カスタム・アフターパーツ | 2021.11.07

使い方次第では他車の迷惑⁈フォグランプの今どき事情

Posted by KAKO MIRAI

昔のフォグランプといえば黄色が主流でしたが、現在では色も仕様も変化してきています。使うシチュエーションが限られていることから、今後は搭載しない車種も増えていきそうですが、反対に新たなカタチで進化を遂げているものもあるようです。使い方によっては、対向車の迷惑になることもあるフォグランプですが、正しい使用方法を知っていますか。また最近のフォグは暗いなどともいわれているのは何故なのでしょうか。そこで正しい使い方などさまざまな情報を交えながら、今どきのフォグランプについてご紹介していきましょう。

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フォグランプとは

Sascha Burkard / Shutterstock.com

車に装備されているライトに3種類。一番明るく使用頻度の高いヘッドライトは夜間、トンネル内などで使用されています。スモールランプはヘッドライトの下側に位置した小さなライトのこと。

車幅灯とも呼ばれ外から見て車の車幅を知らせる役目を担っています。そしてもうひとつが今回の話題となるフォグランプです。名前通りの霧が発生した際に周囲の視界を確保するために取り付けられます。

取り付け義務はないので、フォグランプの設定がされている車種もあれば、オプションパーツとして販売されていることもあるようです。SUVなどでは、アウトドアでの使用を目的としているため、デザイン性も含めて装備されている場合もあります。

そもそもフォグランプは文字通りに理解すると、濃霧時に使用するランプのことですが、実際には降雪や雨天時のような視界の悪い状況下でも視野を確保するもの。またもうひとつの意味として挙げられるのは、対向車などの第三者に対して存在を知らせることも重要です。

フォグランプの特性

ヘッドライトは前方を明るく照らし、視野を確保するものですが、フォグランプは下方向を広く照らすという特性の違いがあります。霧は視界が真っ白になることで、視野が確保できなくなるものです。これは水蒸気の粒が浮遊している状態のこと。

ヘッドライトのように正面を照らすライトでは、乱反射を起こし視界が悪くなってしまいます。フォグランプは下方向をワイドに照らすようになっているので乱反射が起きづらく視認性が確保されるのです。

フォグランプの種類と最近の傾向

フォグランプというと昔から、黄色のハロゲンランプを想像してしまいますが、現在ではそのほかにも新たなランプが登場してきています。その違いと特徴を簡単にまとめてみました。

ハロゲンランプ

ランプ内にフィラメントを流したときに発生する高熱を光の素としたハロゲンは白熱球と同様の仕組みです。ハロゲンランプの明るさは、不活性ガスにヨウ素などのハロゲンガスを加え、より高温にしていることにあります。

白熱球と同様の仕組みであるため、フィラメントを用いていますが、その素材となるのは熱に強い石英ガラスやセラミックです。しかし2700℃を超える高温に耐え続けるため、耐用年数は短くなってしまいます。耐用年数は短いですが低価格な点は魅力といえるでしょう。

HIDランプ

HIDは高輝度放電ランプ(High Intensity Discharge Lamp)のこと。電球内のキセノンガスを密閉して通電することで発光します。少し青みがかった発光をしており、ハロゲンランプよりも3倍明るいことが特徴です。

またフィラメントは使用していないことから劣化することが少なく、長期間使用することを可能にしています。基本的には5年は品質に変化を及ぼすことなく電力消費を抑え経済的といえるでしょう。

LEDランプ

Light Emitting Diodeを省略したもので、発光ダイオードのことです。LEDの特徴としては、照査される光が拡散しにくいこと。また光量にも優れていることが挙げられるでしょう。電力消費が少なく、寿命の長さが特徴です。しかしまだまだ高額なことがデメリットといえるかもしれません。

白っぽい発光色で、発熱も少なくなっています。しかし発熱量が少ないことは、積雪地帯で雪に弱いということもできるでしょう。

最近の傾向

フォグランプは本来なら黄色の方が効果は高くなります。霧や雨などの悪天候時には、フォグランプの光が反射して視界が確保されるのですが、実は白よりも黄色の方が水や水蒸気の膜を通り抜けて路面まで光が届きやすいのです。

つまり白や青は波長が短く、黄色は波長が長いということ。大気中で最も見える色は黄色といわれています。しかし最近の傾向として、黄色のフォグランプよりも白を選択する人が多くなっているようです。ヘッドライトのLEDの白に合わせたドレスアップが主流となっているということでしょう。

