カスタム・アフターパーツ | 2021.06.04
エアフィルターとは?どれくらいで交換すべきか。費用は?
Posted by 菅野 直人
エンジンのついた車であれば、燃料を燃焼させて力を生み出すのに空気は必須です。その空気にホコリやゴミが混ざれば、エンジンの不具合や摩耗により寿命を縮める結果になるため、それらを食い止め、空気のみ取り入れるエアフィルターは必須です。その交換頻度や交換にかかる費用はどのくらいになるでしょう?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
燃料と空気がなければエンジンは動かない!
電気で動くモーターや、酸素の元を含む燃料を、全て積み込み外部からの供給を受けないロケットエンジンなどであればともかく、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど「燃料と空気を混ぜた混合気を爆発させてピストンを動かし、クランクシャフトで回転を得る」タイプのエンジンでは、燃料とともに空気は欠かせません(仕組みは異なりますが、ロータリーエンジンも同様です)。
そうしたエンジンは、例外なくエアインテーク(吸気口)から空気を取り入れ、古いエンジンであれば、キャブレター(気化器)で燃料との混合気を作り、それ以降のインジェクション式エンジンであれば、取り入れた空気にインジェクター(燃料噴射装置)で送り込んだ燃料との混合気を燃焼室に送るか、燃焼室に送った空気へインジェクターで、直接燃料を噴射(直噴)した混合気を、燃焼室で点火・爆発燃焼させます。
燃焼の際には、不完全燃焼などが原因となり、多少の燃えカスが出ますが、その際に空気へゴミやホコリが混入していると燃えカスが増大し、激しく運動するピストンなど、エンジン内の部品へまとわりつき、こすったり削ったりと摩耗させていくのです。
それゆえ大昔のエンジンは、摩耗をある程度見込んでおり、ボーリングと呼ばれるシリンダー(ピストンが上下する筒)研磨や、それで拡大したシリンダーに対して少し大きめのピストンを入れる「オーバーサイズピストン」(OSピストンとも略される)があったほどでした。
時代とともに道路事情が好転、舗装路が増えて車が巻き上げるホコリなどが減るとともに、エアフィルターの発達で取り込んだ空気からホコリやゴミを抑えることができるようになったため、現在では昔ほどエンジン内部は摩耗しにくくなり、オーバーホールせずとも寿命が伸びています。
集塵率と吸気効率のバランスが大事なエアフィルター
基本的に、家電製品などのエアフィルターと同じく、エンジンのエアフィルターも使っているうちにゴミやホコリでだんだん目詰まりしていき、吸気効率が落ちる、つまり空気を吸いにくくなります。
そうなれば、吸い込む空気に対して相対的に燃料が増え、燃焼そのものや燃焼後に燃え残る燃料の量などに影響を与えるほか、キャブレターやインジェクターが電子制御式のエンジンでは、空気量の低下を検知して燃料も抑える、つまりパワーダウンすることになり、いずれにせよ出力低下や燃費の悪化に直結します。
それを防ぐためには、目詰まりしていくフィルターの定期交換が大事で、エンジンオイルやスパークプラグと同様、エアフィルターを交換するだけでエンジンの吹け上がりが良くなったり、燃費が向上するなど、性能回復を体感できるパーツでもあります。
ただし、ホコリやゴミを抑える「集塵率」が高いエアフィルターは目が細かい、すなわち空気も元から通りにくい作りとなっており、なるべく吸気量を上げるためにギザギザ状に折って表面積を増やす、エアフィルターそのものを大型化するといった対策を取っていますが、狭いエンジンルームの中では限界があり、集塵率より吸気効率を重視したスポーツフィルターも古くから存在しました。
極端な場合、エンジンの寿命を縮めて頻繁なオーバーホールやエンジン交換を前提にエアフィルターを装着しないパターンもありますが、そこまでしない折衷案であるスポーツフィルターには、目が粗く空気を通しやすい素材、あるいはエアフィルターのケースを取り去り、キノコ型など表面積の大きいフィルターに交換するパーツもあります。
