カスタム・アフターパーツ | 2020.10.11

ドリフト仕様で見るハの字タイヤ、どのような効果がある?

Posted by 菅野 直人

ドリフト競技などに参戦するマシンを見ると、主にフロントタイヤ左右輪が「ハの字」に広がるよう傾けた「ネガティブキャンバー」をつけた車両を多く見かけます。ドレスアップでも同様に前後輪をハの字にした例はあるものの、ドリフトなどの場合は、見た目も大事ながら、主目的はあくまで走りのためです。ネガティブキャンバーでハの字にすることで、得ることができる効果とは?

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タイヤを下に行くほど外へ傾け「ハの字」を描く「ネガティブキャンバー」

Dmytro Prikhodko / Shutterstock.com

クルマの足回りは、様々なサスペンション形式があり、マクファーソン・ストラット式やダブルウィッシュボーン式、マルチリンク式など独立懸架方式の多くでは、タイヤを左右に傾ける「キャンバー」、進行方向に対し内側や外側に向ける「トー」などの調整を行い、走行時の直進安定性や操作性に影響を与えるアライメント調整を行います。

その中でも、タイヤが地面に近いほど左右に開いて、正面から見るとハの字に見えるよう傾けるのが「ネガティブキャンバー」で、「ハの字」やきつい傾きで「鬼キャン」と呼ばれるのは、このネガティブキャンバーです。

ドレスアップの手法として、車高をガッチリ下げた上に大径ホイールと低扁平タイヤを履かせた上で、タイヤがフェンダーからハミ出す部分を保安基準適合内に納めるドレスアップ手法として用いられることもあり、その場合は、VIPカーやバニング、キャルルックなどで前後タイヤに激しいネガティブキャンバーをつけることも珍しくありません。

しかし、ネガティブキャンバーはドレスアップだけでなく、走行性能の部分的向上を狙って行われることもあり、ジムカーナやレースなどグリップ走行を多用するモータースポーツや、ストリート走行でもわずかながら「ハの字」にする場合があるほか、ドリフト競技ではより角度をつけた鬼キャンにすることも多々あります。

ネガティブキャンバーで「ハの字」にする効果

Michele Morrone / Shutterstock.com

保安基準で改造制約が大きかった25年以上前とは異なり、現在は車高調と調整式アッパーマウントの組み合わせによって、容易にネガティブキャンバーをつけることが可能になっています。

キャンバー角は、サスペンションの沈み込みによっても変わってくる、つまり走行中に操縦特性が変化したり、可動部分の多さが信頼性や整備性に影響することもあり、調整範囲の広さは複雑で嵩張るメカニズムとなるため、悪路を走破するオフローダーやラリー車では走行性能維持のため、そして現在のコンパクトカーなどでは車内容積確保のため、あえてキャンバーをつけることができないリジッド式や、トーションビーム式も主にリアサスで多用するのがほとんどです。

しかし、車内容積に影響なく、エンジンや補機類を収用するスペースさえ確保できればよいフロントサスペンションは、構造が比較的簡易で調整可能な部分も多いストラット式が多く、用途は何であれ、多少のネガティブキャンバー角がつけられているのは珍しくありません。

ドリフト競技で極端にも思えるネガティブキャンバー角をつけ、「ハの字」にしているのは、その競技の性質上、フェイントモーションを含む横の動きで意図的に直進安定性を崩し、リアタイヤを滑らせた後は進行方向に対して斜めのドリフトアングルを維持&調整、ドリフトアングルを戻してリアタイヤを再び直進させるまでの操作を、フロントタイヤのグリップに頼る面が大きいためです。

これは、サイドブレーキをキッカケにしてリアタイヤを滑らせても、クルマ全体のモーションでドリフトアングルを作っても、フロントタイヤの役割は基本的に同じで、横Gがかかった状況でも必要なグリップ量を維持するために、ネガティブキャンバーによるタイヤ接地面積の確保が最大の効果といえます。

ネガティブキャンバー角は、車種やドライビングスタイルによって様々

もっとも、闇雲にネガティブキャンバー角を多く取ればよいというものではなく、ドリフトアングルをつけた後は、極力カウンターステアを当てず、つまり余計な抵抗を増やさずドリフト中の速度を維持し、「飛距離」(ドリフト状態を維持した距離)を少しでも伸ばすため、意図的にフロントタイヤをアンダーステアにしたいのであれば、あまり角度を増やしてもいけません。

逆に、飛距離はドリフトアングルをつけるまでの速度と、その後のパワーに頼るというのであれば、派手なカウンターも演出の一部として、著しいネガティブキャンバー角をつけることもあり、そのためにオーバーフェンダーをつけてタイヤのハミ出しを防いだり、タイロッドエンド加工などでキャンバーやトーの調整幅を大きく取ることもあります。

最近の傾向として、低扁平タイヤ&タイヤ性能の向上で、極端なネガティブキャンバー角をつけずとも、フロントタイヤのグリップを維持できるようになってきましたが、単に速く華麗に走るだけでなく、クルマそのもののカッコ良さというドレスアップ要素も演出の一部とするため、あえて過剰なネガティブキャンバー角をつけるケースも、珍しくはありません。

ただし、ネガティブキャンバー角の増加はタイヤの偏摩耗の原因となったり、角度増加のための加工が耐久性低下、走行中の破損によるトラブルの原因ともなるため、安易な理由でのネガティブキャンバー角増加(特にドレスアップ車)は、戒めた方が無難でしょう。

ドリフト競技で勝利するため、やむを得ずそのような処理を施す場合、あくまでスポーツ走行用と割り切り、負担が大きい部分の寿命の短さを把握し、入念な点検整備で早めのパーツ交換など、メンテナンスがより重要になることは考慮してください。

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