カスタム・アフターパーツ | 2021.05.11
ホイールリペア、自分でやって大丈夫?DIYする際の注意点
Posted by 菅野 直人
鉄チンホイールにホイールキャップをかぶせて…というのは昔の話になりつつあり、今やほとんどの車が、アルミホイールを装着していると思いますが、ついうっかりやってしまいがちなのが、縁石などにこすったガリ傷や、冬や春のタイヤ交換時につけてしまった細かい傷です。専門業者に頼めばリペアは可能ですが、自分でもある程度できるものでしょうか?
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SUMMARY
大前提は「自分が素人だと認めることが大事」
車に関するDIYでよくありがちなのは、「こうすれば、あなたでもできます!」的な記事ですが、洗車やホイールごと脱着するタイヤ交換程度であればともかく、安易にDIYへ手をつけるべきかどうかは、少々どころではなく疑問です。
元から整備の心得がある人、学校や職場で工具の使用に慣れており、自宅でも日頃から頻繁に使う手に馴染んだ工具のある人、あるいは何をやっても手先が器用な人であればともかく、「素人が余計なことをして!」という結果になることは多々あります。
それでも何かあったところで、走行に支障がない部分であればともかく、走行に関わる部分は、自分で手をつけても何とかなる部分なのか、そうでないのかをしっかり見極め、興味本位で手をつけないよう心がけることが大事です。
今回のホイールリペアは、幸い多少失敗したところで、走行に致命的なダメージを与えるものではありませんが、使う工具によっては重大なケガをしてしまうこともあるため、あまりプロ並など狙わず、できる限りをやってみる程度でムキにならないよう、注意してください。
洗浄から修正まで、ブースづくりは大事
さて、多少のガリ傷、スリ傷が目立ってしまったアルミホイールがあり、あなたがちょっと軽いホイールリペアに挑戦してみよう、と考えたとします。
ホイールごとタイヤを外すのは、年に二度はタイヤ交換を行う雪国であれば日常的にやる人も多いでしょうし、その後の傷を広げないため行う洗浄も、カー用品店で売っている清掃道具や洗浄剤を使えば、さほど難しくはありません。洗浄の仕上げでプロは、エアコンプレッサーのエア(高圧空気)で水分を飛ばしますが、皆さんの場合は、よく拭き取って乾燥させるくらいです。
なお、せっかく汚れを取った後に、ホコリなどついては意味がありませんし、雨が降る中ではホイールリペアどころではないため、最低でも屋根があって、風が吹き込んでも作業環境を保護する壁に囲まれたブース程度は、準備しておいた方が無難です。
ただし、ダンボールなどで安直につくると、肝心なところで破損して、塗装したばかりのホイールに倒れ込みかねないため、もし作業ブースを確保できない場合は、その段階でDIYでのホイールリペアは断念した方がよいと思います。
慣れた人以外は、できれば安易に電動工具は使わず手作業で
次に、最初は粗目の、最低でも3段階くらいかけて、少しずつ細目のヤスリで傷ついた部分を削って慣らしますが、ここで使い慣れた人や器用な人であれば、ホームセンターでもよく売っている電動サンダーを使っても構いません。
使う人を限定しているのは、装着したアタッチメントが高速回転するサンダーは、作業の迅速化に大きく貢献する一方、ミスをすれば簡単にケガをしてしまうためで、カッターのように大流血に至ることはないにせよ、ヤスリでも一歩間違えれば大惨事です。
回転方向へ振り回されて自分を傷つけたり、ホイールやタイヤのあらぬところへ傷を増やすくらいであれば、無難に金属製などのヤスリで地道にゴリゴリと削った方がまだマシでしょう。そんな時でも、タイヤや周辺部へのマスキングは忘れないでください。
大まかに削って慣らし終えれば、耐水ペーパーで表面を滑らかにして、形状としては仕上がりますが、鉄チンであればともかく、表面が塗装されているアルミホイールは、ここからが本番です。
塗装は焦らず慌てず、マスキングで境目をつくらないように注意
次に塗装に移りますが、タイヤや無関係の部分へマスキングする際、あまり傷(というよりヤスリをかけた部分)だけ露出させると、境目がハッキリしてしまい、いかにも「ここを直しました」という見た目になってしまうため、ある程度は周辺部分もうっすら塗ってボカシ効果を出せるよう、露出範囲は広く取ってください。
また、ホイールナットが接触する部分を塗装してしまうと、そこから塗装が剥がれやすくなるため、ワッシャーなどでナット接触面を保護するのも大事です。
そして、いよいよプライマー(下地)を塗りますが、皆さんが使うとすれば、カー用品で売っている缶スプレーだと思います。プロが使うスプレーガンのように、キレイにはなりようがなく、ましてや赤外線ヒーターで焼き付け(硬化促進)などは不可能です。
いずれにしても下地のため、変に塗装がタレないよう注意しつつ、まんべんなく吹き付け、乾かないうちに触るなど余計なことをしてしまわないよう、そこでその日の作業は終了!とするのが無難です(意外と乾き切るには時間がかかります。これは本塗装も同じ)。
乾いたら、一旦黒など濃色系の色をスプレーして、細かい凹凸や残った傷などをわかりやすくし、必要であれば、またヤスリやペーパーがけと再塗装を行います。
最後に本塗装とクリアを吹いて完成です
ここまで終えれば、マスキングを一度やり直し、剥がれがないのを確認してから本塗装を行い、乾いた後、クリアを吹けば完成です。
ただし、コーションプレートを見ればわかるボディカラーと違って、ホイールにはカラーコードなど振っていないため、本塗装の段階になって、「あれ色がちょっと違う!」というのは覚悟しなければなりません。
プロは、しっかり色合わせができますが、缶スプレーで何とかしなければならない皆さんに、そこまで求めるのは酷というもので、なんとなく似た色で傷が目立たないくらいで妥協することも多いでしょう。
なお、ホイールにシール類などが貼られている場合は、その上から塗装を塗って段差にするより、剥がしておいた方が無難です。また貼り直して再利用するか、別なシールを貼ったり何も貼らずにするかはその時によります。
一度やってみれば、プロのありがたみがわかるかも?
完成した後、出来栄えをジックリ見て、とりあえず塗装が何となく違う程度はご愛嬌、傷がクッキリ目立たなければ良しとしましょう。
器用な人、運の良い人であれば、ここで満足した仕上がりになって、今後の自信がつくかもしれませんが、そうでなくともDIYでできることには限りがあるため、そう残念に思うことはありません。
むしろ、ケガや大きなトラブルもなく最後まで作業完了できれば大したもので、実際にはブースづくりの段階で、あるいは途中の工程を読んで「やっぱりやめておこう」となる人も多いかと思います。
現実問題として、よほど車に、あるいはそのホイールへ愛着がない限りは、ここまで手間と時間、場合によってはお金も投じて、自ら作業して割に合うかは微妙で、どうしても自分でやってみたい!という方でもない場合、プロに依頼して、しっかり仕上げてもらうほうがよいものです。
ただ、もしそれでも挑戦したいのであれば、プロがそれだけの道具を揃えて時間をかけ、皆さんが支払った金額に見合った作業をしていると、理解するよいキッカケになるかもしれません。
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