コラム | 2021.05.11
サーキットライセンスの取り方は?どれぐらいの費用で取ることができる?
Posted by 菅野 直人
車の運転が上手に思える人、車好きな人を紹介する時に、「この人は、A級ライセンス持ちで…」などという場面が漫画などでもよくありますが、ライセンスにはJAF(日本自動車連盟)が発行する公認競技ライセンスと、サーキットが独自発行しているサーキットライセンスの2種類があります。いずれも会費を払って簡単な講習を受ければ取得できるものと、ある程度実績の必要なものがありますが、その取得方法や費用を紹介します。
以下の文中の買取査定額は、投稿日時点での目安になります。実際の査定額については相場状況や車両の状態によって大きく変動しますので、あくまで参考金額としてご覧ください
SUMMARY
運転免許とは少し異なる、モータースポーツの「ライセンス」
一般的な自動車を運転するには、最低でも第一種運転免許の普通自動車免許、いわゆる「普通一種免許」などと言われる運転免許が必要ですが、取得している皆さんもご存知の通り、その内容は「いかに交通ルールを正しく理解して運転できるか」であり、運転の上手下手を問うものではありません。
もちろん、公道で車を運転できることと、レースなどモータースポーツで車を走らせることができるかどうかには直接の関連はなく、規則上許されているのであれば、運転免許がなくともモータースポーツへの参戦は可能です(ドリフト競技やフォーミュラカー、レーシングカートのレースでは運転免許を持っていない若いドライバーもいます)。
さらに運転免許さえ持っていれば、レースに出ることができるというものではなく、レースにはレースの、レース以外のモータースポーツでもそれぞれのイベントに合わせた規則があり、適した運転操作があるため、それを知らずに出場すれば危険でしかありません。
そこで、世界各国でレースに関して運転免許と別に、モータースポーツ用の「ライセンス」を発行する公認機関が存在し、日本ではJAF(日本自動車連盟)がその役割を担っているほか、各サーキットごとに規則を守らせたり、会員管理のために発行されている「サーキットライセンス」があります。
一般によく知られるライセンスは、JAFの競技用ライセンス
JAFが発行している競技用ライセンスは、モータースポーツイベントにおける役割に応じて、主催者や審判用のものもありますが、ドライバーの場合、最も基本的な国内競技運転者B、いわゆる「Bライ」から始まり、国際C級などを経て、最高峰がF1さえもレースで運転できる「スーパーライセンス」があります。
基本の「Bライ」は、レースのように複数台の車が混走で「競走」するものではなく、単独走行でタイムなどを競うもので、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアルのようなスピード競技(タイムアタック)や、国内ラリー競技の公認競技ドライバーが出場できるクラスで必要(ライセンスを持たない人も「クローズドクラス」というノンタイトル的なクラスには出場可能)です。
このBライは、JAF加盟クラブの主催する講習会に出るか、加盟クラブ、準加盟クラブの推薦を受け、取得費用さえ払えば取得できる簡単なもので、年間の更新料を払っていれば、ずっと維持できます。
取得にはJAFの会員になる必要があるため、非会員の場合、ライセンスと別途に入会金と年会費で6,000円、既に会員の場合は、講習会の受講料5,000円(主催者により異なる)と申請料3,100円のみで済み、前述のようにクラブ推薦であれば、受講料は不要です(クラブ会員の費用はまた別)。
レース(競走)をするのであれば、Bライ取得後に「ラリー、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアルへ最低1回出場し、完走記録を残す」のと、「公認サーキットでのスポーツ走行25分以上」を行った上で、講習(サーキットで振られる旗などルールの説明)と実技(模擬レース)を受けます。費用は主催者にもよりますが、おおむね3~4万円ぐらいです。
レースをやりたくて、あるいはいずれレースをやる時に便利と最初からAライを取る人が多いため、Bライ取得から競技会出場、講習と模擬レースまで1日で済ますことができるようセットになった、「Aライ講習会」が一般的で、大抵は初心者向けジムカーナ競技会に混ざっています(とにかく1回でも完走すればよいため、適当な車でゆっくり走る人がいれば、「ああ、あれはAライ講習の人だ」と言われます)。
「サーキットライセンス」は、それぞれのサーキットでのみ有効なライセンス
JAFやFIA(国際自動車連盟)の公認競技/レースに出場するためのライセンスとは全く異なるのが、「サーキットライセンス」で、これは一言で言えば「各サーキットの会員証」です。
つまり、そのサーキットのお得意様である証明書というわけで、取得料や年会費がかかる代わり、サーキットのフリー走行枠やサーキット走行会の走行費用、サーキットへの入場料、施設内のガソリン代などが安くなったり、何かお得な情報があれば、配信してもらえたりと、お得な特典がついてきます。
費用や条件は、サーキットごとに異なりますが、もっとも基本的なサーキットライセンスの場合、単に「割引会員」と考えるべきで、フリー走行やトランスポンダー(周回タイムを計測するのに必要な機械、通称トラポン)のレンタル料が安く、条件は入会費と年会費を払うのと、サーキットによって普通一種免許以上が必要となるくらいです。
講習を義務づけているサーキットの場合は、さらに講習会費もかかりますが、そう高いものではなく、入会費や年会費もせいぜい数千円から2~3万円以内です。
なお、それだけであれば、ドライバーの運転スキルが異なり、一緒に走るには危険が伴う場合もあるため、上級ドライバー向けのサーキットライセンスを発行しているサーキットもあり、その場合はJAFの国内Aライ以上を持っていることが条件だったり、入会費・年会費とも一般的なサーキットライセンスより高くなります。
しかし、時には挙動不審なこともある初心者ドライバーが走らない走行枠で、「安全性の高いスポーツ走行」が可能になるため、ある程度以上の運転スキルがあり、レースさながらの走行を楽しみたいのであれば、高価でも上級向けサーキットライセンスを取得した方がよいのは間違いありません(初心者でも走ることができる走行枠で、走ることも可能です)。
また、「サーキットライセンスはサーキットごと」と書きましたが、提携しているサーキット同士であれば、1カ所でライセンスを取れば他も走ることができるというケースもあるため、時には遠征してみるなどメリットはフル活用しましょう。
「レース用ライセンス」もある
ここまでJAFの公認競技用ライセンスとサーキットライセンスについて説明しましたが、他にも「レース用ライセンス」があります。
これはサーキットライセンスとはまた別で、一般的なレースとは異なる特殊な規則が適用されたレース、大抵はJAF非公認で燃費などを競うエコランレースで設定されていることが多く、JAF公認競技用ライセンスと同じく「そのレースの規則を説明する講習会」などに参加し、規則を理解した証明として発行されます。
イベントの趣旨を理解していないドライバーの参加を防ぐためでもあり、ある意味ではJAFのライセンスよりよほど重要なもので、参戦費用にライセンス取得費込みの場合が多いかもしれません。
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