引用:momo3oki / Shutterstock.com

カスタム・アフターパーツ | 2020.09.26

覚えていますか?「ソレタコデュアル」とは何だったか

Posted by 菅野 直人

ヤサイマシマシニンニクカラメ…筆者がラーメン二郎に行く時の呪文(オーダー)ですが、自動車用語にもラーメン二郎やスタバのような呪文系があり、「ソレタコデュアル」など最たるものではないでしょうか。もっとも、電子制御インジェクションが普及する以前、1960年代末から1970年代前半にかけての流行であったため、今では「なんとなく聞いたことはあるけど」程度の人も少なくないかもしれません。

最新売却前に見たい、編集部一押し!一括査定サイトまとめ

以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

ソレタコデュアルの「ソレ」、ソレックスキャブレター

Steve Mann / Shutterstock.com

ソレタコデュアルとは、「ソレ・タコ・デュアル」の「三種の神器」であり、1960年代から1970年代にかけてクルマ好きにとってはちょっとした憧れのアイテムでした。

最初の「ソレ」は、もともとキャブレター以外に(ダイハツも一時期販売していた)ペダルつき原付モペットでも有名な、フランスのソレックス社がつくっていたキャブレターのことで、レーシングカーやスポーツカーへの純正採用、チューニングカーへの装着などで、イタリアのウェーバーと人気を二分する存在でした。

日本では、三國商工(現:ミクニ)がノックダウン生産しており、初代スカイラインGT-RやフェアレディZ432用のS20エンジンに、固定ベンチュリー・サイドドラフト式連装3基のソレックスキャブを純正採用していたのが有名でしたが、1983年に発売されたグループBホモローゲーションマシン、日産240RS(S110シルビアベース、日本未発売)が最後の純正採用でした。

ただ、日産にしてもS54スカイラインGT系ではウェーバー連装3基でソレックスにばかりこだわっていたわけではなく、マツダロータリーやトヨタのAE86・N2レース用マシンなどもウエーバーを採用していました。

特性として高回転を多用して、ドカンとパワーを出すのであればウェーバー、周回レースであればソレックスが適しているとも言われますが、トヨタの旧車で3K改4K(1.5L)エンジンを積むユーザーなど、「ウェーバーの方がソレックスよりアイドリングから安定して調子いい」という人もいるため、マッチングやセッティング次第なところもあるようです。

いずれにせよ、レース車も含め電子制御インジェクションが主流になった1980年代以降はあまり見られなくなりました。

ソレタコデュアルの「タコ」、タコ足エキゾーストマニホールド

タコ足マフラーと言われることもありますが、正確にはエンジン排気口とフロントパイプをつなぐ部分で、多気筒エンジンの排気流路を一箇所にまとめる配管の長さを揃えるため、時にはタコの足のようにうねる様が「タコ足」と呼ばれます。

単純に排気効率を高めるためであれば、例えば4気筒エンジンの場合、全気筒の排気を1本にまとめる4→1レイアウトでは、集合部分が常に負圧となって、燃焼室のガスを吸い出し易くなり、高回転までよく吹け上がる一方、まず2本ずつ集合させ、さらに集合した2本を最終的に1本にまとめる4→2→1レイアウトでは、高回転より低回転トルク重視というのが一般論です(実際は配管の長さや太さでも変わります)。

メーカー純正エキゾーストマニホールドであれば、コストや実用性の問題であえてタコ足まで求めず、スポーツエンジンに限る例が多いのですが、前述のS20エンジンのように、最初からタコ足のものもあります。

逆に、あえて排気干渉で独特な排気管を出すため、タコ足にしなかった昔のスバル水平対向エンジンのような例もありますが、タコ足についてはエンジンの特性を変更し、希望する性能を存分に引き出す手法として、今なお有効です。

ソレタコデュアルの「デュアル」、デュアルマフラー

これも排気に関わるものですが、排気口を大口径の1本にするか、小~中口径の2本以上にするかは、昔も今もスポーツモデルにおける重要な命題で、テールパイプを多少小口径にしても、数を増やすことで結果的に排気口面積を増やせる場合、そして単純にその方がカッコイイ場合に、純正またはチューニングでデュアルマフラーが採用されます。

フェアレディZなど、純正で縦2本出しデュアルマフラーがカッコ良かったものですが、排気効率の面からも望ましかったとされて、ソレタコデュアル三種の神器に仲間入りしました。

現在では、4本以上のテールパイプもありますが、たとえば見た目が左右2本出しマフラーでも、実際にタイコがあるのは片側のみ、もう片側へはタイコから分岐して排気効率も何もない見た目だけ、というケースもあるため、注意が必要です。

ソレタコデュアルとは何だったのか

momo3oki / Shutterstock.com

結局、ソレタコデュアルは何で流行ったのかといえば、後のターボチューンなどと同じで、「とにかく燃料をボンボン突っ込んで勢いよく爆発燃焼させ、抜けの良い排気系で高回転まで気持ちよく回りパワーもついてくる」というのが魅力でした。

それが1970年代半ばになると、排ガス規制でそんな不燃焼ガスまで混ざるほど燃料をつぎ込むような仕組みではガス検を通すことができず、また、オイルショックでガソリン価格が上がれば、パワーどころかガソリン代が気になって仕方ありません。

1980年代に入り、電子制御インジェクションの性能が向上して効率と燃費、性能を全て満たせるようになれば、気難しいソレックスキャブを組んでシチュエーションごとにセッティングするのも面倒ですし、タコ足とデュアルマフラー以外廃れていったのは、自然の流れです。

しかし、そうした技術の発展前、チューニングして少しでも早くするのであれば、ソレタコデュアルの三種の神器は必須!という時代は、確かに存在したのでした。

↓合わせて読みたい↓

RB26DETTや2JZ-GTEなど、各メーカーから1機ずつ選出!国産車メーカー史上最高のエンジン8選

かつてのスポーツモデルは、なぜボンネットに穴があったのか?今は少なくなった理由は?

5バルブエンジンとは?流星のように現れ散った、技術の過渡期に生まれた徒花か