買取相場 | 2023.01.16
国産車の頂点!皇族も使用するトヨタ「センチュリー」の買取相場での実力とは?
Posted by 菅野 直人
戦後の高度成長期ど真ん中であった1967年、国産自動車産業も立派に立ち上がったとはいえ、政府・官公庁や大企業の公用車は、まだ主にアメリカからの輸入車に頼っていた頃、それらも国産に置き換えようと国産大型セダンをベースにさまざまな車が開発されました。 トヨタ センチュリーもそうした1台で、クラウンの拡大版へV8エンジンを積んだクラウンエイト(1964年)の後継として1967年に登場、ライバルが脱落する中でも生き残り、今やレクサス車とも別格な、「国産車全てのフラッグシップ」と言ってよいクルマになっています。 そんなセンチュリーは、買取市場でどのような評価を受けているでしょうか。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
センチュリーの中古車市場での人気について
2022年12月現在、大手中古車情報サイトでセンチュリーの中古車相場を調べてみると、「官公庁や大企業向けの運転手付きショーファードリブンが、そうそう中古車で売られていないのでは?」という予想を裏切り、全国で100台近く販売されています。
個人需要はそう多くないものの、古くなってお役御免になり、売りに出されるセンチュリーはそれなりにあるようで、歴代モデルでは、以下のようになりました。
初代(30系/40系・4.0L自然吸気V8・1967年11月~1997年4月)
【8台・58万~259.8万円ほかASK(価格応談)2台】
驚いたことに、走行距離不明のASK2台を除けば、いずれも走行距離が10万kmに達しておらず、もっとも高価な1993年式259.8万円の車両など、29年落ちで2万kmしか走っていません。
黒以外のボディカラーであったり、ローダウンなど、カスタムカーになっていたりと、最高級車らしからぬ風体では価格がだいぶ落ちるようですが、「現役時代に近い姿」で、本当に必要な時しか動かさないような車両であれば、今でもそれなりの価格になるようです。
2代目(50系・5.0L自然吸気V12・1997年4月~2017年2月)
【77台・48万~499.8万円ほか1,260万円のカスタムカーが1台、ASK2台】
「国産市販乗用車で唯一のV12エンジン車」として名高く、20年近くも販売された2代目センチュリーは、やはりもっとも台数が多く、価格帯も幅広いのですが、上限の「1,290万円」はなんと、標準の5,270mmから880mmも延長され、全長6,150mmに達するストレッチリムジン。
どうも福岡県のコーチビルダー(架装業者)が作ったカスタムカーのようですが、これに勝るセンチュリーは皇族が乗るため宮内庁が所有するセンチュリーロイヤルくらいで、乗っていたら日の丸の旗を振られたり、手を振り返さないといけなさそうです。
そんな特殊な車両を除けば、上限は499.8万円と比較的常識的な価格に収まっており、点検整備や修理にかなりの費用を覚悟しないといけないのを除けば、購入そのものは簡単という意味で輸入高級車に近いものがあります。
3代目(60系・現行型・5.0L自然吸気V8ハイブリッド・2018年6月~)
【13台・1,059.8万~1,950万円】
さすがに現行型はかなり高価ですが、トヨタの現在の社長である豊田章男氏も乗っているセンチューGRMNなどに触発されてか、個人所有でエアロパーツにローダウン、大径ホイールなどカスタムカーが早くも売りに出ています。
公用車としては高額な割に、快適性は普通のセダンばりで非効率とされ、最近はアルファードなど高級ミニバンに置き換えられるケースも増えていることから、ショーファードリブンより個人所有のオーナーズカーとしてマニア向け需要が増えているのかもしれません。
買取査定額が期待できるセンチュリーのグレード
さすがに買取実績の少ないクルマですし、グレードと言っても先代2代目)まではフロアシフトかコラムシフトが選べたくらい、現行(3代目)では完全にモノグレード(単一グレード)になってしまいました。
しかし中古車市場の相場を見ている限りでは、「希少なカスタムカーや、走行距離が少ない程度極上車」であれば、通常のセンチュリーに比べ、少しは買取査定に期待できそうです。
買取査定額が期待できるセンチュリーのカラー
センチュリーと言えば、塗装の品質、それも深みのある漆黒に包まれた「ザ・お堅い超高級車」的な車両がもっとも「それらしい」ということになり、逆に白やグレーなどは希少ではあるものの、需要も少なく買取査定は厳しそうです。
ただし、現在は輸入車やレクサス車ではありきたりと感じるユーザー向けにカルト的需要もあるようですから、「あえての外し技」として白いセンチュリーが人気になったりすると、今後は流れが変わるかもしれません。
【11年落ち2011年式センチュリーの目安査定額】
11年落ち2011年式センチュリーは、1997年4月から2017年2月まで販売していた先代(2代目)モデルです。
2010年8月の改良で、音声ガイダンス機能付きバックガイドモニターやETCが標準装備となり、センチュリーの象徴といえる鳳凰のエンブレム背景色が銀から黒へ、車内温度上昇を抑えるため、赤外線カット機能を追加し、高遮音機能も備えたUVカットガラスへ変わるなど、内外装の変更が行われています。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年12月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
フロアシフト | 新車1,335万円に対し、買取価格137万円程度 |
コラムシフト | 新車1,335万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 137万円程度・平均残価率10%程度 |
【13年落ち2009年式センチュリーの目安査定額】
13年落ち2009年式センチュリーは、1997年4月から2017年2月まで販売していた先代(2代目)モデルです。
2008年1月の改良で、ヘッドランプのロービームが標準でディスチャージヘッドランプとなり、地上デジタルTVチューナーも標準装備となりました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年12月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
フロアシフト | 新車1,260万円に対し、買取価格97万円程度 |
コラムシフト | 新車1,260万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 97万円程度・平均残価率8%程度 |
センチュリーの残価率・リセールバリューは?
なにぶん、サンプルとなる買取事例が極端に少ないクルマであり、今回は型落ちの先代モデル、しかも10年落ち以上の車両しかなかったため、新車価格に占める平均残価率も8〜10%に落ちています。
さらに、センチュリーというクルマは、カタログそのままの仕様と価格で購入するより、ユーザーの希望に応じた仕様で納車されるケースも多いことから、実際の新車価格は、さらに高額かもしれず、2~3%は割り引いて考えた方がよいでしょう。
整備や修理が高額になるという意味では輸入高級車と同様のハンディですし、大排気量なので維持費も高く、それでいて人気のSUVやスポーツカーでもないため需要は限られるとなれば、「もはや、ただのセダンでしかない型落ち車」に価格がつくだけマシと思われます。
これが現行モデル(3代目)の低走行&程度極上車ともなれば、それなりの価格で買い取られる可能性はありますが、それでも1~2年落ち程度でさえ、50%を超えるリセールバリューは、なかなか厳しいのではないでしょうか。
仮に売ろうと考えるのであれば、マニア向けの個人売買や、この種の超高級車を専門にするショップへ相談してみた方が、よい結果になるかもしれません。