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カスタム・アフターパーツ | 2021.07.30

ダウンフォースを生み出す驚くべき空力デバイスのカナードはどう使う?

Posted by KAKO MIRAI

ダウンフォースと聞いて最初に思い浮かぶのはウィングかもしれません。カナードもウィングを小型化した空力パーツと思っているとすれば、ちょっと違いがあります。レーシングカーやチューニングカーに装着されたカナードは空力デバイスとしてどのような効果があるのでしょうか。またドレスアップとしてレーシーな魅力がありますが、装着するために気を付けるべきことはあるのか、詳しくご紹介していきましょう。

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カナードって何?

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レーシングカーのフロントバンパーサイドに小さな翼のような、またはブーメラン型のようなパーツが取り付けられているのを見たことがあるのではないでしょうか。形や種類はさまざまです。

先ず理解したいのは、ダウンフォース。走行する際にスピードが速くなるほどクルマは浮き上がる性質があります。それは速度が上がることでボディにぶつかる空気が乱れることで起こるものです。

もちろんタイヤが浮き上がってしまうほど強い力を持っているわけではありません。しかしボディが浮き上がることによって、タイヤのグリップ力が落ち、走行に支障をきたす可能性があるといえるでしょう。

また車にぶつかった空気を上手に後方へ逃がすことができないと、車体の後方で空気の渦がいくつも発生します。それが大きな抵抗になってしまい、安定した走行ができなくなるのです。

そのため空気の流れを整えて、車体後方で発生する「後方乱気流」を抑制する必要があるのです。これを「整流」といいます。空気の流れをと整えることで走行性能を向上させることができるわけです。余談となりますが、昨今の整流に求められる大きな役割は、燃費性能の向上が大きくなっていることは言わずもがなかもしれません。

整流を生み出すために必要となるのがダウンフォースです。文字通り下に働く力のことで、速いスピードで走行する車を空気の流れを利用して地面に押し付ける役割を果たすことになります。

スポーツカーに採用されている流線型のデザインや、リヤウィングなどがダウンフォースを得る役割を果たしているのです。

他の空力パーツとの違い

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上記で紹介したように、通常ダウンフォースを得るために装着される空力パーツは、整流によって生み出されるものです。カナードもまたダウンフォースを得るための空力パーツであることに間違いはありません。

しかし他の空力パーツのように直接ダウンフォースを得るものではないのです。高速走行するタイヤハウス内はタイヤに空気がぶつかるため、高い圧力となります。逃げ場のなくなった空気は、そのままタイヤを持ち上げるリフトフォースになってしまうのです。

カナードが設置される場所は一般的にフロントバンパーサイドになります。そこに取り付けられることによって、ボディ側面に強い空気の渦であるボルテックスを作り出すのです。つまり乱流を作るということになります。

ボルテックスの渦によるエネルギーで、タイヤハウス内にとどまろうとする空気を引き抜くという方法がカナードです。強いボルテックスを作ろうとすれば、カナードも大きな形状となり大きくなってしまうと空気抵抗にもなってしまうため、悩ましいところ。

レーシングカーはもっと効率よくダウンフォースを得る方法を、日夜研究しているといっても良いでしょう。通常の空力パーツはダウンフォースを得るために、整流で地面に押さえつける方法を採用しています。

しかしカナードは、乱流を作ることでダウンフォースを生み出すという、全く異なる方法を採用しているといえるでしょう。

カナードのメリット・デメリット

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メリットには以下が挙げられます。

・コーナリングの速度を安定させる
ダウンフォースによって地面に押し付けるため、車体が浮き上がることを押さえタイヤの接地面が安定。高速走行時でも安心感を得ることができる

・乱流を発生させることで直進安定性を保つ
タイヤハウス内で乱流を起こさせるカナードですが、ボディサイドで発生する乱流を抑制することができるので、直進安定性が向上する

