買取相場 | 2020.07.21
コストパフォーマンスに優れるコンパクトカー、ヴィッツは売るといくらになるか?
Posted by UruCar
2018年度(2018年4月~2019年3月)に88,946台と、ガソリン車を中心にしたコンパクトカーで日本一の販売台数を記録したトヨタ ヴィッツ。 目立たないながらも、定番車種として街のあちこちで見かける存在であると同時に、トヨタのスポーツ部門GAZOO Racingが取り組むワンメイクレースやラリー用の車としても親しまれています。 中古車市場でも安価に購入できるポピュラーな車ですが、買取市場での評価はどうでしょう?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ヴィッツの中古市場での人気について
ヴィッツの起源をたどれば、1960年代にトヨタが通産省(現・経産省)の企画した国民車構想に応えた安価なコンパクトカー、パブリカ(1961年初代発売)に行き着きます。
当初は装備がチープで失敗にも思えたパブリカですが、その後おおいに盛り返し、代を重ねるなかでスターレットへと車名を変え、1999年に1クラス上のターセル/コルサ/カローラIIをも統合した末に誕生したのが、初代ヴィッツでした。
それまでのコンパクトカーと比べ飛躍的に向上したスペース効率や、動力性能と環境性能の両立、海外仕様をベースにした質感の向上が受けて大ヒットとなり、初代パブリカ以来の国民車的存在として親しまれると同時に、ネッツカップやヴィッツチャレンジといった初心者向けのワンメイクレースやワンメイクラリー用車両としても活躍しています。
2019年9月現在販売されているのは2度のマイナーチェンジを経て、ハイブリッドも設定(2017年1月)された3代目モデル。
トヨタ製コンパクトカーの販売台数では、ハイブリッド専用車のアクアに水を開けられているものの、ガソリンエンジン車が主力のコンパクトカーの中では現在でも日本一(2018年度88,946台)の販売台数を誇っています。
当然ながらも中古車市場におけるタマ数は多く、コストパフォーマンスの高い車種として幅広い層から人気を集めている様子で、次世代モデルは海外仕様と同じくヤリスへと改名、世界的なコンパクトカーのトレンドの流れから、全幅なども拡大するという見方もあり、本当の意味でコンパクトな現行モデルの中古車需要は今後高まるかもしれません。
買取査定額が期待できるヴィッツのグレード
ハイブリッドをのぞき、基本概念や設計をパプリカから受け継ぐ王道保守本流のヴィッツは、買取市場におけるグレード間格差というものはあまりありません。
上級グレードは1.5リッターエンジンを搭載して5速MT仕様もラインナップされたRSですが、排気量こそ拡大されているものの、その位置づけはどこまでも実用レベルにとどめられていて、ワンメイクレースやラリーなどを嗜まない層以外にとっては趣味性も高くなく、レギュラーモデルよりもやや値落ちしにくい程度。
ヴィッツの買取価格に上乗せする要素といえば、グレードよりはむしろ走行距離の少なさや、LEDヘッドランプといった付加価値がどれだけプラスされているかどうかで、購入時に装備面が充実したお買い得仕様などを購入していれば、それがそのまま買取価格にも反映されると考えた方がよさそうです。
買取査定額が期待できるヴィッツのカラー
基本的には王道のコンパクトカーだけに、買取価格上位のボディカラーも白系を中心に銀色、黒色が多く、例外的に内外装へメッキ加飾が施された『ジュエラ』をはじめ、個性的グレードでピンク系や紫系が目立つ程度。
無難なボディカラーが買取査定でも有利になる、そんな典型的車種といえるでしょう。
3年落ちヴィッツの目安査定額
3年落ち2017年式ヴィッツは、2020年3月まで販売されていた3代目ヴィッツの後期型です。2017年1月のマイナーチェンジで、前期・中期とは前後デザインが大幅に変更されたほか、歴代ヴィッツで初めてハイブリッド車が追加されました。
また、同年9月にはトヨタのスポーツ部門GazooRacingプロデュースにより、内外装をスポーティにカスタマイズした「GR SPORT」「ハイブリッドGR SPORT」および、専用サスペンションやCVT車へ10速スポーツシーケンシャルマニュアルモードを追加した「GR SPORT GR」が発売されています。オプション込みでのおおよその新車価格と、2020年7月現在の平均買取相場は、以下の通りです。
【ヴィッツ】
F Mパッケージ(996cc・FF・CVT) | 新車128万円/買取価格26万円程度 |
F(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車153万円/買取価格32万円程度 |
