旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11
かつてタイプR軍団と本気で張り合ったFFスポーツクーペ 三菱「FTO」
Posted by 菅野 直人
1990年代に革命を起こしたFFスポーツといえば、ホンダのタイプR軍団が最有力ですが、ホンダのVTECエンジン同様に連続可変バルブタイミング機構を用いた三菱のMIVECエンジン搭載車もモータースポーツ全般で活躍しました。 三菱「FTO」はホンダ「インテグラタイプR」に肉薄できる数少ないマシンだったのです。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
三菱「FTO」とは
三菱「ミラージュ」のプラットフォームへ曲線基調の流麗なクーペボディを載せ、「ミラージュアスティ」などより大きな1.8~2.0リッターエンジンを搭載し、1994年10月に発売した2ドアスポーツクーペが「FTO」です。
かつて1970年代に「ギャランGTO」の弟分「ギャランクーペFTO」が発売されたのに倣った形で、3.0リッターエンジンを搭載した重量級4WDスポーツの「GTO」(1990年発売)に対し、FTOは軽量級小型FFクーペでした。
特筆すべきはトップグレードのGP系へ搭載された連続可変バルブタイミング機構「MIVEC」装備の、最高出力200馬力版2.0リッターV6エンジン「6A12」で、V6エンジンのため少々重かったものの、軽快に吹け上がるフィーリングと力強いパワーで同クラススポーツクーペの中では圧倒的な実力を誇りました。
後にホンダから「インテグラタイプR」が発売されると、より軽量な車体とエンジンの吹け上がりの鋭さで一歩譲る形となりますが、それまでは間違いなく国産FFスポーツ最強マシンでした。
その後はどちらかといえばスポーツクーペとしてインテグラタイプRへ挑むというより、パーソナルクーペとしてAT車の人気が高い車となったため需要は伸びず、後継車もないまま2000年に販売終了しましたが、三菱車らしからぬ曲線多用デザインなどもあって、今でも当時を懐かしむユーザーは絶えません。
1990年代に栄華を極めた高回転高出力型自然吸気エンジンの国産スポーツの中では、走行性能とデザインのバランスが取れた、もっと注目されてしかるべきスポーツカーです。
三菱「FTO」の中古車相場
大手中古車検索サイトによると2020年5月現在、FTOの中古車相場は以下の通りです。
【三菱・FTO(1994-2000)】
(GP系)※GP/GPX/GPバージョンR/GPバージョンRエアロシリーズ・2.0L200馬力仕様
5MT車:70~79万円・2台
4AT/5AT車:41~118万円・5台※1997年2月以降5AT
(GR/GX系)※GR/GXスポーツパッケージ/GXスポーツパッケージエアロシリーズ・2.0L170~180馬力仕様
5MT車:58~84.9万円・2台
4AT/5AT車:34.9~99.8万円・7台
(GS系)※1.8L125馬力仕様
流通なし
初期型を除けば人気車種とは言えなかったことや、後々までモータースポーツで活躍する類の車でもなかったため流通台数は合計16台と少なく、非常にレアな存在です。
リッター100馬力仕様のGP系などMTでもATでも乗って楽しい車なので、安価に買える穴場的な車と言えます。
三菱「FTO」のオススメは、やはりリッター100馬力のGP系
FTOには2.0リッターの6A12エンジンでMIVEC仕様(200馬力)と通常仕様(前期170馬力・後期180馬力)、1.8リッターの4G93エンジン(125馬力)とありますが、170~180馬力仕様や125馬力仕様は新車販売当時から新車価格が安いという以外に存在意義の薄かった車で、今中古で買うのにオススメするなら間違いなく200馬力仕様です。
国産車で初めて搭載されたマニュアル操作可能なAT「INVECS-II」でもスポーティな走りが楽しめるためAT車でもよいのですが、MT車を運転できるなら5速MT仕様一択でしょう。ただし流通台数が非常に少ないため、見つけたら買うくらいの気持ちが求められます。
三菱「FTO」の中古車選びの注意点
人気車種ではなかったため、海外へ流出したりそのまま廃車になった車も多いと思われ、現在国内で販売されている中古車はそれなりに程度が良く廃車にするには惜しい車と考えてもよいでしょう。
ハッチバッククーペではないためテールゲート付近の雨漏りなどもあまり考えなくてよく、下回りなどモノコックのサビさえ致命的でなければ購入してすぐ問題が出るような車ではありませんが、20年以上前の車な上に三菱は古い車の純正部品が出やすいメーカーではないため、ある程度維持に苦労することは覚悟せねばなりません。
三菱「FTO」の中古車維持費目安
購入後のメンテナンスや修理費用はともかく、一般的な維持費としてはまず自動車税です。全て新規登録から13年以上で重加算税対象車ですから、総排気量1.5リッター超2.0リッター以下で4万5,400円となります。
実燃費は平均して11km/L前後で、2020年5月23日現在のハイオク平均価格がリッター当たり約129円程度なので、仮に月1,000km走るなら月12,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約14万円に自動車税を合わせ、約18.5万円程度が最低年間維持費の目安となりそうです。
国内ではマイナー車とはいえ海外ではそこそこ人気があるため意外に盗難リスクがあり、セリュリティ面で気を使いますが、その他環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。