・ブレーキの放熱
スポーツ走行時に酷使されるブレーキは高温にさらされています。通常でも数百度となり、サーキットでは約700度に達することもあるものです。カナードはタイヤハウス内の空気を抜く役割を持っているため、空気の循環を良くし、放熱を手助けすることができます。

デメリットは以下の通りです。

・カナードの精度を上げると空気抵抗が大きくなる
カナードを大型化することで、大きなダウンフォースを手に入れるということは、同時に大きな空気抵抗にもなってしまいます。そのため、レーシングカーでもつけている車もあれば、つけていない車もあり、モータースポーツ業界の中でも賛否両論となっているのです。

業界でも空気抵抗になることなく、タイヤハウス内の空気を抜くことが大きな目標のひとつとなっています。

・燃費悪化
大きなカナードを装着すると、それだけで空気抵抗が大きくなり燃費の悪化にもつながることも懸念されるでしょう。

・スピンなどの危険性
取り付け方やリヤ側のダウンフォースのバランスが悪いと、高速域でスピンを誘発する危険性が高まります。

保安基準と車検

カナードの設置について、法律で明確に規定されているものではないのです。しかし2011年5月31日施行の、『道路運送車両の保安基準』第18条2項の規定に抵触するようなカナードの設置は、認められていません。

車体の外形その他自動車の形状は、鋭い突起がないこと、回転部分が突出していないこと等他の交通の安全を妨げる恐れがないものとして、告示で定める基準に適合するものであること。

突起物すべてに規定があるのかというとそうではなく、『道路運送車両の保安基準』第178条2項ロに記載があります。

タイヤの次に掲げる部分以外の部分の直上(フェンダ等)より車両の外側方向に突出していない車枠及び車体

(2)サイドウォール部の保護帯及びリブ並びにこれらと構造上一体となってサイドウォール部から突出している部分(突出量が10mm未満である場合に限る)

178条にはボディ面から5mm以内であれば、角を丸めることで取り付けることが可能になること。スポイラーやバンパーの下端より下にある部分や、地上から1.8mを超える部分は除いた場合には、半径2.5mm未満の角のないものであることなどと決められています。

取り付ける材質な硬さは60ショア(消しゴム程度の硬さ)のもの。などといった詳細な内容が記載。また車検証に記載されているボディサイズを超えるようなカナードの取り付けは不可となるので、注意が必要です。

さまざまな場所で購入することのできるカナードですが、車検に通すことはできるのでしょうか。そういった商品が本当に車検に適合しているかどうかは見ただけでは分からないものです。

また保安基準は満たしていても、大きすぎるカナードなどは、保安基準を満たしていないとして、検査官に危険と判断されてしまえば、車検を通すことができません。ショップやディーラーとよく相談して装着したほうが良いでしょう。

ドレスアップとしての使用もアリ

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レーシングカーに取り付けられているカナードはそのまま公道で使用することはできないものが大半です。しかしドレスアップ用として市販されている商品にも、車検対応のものは多くあります。また車種によっては純正オプションとして販売されているものもあるようです。

他には自作するという人もいます。少し手を加えることで、かなり違った印象を与えてくれるカナード。自分で装備を始めたら前後の空力パーツのバランスにも気を配ってください。フロントばかりのダウンフォースでは安定性が悪くなってしまいます。

なるべく同じメーカーのもので揃えたほうがバランスもとりやすいものです。少し手を加えるだけで、かなり体感の変わるカナードの装着。ドレスアップでも安全基準をクリアした車検対応のものを選択すれば、雰囲気もレーシーになります。

まとめ

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空力パーツのカナードは、他のパーツとは異なるダウンフォースの取り入れ方をするものです。メカニズムが分かっていないと、装着の仕方も空気抵抗になっているだけかもしれません。

レースで使用する場合には、機能性が重要です。ドレスアップなら、フロントとリヤのバランスが重要になってきます。それぞれに目的が異なれば、選択すべきカナードも異なるでしょう。空力パーツのカナードを、どのように使用するかは自分次第です。

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