買取相場 | 2020.10.01
アグレッシブなスタイルが人気のタントカスタム、買取市場ではどう評価されている?
Posted by 菅野 直人
いまやトールワゴンやSUV、ミニバンといった車種は、いかに迫力満点でインパクトのあるフロントマスクであるか、こそが最重要項目。それは日本最大の販売台数を誇る軽スーパーハイトワゴンという車種においても例外ではなく、各車とも通常版の他に迫力あるフロントマスクを持つ純正ドレスアップ版をラインアップし、実際、そちらが販売のメインだという場合もあります。そのダイハツ版「タントカスタム」も、買取市場では通常版より高い評価を得ているようです。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
タントカスタムの中古市場での人気について
そもそも、軽トールワゴンに通常モデルとメッキパーツなどを多用した純正ドレスアップモデルの2種類をラインアップしたのはダイハツが初で、スズキ・ワゴンR(1993年発売)に対抗して1995年に発売した初代ムーヴにも、1997年に「ムーヴカスタム」を追加しました。
これがヒットに繋がったことから歴代ムーヴにカスタム仕様がラインアップされることとなり、ライバル各社も方向性の差はあれど同じような路線を歩んでいき、ミニバンやSUVに先駆け、トールワゴンに通常版とカスタム版が存在するのは当たり前のこととなっていきます。
2003年に登場した初代タントも例に漏れず通常版「タント」とドレスアップ版「タントカスタム」をラインアップ。ファミリー層向けにスペース効率を重視した軽スーパーハイトワゴンながら販売の主力は、通常版同様の使い勝手を維持しつつクールな外観をもつタントカスタム。代を重ねてもそれは変わらないどころか、メッキパーツは増え、フロントマスクの迫力は増していく一方です。
ファミリー層の中でもアグレッシブなスタイルを好む若いユーザーをはじめとするパーソナルカー需要として、さらにはドレスアップベースとしても新車市場、中古車市場ともに人気が高く、かつ通常版より少々高くても売れることから、買取市場でも明確に通常版タントより格上となっています。
買取査定額が期待できるタントカスタムのグレード
タントカスタムのグレード構成は通常版タントよりややシンプルになっており、標準版「X」が中心なのは同じですが廉価版「L」は存在せず、ターボ車は「X」のターボ版ではなく「RS」という独立グレードになっています。
これに対して内外装をよりクールにキメた特別仕様車などが随時設定されており、ファブリックとソフトレザー調のシルバーステッチつきシートなど、内装の上質感が向上された「トップエディション」系のグレードが、買取査定でも高値傾向にあります。
また、通常版タントと異なり最上級グレードでターボ車の「RS」系が高評価であり、内外装だけでなく走りの面でもアグレッシブさを求めるユーザー向けに中古車市場でも活況を呈しているのがよく反映された買取価格となっているのが、標準グレード「X」系の人気が高い通常版タントとの大きな違いといえるでしょう。
買取査定額が期待できるタントカスタムのカラー
通常版タントでは明るく派手なボディカラーでも買取高額上位にくるのに対し、タントカスタムの方はパールホワイトIIIやブラックマイカメタリックなどが、高額買取上位にくる傾向があります。
ただし紺や茶、パープル系など暗色系のカラーも上位にきていることから、基準はフォーマルというよりも、ひたすらクールな印象を与えるボディカラーが好まれるということなのかもしれません。たしかに、メッキパーツが多用されたタントカスタムには、白黒カラーや濃色系カラーがよく似合います。
1年落ちタントカスタムの目安査定額
1年落ち2018年式タントカスタムは2017年12月の改良で、車両の前後左右を映す4箇所のカメラ映像を合成して車を真上から見下ろしたような映像を表示する「パノラマモニター」を採用。また、「XトップエディションSAIII」をベースに、パノラマモニターと両側パワースライドドア、LEDヘッドランプを装備した「XトップエディションリミテッドSAIII」を設定したモデルが人気を博しているようです。
同様の特別仕様車は2018年8月に「RSトップエディションリミテッドSAIII」として追加されており、同年12月にはパワースライドドアは右側だけながら、フロントグリルLEDイルミネーションや専用アルミホイールを追加した特別仕様車「XトップエディションVS SAIII」「RSトップエディションVS SAIII」も用意。
オプション込みでおおよその新車価格と2019年9月現在での平均買取相場は以下の通り。
X(FF/4WD) | 新車175万円/買取価格100万円程度 |
X SAIII(FF/4WD) | 新車182万円/買取価格100万円程度 |
X トップエディションSAIII(FF/4WD) | 新車189万円/買取価格100万円程度 |
X トップエディションVS SAIII(FF/4WD) | 新車186万円/買取価格106万円程度 |
X トップエディションリミテッドSAIII(FF/4WD) | 新車193万円/買取価格100万円程度 |
RS SAIII(FF/4WD) | 新車195万円/買取価格98万円程度 |
RS トップエディション SAIII(FF/4WD) | 新車199万円/買取価格105万円程度 |
RS トップエディションVS SAIII(FF/4WD) | 新車194万円/買取価格119万円程度 |
RS トップエディションリミテッド SAIII(FF/4WD) | 新車199万円/買取価格111万円程度 |
2年落ちタントカスタムの目安査定額
2年落ち2018年式タントカスタムは、2013年10月から2019年7月まで販売されていた先代(3代目)モデル末期で、2017年12月の改良により車両の前後左右を映す4箇所のカメラで車の真上から見ているような画像を映し出す「パノラマモニター」を採用、このパノラマモニターは両側パワースライドドアなどを標準装備した特別仕様車「XトップエディションリミテッドSAIII」を発売しています。
