引用:Tokumeigakarinoaoshima

旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11

今後作られないのでは?と言われる5ナンバーFRスポーツクーペ。S15型シルビアの実力とは?

Posted by 菅野 直人

衝突安全基準の強化や環境題、需要減少により、おそらく今後作られないのでは?と言われる5ナンバーFRスポーツクーペ。 そんな、希少価値の高いポジションの車が、日産「S15型シルビア」です。 大型化で不評だった先代の反省から、ダウンサイジングしつつもパワーアップして華々しく登場したものの、わずか3年10か月と短命に終わったS15シルビアを、中古車で買う際の相場や注意点などを紹介します。

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以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

日産「S15型シルビア」とは

バブル時代にデートカーとして大ヒットした「S13型シルビア」は、1993年のフルモデルチェンジでやや大型化して5ナンバー(小型車)から3ナンバー(普通車)へとサイズアップ、デザインの自由度が上がり、よりエレガントなクーペ「S14型シルビア」へと進化します。

しかしバブル崩壊で当時まだ贅沢品というイメージのあった3ナンバー車は売れず、クーペ自体がSUVやミニバンに押されてデートカーとして求められなくなり、スポーツ走行需要も減ったS14型シルビアは先代から一転、存亡の危機に陥るほどの販売不振に陥りました。

そこで日産はせめて5ナンバーFRスポーツクーペ需要だけでも応えようと、S13型シルビアの兄弟車だったリトラクタブルライト&テールゲートつきハッチバッククーペの「180SX」を継続販売し、S14型シルビアもマイナーチェンジでデザインを大きく変更するなど、その場をしのぎます。

そんな180SXとS14型シルビアの後継として1999年1月に登場したのが「S15型シルビア」で、5ナンバーサイズに戻されたボディに、パワーアップされた「SR20DE/DET」エンジンを搭載し、新時代の日産小型スポーツクーペとして華々しくデビューしました。

当時ライバルだったのは210馬力の「3S-GE」を搭載したトヨタ「アルテッツァ」や、250馬力の「F20C」を搭載したホンダ「S2000」といったところで、S15型シルビアはトップグレードのspec.Rに搭載したSR20DETが最高出力250馬力(MT車)とS2000と同等だったものの、最大トルクは28.0kgmと6.0kgm程太かったのはターボエンジンならではで、6速MTと合わせた動力性能は同クラス最強でした。

さらに自然吸気エンジンSR20DEをチューンして最高出力200馬力に高めた「オーテックバージョン」や、電動メタルトップの「ヴァリエッタ」もラインナップされるなど、日産はこのS15型シルビアで小型FRスポーツの復権を図ろうとやる気満々だったように見えました。

しかし当時の日産は1990年代半ばのモデルチェンジや新型車の開発がほとんど失敗に終わり、バブル崩壊の余波もあって販売台数が激減し経営悪化、自動車メーカーとして存続の危機にあった状態で、シルビアの復活へ多大な力をかけられる状態になかったのです。

そのため排ガス規制強化、クーペ販売不振などを理由として2002年11月をもって販売終了してしまい、日産小型スポーツクーペの救世主になるどころか、わずか3年10か月の短命に終わるという哀しい結末で終わってしまいます。

それでも世に出されたS15型シルビアはレースやドリフト、ラリーなどで活躍し、日産最後の、そしておそらくは国産車最後の5ナンバーFRスポーツクーペとして自動車史に残る存在となりました。

現在も「S16型シルビア」の噂は絶えませんが、小型FR車のプラットフォームが新規開発されず断絶したことや、車体後部にモーターを搭載するEV(あるいはe-POWERのようなシリーズ式ハイブリッド車)を作ればプロペラシャフトで後輪を駆動する機械式FRパワートレーンが不要なため、シルビアは復活しないだろうという予想が大勢を占めており、S15型シルビアは“最後のシルビア”として価値を高めています。

日産「S15型シルビア」の中古車相場

大手中古車検索サイトによると2020年3月現在、S15型シルビアの中古車相場は以下の通りです。
※新車価格はいずれも税別

【2.0リッター自然吸気エンジン搭載車(SR20DE)】

spec.S系(1999年1月~2002年11月)
(MT車)39万円~398万円:45台
(AT車)35万円~138万円:17台・ASK(価格応談):1台
※うちSR20DETや6速MTへの換装車多数

(新車価格:177.0万円~216.7万円)

オーテックバージョン(1999年10月~2002年11月)
(MT車)89.9万円~195.9万円:6台
(新車価格:228.0万円)

ヴァリエッタ(2000年7月~2002年11月)
(MT車)98.0万円~438.0万円
※うち7台がターボ仕様、2台がワンビア仕様
(AT車)75.9万円~169.0万円
(新車価格:279.8万円~289.5万円)

style-A(2000年10月~2002年11月)
MT・ATとも流通なし
(新車価格:219.0万円~228.7万円)

