カスタム・アフターパーツ | 2021.05.11
柿本改のカキモトレーシング、どんなマフラーをつくっている?
Posted by 菅野 直人
「柿本改」ブランドで有名なアフターパーツメーカー、カキモトレーシング。そもそもは、現役レーサーが手掛けるエンジンチューニングで名を売り、現在もRB26DETTやL型といったエンジンチューンやコンピューターを手掛けていますが、もっとも多彩なラインナップを誇り、「柿本改」の名を世にしらしめているのはマフラーでしょう。そんなカキモトレーシングのマフラーにおける哲学と、現在のラインナップを紹介します。
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SUMMARY
現役レーサーが創業以来、一貫した「使う立場に立って自分が欲しい物」の追求
1970年代、鈴鹿サーキットを中心にFL500などミニフォーミュラ、ファミリアロータリークーペなどツーリングカーで活躍していたレーサー、柿本由行氏。
レーサーとしての活動を継続しつつ、1975年にカキモトレーシングを創業すると、「L型チューンの柿本改」として、その名を轟かせることとなりました。
現在もエンジンチューンのラインナップで、RB26DETTとともに日産L型を2枚看板としている同社の原点はサーキットにあり、何より代表の柿本氏がレーサー兼チューナーとして活躍する中で、徹底的な性能追求のため、自分が欲しいパーツをつくり続けています。
創業7年後の昭和57年(1982年)には、独自開発したスポーツマフラーが全国3位のシェアを誇るようになり、まだ規制緩和前で大っぴらにマフラー交換などできない時代のチューニングパーツ創世記において、既に頭角を現わしていました。
平成8年(1996年)には、市販エンジンのチューニングで1,000馬力オーバーの1,015馬力、続けて1,300馬力と、RB26DETTチューンのパイオニア的存在のひとつでもありましたが、やはりその名を知らしめていたのはスポーツマフラーです。
大口径テールのマフラー開口部近くに「柿本改」のステッカーを貼ったチューニングカーは当時数多く見られ、有名チューニングブランドとして一般にも広く認知された時期です。
しかし2006年、JASMA(日本自動車スポーツマフラー協会)が「一般公道用マフラーはJASMA認定品のみ製造・販売を義務付ける」という自主規制を始めて以降は、競技用を除くマフラー全シリーズをJASMA認定品へ移行していきます。
ただし、それは決して「柿本改が軟弱になった」ことを意味するわけではなく、「JASMA認定品でも柿本改らしい味付け」を重視したマフラーづくりに転換したもので、現在に至るまで「使う立場に立って自分が欲しいものを徹底的に追求し、進化し続ける」のが、柿本改マフラーのポリシーです。
JASMA認定の車検対応品は7シリーズ+α
ここで実際に「柿本改」マフラーの現行ラインナップを見てみましょう。車検対応モデルは7シリーズです。
まず「Class KR」は、2010年4月以降に生産された車に適用される加速騒音82db、近接排気騒音96dbをクリアしつつ、「音は性能」という柿本改のポリシーに沿って、音量は抑えても音質にはこだわり、パワー・トルクともに全域で向上させた、規制適合と性能アップを両立したモデルです。
「Regu.06 & R」は、2006年のJASMA基準へ対応しつつ、性能アップを果たしたという意味の製品名通りで、うるさすぎず、楽しめる音量を狙った結果、インナーサイレンサーなしで近接排気騒音92dbという独自基準に基づいたマフラーです。
「HYPER FULLMEGA N1 + Rev.」は、レース用マフラーをベースに、公道で現実的な音量と、実際に公道で発揮される速度域や、ストリート向けチューニングカーのエンジン特性に合わせた中低速トルク向上を図り、中低速域でのピックアップの良さと、高回転域のレーシーさを併せ持ちます。
「Kakimoto.R」は、バンパーが焼けにくい空冷ファンの役割を果たす二重ディフューザーと、高い消音効果を持つ内燃機構造を特徴とした柿本改を代表するマフラーで、重低音の効いた柿本サウンドを響かせるオールラウンドタイプのマフラーです。
「hyper GT box Rev.」は、ワゴン&1BOX車用の「GT box」を進化させたもので、ルックスや音へのこだわりはもちろん、自然吸気エンジンのAT車が多いカテゴリー向けのマフラーということで、中低速域でのトルクアップとレスポンスアップに主眼を置きました。
「GT box 06 & S」は、hyper GT box Rev.のスポーティ版で、中低速域の特性はそのままに、高回転域でのレスポンスも強調することで、スポーティな走りを期待するユーザー向けの製品です。
「KRnoble Ellisse(ケイアールノーブル・エリッセ)」は、Ellisse(楕円)型のテールが製品名の由来で、地上高確保に有利なテールでオトナの本物のエレガントさを追求しています。
その他、全回転域でのパワーアップと低中回転域でのトルクアップが占めるセンターパイプや、性能アップまで望まないまでも、リアビューは演出したいというユーザー向けの、柿本改マフラーと同様のステンレステールを用いた「柿本改 Exhaust Finisher (エキゾーストフィニッシャー)」もラインナップしています。
公道使用不可!性能重視の競技専用モデルは3シリーズ
続いて、音量や性能面から公道での使用は禁止されている競技専用モデルが3シリーズあります。これらは、カキモトレーシングが指定する「競技専用品購入申込書」に記載された注意事項(公道使用は禁止など)に同意した上で記入、提出しないと購入できないという物々しいモデルです。
「GT1.0Z Racing」は、徹底的に排気効率を重視し、サーキット走行向けの高回転型フルチューンエンジン向けとなる超軽量・超高性能レーシングマフラーで、サーキットのタイムアタックやレース向けに遠慮なく高性能化が図られています。
「HYPER2000シリーズ (Premium・Full Dual)」は、「フロントパイプ プレミアム」との組み合わせで30~50馬力アップが可能な「HYPER2000 FULLMEGA N1+」と、デュアルテールの「HYPER2000 FULLMEGA N1+Full Dual」をラインナップしており、前者はGT-R用、後者はBNR32~34スカイラインGT-RとZ32フェアレディZツインターボ用。高回転重視の超スパルタンモデルです。
「HYPER80-R」は、昔ながらのチューニングマフラーで柿本改の定番であったモデルが今も競技専用モデルとして健在。大口径の本物仕様チューニングマフラーの先駆けとして数々の伝説を生んだと言われる、柿本改マフラーのレジェンド的存在で、等長エキゾーストマニホールド「柿本改EX-MANIFOLD」もラインナップしています。
その他、薄い砲弾タイコタイプでほどよい消音性能を持たせた「触媒サイレンサー」や「センターパイプ」、消音性能よりパワー&トルクアップ追求を重視した「触媒ストレート」もラインナップしています。
対応車種に自分の車がない!という人には「ワンオフマフラー」
ここまで紹介したマフラーは、多彩な適合車種があるものの、中には自分の車がどれにも当てはまらない、適合するマフラーはあるものの、別なマフラーを装着したいというユーザーもいるはずです。
そうした希望に対しては、国産・輸入車、さらに車種を問わずあらゆる車向けにユーザーのオーダーに応じた性能やルックスのマフラーをオリジナルで製作可能となっています。
柿本改 Super Factory(大阪府堺市)へ現車持ち込みで、見積もりと製作の2回は訪問が必要で、料金はリアピースのみであれば75,350円から、サブタイコ追加で101,090円からとなっていますが、ワンオフマフラーの値引きキャンペーンなども行っており、キャンペーン中の製作依頼がオトクなようです。
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