引用:Tokino

旧車・絶版車購入ガイド | 2021.05.11

デートからサーキットまで活躍、小型FRスポーツの代表作!日産「S13型シルビア」

Posted by 菅野 直人

この車は、1988年に登場後、バブル時代の波に乗りデートカーとして大ヒットしました。 それゆえ中古車市場でもタマ数豊富で、1990年代のドリフトブーム・走り屋ブームを貴重な5ナンバーFRスポーツクーペとして支えたのが、日産「S13型シルビア」です。 さすがに生産終了から27年も経つと見かける機会は減りましたが、選択肢は少ないとはいえ中古車市場にタマがあるのは大ヒット車ならではかもしれません。

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以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

日産「S13型シルビア」とは

1970年代から働く女性の通勤車(セクレタリーカー)として、あるいは若いドライバーが走りの楽しさを覚える車として愛用されていたのが北米向けのスペシャルティカー「Datsun 200SX」です。日本では1975年に2代目「S10型シルビア」として発売され、3代目「S110型シルビア」(1979年発売)からは兄弟車に「ガゼール」を加え、1981年にはターボエンジンやDOHCエンジン搭載車も設定、スポーツ路線に転じて国際ラリーのグループBホモロゲーションマシン「240RS」(日本未発売)も登場しました。

その後を継いだ4代目「S12型シルビア/ガゼール」(1983年発売)でも市販車は「スカイラインRS」譲りのDOHCターボエンジン搭載車が設定され、先代から続くシルエットフォーミュラ仕様がレースで活躍するなど、あくまで手頃な通勤・通学用クーペとして人気のあった海外版「NISSAN 200SX」とは異なり、日本においてはスポーツクーペ/ハッチバック車として一定の人気がありました。

1988年、「アートフォース・シルビア」のキャッチコピーを得て登場した5代目「S13型シルビア」は、曲面を多用したエレガントなデザインと、バブル時代の好景気を背景にデートカーとして同ジャンルで王座にあったホンダ「プレリュード」を蹴散らす爆発的大ヒットになりました。

「901運動」により飛躍的に向上していた質感や走りの良さ、当初1.8リッター、後に2.0リッターの直列4気筒DOHC自然吸気/ターボエンジンでの動力性能も評価されましたが、当時はどちらかといえばデートカーとしての需要が多かったものです。

走り屋よりはるかに需要の多いデートアイテムとして売れに売れたS13型シルビアは街でやたらと見かけることとなったものの、バブル崩壊とSUVやミニバンの台頭によりクーペの需要が終わりを告げ、1990年代中盤には中古車として大量に流れていきます。

一方、1990年代後半になると走り屋やモータースポーツ界隈では「5ナンバー(小型車登録)でパワフルなFRスポーツクーペがないじゃないか!」という状況になり(S13後継の「S14シルビア」は3ナンバーだった)、トヨタ「AE86型カローラレビン/スプリンタートレノ」より新しくパワフル、同「A70型スープラ」や日産「R32型スカイラインクーペ」、三菱「スタリオン」より小型軽量安価、まだ新車販売継続中の日産「180SX」より安いスポーツクーペとして、S13型シルビアが脚光を浴びました。

折しも1995年に連載開始された漫画「頭文字D(イニシャルD)」で再燃したドリフトブームには打ってつけの車であり、同作では比較的地味な存在だったとはいえ、リアル世界でのS13型シルビアはドリフトからグリップ、サーキットからストリート(峠)まで、あらゆるジャンルで大活躍しました。ノーマル主義派からカリカリチューン派まで多くの支持を受け、チューニングパーツも多数がリリースされ続ける歴史的名車にノミネートされることになったのでした。

ある意味では「安く使い倒された車」でもあるため、さすがに2020年現在ともなるとノーマル車が街で普通に実動している姿を見る機会は減っていますが、それでもAE86より世代の新しい車であることや、後継のS14シルビアや「S15型シルビア」、兄弟車の180SXが長く生産されていたことで部品供給に余裕があったこともあり、サーキットなど走りのステージでは今でもS13シルビアを見ることができます。

日産「S13型シルビア」の中古車相場

大手中古車検索サイトによると2020年3月現在、S13型シルビアの中古車相場は以下の通りです。
※新車価格はいずれも税別

【1.8リッター自然吸気エンジン搭載車(CA18DE)】

J’s系(1988年5月~1991年1月)
流通なし
(新車価格:146.7万円~163.4万円)

Q’s系(1988年5月~1991年1月)
99.8万円~159.8万円・4台
(新車価格:155.6万円~207.6万円)

【2.0リッター自然吸気エンジン搭載車(SR20DE)】

J’s系(1991年1月~1992年12月)
流通なし
(新車価格:152.6万円~173.3万円)

オールマイティー(1992年12月~1993年10月)
流通なし
(新車価格:179.0万円~188.7万円)

Q’s系(1991年1月~1993年10月)
39.8万円~160万円:8台・ASK(価格応談):2台
※うち4台がSR20DET仕様・さらに1台はワンビア仕様
(新車価格:162.1万円~218.8万円)

【1.8リッターターボエンジン搭載車(CA18DET)】

K’s系(1988年5月~1991年1月)
69万円~238万円・3台
※うち1台はCA20DET仕様、1台がワンピア仕様
(新車価格:188.6万円~240.2万円)

コンバーチブル(1988年7月~1991年1月)
150万円~210万円:3台・ASK:2台(うち1台ワンビア仕様SR20搭載)
(新車価格:325.3万円)

【2.0リッターターボエンジン搭載車(SR20DET)】

K’s系(1988年5月~1991年1月)
99.9万円~500万円:24台・ASK:3台
※うち2台がワンビア仕様
(新車価格:203.9万円~259.2万円)

