ダッジスーパー8HEMI」というコンセプトの元、新世代HEMIが登場しました。過去のHEMIを名前に付けていますが、実は半球状のエンジンヘッドは採用していないことで大きな話題となりました。

V8やOHVを採用している点は先代を継承。しかしさまざまな新技術が盛り込まれエンジンが電子制御化されています。そのほかには「MDS(マルチディスプレイメントシステム)」を採用。

燃費を向上させるために走行状況によって8気筒から4気筒へ気筒休止するシステムとなっています。出力やトルクなどの性能の向上したほか、今までは重視されなかった燃費性能なども大幅に向上。歴代のHEMIのパワーを活かしつつ、加速時の吹け上がりは今までにないスムーズさとなっています。

現行車には「ダッジ チャレンジャー SRT8」「ジープ グランドチェロキー SRT8」「クライスラー300C SRT8」などの車種で、排気量5.7L~6.4L搭載。『クライスラー』『ダッジ』の上級車種を代表するエンジンとなっています。

まとめ

KAKO MIRAI

2009年に『クライスラー』は経営破綻し、現在は『FCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)』となりました。長い歴史の中で、HEMIエンジンが守り続けてきたOHVエンジンの誇りがそこにあります。

そして今、新たな技術を搭載し更なる進化を遂げているといえるでしょう。変わらないものと、変えてはいけないものの狭間で、アメ車の誇りをいつまでも守り続けて欲しいと願うばかりです。

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