カスタム・アフターパーツ | 2021.09.22
狙うのはハンドリング?それとも旋回性?パワーに勝るとも劣らない軽量化の方法とは
Posted by KAKO MIRAI
車の性能を向上させるための方法として軽量化があります。『SUPER GT』では、獲得ポイントに対してウェイトハンデが採用されているほど、車体にとって重さは非常に重要な意味があるといえるでしょう。軽ければ軽いほうが良いとはいうもの、重さも重要です。では一体どれくらいの軽量化をどのような方法で行うべきなのかよくわからないのも事実です。軽量化に対するさまざまな疑問を解決していきます。
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軽量化の効果
自動車メーカーのモデルチェンジで、最近よく耳にする軽量化。新型車にも取り入れられており、銅板やアルミ合金、カーボン、ハイテンと呼ばれる高張力鋼板、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、繊維強化プラスティック(FRP)など様々な素材が使用されてきています。
近年は車の大型化やハイブリッド車の活躍によって、車重が重くなる傾向にあるといえるでしょう。そのため全体的に軽量化ができる部分を追求しているようです。メーカーが行う軽量化は、素人には出せない領域でもあり、一般ユーザーには頼もしい特徴になっています。
車の軽量化によって、車の性能が引き上げられることは多いようです。力を受けて運動する物体である車は、力学の運動方程式に当てはまります。それは動き続けようとする、または止まり続けようとする慣性の性質に大きく影響を与えるということ。
軽量化を行うことで車に働く慣性の影響を小さくすることが可能になるのです。つまり車の動作が軽くなり、加速性能やブレーキ性能、燃費性能に大きな影響を与えます。そのほかには、回転挙動であるヨーイングの動きが軽くなり、ハンドリングが良くなることも考えられるでしょう。
例えば車のカテゴリーに「ライトウェイトスポーツ」があります。軽量で小型のスポーツカーの総称ですが、定義があるわけではありません。現行の国産車でいえば、マツダ ロードスターやスバルBRZ。もうすぐ発売される予定のトヨタ 86などが挙げられます。
比較的小さいボディサイズで、小排気量のエンジンを積むことで軽量化を図った車のパワーはわずかです。にもかかわらず加速性能が高く、ブレーキの制動距離も短い。そのうえコーナリング性能も気持ちよく回頭性に優れています。
通常であれば、小排気量のエンジン性能は、大排気量のパワーには勝つことができません。しかし軽量であるということは、パワーにも勝るとも劣らない価値があるのです。そんな軽量化された車には、デメリットは存在しないのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
デメリットはある?
軽量化のメリットは非常に大きいといえることが分かります。しかしメリットばかりとは言い切れません。やみくもに軽量すれば良いわけではなく、気を付けなければならない軽量化について詳しく見ていきましょう。
接地圧の不足
問題点のひとつとして挙げられるのは、「接地圧の不足」です。車重があるということは、タイヤと路面に十分な接地圧があることでコーナリング性能が向上。急加速などにも強いグリップ力を発揮することができます。
しかし軽量化されたボディでは、十分な接地圧がないためにコーナーで踏ん張ることができません。
剛性の低下
最近では軽量化が進み、メーカーで製造される車も使用される素材が変化してきたことは前述のとおりです。メーカーが推奨する軽量化されたボディの意味は、万一の事故の際に、軽い車体の方が、衝突エネルギーが少なく、安全性が高くなることから活用され始めています。
しかしボディの剛性は車にとって不可欠なものでもあり、車体をたわみにくくすることで安全性を高めるものです。軽量化に目を向けすぎて剛性を低下させてしまっては、危険が伴うことに注意が必要といえるでしょう。
快適性・静粛性の低下
「NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)」はそれぞれの頭文字をとって呼ばれている言葉で、車の快適性を推し量る基準となっています。ノイズは空気の振動。バイブレーションはパワートレインから発生する空気の振動のことです。