【その他】

88万円~295万円:5台・ASK:1台
※うち1台がワンビア仕様

上で「ワンビア」とあるのは、外装の互換性があったリトラクタブル・ヘッドライトの兄弟車180SXからフロント部を移植したカスタムカーで、「180SX(ワンエイティ)+シルビア」から通称ワンビアと呼ばれる車です。

主にワンメイクレースなどのモータースポーツベース車だったJ’sや、その後継グレードであるオールマイティーは市場に出回っておらず、残る自然吸気仕様のQ’sも新車販売当時はデートカー需要のメインとしてAT車が多い最量販グレードでしたが、現在出回っているものはターボエンジンやMT換装されたカスタムカーが目立ちます。

対するK’sは特にエンジンやミッションの換装を要せずにスポーツ走行向きということから現在でもそれなりに流通してはいますが、やはり何らかのチューニングやドレスアップを受けたものが多く、ワンオーナーフルノーマル車ともなれば500万円ものプレミア価格がつく、立派なヒストリックカーとなっています。

それ以外の車も、購入後の維持に負担がかかるカスタムカーなのを考えればプレミア価格と言えますが、そもそも「1.8~2.0リッター自然吸気/ターボエンジンのFRスポーツクーペ」など、S14型シルビアかS15型シルビアか2代目NB型に存在したマツダ「ロードスタークーペ」、現行モデルならトヨタ「86」、スバル「BRZ」くらいしか選択肢がないため、それらと対等、あるいはそれ以上の動力性能に価値があると考えれば、妥当かもしれません。

日産「S13型シルビア」でオススメなのは、案外コンバーチブルかも?

それではオススメグレードが元からターボエンジン搭載でタマ数も比較的あるK’s、それも2.0リッターターボのSR20DET搭載車かといえば、そうとは言い切れません。

確かにターボエンジンの大トルクは魅力的とはいえ、S14型シルビアやS15型シルビア、あるいは現在の86/BRZより鋭い走りをするには少々古すぎ、中古車市場に出回るほど程度良好な車(そうでない車はボロボロになりながらミニサーキットに置いてあったりします)をドリフトで使い倒すには、外装部品や他車流用の効かない重要部品の欠品で困る割に価格がちょっと高すぎます。

1990年前後、バブル時代で絶好調だった時期の日本車の雰囲気を味わいたいならターボエンジン載せ替えもされていないQ’sでも十分なわけで、そうした用途でもっともオススメしたいのは希少な割に大したプレミア価格もついていない「S13型シルビア コンバーチブル」でしょう。

後に登場した電動メタルトップの「S15型シルビア ヴァリエッタ」と違って電動ソフトトップ(幌)ですから保管には気を使いますし、MT換装していない限りは4ATになりますが、4シーターオープンでドライブに出かけるという贅沢ができる車などそうそうありませんから、どうせS13型シルビアで当時の気分を味わうならコンバーチブルをあえてオススメします。

日産「S13型シルビア」の中古車選びの注意点

基本的には古い車ですし、外装以外は共通のため部品の流用が効くのもありがたく、何ならフロント周りの外装パーツまるまる移植すら可能でワンビア仕様も作れる180SXも1999年生産終了から20年以上が経過したため、これから購入するならば内外装、走行に関する部分を含め純正部品の欠品に直面するのは間違いありません。

幸い部品取り車由来の中古部品やリビルト品、社外パーツなどはまだ出ますし、エンジン載せ替えなども含め純正部品にこだわらなければ、維持していくのは実用車より容易ではあります。

それでも最初から必要な部品が欠けていないのに越したことはないので、可能な限り内外装含め純正部品が残っており、社外品に置き換わっている場合は壊れた場合に他の製品で補いがつくかどうか、そういった面倒を引き受けてくれるショップとの付き合いがあるかを重視していくべきです。

もちろん車体やエンジンなどの程度も気になりますが、アルミやカーボンなど高価な軽合金や複合材料で作られる以前の車ですから、資金さえかければモノコックが多少欠けたり歪んだりしている程度で原型が残っている範囲なら補えますし、この種の車と付き合っていくならそのくらいの気持ちで挑みましょう。

日産「S13型シルビア」の中古車維持費目安

前項でも説明しましたが、基本的に古いスポーツカーですからどれだけ程度が良さそうに見えても買った途端に壊れるのは当たり前です。ワンオーナーのフルノーマル車とて例外ではなく、フルレストア済みで販売された車でもないかぎり、頻繁な修理や整備は覚悟して購入せねばなりませんから、まずそのための予算として購入費用と同程度は別に確保しておいてください。

それを踏まえた上で、まず自動車税については全て新規登録から13年以上が経過しているため重加算税対象となっており、総排気量1.5リッター超2.0リッター以下で45,400円です。実燃費はスポーツ走行時は別として、ターボ車での通常走行なら平均すると10km/L前後で、2020年1月現在のハイオクガソリン平均価格が約154円程度として、仮に月1,000km走るならば月15,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代が約18.5万円になります。自動車税と合わせると、約23万円程度がS13型シルビア・K’sにおける最低年間維持費の目安となります。

レギュラーガソリンの自然吸気エンジンを積んでいるJ’sやQ’sならもう少々安いかもしれませんが、まだ環境性能が現代のレベルにない時代のエンジンなのでよほど渋滞が少ないエリアや平地でないかぎり実燃費は9~10km/L程度ですので、ターボエンジン搭載車とあまり変わりません。

程度が良ければヒストリックカーとして盗難に備える必要も出てくる車ですから、駐車場の環境によってはセキュリティや保険もそれなりに費用をかけておかねばならないことや、マメなオイル交換など日常的な整備費用が相応にかかる点には注意が必要ですが、その他ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは各自計算してみてください。

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