カスタム・アフターパーツ | 2021.11.12

電子回路の電流パワーを開放!チューニングヒューズはオカルトパーツなのか?

Posted by KAKO MIRAI

車の電子制御は目覚ましいスピードで進化を遂げ、そのほとんどはECUに頼っているといっても過言ではありません。車の中を流れる電気抵抗を減らすことができれば、パワーアップすることが可能なのでしょうか。チューニングヒューズはオカルトパーツのひとつといわれることが多いですが、実際にはどのようなものなのかを徹底調査します。

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ヒューズとは

ヒューズは、決められたアンペア以上の大電流から電子回路を保護する役目があり、加熱や発火などの事故を防止するための電気電子部品です。電気回路の中に置かれており、普段は配線の一部として作動しています。

電気回路に決められたアンペア以上の電流が流れると、ヒューズの内部の細径や歪曲の金属部分であるヒューズエレメントが加熱されると溶断し、電流が遮断されることに。一般的に溶断することを「ヒューズが切れる」「ヒューズが飛ぶ」といいます。

車載で使用されるヒューズ

車の中で使用されるヒューズが設置される場所には、エンジンルームの中、運転席の足元、助手席のコンソールボックス付近、トランクルームなどのヒューズボックスです。各ヒューズは、アクセサリー系、マルチメディア系、シャシー系、パワートレイン系に電源が分類されています。

ヒューズボックスのフタ裏には、分類された電源系のアルファベット略称記号と、決められたアンペアが表示されているので、確認することができるでしょう。また説明書にも詳しく記載されているので、自分で交換することも可能です。

自動車用ヒューズの種類

現在、車載用として使用されているヒューズには3種類があります。

①低背ヒューズ

最も小さいサイズのヒューズで、端子を溶断部の横にしたもの。

高さ約9mm、幅10.9mm、厚み3.56㎝

②ブレードヒューズ

1975年に開発され、スタンダードとして使用されていました。構造が単純で大量生産ができたことも広く採用された要因の一つです。

高さ18mm、横幅19mm、厚み5mm

③ミニ平型ヒューズ

ブレードヒューズをそのまま小さくしたような形状。
高さ16mm、横幅11mm、厚み4mm

ヒューズは劣化する

長い期間、通電を繰り返すことで、ヒューズの端子部分が収縮を繰り返し、劣化する消耗部品です。さまざまな電気系パーツに流れる電流は、全てヒューズを通過します。ヒューズの劣化による電気抵抗の増大は昔、理科の授業にあったような豆電球の光量が落ちるのと同様な物理現象です。

例えば、燃料噴射を行う燃料ポンプやインジェクタも、ECUからの制御によって最適な燃料噴射量がエンジンに送られているのです。電気の通りが悪ければ理論上、インジェクタが噴射するパワーを保つ燃料ポンプの燃圧低下や、適切な燃料噴射時間の短縮ズレが生じることになります。

そのため10万㎞を超える車は、ヒューズの先端が焼き付きを起こしている可能性もあるので、確認することをおすすめします。

ヒューズはさまざまな大きさがありますが、安価なものは数十円で販売されていることもあるようです。そういった製品は、接続する部分は規定の幅を確保しているものの、プラスティックで覆われている部分はコスト削減によって細くなっている場合があります。

金属が細いということは、電気の流れも悪くなるため良質な製品を選択することが重要といえるでしょう。

チューニングヒューズって何が違う?

電気はデリケートなもので、端子に金属素材などの不純物が含まれていると、電気を流れる際の接触抵抗となります。そこで特殊な加工を行い電気の流れをスムーズにすることがチューニングヒューズの目的です。

そのほかには「CAN通信制御された車の制御信号を正確に出す」ことも目的のひとつ。CAN通信は微弱な電圧変化を信号に置き換え、高速でデータを転送するものです。通信信号の遅延なくECUが正確に受け取るためには、接触抵抗の低いヒューズを使用することが重要になります。

チューニングヒューズは接触抵抗の低い材料加工を施し、電気が流れたときに電圧が落ちてしまうことを防ぐことを目的としています。このように正確な電圧を素早く流す性能を持ったヒューズが、チューニングヒューズの役割ともいえるでしょう。