またハーシュネスはタイヤから伝わる振動のことを指し、軽量化によって損なわれる可能性がとても高くなっています。軽量化は走行性能には余計と思われるものを取り除くことですが、その中にはロードノイズを防ぐ遮音性を高めるものなどが含まれているといえるでしょう。
乗り心地
路面からの凹凸入力に対して軽量化されたボディは、振動を拾いやすくバタつくことがあり、乗り心地を悪化させる場合もあるものです。対して重量のある車なら落ち着いた挙動で、乗り心地が左右されることがありません。重量があることのメリットはほかにもあります。
衝突安全ボディとなり、剛性の強化が図られているとはいえ、軽量化された車と重量のある車が衝突した場合には、軽量化された車の方が激しい損傷を受ける可能性は高いといえるでしょう。
板金修理
使用される素材が、アルミ合金やFRPのボディには板金修理はできません。鉄と違い叩いて直すことはできないため、割れたり凹んでしまったりした場合には、交換しなければならないケースが多くなります。そのため、修理費がかさむことにも注意が必要でしょう。
取り外すのみでOKの軽量化
取り外すことで軽量化を実現するお手軽な方法をご紹介してきます。
トランク内の荷物は降ろす
トランクに入れっぱなしの洗車グッズ、工具などを降ろすだけで1~2㎏。アウトドアグッズやスポーツ用品なども同様です。またゴルフのキャディバッグは、クラブを含むと13㎏以上となるので、早急に降ろしたほうが良いでしょう。
・取り外しても差し支えのないパーツ
快適性能の低下はありますが、取り外しても良いパーツはあります。自分にとって必要かどうかの判断をしてから行ってください。
トランクの内装
室内のドアには緩衝材の役目があるため、室内の内張りを取り外すことはできません。しかしトランクの内張りを外すことはできます。内装には遮音性を高める効果があるため、マフラー音が車内に反響し、うるさくなるというデメリットがあります。
その他にはオーディオ、センターコンソール、エアコン、フロアマットなどをとり外すことは可能です。スペアタイヤについては、取り外してしまうことも可能ですが、緊急時に困ることにもなりかねません。取り外したい場合にはパンク修理キットを用意したほうが良いでしょう。
パーツ交換で軽量化
カーボンボンネット
カーボンボンネットは軽量なFRP製のものです。慣性モーメントが小さくなるため、運動性能を上げることができます。例えば純正のボンネットでは車種によって異なりますが、約10㎏以上です。
社外製のカーボンボンネットは約5~7㎏となっているため、軽量化を図ることができます。しかし一部の車種に限ってのことですが、純正モデルでアルミ製が使用されていることもあるため、愛車がどのようなモデルかを確認してから変更してください。
シート
純正のシートは一脚、約5㎏と重量のあるものが多くなっています。そのためフルバケットシートやセミバケットシートへの変更も良いでしょう。純正シートでも『レカロ』などが標準装備されているスポーツカーも多いことから、おすすめの変更パーツです。
バッテリー
一般的なバッテリーから小型化された高性能バッテリーに変更することで、軽量化することができます。近年その軽さからリチウムイオンバッテリーへの載せ替えも話題になりますが、鉛バッテリーからそのままリチウムイオンに交換することは発火などの危険があるようです。
リチウムイオンバッテリーには充放電を行うコントローラーの存在が不可欠。コントローラーのソフトウェアに問題がある場合が多くなっています。安易な交換はやめておく方が良いでしょう。
バネ下の軽量化
バネ下とはサスペンションより下についているパーツを指し、タイヤやホイール、ブレーキなどをまとめた総称で使用されています。バネ下の軽量化の中で最もお手軽なのはホイール交換です。
軽くなることでサスペンションの動きが良くなり、加速性能やブレーキ性能を向上させることができます。しかし極端に軽くなると、足回りのバタつきが生じて車のバランスが崩れる可能性もあるため、慎重に選択したほうが良いでしょう。
まとめ
車にとって軽さは正義ですが、軽ければ軽い方が良いとまではいいきれないようです。重心から遠い場所のパーツが軽量化されるとハンドリングの応答性は高まるでしょう。しかし実際に1~2㎏変わっただけで違いを感じ取ることはできないのも事実です。
どこまでの軽量化を必要としているかによっても変わりますが、車のバランス崩すような軽量化は危険を伴います。車の軽量化は簡単にできることも多いですが、なかなか奥の深い永遠のテーマのひとつといえるかもしれません。