2018年8月にはパノラマモニター対応カメラを標準装備した特別仕様車「RSトップエディションリミテッドSAIII」を、同12月にはパノラマモニターや右側パワースライドドアなどを標準装備した特別仕様車「XトップエディションVS SAIII」「RSトップエディションVS SAIII」を発売しました。「オプション込みでおおよその新車価格」と、2020年9月現在での平均買取相場は以下。
X(FF/4WD) | 新車175万円に対し買取価格89万円程度 |
X SAIII(FF/4WD) | 新車182万円に対し買取価格88万円程度 |
XトップエディションVS SAIII(FF/4WD) | 新車186万円に対し買取実績なし |
Xトップエディション SAIII(FF/4WD) | 新車189万円に対し買取価格90万円程度 |
Xトップエディションリミテッド SAIII(FF/4WD) | 新車193万円に対し買取価格92万円程度 |
RS SAIII(FF/4WD) | 新車195万円に対し買取実績なし |
RSトップエディションVS SAIII(FF/4WD) | 新車197万円に対し買取価格94万円程度 |
RSトップエディション SAIII(FF/4WD) | 新車199万円に対し買取価格100万円程度 |
RSトップエディションリミテッド SAIII(FF/4WD) | 新車199万円に対し買取価格103万円程度 |
平均買取価格 | 94万円程度 |
平均残価率 | 約49% |
3年落ちタントカスタムの目安査定額
3年落ち2016年式タントカスタムは2015年12月に行われたマイナーチェンジで大型エアロバンパーの採用やメッキ加飾の追加で、上質かつアグレッシブな外観を得た3代目後期型の初期モデル。予防安全装備は当初レーザーレーダーのみの「スマートアシスト(SA)」でしたが、2016年11月の改良で単眼カメラを追加、対応速度を30km/h以下から50km/h以下へ引き上げた「スマートアシストII(SAII)」へ進化するなど、安全装備面の強化が図られています。
オプション込みでおおよその新車価格と2019年9月現在での平均買取相場は以下。
X(FF/4WD) | 新車175万円/買取価格71万円程度 |
X SAII(FF/4WD) | 新車182万円/買取価格79万円程度 |
X SAIII(FF/4WD) | 新車182万円/買取実績なし |
X トップエディションSAII(FF/4WD) | 新車189万円/買取価格85万円程度 |
X トップエディションSAIII(FF/4WD) | 新車189万円/買取価格89万円程度 |
RS(FF/4WD) | 新車188万円/買取価格75万円程度 |
RS SAII(FF/4WD) | 新車195万円/買取価格90万円程度 |
RS SAIII(FF/4WD) | 新車195万円/買取価格95万円程度 |
RS トップエディションSAII(FF/4WD) | 新車199万円/買取価格99万円程度 |
RS トップエディションSAIII(FF/4WD) | 新車199万円/買取価格100万円程度 |
4年落ちタントカスタムの目安査定額
4年落ち2016年式タントカスタムは、2013年10月から2019年7月まで販売されていた先代(3代目)モデルの後期型で、2015年12月のマイナーチェンジで大型エアロバンパーやバックドアのメッキ加飾追加により内外装を刷新、リヤアンダーミラーを全車標準装備としています。
また、2016年11月にはレーザーレーダー+単眼カメラ式だった衝突回避支援システム「スマートアシストII(SAII)」を、ステレオカメラ式の「スマートアシストIII(SAIII)」へと更新、リヤコーナーセンサーやオートハイビーム、パワースライドドア車への予約ロック機能を追加しました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2020年9月現在での平均買取相場は以下。
X(FF/4WD) | 新車175万円に対し買取価格62万円程度 |
X SAII/SAIII(FF/4WD) | 新車182万円に対し買取価格71万円程度 |
Xトップエディション SAII/SAIII(FF/4WD) | 新車189万円に対し買取価格82万円程度 |
RS(FF/4WD) | 新車188万円に対し買取価格77万円程度 |
RS SAII/SAIII(FF/4WD) | 新車195万円に対し買取価格78万円程度 |
RSトップエディション SAII/SAIII(FF/4WD) | 新車199万円に対し買取価格90万円程度 |
平均買取価格 | 77万円程度 |
平均残価率 | 約41% |
8年落ちタントカスタムの目安査定額
8年落ち2012年式タントカスタムは、2007年12月から2013年10月まで販売されていた先々代(2代目)モデルの末期で、2011年6月にエンジンを新型へ換装して燃費改善を図っています。
また、2012年5月にはターボエンジン搭載グレードの「RS」へエコアイドルやエコ発電制御など「e:s(イース)テクノロジー」を採用して燃費をさらに向上、同9月には自然吸気エンジンのFF車をさらに燃費向上させるとともに、パワースライドドアやブラック内装などを施した特別仕様車「Xスペシャル」を発売しました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2020年9月現在での平均買取相場は以下。
L(FF/4WD) | 新車169万円に対し買取価格22万円程度 |
Xスペシャル(FF/4WD) | 新車171万円に対し買取価格35万円程度 |
X(FF/4WD) | 新車177万円に対し買取価格24万円程度 |
RS(FF/4WD) | 新車186万円に対し買取価格38万円程度 |
平均買取価格 | 30万円程度 |
平均残価率 | 約17% |
事故車・修復歴ありのタントカスタムの場合は?
