コラム | 2021.05.11
ソアラやプレリュードに2代目パジェロ!懐かしい車から最新まで、デートカー6選
Posted by 菅野 直人
「ちょっとカッコいいクルマさえあれば、女の子をドライブに誘い放題!」という時代が1990年代くらいまでは確かにあったのですが、その頃に流行った車が、今も「デートカー」として盛んに紹介されています。もちろん今でも、女の子を乗せてもウケがいい「事実上のデートカー」はありますが、昔の定番車から忘れかけていたあの車まで、いくつか紹介します。
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SUMMARY
デートカーとして生まれたような車、2代目/3代目ホンダ・プレリュード
一時期は初代シビックに自動車メーカーとしての存続を賭け、軽トラとシビックしか売ってない時期もあったホンダが、シビックのヒットで一息つき、初代アコードに続く新時代のホンダ車第3弾として初代プレリュードがデビューしたのは1978年。
2ドアスペシャリティクーペとはいえ、最初は割と硬派にスポーツしていたプレリュードでしたが、1982年にモデルチェンジした2代目は、当時であれば、スーパーカーや硬派なスポーツカーくらいしか使っていないイメージの開閉式「リトラクタブルライト」を装備、クサビ型のウェッジシェイプ・ボディをキリリと引き締めた姿は、カッコよさ満点でした。
こういうわかりやすいカタチのスポーティな車は、当時の若い女子に人気が高く、手っ取り早くデートに誘いたい若い男子もこぞってプレリュードを買い求めるという現象が起き、元祖「デートカー」と呼ばれる存在になりました。
1987年には、エンジンを傾けてまで、さらにボンネットを低くした3代目へバトンタッチ、当初は引き続き人気になったものの、後述するS13シルビアが出ると一転して不人気車となってしまい、固定式ヘッドライトで大人びたイメージを演出した「インクス」や、3ナンバー車ブームに便乗した2.1リッターの「Siステイツ」など、迷走気味のモデルライフを1991年まで続けることになりました。
ドリフトで使い潰される前は人気のデートカーであった、日産S13シルビア
元祖デートカーのプレリュードから、その座を奪ったS13シルビアがデビューしたのは、1988年のことです。当初1.8リッター、後に2リッターのターボ版「K’s」や同自然吸気エンジンのモータースポーツベース車「J’s」もありましたが、デートカーとして人気だったのは、同自然吸気エンジンで装備充実、それでいて価格もお手頃な「Q’s」でした。
今であれば、ハンドリングに優れたベストバランスの小型FRスポーツ云々、と走りばかりが強調されそうですが、「アートフォース」のキャッチコピーで登場したS13シルビアは、その滑らかなボディの曲線美と、ギラリと光るプロジェクター・ランプで女子の心をつかみ、プレリュードをあっという間に蹴落とし、デートカーの定番となりました。
おかげで売れに売れたS13シルビアは、中古車市場にも溢れたため、兄弟車の180SXともども、「走れる安い車」として、走り屋界隈からドリフト競技まで使い倒される名車となり、いまだにその再来を望まれる車となっています。
ただし、S13があれだけ売れたのは、デートカーとしての話であって、2ドアクーペのデートカーブームが終わった後で、不人気車の烙印を押されてしまったS14や、走り屋需要を狙ったS15が、結局売れなかったことを考えると、復活の可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。
ハイソなデートカー代表、初代/2代目トヨタ・ソアラ
プレリュードやシルビアは、「一般的な若者が何とか手の届く範囲で買える新車のデートカー」でしたが、BMWやベンツを買えるほどではないものの、比較的お金がある富裕層の男子、あるいは親から借りて乗る類のデートカーとして人気であったのは、初代から2代目にかけてのトヨタ・ソアラでした。
クラウンやマークII3兄弟でもよいけれど、4ドアセダンはデートカーとしていかがなものか、と考えると、国産2ドアクーペの最高峰であり、セリカXXやスープラよりラグジュアリーで乗り心地も良さそうと女子に大ウケであった車で、ソアラというだけで「乗ってみたい!」と思わせるには十分であったのです。
車自体の魅力もそうでしたが、当時は「ソアラみたいな高い車で誘ってくれる男が一番」と思われていたのも事実で、ヘタに輸入車などで乗り付けると、怪しい商売の人と思われかねない雰囲気もあり、ソアラくらいがちょうど良かったのかもしれません。
ほとんどの装備は無意味、しかしゴツさがウケた2代目三菱・パジェロ
2019年で国内向け販売が終了、海外向けも工場ごと廃止が決まった三菱のヘビーデューティーSUV「パジェロ」ですが、1991年にデビューした2代目は、当時の「RVブーム」を象徴する名車として大人気となり、デートカーとしても喜ばれました。