Fスマートストップパッケージ(996cc・FF・CVT) | 新車153万円/買取価格32万円程度 |
F セーフティエディション(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車168万円/買取価格50万円程度 |
ジュエラ(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車180万円/買取価格49万円程度 |
ジュエラ スマートストップパッケージ(996cc・FF・CVT) | 新車168万円/買取価格54万円程度 |
U(1,329cc・FF/4WD・CVT/1,496cc・FF/CVT) | 新車198万円/買取価格55万円程度 |
Uスポーティパッケージ(1,329cc・FF・CVT) | 新車215万円/買取実績なし |
GR SPORT(1,496cc・FF・CVT/5MT) | 新車230万円/買取価格95万円程度 |
GR SPORT GR(1,496cc・FF・CVT/5MT) | 新車253万円/買取価格92万円程度 |
平均買取価格 | 57万円程度 |
平均残価率 | 約29% |
【ヴィッツハイブリッド】
ハイブリッドF | 新車200万円/買取価格54万円程度 |
ハイブリッドF セーフティエディション | 新車207万円/買取価格43万円程度 |
ハイブリッド ジュエラ | 新車218万円/買取価格62万円程度 |
ハイブリッドU | 新車230万円/買取価格65万円程度 |
ハイブリッドU スポーティパッケージ | 新車246万円/買取価格63万円程度 |
ハイブリッドGR SPORT | 新車256万円/買取価格110万円程度 |
平均買取価格 | 66万円程度 |
平均残価率 | 約29% |
【総合】
平均買取価格 | 61万円程度 |
平均残価率 | 約29% |
7年落ちヴィッツの目安査定額
7年落ち2013年式ヴィッツは、2010年12月から2020年3月まで販売されていた3代目ヴィッツの前期型末期のモデルで、中期型から採用されたフロントグリル中央のエンブレムから鋭い顔つきとなる「キーンルック」や、後期型のようにテールランプユニットがリヤハッチまで拡張されたものとは異なる、大人しいデザインです。
2013年9月には日本国内で販売していない3ドアボディをベースに1.5リッターターボを搭載した「GRMNターボ」が200台限定で発売されました。オプション込みでのおおよその新車価格と2020年7月現在の平均買取相場は、以下の通りです。
F Mパッケージ(996cc・FF・CVT) | 新車118万円/買取価格11万円程度 |
F(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車147万円/買取価格16万円程度 |
Fスマイルエディション(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車154万円/買取価格13万円程度 |
ジュエラ(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車154万円/買取価格15万円程度 |
Fスマートストップパッケージ(1,329cc・FF・CVT) | 新車150万円/買取実績なし |
Fシエル(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車166万円/買取価格16万円程度 |
ジュエラ スマートストップパッケージ(1,329cc・FF・CVT) | 新車157万円/買取実績なし |
Fスマートストップパッケージ・スマイルエディション(1,329cc・FF・CVT) | 新車158万円/買取実績なし |
U(1,329cc・FF/4WD・CVT/1,496cc・FF/CVT) | 新車177万円/買取価格20万円程度 |
Fスマートストップパッケージ・シエル(1,329cc・FF・CVT) | 新車169万円/買取価格13万円程度 |
Uスマートストップパッケージ(1,496cc・FF・CVT) | 新車173万円/買取実績なし |
RS Cパッケージ(1,496cc・FF・CVT) | 新車177万円/買取実績なし |
RS(1,496cc・FF・CVT/5MT) | 新車194万円/買取価格26万円程度 |
RS G’s(1,496cc・FF・CVT/5MT) | 新車209万円/買取価格55万円程度 |
GRMNターボ(1,496cc・FF・5MT) | 新車297万円/買取価格95万円程度 |