タントカスタムは売れ筋ということもあって、事故車買取でも通常版タントより破格の待遇を受けており、たとえば2年落ちタントカスタムが56万円で買い取られ、事故のダメージもエンジンには問題がなく、エアバッグが展開しない程度のダメージだったため修理費60万円をかけ中古車市場へ復帰した例があります。
ほかにも側面からの衝突、フロントからの衝突でかなりのダメージを受けても3年落ちで30万、4年落ちで28万で買い取られた事例もあり、買取市場における相場は、程度にもよりますが3~5割程度が期待できることもありそうです。
タントカスタムの残価率・リセールバリューは?
1年落ち2018年式では平均残価率50~61%程度(全グレード平均54%)、平均買取価格98~119万円(同101万円)と、購入した瞬間に残価が半分に下がる程度なら御の字、という実用車の市場価値の中ではかなり良好。
1年落ちとはいえ走行距離が異常に伸びているハードコンディションでもなければ、100万円前後での買取が多くなっています。
3年落ち2016年式でも平均残価率40~50%程度(全グレード平均46%)、平均買取価格71~100万円(同87万円)と、依然として高い価値を維持。
先々代モデルとなる8年落ち2011年式ではさすがに平均残価率17~21%程度(全グレード平均19%)、平均買取価格32~36万円(同34万円)と落ち込みますが、それでも通常版タントよりかなり高値で推移しています。
新車販売ではなかなかNo.1にはならないものの、手頃な価格となる中古車市場ではライバル車より多少高くともかなり積極的な需要があると考えられるので、タントカスタムを所有していて売却や下取りを検討しているユーザーは、もし程度良好で走行距離も年間5,000kmもいかないレベルであれば、リセールバリューに期待して積極的に査定に出してもいいモデルだといえるでしょう。
タントカスタムを高く売るためのポイント
通常の「タント」に対してエアロパーツやメッキ加飾を追加した内外装バージョンアップ版ですから、まずは見た目が大事な車です。
汚れや傷、欠けなどがある場合に査定への悪影響は大きいので、普段から傷や汚れをつけないような配慮や、査定前にはメッキ部分など目立つ部分を洗車で磨き上げておくのが肝心でしょう。
タントカスタムの走行距離による値動きの変化
タントカスタムの2020年9月現在における走行距離ごと買取相場を、買取事例が多い先代モデルの走行4万km以上を例に紹介します。
14万km台 | 22.0~26.2万円 | 8万km台 | 34.4~68.5万円 |
13万km台 | 33.4~37.4万円 | 7万km台 | 26.2~70.6万円 |
12万km台 | – | 6万km台 | 33.5~91.0万円 |
11万km台 | 25.2~43.6万円 | 5万km台 | 34.5~95.0万円 |
10万km台 | 24.2~51.6万円 | 4万km台 | 42.8~108.6万円 |
9万km台 | 25.5~55.4万円 |
4万km台から5万km台へ、さらに6万km台から7万km台、8万km台から9万km台へと、おおむね2万kmごとに買取査定額の谷間が発生する傾向にあり、査定に出す場合には走行2万km台から2万km超えるごとに安くなると考え、安くなる前に査定を受けるのが大事です。
タントカスタムを売るのにベストなタイミングは?
2019年7月のモデルチェンジで現行の4代目となったタントカスタムですが、新車販売価格に占める買取査定額の割合を占める「残価率」の平均が、先代モデルでも2年落ち2018年式なら49%、4年落ち2016年式でも41%と、型落ちモデルの割には健闘しています。
軽スーパーハイトワゴンという人気ジャンル、さらにアグレッシブな内外装で売れ筋の純正カスタムモデルゆえの話ですが、とはいえさすがに先々代モデルとなると8年落ち2012年式では一気に17%まで下がってしまい、デザインの古さやスライドドアが右側のみ(3代目から両側)という使い勝手の差が買取査定に大きく影響しているようです。
そのため、デザインや装備の古さが目立つ上に、任意保険の特約にも影響を与える衝突回避支援システムの設定がまだない先々代モデルに関しては、「すぐにでも売り」という状況で、先代モデルもSA(スマートアシスト)非装備グレードなど、標準装備やオプションが貧弱な場合は、「走行距離が少しでも短いうちに早め査定を!」と、オススメさせていただきます。