カスタム・アフターパーツ | 2021.05.11
ドリフトを極めるなら、コレ!ビギナーがやっておきたいファーストステップとは?
Posted by KAKO MIRAI
白煙とスキール音。華麗にコーナーを駆け抜ける豪快さと、繊細なドライバーの技術にくぎ付けになったことがあるのではないでしょうか。まさに神業。そんなドリフトに憧れて、挑戦したいと思っても、何から手を付ければよいのか分からない人もいるのではないでしょうか。そんなビギナーにご紹介したいあれこれです。
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ドリフトの極意
通常の運転では、コーナーにさしかかるとステアリングとブレーキで速度を調整します。これを「グリップ走行」といいますが、ドリフトは後輪もしくは四輪を滑らせながら、スピンすることなく抜けていく走行方法です。
ドリフト走行は、グリップ走行と比較するとスピードでは劣ることが挙げられます。また滑っている車体をコントロールする高い技術が必要となり、一つのミスでコントロール不能になる場合もあるため、十分な注意が必要です。
コーナーで素早く車の向きをスライドさせることができるため、タイムの短縮が可能になります。何よりもドリフトの魅力は、カッコよさにあるのではないでしょうか。ドリフト時のライン取りや角度などの美しさは目を見張るものがあります。
モータースポーツの中で使用される技術の一つですが、通常のドライビングスキルにも役立つこともあります。例えば滑りやすい路面やタイヤのグリップ力が急になくなった場合などには、慌てることなく対処できるテクニックになるでしょう。
世界に誇る日本発祥の歴史
モータースポーツの世界では古くから使用されているドリフトは、オフロードのダート競技を始め、1970年代の『F1グランプリ』でも鮮やかなカウンターステアを当てながら立ち上がっていくシーンを見かけました。
ドリフトという一つの技をモータースポーツのカテゴリーに変えていったのは日本です。ドリフトの第一人者である土屋圭一さんの存在が大きくかかわっています。2001年からスタートした『D1グランプリ』は多くの人気プロドライバーを生み出しました。
現在『SUPER GT』で活躍する、谷口信輝さんや織戸学さんもこの大会に出場しています。そのほかにも峠やミニサーキットを中心に活躍していた人たちから大変な人気を集めました。そんな日本で誕生したエンターテイメントは、海外でも話題となっていきます。
アメリカで『フォーミュラD』が開催。また2020年11月には『DORIFT WEEK2』と銘打って全米6カ所のサーキットを2週間かけて走破するドリフトツアーもおこなわれました。
この大会は自走で7,300㎞を超える移動距離とかなり過酷なものです。この大会も元は『ドリフト天国』が行ったドリフトツアーが大型化。スケールのみならず参加したドリフタ―たちの盛り上がり方がカッコいいといえるでしょう。
そのほかにはヨーロッパ、東南アジアなど約20か国でシリーズ戦が行われるほどに大きな盛り上がりを見せています。元々は峠を走る暴走行為として捉えられていたドリフトですが、今では世界中で愛されるモータースポーツへと成長させたのは紛れもない日本でした。
ドリフトのテクニックを磨こう
テクニックを磨くには練習しかありません。ではどこで練習すればよいのでしょうか。ドリフト全盛期の20年前くらいは、峠や埠頭などで練習する人も多かったようです。しかし車をぶつけることが多く、中には廃車になってしまうこともありました。
当時はサーキットでもドリフト禁止というところもあったため、自然に人が集まってきたのかもしれません。しかし、現在ではストリートで練習するのは難しいといえるでしょう。警察の取り締まりも強化され、何より人のいない場所で練習すると、事故などで動けなくなった場合に大変なことになります。
また、ひとりでの練習は上達までに時間がかかるということもあります。そのためチューニングショップなどで開催される初心者向けの講習会に参加することがおすすめです。講習会はサーキットなどの広い場所で行われるため危険が少ないといえるでしょう。