純正車両にも採用されていますが、後付けでも最近の人気となっているのは切り替え式の「バイカラーLEDフォグランプ」です。黄色と白をスイッチひとつで切り替えることができるため、悪天候の状況に合わせて、視認性の向上が見込めます。

使い方に注意

フォグランプの点灯は、基本的には悪天候時に限られています。晴天時に点灯していると、対向車両は眩しくて一瞬、視力を失うことを経験したドライバーも多いのではないでしょうか。

悪天候時以外のフォグランプを使用すると、違反になることを知っていますか。ここからはフォグランプの保安基準についてお伝えしていきましょう。道路運送車両法ではフロントのフォグランプを「前部霧灯」、リアのフォグランプを「後部霧灯」と呼びます。

・前部霧灯 後部霧灯
・色 白または淡黄色 赤
・光軸 下向き ―
・個数 2個以下 2個以下
・取り付け位置 地上から25~80㎝の間
・車幅の外側縁からフォグランプの外側縁が40㎝以内 市場から25~100㎝の間
・ブレーキランプから10㎝以上離れていること
・ヘッドライトとの連携 ヘッドライト点灯時に灯火可能
・ヘッドライ消灯時は灯火不可

ヘッドライトが点灯している際にのみフォグランプは灯火が可能となります。ではヘッドライトが点灯してれば、晴天の夜にフォグランプを投下していても問題がないかというと、そういうわけではありません。

道路運送車両法保安基準第33条の2より「その照射光線がほかの交通を妨げないもの」という記載があります。ヘッドライトが点灯していても他者に迷惑をかけていると判断された場合には、違反となることもあり得るといえるでしょう。

この際の違反は道路交通法違反ではなく、道路運送車両法違反、つまり整備不良となる場合が多いようです。

後付けのメリット・デメリットと車検

後付けするメリットは、悪天候時にも視界が確保され運転がしやすくなることに尽きるでしょう。デメリットがあるとまではいえませんが、後付けする際には上記でも触れたフォグランプの「保安基準」を満たすことができるものを装着しなければなりません。また車検を通すこともできないので注意が必要です。

フォグランプの色

黄淡色または白でなければならないので、それ以外の青なども車検を通すことはできません。

光軸

「射光線が他の交通を妨げないものであること」と定められていることから、光軸がズレていると車検には通らないといえます。光軸というのは照らす向きのことで、車検では光軸の向きが設定されているため、注意する必要があるでしょう。

HIDを取り付けている場合には、色温度を表すケルビン数に気を付ける必要があります。ケルビン数が高くなると青みを増すため車検に通らない場合があるようです。ケルビン数に上限はありませんが、8,000ケルビン以上は車検に通らないケースもあります。

また明るさにも規定が設けられており、年式で異なっているようです。

車検証の初年度登録が平成17年12月31日以前の車は明るさが1万カンデラ以下
車検証の初年度登録が平成18年1月1日以降の車は基準無し

となっていますが、過度に明るいものは基準無しとはいうものの、対向車の運転を妨げるような明るさは安全とはいえません。適当な明るさを選択することが重要です。

同時点灯の個数

フロントのフォグランプが、同時点灯できるのは2個までと決められており、同時に3個以上の点灯はできないことになっています。

取り付け位置

前項の表にまとめた通りです。フロントは、中央に寄り過ぎていると良くないようです。大半はフロントに2個装着する場合が多いので、左右対称の位置に設置することが定められています。

またリアはブレーキランプからある程度話した位置で、ブレーキと紛らわしくない場所への設置が望ましいようです。

点灯条件

前項の表の中にまとめた「ヘッドライトとの連携」にも記載した通り、フォグランプ単独での点灯はできないとなっています。また「フォグランプの点灯状態を運転者が把握できる装置を備える」と定められていることから表示灯などのスイッチを取り付ける必要があるでしょう。

まとめ

フォグランプは悪天候時に視野を確保できる頼もしい装備のひとつ。しかし住んでいる場所によっては、あまり使用する機会がないものといえるかもしれません。実際に各自動車メーカからはフォグを搭載していない車種も多くなってきました。

自分の乗りたい車に設定がなければ、後付けすることも可能です。その場合には保安基準を守った取り付けが重要になるでしょう。実用性かドレスアップか、いずれにしても、他者に迷惑をかけないものを選び、安全を心がけたいものです。

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