チューニングヒューズのメリット、デメリット

メリット

各種電気パーツのパワーダウン防止

長期間さまざまな使用環境にさらされる車にとって、ヒューズ端子の接触抵抗劣化を
防止する材料加工により、電気パーツに流れるパワー電流の低下を防止する。

ECUの演算速度低下防止

CAN通信が行われているセンサとECU間の信号パルスにはノイズが通信回路に混ざる
ことがあります。その中でECUが点火や噴射を演算し制御するためには、確実ではない
信号をノイズと判断し、切り捨てることで正常な制御がされているのです。

しかし切り捨てられた信号の中にも必要な情報があるので、正確に通信が伝わるまで
繰り返し通信の送受が行われます。つまりECUに安定した通信を送ることで、ノイズが
減り各種電気パーツからの通信信号をクリアに伝達。必要な情報をより早くECUに伝え
ることが可能になるのです。

CAN通信の演算速度そのものは変わることはありませんが、ノイズを減らすことで繰り
返しのない通信から電気パーツの信号を素早く伝えることができ、その結果として演算
速度が向上することになります。

体感できる変化

チューニングヒューズを使用したことで変化したという声が聞かれるのは以下のような結果となりました。

オーディオ…音質がクリアになった
ヘッドライト(HID)…立ち上がりが早い
アクセルレスポンスが良い
アイドリングが安定した

デメリット

全部のヒューズ交換を行わないと体感できない

一部のヒューズ交換を行うだけでは、通信速度の劣化防止は数m秒(1秒の1000分の
1)程度と高速であるため体感できるほどの効果は期待できません。

一般的なヒューズに比べて高額

ヒューズの接触抵抗の劣化はテスターによって測定できますが、車一台分の全ての
ヒューズを一つひとつ測定するには膨大な時間がかかりますので、交換するときは
全て交換となり高額となります。

有名チューニングメーカーと費用

ティーズスタイル

https://www.magicalfuse.com

https://www.magicalfuse.com

ティーズスタイルが販売する「マジカルヒューズ」は、交換するだけでパフォーマンスの向上が期待されるという、名前通りの魔法のヒューズです。従来のヒューズは金属端子が露出していることにより、空気中へ放電され本来ならば回路に供給されるはずの電力を消耗しています。

またヒューズの表面には凹凸があり、車両側の端子との間で接触抵抗が発生。そのため電圧降下を起こしてしまいます。そこでヒューズと車両側の端子の凹凸を埋めるために、ヒューズ表面に超微粒子カーボンを塗布し、接触抵抗を軽減することに成功。

これにより回路への電力供給のロスが軽減され、さまざまな電気パーツの性能向上を得ることを可能にしています。

織戸学選手を始めとする多くのプロドライバーたちがインストールしており、「マジカルヒューズ」を体感してきました。

価格(車種によって異なる)相場:20,000~120,000円

ユナイテッドサウンド

https://icefuseproject.localinfo.jp

極低温冷却処理という-196℃の液体窒素を使用した「超電導実験」に近い方法を用いた「ICE FUSE」。凍らせることで金属の原子の並びを整頓することで電気の流れをスムーズにしているといわれ、「超電導実験」は宇宙開発をはじめMRI、リニアモーターカーなどさまざまな場所で活用されているものです。

またオーディオケーブルでは、銅や銀などの素材だけでなく金メッキにこだわったものまで開発が進んでおり、その技術を車にも採用したのが「ICE FUSE」になります。『ユナイテッドサウンド』はカーオーディオの販売を行っており、特殊金属処理加工の製品開発なども手掛けているメーカ。

その技術力を活かし車のヒューズへの採用を成功させています。ヒューズの質にこだわり、純正使用されている銀又はスズを採用。電気回路を守るために必要なヒューズは、さまざまなロスを伴っており電気をスムーズに送電することを妨げる存在でもあります。

そこでヒューズ全体を液体窒素に浸して極低温で凍らせることで、金属の強度や通電性を向上させるといわれています。

価格:車種ごとにメーカに見積もり依頼

ヒューズ交換の効果

本当に効果あるの?

ヒューズのように端子が空気中にさらされる電気系統の経年劣化は避けられず、
車の調子が落ちてしまう前にヒューズ交換することで、未然に防止することが可能です。

ただし、せっかくヒューズ交換したのにさらなる性能向上が体感できないケースも見受
けられますので、即効性のある効果というよりは愛車を長くいたわる気持ちで交換して
みるのはいかがでしょうか。

まとめ

外から目に見えない隠れチューニングパーツともいえる、チューニングヒューズ。交換によるレベルアップは体感には及ばなくても、オカルトパーツとは異なるものです。経年劣化を防ぎ、愛車へのこだわりをさらに強くするアイテムといえるでしょう。

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