買取相場 | 2022.04.26
生産終了によってプレミアム価格に!?高い残価値のウィッシュの買取金額は?
Posted by 菅野 直人
ウィッシュは2003年から一回のフルモデルチェンジを2009年に受け、2017年まで販売された5ナンバーベースのコンパクトミニバンです。現在は新車販売は終了しておりますが、ミニバンながら少し大きめのステーションワゴンのようなイメージであり、スライドドアは持たずに7人乗りを実現したユーティリティの非常に高いモデルでした。 そんなウィッシュは買取市場でどのような値動きになっているのか、見ていきましょう。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ウィッシュの中古市場での人気について
初代ウィッシュは前述の通り2003年に発売が開始され、運転しやすいサイズのローハイトミニバンとして当時ヒットしたモデルです。
Zというグレードにはオーバーフェンダーが装備され、シーケンシャルシフトマチックにスポーツマフラーなど、走りの楽しさを追加したグレードもありました。
モデルチェンジ後はZのグレードでは2リッターのモデルとなり、さらに走りの楽しさに磨きがかかりました。
このことから家庭持ちの男性、大きな荷物を積む可能性のあるヤング世代からも支持され、現在でも中古市場で取引が活発になされています。
買取査定額が期待できるウィッシュの人気グレード
Sグレード | Zグレード |
最終モデルのウィッシュはX・A・S・G・Zと5グレードの展開となり、Zを除き4WDの設定もありました。中でも人気が高いグレードがSグレードと、前述したトップスポーティグレードとなるZグレードです。
これらは、専用装備が付加価値となり、かなり良好な下取り・買取価格で推移している印象があります。
また、その他グレードに関してもトヨタ内で現在ウィッシュの立ち位置を補完するモデルが実質存在しないため、比較的買取価格は良好と言えるでしょう。
買取査定額が期待できるウィッシュの人気カラー
ホワイトパールクリスタルシャイン | 約5万円前後のプラス |
ブラック | 2~5万円前後のプラス |
ウィッシュはスタイリッシュなローハイトミニバンなので、ボディーカラーのバリエーションも多く存在しました。
中でもビビッドなオレンジカラーが設定されるあたり、トヨタのウィッシュに対するアクティブかつ若々しいイメージをつけようとした意図が受け取れます。
実際に査定に出す際は、パール感の強いホワイトパールクリスタルシャインが一番人気となり、他カラーに比べて約5万円前後のプラス査定になってくるようです。
また、ブラックも堅実な値動きで、プラス査定2~5万円ほどが期待できます。
5年落ちウィッシュ(2017年式)の目安査定額
大ヒットした初代からの流れで、2009年の発売当初は人気だった2代目ウィッシュですが、2010年代に入るとスポーティなロールーフミニバンのブームが終わり、広くて快適、技術の進歩で走りもロールーフ車に劣らなくなったハイルーフミニバンが主流になって、2017年に後継車もなく販売終了しました。
最終年となる5年落ち2017年式ウィッシュは、2020年7月当時の4年落ち2016年式より当然価値が下落して買取価格・残価率とも低下しているかと思いきや、2021年春以降の中古車高騰が影響して、不人気により販売終了したウィッシュまでも買取相場は急上昇。
買取実績の多さではブラック基調の内外装を施した「1.8Sモノトーン」が多く、買取価格も2年前にはせいぜい47~80万円程度だった買取価格も100万円を超え、他グレードも引きずられるように相場が上がっており、売っても構わない環境なら「ウィッシュを売るなら今!」というくらいの状態で、「オプション込みでおおよその新車価格」と、2022年4月現在での平均買取相場は以下のようになっています。
1.8X | 新車221万円に対して買取価格86万円程度 |
1.8A | 新車233万円に対して買取実績なし |
1.8S | 新車252万円に対して買取価格108万円程度 |
1.8Sモノトーン | 新車264万円に対して買取価格122万円程度 |
1.8G | 新車264万円に対して買取価格110万円程度 |
2.0Z | 新車285万円に対して買取実績なし |
平均買取価格 | 約106万円 |
平均残価率 | 約42% |
6年落ちウィッシュの目安査定額
6年落ち2016年式ウィッシュは、2017年10月まで販売されていた最終型(2代目)の後期型末期モデルです。2015年5月に行われた最後の改良でCVTを改め、1.8LのFF車でJC08モード燃費を15.8km/Lから16.0km/Lへ向上したほか、フロントガラスに撥水機能と紫外線99%カットが売りのスーパーUVカットガラスを採用し、快適性も改善されています。オプション込みでのおおよその新車価格と、2022年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
1.8X(FF/4WD) | 新車221万円/買取価格47万円程度 |
1.8A(FF/4WD) | 新車233万円/買取実績なし |
1.8S(FF/4WD) | 新車252万円/買取価格80万円程度 |
1.8Sモノトーン(FF/4WD) | 新車264万円/買取価格63万円程度 |