平均買取価格 | 28万円程度 |
平均残価率 | 約14% |
9年落ちヴィッツの目安査定額
9年落ち2011年式ヴィッツは、2010年12月にモデルチェンジされ、2度のマイナーチェンジを経て2020年3月まで販売されていた3代目ヴィッツの初期型で、ベーシックな「F」、メッキ加飾などを増やした「ジュエラ」、装備充実版の「U」、5速MTも設定されてワンメイクレースにも参戦可能であったスポーツ版「RS」の4グレードを基本としていました。オプション込みでのおおよその新車価格と、2020年7月現在の平均買取相場は、以下の通りです。
F Mパッケージ(996cc・FF・CVT) | 新車117万円/買取実績なし |
F(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車142万円/買取価格12万円程度 |
ジュエラ(996cc・FF・CVT/1,329cc・FF/4WD・CVT) | 新車153万円/買取価格10万円程度 |
Fスマートストップパッケージ(1,329cc・FF・CVT) | 新車149万円/買取価格9万円程度 |
ジュエラ スマートストップパッケージ(1,329cc・FF・CVT) | 新車156万円/買取実績なし |
U(1,329cc・FF/4WD・CVT/1,496cc・FF/CVT) | 新車176万円/買取価格10万円程度 |
Uスマートストップパッケージ(1,496cc・FF・CVT) | 新車172万円/買取価格11万円程度 |
RS Cパッケージ(1,496cc・FF・CVT) | 新車176万円/買取価格11万円程度 |
RS(1,496cc・FF・CVT/5MT) | 新車193万円/買取価格15万円程度 |
RS G’s(1,496cc・FF・CVT/5MT) | 新車208万円/買取価格26万円程度 |
平均買取価格 | 13万円程度 |
平均残価率 | 約7% |
10年落ちヴィッツの目安査定額
10年落ち2009年式のISは先代モデル末期で、ラインアップそのものは現行と大きな違いはありませんが、メッキ加飾の多いジュエラや、スポーティコンプリート版の『G’s』はまだ存在しなかった頃です。
2019年9月現在での平均買取相場は以下の通り。
B(1,000cc・FF・CVT) | 新車118万円/買取価格5万円程度 |
F(1,000cc・FF・CVT/1,300cc・FF・CVT/1,300cc・4WD・4AT) | 新車138万円/買取価格9万円程度 |
F リミテッド(1,000cc・FF・CVT/1,300cc・FF・CVT/1,300cc・4WD・4AT) | 新車147万円/買取価格6万円程度 |
F リミテッドII(1,000cc・FF・CVT/1,300cc・FF・CVT/1,300cc・4WD・4AT) | 新車146万円/買取価格9万円程度 |
F シャンブル ア パリ コレクション(1,000cc・FF・CVT/1,300cc・FF・CVT/1,300cc・4WD・4AT) | 新車130万円/買取実績なし |
B インテリジェントパッケージ(1,000cc・FF・CVT) | 新車141万円/買取実績なし |
F インテリジェントパッケージ(1,000cc・FF・CVT) | 新車157万円/買取価格8万円程度 |
U(1,000cc・FF・CVT/1,300cc・FF・CVT/1,300cc・4WD・4AT/1,500cc・FF・CVT) | 新車168万円 /買取価格7万円程度 |
RS(1,300cc・FF・CVT/1,500cc・FF・CVT/1,500cc・FF・5MT) | 新車168万円/買取価格9万円程度 |
アイル(1,300cc・FF・CVT/1,300cc・4WD・4AT/1,500cc・FF・CVT) | 新車146万円/買取価格7万円程度 |
ヴィッツを高く売るためのポイント
主に個人向けで通勤や買い物に使われるパーソナルカーや、ビジネス用途が多いベーシックなコンパクトカーであるヴィッツは、趣味性の高いG’sやGR系のスポーツカスタマイズ仕様を除けば、新車でも中古でも安価に販売される存在で、もともとリセールバリューを考慮して購入する車ではありません。
G’sやGR SPORTであれば、価値を高めている純正エアロパーツを社外品へ交換してしまうなどデザインを損なわない配慮が求められますが、それ以外のグレードではもともと走行距離が伸びやすい車のため、車室内を喫煙や飲食で汚したり、臭いを残したりしないよう、普段から心がけましょう。
ヴィッツの走行距離による値動きの変化