1BOX商用車や無骨なオフロード車をカッコよく乗りこなす「第1次RVブーム」は、1980年前後に始まり、初代パジェロもその流れで生まれた車でしたが、単に内外装をちょっとカラフルにしたり、エアコンなど快適装備を標準にするのみならず、高級車並の快適装備も加えたモデルが1990年前後に競って登場しました。
それまで前述のプレリュードやシルビアの「デートカーブーム」、ソアラやクラウン、マークII3兄弟にカリーナEDなど、トヨタの「ハイソカー旋風」が1991年頃にピークを迎え、それ以後はむしろセダンもクーペも不人気となる中で台頭したのが、第2次RVブームの車種で、中でも2代目パジェロは角を落として丸みを帯び、威圧感や仕事感を減らしつつ、存在感はタップリであったため、特に冬のデートカーには最適であったのです。
頑丈でタフなラダーフレーム、フルタイム4WDとパートタイム4WDの良いとこどりをした画期的なスーパーセレクト4WDなど、本格オフローダーとしても優れていましたが、デートカーでは全て無用の長物でした。
しかもバブル崩壊で景気はどんどん悪くなる中、重い、燃費悪い、維持費悪い、ディーゼルエンジンだとガラガラうるさいし、クリーンディーゼルなどない時代のため、真っ黒な廃棄は臭いしと、気がつけば街中で使うのによいところが大してありません。
1990年代半ばに、乗用車ベースで快適性や操縦性に優れ、燃費も悪くない初代RAV4や、初代CR-Vといったシティオフローダー、今でいう「クロスオーバーSUV」が登場すると、デートカーとしては見向きもされなくなりました。
「こういうカタチの車ってカッコいいよね」というデザインだけを重視して買った人には、明らかにオーバースペックでしたが、本当にオフロード走行が必要な人には、現在に至るまで重宝される車です。
元祖アグレッシブマスク!シボレー・アストロ
現在ではミニバンやトールワゴン、場合によってはSUVやセダンまで、ボンネットからバンパー下端まで巨大なフロントグリルと、威圧するようなヘッドランプで構成された「アグレッシブなフロントマスク」でないと売れない!というのが当たり前になっています。
近年では輸入高級車もフロントグリルの大きさを競っているのか?と思いたくなる傾向がありますが、日本におけるその元祖といえば1990年代半ばに爆発的ヒットとなった輸入ミニバン、シボレー・アストロでした。
特に1995年にデビューした2代目では、持ち上げられて分厚くなったフロントマスクに、大型フロントグリル、上下2段式ヘッドランプなど、後の日本車、特にミニバンへ与えた影響は大きく、存在感の大きな車が好まれた当時のRVブーム、そして広大な車内空間でユッタリした乗り心地もウケて、豪華内外装にカスタマイズされたアストロが、正規・並行問わず多数輸入され、デートカーとしても一時代を築きました。
確かにミニバンといってもアメ車のため、日本で使うには大きすぎ、燃費も褒められたものではなく、後席スライドドアも右側だけと不便なところだらけでしたが、初代日産・エルグランドなどアストロの影響を受けた国産ミニバンが台頭するまで人気は続き、現在に至るまで大きな影響を与えています。
現代のお手頃高級デートカー?2代目トヨタ・ハリアー
昔と違って現在の若い男女には、車高が低く「速くて怖そうな」スポーツカーなど、大して人気がないようで、現代のデートカーと言えるのは、ミニバンやSUVが大半を占めると言われています。
もちろん、よほど富裕層でもなければ、若くして高価な大型ミニバンやSUVに乗ることができるわけもないですが、さりとて何とか新車に手が届く軽自動車やコンパクトクラスのトールワゴンではちょっとハッタリが効かないとなると中古車狙いになり、そこで比較的お手頃な価格と、高品質でデートカーにうってつけと注目されるのが、トヨタの2代目ハリアーです。
最初からRAV4ベースでトヨタ車としてつくられた3代目以降と異なり、本来はレクサス車(レクサスRX)のため、内外装の品質は全く問題ないどころか、レクサスRXとの差別化のため少々シンプルになった3代目・4代目ハリアーより、よほど立派に見えます。
それでいて型落ちには違いないため安価で、2013年まで販売されていたため維持もしやすく、トヨタ車のため燃費や信頼性も最高レベルです。着座位置が高くて見晴らしはよいですし、ミニバンのように家庭的でもなく、最近のアグレッシブマスク車のように威圧感もなくて、流行に迎合していないとあって、現代のデートカーに求められる要件を最も満たしているようです。
かつては、「より低くて速そうなのがカッコイイ」と2ドアクーペがデートカーとして人気でしたが、いつしかゴツくてアグレッシブな車が人気となり、今ではちょっと昔の高級SUVが人気となるなど、デートカーも時代によって何がウケるかだいぶ変わってきています。
電動化や自動運転の技術開発が着々と進む未来において、人気となるデートカーは何でしょうか?
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