1.8G(FF/4WD) | 新車264万円/買取実績なし |
2.0Z(FF) | 新車285万円/買取実績なし |
平均買取価格 | 63万円程度 |
平均残価率 | 約26% |
9年落ちウィッシュの目安査定額
9年落ち2013年式ウィッシュは、2009年4月から2017年10月まで販売されていた最終型(2代目)の後期型初期モデルで、2012年4月のマイナーチェンジでフロントグリルへのメッキバー追加や、バックドアガーニッシュのデザイン変更、ドアミラーのサイドターンランプ装備など改良を受けています。
その際に、グレード構成が変更されて2.0L車は「2.0Z」のみとなり、2.0Gは「1.8G」へ、標準グレード1.8Sと廉価グレード1.8Xの中間に3ナンバーの廉価グレード「1.8A」を新設するなど、売れ筋の1.8L車が中心になったほか、スポーツグレードの1.8Sと2.0ZのCVTには、Gセンサーでコーナリングを検知し余計なシフトアップを抑制するスポーツモードが採用されました。オプション込みでのおおよその新車価格と2022年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
1.8X(FF/4WD) | 新車215万円/買取価格29万円程度 |
1.8A(FF/4WD) | 新車226万円/買取価格25万円程度 |
1.8S(FF/4WD) | 新車245万円/買取価格40万円程度 |
1.8Sモノトーン(FF/4WD | 新車255万円/買取価格42万円程度 |
1.8G(FF/4WD) | 新車255万円/買取価格35万円程度 |
2.0Z(FF) | 新車276万円/買取価格18万円程度 |
平均買取価格 | 31万円程度 |
平均残価率 | 約13% |
12年落ちウィッシュの目安査定額
12年落ち2010年式ウィッシュは、2009年4月から2017年10月まで販売されていた最終型(2代目)の前期型初期モデルで、2009年12月に1.8Xおよび1.8L車の4WDで、燃費向上のため充電制御やオルタネーター(発電制御)の改良を受けています。
2010年4月には、同様の改良が1.8SのFF車にも施され、さらに1.8Xをベースにディスチャージヘッドランプや運転席&助手席アームレストを装備した特別仕様車「1.8X HIDセレクション」が発売されました。オプション込みでのおおよその新車価格と2022年4月現在での平均買取相場は、以下の通りです。
1.8X(FF/4WD) | 新車213万円/買取価格11万円程度 |
1.8X HIDセレクション(FF/4WD) | 新車218万円/買取価格11万円程度 |
1.8S(FF/4WD) | 新車240万円/買取価格18万円程度 |
2.0G(FF) | 新車249万円/買取価格14万円程度 |
2.0Z(FF) | 新車273万円/買取価格13万円程度 |
平均買取価格 | 13万円程度 |
平均残価率 | 約6% |
ウィッシュを高く売るためのポイント
コンパクトな5ナンバーサイズボディ(スポーティグレードは3ナンバー)で、走りと3列シート車としての快適性を両立したロールーフミニバンですが、現実には3列目スペースは最低限のため補助席程度の扱いで、普段は畳っ放しで、ステーションワゴン的に使うユーザーも多いと思います。
そこで気になるのが日常的に畳まれたままの3列目の扱いで、荷物を荷室へ積む際に傷や汚れ、ホコリが詰まったりなど「3列目を広げればキレイに見えても、畳むと見栄えがよろしくない」というケースもあることでしょう。
それを避けるため、3列目シートはよほどのことがなければ使わない場合、カバーなどで覆っておいた方が査定を受けるにあたっては無難かもしれません。それを除けば、内外装の傷や汚れ、臭い、洗車など注意点は他の車とさほど変わりはありません。
ウィッシュの走行距離による値動きの変化
ウィッシュの2022年4月現在における走行距離ごとの買取相場を、2009年4月から2017年10月まで販売されていた最終モデルを例に紹介します。
15万km台 | 7.0~9.2万円 | 7万km台 | 5.0~73.1万円 |
14万km台 | 7.0~20.9万円 | 6万km台 | 7.9~90.2万円 |
13万km台 | 5.7~13.4万円 | 5万km台 | 8.7~90.2万円 |
12万km台 | 6.0~29.9万円 | 4万km台 | 10.6~85.5万円 |
11万km台 | 7.0~23.7万円 | 3万km台 | 9.6~100.1万円 |
10万km台 | 6.0~32.0万円 | 2万km台 | 12.7~109.7万円 |
9万km台 | 7.0~38.5万円 | 1万km台 | 22.3~97.0万円 |
8万km台 | 5.0~69.4万円 |
大体の傾向としては、3万km台から4万km台、6万km台から7万km台、8万km台から9万km台にかけて査定が大きく落ち込んでいますが、その一方で、どの走行距離帯でも査定はかなり厳しめの車があります。
逆にどの走行距離帯でも高額査定を受けているのは2015年式以降、つまり5年落ち以内の特別仕様車「1.8Sモノトーン」が多く、特定の人気グレードで高年式、走行距離が少ないほど高額査定で、他はさほど変わりがないというのが最終型(2代目)ウィッシュの大きな特徴です。
事故車・修復歴ありのウィッシュの場合は?