【2.0リッターターボエンジン搭載車(SR20DET)】

spec.R系(1999年1月~2002年11月)
(MT車)95万円~369万円:153台・ASK:1台
(AT車)111.3万円~118万円:2台・ASK:1台
※ただし外装カスタマイズカーも含む
(新車価格:239.0万円~271.5万円)

style-A(2000年10月~2002年11月)
MT・ATとも流通なし
(新車価格:272.0万円~276.7万円)

【その他】

185万円:1台
※ターボエンジン搭載のAT車

タマ数が豊富なのはターボエンジン搭載のspec.R、特に6速MT車であり、本来自然吸気エンジン搭載のspec.Sやヴァリエッタも多くがSR20DETなどターボエンジンや6速MTへのスワップ(換装)済みです。

さすがに自然吸気エンジンながらリッター100馬力の200馬力を誇るオーテックバージョンでターボエンジン換装車はなく、これを別格としてS15型シルビアの価値はほとんどターボで6速MTでFRなところにある、と考えられます。

日産「S15型シルビア」で豪快に走りを楽しみたいならターボ車、通好みレア車はオーテック

5ナンバーサイズでクローズドボディのクーペでFR、ターボエンジン、MTといった条件を満たしてもっとも新しく、おそらく国産で最後になる車がS15型シルビアですから、ターボエンジンを除けばトヨタ「86」やスバル「BRZ」もあるし新しいということになるため、オススメは間違いなく(spec.Sからのスワップも含めた)ターボエンジン搭載の6速MT車です。

それ自体に価値があるためドリフトやスポーツ走行をしようとしまいとS15型シルビアならターボエンジン搭載車を買うべきですが、例外なのはノーマル165馬力/6,400rpm(MT車)から200馬力/7,200rpmへと、高回転高出力へチューニングされたオーテックバージョンです。

スペック上は「当時の車としてはまあまあ、今の86/BRZと比べても面白そう」といったところですが、ターボエンジンを好んだ日産では数少ない自然吸気メカチューン車ですし、販売台数の少なさからも後々になってレア車として自慢できます。
レア度では電動メタルトップのヴァリエッタも同じことがいえますが、ターボエンジン換装車が多いため、ノーマル車なら希少価値が出るでしょう。

走りの良さで買うか、後々のレア車狙いで買うかによって選択は異なります。

日産「S15型シルビア」の中古車選びの注意点

まだ生産終了から18年と旧車の域には達しておらず、歴代シルビアではもっとも新しいとあって、リビルトパーツや社外パーツも数多くリリースされていますから、購入後に苦労する部分は案外少ないかもしれません。

ただし、オーテックバージョンやヴァリエッタのように特殊な車は純正部品の供給で通常グレードより難があるのは確実なので、それらを購入する場合はオーテックバージョンならエンジンをかけて異音や違和感がないか、ヴァリエッタなら電動トップが正常作動し、閉めた時に隙間が出ないかどうか(オープンカーですから雨漏りを気にする人はそもそも乗るべきではありません)、可能な限り購入前に実車で確認しましょう。

それ以外の通常グレードに関しても、エンジンやボディの違和感、ハイキャス(日産独自の4WS機構)が違和感なく動作するか、しないとしてしっかり動作がキャンセルされているかどうか、ドリフトの経歴がある車は、アーム類やドライブシャフトが曲がったり破損していないか、雑な加工がされていないかを確認すべきです。

日産「S15型シルビア」の中古車維持費目安

まだ比較的新しいとはいえ、そろそろセンサー類や各種ポンプ類の劣化などが目立つ年式ですから、まだ大丈夫と思っていると予想外の故障が起きることもあるため、購入費用ほどとまではいかないものの、ある程度の修理予算は押さえておきたいものです。

それを踏まえた上で、まず自動車税については新規登録から13年以上が経過しているため重加算税対象となっており、総排気量1.5リッター超2.0リッター以下で45,400円。
実燃費はパワーアップした分、ターボ車はS14型シルビア以前よりやや悪く、スポーツ走行時は別としてターボエンジン搭載車なら7km/L前後、自然吸気エンジン搭載車なら10km/L前後が実燃費のようで、平均すると9km/L程度でしょう。

2020年3月現在のハイオクガソリン平均価格が約154円程度として、仮に月1,000km走るならば月17,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約20.5万円に自動車税を合わせ、約25万円程度がS15型シルビアにおける最低年間維持費の目安となります。

また、歴代シルビアの中では比較的現存台数が多く、中古車市場でのタマ数も豊富とはいえ、世界的に人気なドリフト向きの日本国内専用車ですから海外向けに盗難されてしまう危険性も高いため、駐車場の環境によってはセキュリティや保険もそれなりに費用をかけておきたいところです。

その他ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。

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