これらは、吸気効率が上がるだけでなく、高回転域での盛大な吸気音など音響効果もあるため、チューニングでは人気のある定番パーツですが、ノーマルより吸気効率を上げると燃料も増やさないと空燃比(混合気における空気と燃料の比率)が適切になりませんし、電子制御式でも増やせる燃料には限界があるため、あまり吸気効率を上げると、燃料系やコンピューター、排気系までチューニングしていかないと、故障につながる元です。
交換頻度はどのくらい?実際は環境によりけりなので点検しよう
エアフィルターの交換頻度ですが、ノーマルでも車種や走行環境によってだいぶ異なってきますし、ましてや社外品のスポーツフィルターともなれば、なおさらです。
さらにエアフィルターには交換前提のものと、フィルターのみ外して洗浄・乾燥することで再利用できるものがあり、純正であれば大抵は前者、スポーツフィルターでも純正形状の純正+α程度の性能であれば前者ですが、高効率のフィルターでは後者のパターンが多くなります。
あくまで「純正フィルターを標準的な環境で利用した場合の一般論」では、おおむね走行2~3万kmで吸気効率が落ちてくるとされますが、たとえば目前の桜島からの火山灰が高い頻度で舞い落ちる鹿児島のような環境の場合、当然それよりかなり短くなりますし、実際は「エアフィルターを目視確認して、新品よりだいぶ色が変わっていたら交換」など、かなりアバウトです。
吸気効率が高い代わりに集塵率が低いスポーツエアフィルターでは、詰まりにくいようにも思えますが、実際には大きめのゴミやホコリは普通に食い止めますし、それで詰まってくるとチューニングパーツとして意味をなさなくなるため、むしろ純正より短いサイクルで交換や洗浄が必要と思ってください。
交換にかかる費用は?簡単なのでDIYがオススメですが、向きには注意
自動車用部品の交換や取付は、よほど自信のある人か、リスクを承知で勉強したい方を除けば、あまりDIYをオススメしないのですが、エンジン用のエアフィルターに限っては大抵の車種でかなり整備性が高い、つまり簡単に交換できるようになっているため、純正または純正相当のフィルター、あるいは純正形状のスポーツフィルターであれば、DIY交換で済ませるのがオススメです。
大抵の車では、エアクリーナーケース(エアフィルターを収めた樹脂製ケース、エアクリとも略される)をいくつかの留め金をパチンを外すだけ、多少面倒な車種でもネジ止め程度のため、フタを開けて古いフィルターを外し、新しいフィルターに替えて元に戻すだけで、掃除機のゴミを溜める紙パック交換や、家庭用エアコンのフィルター交換ができる人であれば、難なくできるでしょう。
一点だけ注意しないといけないのは、純正形状でスポンジフィルターなどフィルターのみ脱着して洗浄したり交換するパターンで、エアクリーナーケースへ装着する際に表裏を間違えると、エンジンをかけてちょっと回した途端にフィルターが吸気系の配管へ吸い込まれてしまい、どこかで詰まったり、最悪の場合は千切れてエンジン内部へ入ってしまうため、装着の際にはよく確かめてください。
交換費そのものはDIYで無料として、部品代は純正や純正相当品の場合、2,000~5,000円程度、純正形状スポーツタイプの場合3,000~8,000円程度、キノコ型などムキ出しタイプの場合2~3万円ですが、一度装着してしまえばフィルター部分だけであれば、2,000~3,000円程度です。
なお、純正エアクリケースをそのまま使っての交換であればDIYでよいですが、キノコ型のムキ出しエアクリだとエアクリケースを外し、場合によっては吸気系の配管やセンサー類取り付けなどの加工が発生するため、自信が持てない場合は、プロに相談してみるのがよいでしょう。その場合でも、工賃はせいぜい4,000円程度までとなります。
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