距離の浅い最終モデル | 約80万円~90万円程度 |
ボリュームゾーン | 50万円~70万円程度 |
流通量が豊富なウィッシュではその母数の増加に伴い事故歴のある車も一定数存在しています。
大体が買取基準額の60%ほどまで減額されてしまいますので、距離の浅い最終モデルで考えた場合は約80万円~90万円程度、ボリュームゾーンでは50万円~70万円程の査定額になってくるでしょう。
ウィッシュの残価率・リセールバリューは?
グレード | 走行距離 | 買取価格 | 残価率 |
Sグレード | 2年落ち2万キロ | 買取最高値¥1,610,000 | 73.4% |
Sグレード | 5年落ち7万キロ | 買取最高値¥1,570,000 | 71.5% |
Sグレード | 3年落ち2万キロ | 買取最高値¥1,610,000 | 73.4% |
ウィッシュの場合、前述の通り現在トヨタ内に立ち位置を補完するモデルがないこと、比較的維持のしやすい2リッター以下のモデルであることから残存価値は高く推移している傾向です。
しかも面白いことに、データを見ていくと年式による減算はあれど、走行距離に対しては寛容であることが伺い知れます。
例えば、4年落ち車では2万キロ走行車と5万キロ走行車で価格差が4万円しかなかったデータもありました。
ウィッシュは一番人気のあったSグレードを新車購入した場合、当時の販売価格で¥2,194,363であり、2年落ち2万キロ乗って売却した場合に買取最高値は¥1,610,000でした。
つまり、2年間で¥584,363を償却しており、その残価率は73.4%ということになります。
また、5年落ち7万キロの時の買取最高値がなんと¥1,570,000で、同様の計算で残価率は71.5%になります。
その他、3年落ち2万キロの場合、2年落ちの時とかわらず、買取最高値は¥1,610,000で、残価率は73.4%となり、平均値でウィッシュの残価率は72.7%です。
ウィッシュは、トヨタ車のラインナップに補完モデルがないということが残価値の上昇につながっている好例で、新車登録より5年以内であれば非常に価値が高く残っているモデルであると言えます。しかも、走行距離に関わらずです。
モデルとしてはすでに新車カタログ落ちをしてしまったウィッシュですが、価値は大きく残っています。
走行距離に関わらず残価値が残っている車はあまり多くありませんので、今ウィッシュをしっかりと使っている方は極めて買い物がお上手だったと言えるでしょう。
しかし、5年を経過してから急に残存価値が落ち始める傾向がありますので、乗り換え検討されている方は早めの手放しが吉です。
ウィッシュを売るのにベストなタイミングは?
2003年1月に初代モデルが登場した時は、先行していたライバル車を駆逐する勢いで大ヒットを記録、一時は定番車扱いであったウィッシュですが、2009年2月に2代目が登場した直後、2010年代に入ると、ミニバンの売れ筋は絶対的なスペースが優れている上に走行性能も大きく向上したハイルーフ車へ完全にシフトしてしまいます。
「車内スペースはソコソコだけど走りに優れる」を売りにしていたロールーフミニバンは、不人気ジャンルとなって、ライバル車が次々と消えていくか、ハイルーフミニバンや3列シートSUVへ転身し、ウィッシュも2017年10月で販売終了してしまいました。
現在の買取相場でもオプション込み実売価格に占める買取価格の割合、「平均残価率」が1.8Sモノトーンなどグレードによっては高額買取もある4年落ちの場合でも、約26%(1.8Sモノトーンは例外的に約32%)、7年落ちの場合、約13%に落ち込み、2代目初期型の10年落ちともなると約6%でしかありません。
ハイルーフミニバンに走行性能や操縦性能での不満がなくなり、メッキを多用した大型フロントグリルなど、アグレッシブなデザインで全盛期を謳歌している現在は、ロールーフミニバンのメリットがあまりない状態で、今後も電動化でバッテリー搭載能力まで求められると、スペース効率面では、ますます不利になります。
それでも「スポーティなデザインで後席ドアが重い電動スライドドアではなく、通常のヒンジドアなミニバンが欲しい」というユーザーはまだ残っていますが、今後そうしたユーザーが増えて市場での価値が上がる材料も特にないため、ウィッシュの売却を検討しているのであれば、なるべく早く査定に出すのがオススメです。
特にメッキを多用しモノトーンでコーディネートした内外装により、現在でも人気グレードの「1.8Sモノトーン」のユーザーは、人気があって走行距離もまだ伸びていないうちと考え、急いだ方がよいでしょう。