基礎から教えてもらえることが、上達への近道であるだけでなく、セッティングやチューニングの相談に乗ってもらえるのは心強いものです。最初は定常円旋回や8字旋回の練習から始めます。
その際には必要最低限の道具を揃えて、講習会に参加してください。参加にあたってのレギュレーションは必読です。
必需品…ヘルメット・グローブ・養生テープ
タイヤ交換に必要な道具…軍手・ジャッキ・十字レンチ・エアゲージ
あると便利な道具…ドライバー・ペンチ・スパナ・ラチェットなどレンチ類・ニッパー
もしもの時用…パンク修理キット・タイヤの空気入れ・牽引ロープ・ブースターケーブル
ドリフトといっても、さまざまなテクニックがあるので、簡単にご紹介していきましょう。
・サイドドリフト
サイドブレーキを引くことで、リアを流すテールスライドのきっかけを作ります。後輪タイヤが滑りだしたらアクセルを踏み込み、コーナーを抜ける方法です。ドリフトでは一番用いられるテクニックといえるでしょう。
・ブレーキングドリフト
車はブレーキを踏むと前輪に加重がかかりますが、その時の後輪は荷重が抜けた状態になります。この原理を使ったドリフトがブレーキングドリフトです。つまりブレーキングによって前輪に加重がかかるとグリップ力が増え滑らないように前のめり状態になります。
この時の後輪は荷重が抜け、グリップ力が減り遠心力に負けると滑りだすという論理です。しかしブレーキを強く踏みすぎると、前輪がロックするため非常に危険です。前輪をロックさせずに後輪を流すということは、スピードと絶妙なブレーキング操作を必要とします。
・パワースライド
通常のコーナリングで、4輪とも滑ることなく走行している場合に、何かのきっかけによって後ろ2輪だけが滑り出したとしたら、そのまま滑らせることは可能です。きっかけになるのは、上記で挙げたサイドブレーキを引くというのも一つの方法といえます。
パワードリフトのきっかけづくりは、アクセルを踏むことです。後輪に駆動を伝えて、前に進む力を強くすることで、タイヤを空転させスライドさせてしまいます。これはエンジンのパワーを利用して、無理矢理後輪を空転に持ち込むテクニックです。
・直線ドリフト
コーナーにさしかかる前の直線状でテールスライドを誘発し、ドリフト状態でコーナーに侵入。スピードを落とすことなく進むことができますが、高いハンドリング技術が要求されるテクニックです。
・シフトロック
コーナーでハンドルを切って横Gがかかったらアクセルを抜いてシフトダウンします。そしてアクセルを抜いたままクラッチを一気につなぐことでエンジンブレーキがかかり、リアが滑るというものです。
このテクニックはミッションを痛める可能性が高く、多様厳禁となっています。
・フェイントモーション
曲がりたい方向と反対にステアリングを切ることで、テールスライドのきっかけを作ります。ブレーキをかけて前輪に荷重移動し、曲がりたい方向にステアリングを切りなおすと、テールスライドが始まるというものです。
その後アクセルを調節しながら、タイヤの空転を維持。そのままコーナーを抜けていくというテクニックのことです。
・慣性ドリフト
ドリフトといえば慣性ドリフト。アニメ『頭文字D』でもおなじみとなっています。「慣性の法則」は電車に乗っているときに感じることができるでしょう。電車が進行方向に進んでいるときは乗客も同様に進みます。
しかし電車が止まろうとすると、乗客は前方に体が傾き前に動き続けようとするその力が慣性力です。慣性ドリフトは車で同様の動きを、速いスピードで走行している際に、意図的に起こし、きっかけを作らずにドリフトに持ち込むという難易度のたかいテクニックをいいます。
ブレーキを使用せずコーナーに飛び込むため、初心者には敷居の高い技といえるでしょう。練習を重ねて会得できるものといえるでしょう。
・クラッチ蹴り
クラッチを一瞬切って、即つなぐ動作が蹴っているように見えることから名付けられたこのテクニックは、非常に高度な技術です。停止している車の回転数を上げて、一気にクラッチをつなぐと、車はホイールスピンを起こします。
これを走行中に行うというもの。つまりアクセルを踏んだまま一度クラッチを切り、回転数を上げて一気にクラッチをつなげばドリフトのきっかけづくりになります。