ヴィッツの2020年7月現在における走行距離ごとの買取相場を、2010年12月以降に販売されている現行モデルを例に、通常のヴィッツとヴィッツハイブリッド、それに1例のみあった珍しいGRMNターボを、それぞれ紹介します。
【ヴィッツ】
14万km台 | 7.1~14.3万円 | 7万km台 | 5.8~47.0万円 |
13万km台 | 5.8~28.0万円 | 6万km台 | 5.2~68.0万円 |
12万km台 | 5.8~14.5万円 | 5万km台 | 6.2~64.1万円 |
11万km台 | 5.8~23.0万円 | 4万km台 | 5.7~104.0万円 |
10万km台 | 6.2~21.4万円 | 3万km台 | 6.6~80.6万円 |
9万km台 | 6.0~33.8万円 | 2万km台 | 7.1~112.3万円 |
8万km台 | 5.8~35.7万円 | 1万km台 | 9.4~147.6万円 |
【ヴィッツハイブリッド】
5万km台 | 62.2~74.7万円 |
4万km台 | 33.6~106.0万円 |
3万km台 | 40.3~54.5万円 |
2万km台 | 35.5~103.2万円 |
1万km台 | 67.1~118.8万円 |
【ヴィッツGRMN】
5万km台 | 95.3万円 |
2010年12月から2020年3月までと9年以上販売されていただけに、現行モデルで同じような走行距離でも程度以外に年式によっても幅広く、新しい方が高価にはなるものの、「年間走行距離が多く、使用頻度が高くて酷使された車」であることも意味するため、高年式でも走行距離が伸びるほど価値は急に下落していきます。
ヴィッツで大きく買取価格が下落するのは4~5万km、9~10万kmあたりになりますが、通常のガソリン車であれば年間2万km、ハイブリッド車であれば1.5万kmを超えると、急に査定が厳しくなる傾向にあるようです。
ヴィッツを売るのにベストなタイミングは?
2020年2月に後継の新型「ヤリス」(ヴィッツの世界共通車名のため、実質4代目)が登場、翌月には3代目が販売終了したヴィッツはブランド廃止になっており、時間が経つにつれブランド力が落ちていき、価値も下落していきます。
さらに、趣味性が高く3年落ちでも平均残価率40%前後の「GR SPORT」系グレードや、7年落ちでも同30%近い「G’s」系のスポーツカスタマイズ車を除いた平均残価率は3年落ちでも約26%、7年落ちで約10%に過ぎないため、リセールバリューのことを考えれば、長く乗る車ではありません。
手軽な「ゲタ車」として使い倒すのであれば別ですが、GR SPORT系、G’s系を除くヴィッツは車検(できれば初回車検)を機に売って乗り換えるのが、最もよいタイミングでしょう。
事故車・修復歴ありのヴィッツの場合は?
ヴィッツの事故車買取では、現行型の2015年式1.3リッターエンジン車がエンジンやエアバッグが無事な状況で19万円の査定額と、相場の3~4割程度で買い取られた実績があります。
中古車市場でタマ数が多い車種だけに、修理されて中古車市場へ復帰するというより、使える部品を剥ぎ取られて流通する部品取り車ならOK、と買取市場はみていると考えた方が無難です。
ヴィッツの残価率・リセールバリューは?
いくらガソリンエンジン主力のコンパクトカー日本一とはいえ、実用コンパクトこそが身上のヴィッツ。
趣味性の高いスペシャリティや需要の多いミニバン、人気絶好調のSUVなどに比べると、やはり残価率は正直高くはありません。
人気のある車種なら50%程度の残価率が維持される3年落ち2016年式でも、ヴィッツの場合は平均残価率26~38%程度(全グレード平均30%)、平均買取価格は36~62万円程度(同51万円)であり、それも1.0Fや1.3Fに設定された「LEDエディション」が牽引しているといっても過言ではないほど。
これが7年落ち2012年式だと平均残価率8~22%程度(全グレード平均15%)、平均買取価格11~46万円(同24万円)と、スポーティなRS、RS G’sの残価率が高いのをのぞけば、何とか値段がつく、という程度です。
10年落ちの先代2009年式ともなると、RSも含め残価率は4~7%、平均買取価格は5~10万円にとどまり、悲しくも5万円以下での買取というケースも多く、走行距離少なくしかも程度良好、とよほど好条件が揃わなければマトモな値段がつきません。
ヴィッツそのものがリセールバリューを期待するよりアシ車としてとことん乗り潰される車種と考え、G’sやGRシリーズといったスポーティモデルをのぞけば、買取市場での高値に期待すべきではないといえるでしょう。
とはいえ、刻一刻と下落していくであろう買取相場を考えると、もしお乗り換えをご検討であれば早めの査定をおすすめします