引用:Rockville, Maryland,

旧車・絶版車購入ガイド | 2019.12.11

日常でもヒラヒラと軽快な走りを楽しめるトヨタ「MR-S」の中古車探しのポイントは?

Posted by 菅野 直人

「FF車のパワーユニットを後方へ移し、安価にリアミッドシップ(MR)スポーツを実現する」という手法で、初代「MR2」(AW10系)以来MRスポーツを作り続けてきたトヨタが、2代目MR2(SW20)後継として1999年に発売したトヨタ「MR-S」。現在、トヨタが作った最後のMRスポーツであるMR-Sを中古車で購入しようとする時に、押さえておきたいポイントはどこでしょうか?

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以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください

トヨタ「MR-S」とは

1984年~1999年に2代続けて販売されていたトヨタ「MR2」後継として、1999年10月に発売されたリアミッドシップ(MR)スポーツカーがトヨタ「MR-S」です。

先代にあたる2代目MR2(SW20)は2.0リッターターボエンジンを搭載するなど思い切ったパワーアップを行った一方、サスペンションの開発不足やブレーキの容量不足に悩まされ、「ジャジャ馬」と酷評されました。それらはマイナーチェンジを行う度に改善されましたがさらに激しさが増す各社のパワーアップ競争、世間からの環境性能や価格低下を求める声による疲れや反省からか、MR-Sは思い切ったダウンサイジングと軽量化を行い、あえて高出力エンジンを搭載しないライトウェイトスポーツ化に踏み切りました。

MR-Sも2代目MR2同様にトヨタ「セリカ」と動力系・駆動系を共用する準兄弟車のような関係でしたが、セリカの「SS-II」グレードに搭載していた190馬力の高出力エンジン「2ZZ-GE」ではなく同「SS-I」に搭載された140馬力の高効率型エンジン「1ZZ-FE」を搭載していました。

さらにクローズドボディやTバールーフではなくソフトトップ(幌)のフルオープンボディを採用し、車両重量も2代目MR2より200kgほど軽量化して1000㎏前後に収め、パワフルではないもののヒラヒラと軽快な走りを実現しています。

ATも従来からのトルクコンバーター方式ではなく、MTを自動化した国産車初のSMT(シーケンシャルマニュアルトランスミッション)を採用し、AT限定免許でもイージードライブとダイレクト感あるスポーツ走行の両立を実現しました。ちなみに発売時(前期型)は5速だったMT/SMTは、2002年のマイナーチェンジ時(後期型)に6速になりました。

しかし、MR-S発売時点でバブル崩壊とRVブームが去った後の日本ではSUVやミニバン、トールワゴンの販売が主流となって2シータースポーツ市場は完全に廃れていました。それに加えて、スポーツカー派からもあまりに控えめすぎるカタログスペックで注目を集められなかったこともあり、販売は低迷して2007年9月に販売終了。その後トヨタでは、2012年4月にトヨタ「86」が発売されるまで、約4年半ほどスポーツカー不在の状態が続いたのです。

なお、派生モデルにトヨタモデリスタがカスタマイズを担当した「VM180TRD」や、さらにイタリアのカロッツェリア「ザガート」がデザインした外装を持つ「VM180ザガート」が存在します。

MR-Sの中古車相場

大手中古車検索サイトによると2019年11月現在、MR-Sの中古車相場は以下の通りです。

MR-S
(販売期間1999年10月~2007年9月)
20万円~348万円 187台・ASK:2台
(新車価格:168万円~240万円)
VM180ザガート 249万円~298万円:2台
(新車価格:398万円~450万円)
VM180TRD 108万円~189万円:4台
(新車価格:272.5万円)

価格帯は幅広いものの、VM180ザガートやVM180TRDなど純正コンプリートカーや、社外ボディパーツを組んだカスタマイズカーで程度の良いものが高価格帯を占めており、ノーマルですと上限はおおむね205万円ほどといったところ。まだ比較的新しい車種のため走行距離が少ない車も多く、中には走行距離82kmと実質未使用車状態のデモカーらしき車も存在します。

MR-Sのオススメグレードは個性的なVM180シリーズか、6速の後期型ハードトップつき

MRーSといえば、躍動感というよりは水平にピンと張ったようなボディラインの前後に似たような形状のヘッドランプ/テールランプがつき、リアミッドシップレイアウトとソフトトップ形状により「前後がよく似たデザイン」が特徴的で、好みも分かれるところです。

存在感という意味では今ひとつなところがあると感じるユーザーなら、流通台数は少ないものの、新車当時は約400万円以上もしたザガートデザインのVM180ザガート、あるいはデザインは変わらないものの吸排気チューンが行われ15馬力アップ、VM180ザガートのベースとなったVM180TRDをオススメしたいところです。特にVM180ザガートは国産車らしからぬデザインでありながら品質や信頼性はトヨタ車ですから、海外デザインを好むユーザーならば安いと感じるかもしれません。

より現実的な価格帯で選択肢も豊富な中古MR-Sのラインナップから選ぶとすれば、エアコンレスのモータースポーツベース車両「Bエディション」や本革シートなど豪華仕様の「Vエディション」は個人の好みや予算に応じて選んでいただくとして、「ベースグレード」と「Sエディション」ではアルミペダルやアルミホイールの有無など、ちょっとしたカスタマイズの差しかありません。この2種については目的や要望をはっきりとし、後付け不可能な装備が搭載されていて、車体の状態が良い個体を選ぶと良いのではないでしょうか?

多くの人にはエアコンレスのBエディション以外どれを選んでも問題ないと思いますが、あえてオススメとするなら6速化された2002年8月以降の後期型、それもハードトップが当初より装着された車両を選ぶと、幌で心配されるようなセキュリティ面や経年劣化による雨漏りといった不安もなく、安心して乗れると思います。

MR-Sの中古車選びの注意点

前項でハードトップ装着車をオススメしましたが「ハードトップもいいけど外した場合の置き場所に困るから」という理由や「オープンカーなんだから幌で十分」と、ソフトトップ車両を積極的に選ぶこともあると思います。その場合、幌を取り扱うショップなどで新品への交換を検討することもオススメです。

幌の破れ問題さえなんとかなれば、そこは古くても20年落ち程度のトヨタ車。他に重大なMR-S特有の持病や問題はなく、普通に事故修復歴や修理の痕跡、サビや内装のヘタリチェックなどをするのみで済みます。

MR-Sの中古車の維持費目安

新車販売当時はパワフルさがなく面白みに欠けるという評価すらあったMR-Sですが、現在はむしろライトウェイトスポーツとして楽しい車として再評価されており、高出力エンジンを搭載していないため、改造車を除けばエンジンやボディの傷みも少なくレギュラーガソリン指定など、維持費の面ではかなり安く上がることが期待できます。

ただし自動車税については2007年で販売終了した車のため、末期の車両でも間もなく全て初年度登録から13年超の重加算税対象車となるため、総排気量1.5リッター超2.0リッター以下の45,400円。とはいえ、実燃費は高効率エンジンと軽量ボディにより12~13km/L前後が期待できます。

2019年11月現在のレギュラーガソリン平均価格が約141円程度、仮に月1,000km走るならば月12,000円程度のガソリン代がかかり、年間のガソリン代約14万円と自動車税45,400円を合わせ、最低19万円程度が最低年間維持費の目安でしょう。その他、ユーザーの環境次第で変わってくる購入後の駐車場代やタイヤ代、車検代や整備代、任意保険代などは、各自計算してみてください。

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