買取相場 | 2022.10.28
コンパクトなサイズ感で人を選ばないSUV「トヨタ・ライズ」その買取相場は?
Posted by 菅野 直人
近頃の販売ランキング上位で元気なトヨタのコンパクトカーですが、中でも派生車種を含まず、単体で驚異的な販売台数を誇るのがコンパクト・スーパーハイトワゴンのルーミー(ダイハツ トールのOEM)と、このコンパクトSUV、ライズ(同ロッキーのOEM)。初代ブリザード(同、初代タフトのOEM)以来、ダイハツから供給を受け続けてきたこのジャンルで初のヒット作であり、トヨタSUVの稼ぎ頭でもあります。そんな同車の下取りや売却で参考になる買取市場での評価はどうでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ライズの中古車市場での人気について
本家ダイハツ ロッキーの3倍以上となる販売台数の割に、大手中古車情報サイトで見るとライズの流通台数は、ロッキーの2倍ちょっとで若干タマ数が不足気味。
それだけ人気が高く引っ張りだこな証ですが、販売価格もそれを反映し、車両本体価格が138万〜318万円(モデリストエアロ装着車を除く)と、ロッキーより若干高め推移となっています。
ライズとロッキーの違いは、ほかにもライズが同じオフローダーロックで人気のSUV、RAV4(5代目)の弟分的なポジションにあり、将来的にRAV4が欲しいユーザーのエントリーモデルとしての役割も果たすことから、今後は乗り換えで役目を終えたライズが市場に増え、価格ももう少しこなれてくることが予想されます。
ただし、モデリストから純正エアロパーツが販売されているほか、純正/社外を問わず外装パーツが多く、今後のカスタムベースとしても有利なため、案外値落ちしないどころか、今後はリフトアップされて旧車リメイクカスタム化など、付加価値をつけた中古ライズが効果販売されて流行るようになると、ロッキーとの中古車価格差が一層広がる可能性もありそうです。
買取査定額が期待できるライズのグレード
トヨタ車らしく、上級グレードほど買取査定が高くリセールバリュー良好で、特に最上級グレードの「Z」でその傾向が顕著なのは、ダイハツ本家のロッキーと大きな違いです。
ただし、本家ロッキーが2021年11月にスマートハイブリッド車を追加した際、グレード名に「HEV」をつけて明確に区別したのに対し、トヨタ版のライズはグレード名を分けていません。
ベーシックグレードの「G」や最上級グレードの「Z」では、1Lターボ(4WD)、1.2Lガソリン自然吸気(FF)、1.2Lガソリンスマートハイブリッド(FF)と、同グレードで3種類あり、大手買取業者の参考データでは、グレード名のみで詳細の分類をしていないため、「具体的にどのグレードのどのタイプが人気か」がわからないことに注意が必要です。
買取査定額が期待できるライズのカラー
ロッキーでも同様ですが、車格の割に大きく見えるライズは、個人向けパーソナルカーとしてより、ファミリーカー的な需要が多いようで、買取市場での査定が高いボディカラーも、白(シャイニングホワイトパール)や黒(ブラックマイカメタリック)、シルバー(ブライトシルバーメタリック)といった無難なものに落ち着きます。
オレンジ系(ナチュラルベージュマイカメタリック)や赤系(ファイアークォーツレッドメタリック)は、オフローダーイメージ、あるいはミニRAV4的なイメージを強調したい、一部のマニアックなユーザー向けで、買取査定にはプラスとなっていません。
【1年落ち2021年式ライズの目安査定額】
1年落ち2021年式ライズは、同年11月にシリーズ式ハイブリッド(1.2リッターエンジンで発電、モーターのみで走行する低燃費型)の「スマートハイブリッド」車(HEV系)と、通常の1.2リッター自然吸気エンジン車をFF車に設定し、従来の1リッターターボは4WDのみとなったモデルです。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車200万円に対し、買取価格144万円程度 |
X S | 新車206万円に対し、買取価格132万円程度 |
G | 新車224万円に対し、買取価格135万円程度 |
Z | 新車242万円に対し、買取価格157万円程度 |
平均買取価格 | 142万円程度・平均残価率65%程度 |
【2年落ち2020年式ライズの目安査定額】
2年落ち2020年式ロッキーは、昨年11月に発売されたライズの2年目モデルで、小改良を受けたロッキーと異なり、初期から大きな変化はありません。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車198万円に対し、買取価格101万円程度 |
X S | 新車206万円に対し、買取価格124万円程度 |
G | 新車222万円に対し、買取価格138万円程度 |
Z | 新車239万円に対し、買取価格152万円程度 |
平均買取価格 | 129万円程度・平均残価率59%程度 |
【3年落ち2019年式ライズの目安査定額】
3年落ち2019年式ライズは、同年11月に本家ロッキーと同時発売された最初期モデルで、FF、4WDともにエンジンは1リッターターボのみで、装備やFF/4WDの違いにより数グレードが設定されていますが、ロッキーとは内容が異なり、トヨタSUVのエントリーモデルとしてロッキーのような最上級モデルは設定されていません。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
X | 新車198万円に対し、買取実績なし |
X S | 新車206万円に対し、買取価格122万円程度 |
G | 新車222万円に対し、買取価格133万円程度 |
Z | 新車239万円に対し、買取価格149万円程度 |
平均買取価格 | 135万円程度・平均残価率61%程度 |
ライズの残価率・リセールバリューは?
ライズのリセールバリュー(新車価格に対する買取価格の割合)は、一見すると2021年から急激に上がって65%と、人気SUVらしく高い数値を記録しているように見えますが、前述したようにロッキーと違ってガソリン車もハイブリッド車も記録上の区別がつけられないのが原因です。
実際にはロッキー同様、ガソリン車が年式に関わらず60%前後、ハイブリッド車が70%近くと考えるのが妥当で、ロッキーよりはトヨタブランドによる差で若干リセールバリューが高めになる程度でしょう。
ライバルとなる日産のキックスが、e-POWER専用車で電動4WDも追加したのに対し、ライズのスマートハイブリッドは出力で劣るうえに電動4WDもないため、何らかのテコ入れが行われないと、「タイ製のキックスと違って日本製だから、何とか似たようなリセールバリューでついていける」ということになりかねません。
基本的にはSUVのカタチをした生活用実用車そのもの、RAV4のようにオフローダールックを強調した特別仕様車が設定されているわけでもないため、大きく値落ちしないまでも、高額な人気モデルように、新車並の高額で買い取られるようなことは今後もなさそうです。