これだけはやっておくとよいチューニング
ノーマルでもドリフトができるかといえば、できなくもありません。1990年を境にトラクションコントロールが標準装備されるようになっています。これは横滑り防止装置のことで、横滑りができないということは、ドリフトしづらいということになるからです。
トラクションコントロールのキャンセラーが付いている車も少数派ながら存在します。スイッチ一つでオフになるものですが、実はこれ完全に切ることはできないようになっているようです。そう考えると、1990年以前の車であれば、ノーマルでもドリフトは可能といえるでしょう。
最初はノーマルで練習を始め、徐々に必要だと思うパーツを揃えていくのは、一つの楽しみになるかもしれません。その時の参考になるチューニングパーツをご紹介していきます。
・タイヤ…フロント、リアで適性が異なるタイヤ選びは、ビギナーでも同じです。ドリフト時のコントロールをなるべく簡単にするためにフロントにはハイグリップ、リアにはローグリップがおすすめ。
・LSD…ドリフトには機械式の2WAYを使用することが多くなっています。後輪の左右のタイヤで回転差がなくなるので、コントロールがしやすくなるでしょう。
・サスペンション…コーナリング時に車体が傾くロールを抑えることが重要です。そのためには車高を低くし、足回りは硬めのセッティングを行いましょう。
・バケットシート…ドリフト走行には強い横Gが発生します。そのため姿勢を崩すことがあり、大変危険です。運転の姿勢を保つためには、フルバケットがおすすめ。
・ステアリング…もちろん回しやすさが重要です。
ぶつけることも往々にしてあるフロントバンパー、フェンダーテールレンズなどは純正パーツから選ぶと良いでしょう。ドリフトが上級者になるころに必須となってくるパーツがあります。
それは加工ナックルです。『D1グランプリ』に出場するプロドリフタ―たちも広く愛用しているものです。ドリフトは常にステアリングを進行方向と逆に切るカウンターステアが必要になります。
そのため各メーカーからドリフト中のステアリングの切れ角を向上させる加工ナックルが登場しているのです。以前はプロユースの価格帯でしたが、現在では広く使用されており、一般ユーザーでも手が届くもの。
ドリフトが上達してくれば、目をつけていきたいパーツのひとつになるのではないでしょうか。
ドリ車の定番車種は?
ドリフトには向いている車種というものが存在します。後輪を空転させて走行するドリフトには、後輪駆動のFR車が有利です。前輪駆動のFF車や4WD車でもドリフトは可能ですが、ビギナーが選ぶ車種はFRが良いのではないでしょうか。
・日産 スカイライン
もちろんGT-Rではなく、ER32、ER33、ER34といったグレードです。流通量も多く、パワーのあるスカイラインはベース車両にもってこいの存在といえそうです。『D1』で有名なドライバー野村兼さんが操るER34のカッコよさにあやかって、中古車相場が上がったこともあります。
・トヨタ チェイサー
『マークⅡ』『クレスタ』と3兄弟として販売されていました。大人のセダンという要素が強い車ですが、実はスポーツカーの要素も持っているスゴイ車です。中でもツアラーVのエンジンは当時の『スープラ』『ソアラ』といったスポーツカーと同様の『1JZ-GTE型』。
2.5Lの直6ターボエンジンで280psをたたき出すパワーがあります。そのためダイナミックなパワードリフトも夢ではないかもしれません。
・日産・シルビア
ドリフト会場に行けば、今でも多数の『シルビア』を目にすることができるほど、その人気は衰えることを知りません。「S13」「S14」は年式の古さもあり、年々台数は減っているようです。
そのため購入するなら「S15」が狙い目。流通台数が多いことから、アフターパーツも豊富なため不安がありません。NAとターボの設定があることが大きな特徴でしたが、ドリフトに使用するなら、迷わずターボ車を狙いましょう。
まとめ
パーツを揃えながら腕を磨く。何事も挑戦することは楽しいものです。特に車のことであればなおさらかもしれません。ドリフトを極めるのはそうたやすいことではないですが、やってみる価値はあるのではないでしょうか。