買取相場 | 2022.10.28
かつての無骨さは皆無!ダイハツのコンパクトSUV 新型「ロッキー」その買取市場での評価は?
Posted by 菅野 直人
テリオス/キャミ、ビーゴ/ラッシュと、カタチはともかく中身はビルトインラダーフレームボディに、FRベースのセンターデフロック機構付きフルタイム4WDと、ライト感覚が求められるジャンルにしては本格的過ぎたダイハツおよびトヨタOEM版のコンパクトSUVですが、それはあくまで初代タフト以来の「新興国向け生活用小型オフローダー」を引きずっていたからと考えられます。2019年11月に発売されたロッキーでは、ようやく近代的なFFベースのクロスオーバーSUVとなって好評ですが、そんな同車の下取りや売却で参考になる買取市場での評価はどうでしょうか?
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
ロッキーの中古車市場での人気について
トヨタの新設計アーキテクチャ「TNGA」のダイハツ版「DNGA」での開発第2弾(第1弾は現行タント)となったロッキーは、従来のモノコックボディにラダーフレームを溶接、頑丈な代わりに重量過大気味なビルトインラダーフレーム式SUVから脱却し、FF軽自動車をベースに拡張したブーンやトールのSUV版といえる、ライト感覚なSUVとなりました。
パワートレーンもハイゼット系のものにセンターデフロックをつけたフルタイム4WDから、FF車と同じ簡易な生活4WDへ、さらに2021年11月の改良では、日産e-POWERに続き国産第2号となる、エンジンで発電してモーター駆動オンリーのシリーズ式ハイブリッドシステム「スマートハイブリッド」が採用されるなど、新時代のSUVを印象づけています。
さらに5代目トヨタ RAV4(2019年)で人気が再燃したオフローダールックを、熱が冷めないうちにと類似したデザインを採用、もちろんトヨタOEM版のライズほどではないものの、ダイハツで販売するSUVとしては歴代最高の人気を誇るスマッシュヒットとなりました。
中古車市場でもトヨタOEM版が存在するダイハツ本家車としては、従来にないほどタマ数が豊富で、大手中古車情報サイトによれば、全国で945台のロッキー(昔の初代モデルは除く)が流通しており、走行500km未満の登録済み未使用車や、展示車&試乗車上がりの比率も2割程度。
価格帯は149.8万~296.8万円と、ガソリン車のオプション込み新車販売価格平均が220万円台のSUVとしては、かなり強気となっていて、ライズよりロッキーのデザインを好むユーザーに支えられた人気を裏付ける販売価格となっています。
買取査定額が期待できるロッキーのグレード
基本的にはグレード間の価格差がそのまま買取査定の差になってはいますが、元より高級志向が薄い「ダイハツ」ブランド車ゆえ、ベーシックグレードの「X」系も、新車価格が安い割には、そこそこの買取価格が提示されているようです。
逆に言えば、上級グレードの「G」や「プレミアム」系でもさほどの付加価値がないと言えるため、飛び抜けて買取査定額に期待できるグレードはありません。
ただし、2021年11月に追加された「スマートハイブリッド」車は別格で、車両本体価格を含む経済性に優れたSUVユーザーにウケることを狙ってか、ガソリン車(1Lターボ/1.2L自然吸気)に比べ、かなり査定高めの傾向があります。
買取査定額が期待できるロッキーのカラー
オフローダールックSUVとはいえ、実質的には「最低地上高が高いだけの小型ハッチバック車」に相違ないため、パーソナルユーザー向けの派手なカラーやオフローダー向けのミリタリー系カラーが人気と思いきや、意外とそうではありません。
白(シャイニングホワイトパール)や黒(ブラックマイカメタリック)、シルバー(ブライトシルバーメタリック)といった、冠婚葬祭などフォーマルな場でも無難なカラーが査定高めとなっており、車格の割には大きく見えるため、趣味性丸出しのボディカラーよりは保守的な傾向が強いようです。
【1年落ち2021年式ロッキーの目安査定額】
1年落ち2021年式ロッキーは、2020年6月に最上級グレード「プレミアム」へモノトーンのカラーバリエーション追加設定を行うなど小改良後、2021年11月に発電用1.2リッターエンジンを搭載、モーター駆動オンリーの「スマートハイブリッド」車(HEV系)と、通常の1.2リッター自然吸気エンジン車を設定したモデル。
これにより1リッターターボ車は4WD専用となり、1リッターターボ(4WD)、1.2リッター自然吸気ガソリン(FF)、1.2リッタースマートファイブリッド(FF)と、3種類のパワートレーンを持つようになりました。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
(ガソリン車)
L | 新車200万円に対し、買取実績なし |
X | 新車216万円に対し、買取価格106万円程度 |
G | 新車232万円に対し、買取価格147万円程度 |
プレミアム | 新車249万円に対し、買取価格150万円程度 |
プレミアムG | 新車241万円に対し、買取実績なし |
平均買取価格 | 134万円程度・平均残価率58%程度 |
(ハイブリッド車)
X HEV | 新車233万円に対し、買取価格170万円程度 |
プレミアムG HEV | 新車259万円に対し、買取価格168万円程度 |
平均買取価格 | 169万円程度・平均残価率69%程度 |
【2年落ち2020年式ロッキーの目安査定額】
2年落ち2020年式ロッキーは、同年6月に最上級グレード「プレミアム」のカラーバリエーションへモノトーンを追加設定した程度の小改良に留まるモデルで、まだハイブリッドは追加されていません。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
L | 新車201万円に対し、買取実績なし |
X | 新車217万円に対し、買取価格120万円程度 |
G | 新車232万円に対し、買取価格132万円程度 |
プレミアム | 新車251万円に対し、買取価格146万円程度 |
平均買取価格 | 133万円程度・平均残価率57%程度 |
【3年落ち2019年式ロッキーの目安査定額】
3年落ち2019年式ロッキーは、同年11月に発売されたばかりであった現行ロッキーの最初期モデルで、パワートレーンはコンパクト・スーパーハイトワゴンのトールにも使われた1リッターターボのみで、装備やFF/4WDの違いにより数グレードが設定されただけのシンプルなラインナップ。「オプション込みでおおよその新車価格」と2022年10月現在での平均買取相場は、以下のようになっています。
L | 新車201万円に対し、買取実績なし |
X | 新車217万円に対し、買取価格123万円程度 |
G | 新車232万円に対し、買取価格130万円程度 |
プレミアム | 新車254万円に対し、買取価格141万円程度 |
平均買取価格 | 131万円程度・平均残価率56%程度 |
ロッキーの残価率・リセールバリューは?
基本的にはトヨタへOEM供給した「ライズ」が販売の主力ながら、近年は自社生産の小型車もトヨタへ遠慮せず拡販するよう許可の出たダイハツらしく、販売面で健闘しているロッキーではありますが、やはりそこは軽自動車メーカーのイメージが強く、小型車ではマイナーな「ダイハツ」ブランド。
人気のSUVとしてはリセールバリュー(新車価格に対する買取価格の割合)は決して高いとはいえず、発売3年ほどで初期型でも値落ちしにくいとはいっても約56~58%程度にとどまり、並以上ではあるものの、飛び抜けて高いとも言えない微妙なラインです。
こればかりはトヨタ版のライズがある限り、セカンドブランドに甘んじなければいけないダイハツ本家の宿命ですが、スマートハイブリッド車が1年落ちとはいえ、平均70%近いリセールバリューを記録していることから、ハイブリッドに限っては今後の展望が明るいかもしれません。